ドラゴン危機一発 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『ドラゴン危機一発』

 

 

 

 

 

1971年 香港

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 ロー・ウェイ

 

撮影 チェン・チン・チェー

 

音楽 ワン・フーリン

 

 

 

出演 ブルース・リー/マリア・イー/ジェームズ・ティエン/ハン・インチェ/リー・クン/ラム・チェンイン/トニー・リュウ/チェン・チャオ/ノラ・ミャオ

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

すさまじい迫力をまき上げてせまる鋼鉄の男!その魅力のすべてがついにやって来た!

 

伝説のアクションスター、ブルース・リーが香港凱旋後にゴールデン・ハーベスト社と契約し主演した1作目で、アジア各国や中東で大ヒットを記録したカンフー・アクション

 

町の製氷工場で働く事になった田舎の青年が、そこに麻薬犯罪がからんでいる事を知り工場一味に戦いを挑む、ブルース・リーが正義感に燃える主人公に扮し、快調なアクション・シーンを展開させていく

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

若者チェンは従弟のシュウ一家を頼って中国の唐山からタイへと働きに出て来た、一緒に来てくれた父親からはケンカはするなと念を押された

 

 

彼が世話になるシュウ一家は大家族でシュウの妹のチャオ・メイにも気に入られて一目惚れ、この家族は町の製氷工場で働いていてチェンもそこで働くことになった

 

この製氷工場は町の有力者マイが経営し、実は氷の中に隠した麻薬密売が本業だ、チェンは工場で働き手元が狂い氷を割ってしまった、中から袋に入った麻薬が飛び出した

 

 

それを手にした工場で働くチンとウォンの2人は工場長に呼ばれ、口止めの金と仲間になるように言われるがそれを断った2人は殺害されてしまう

 

不振に思ったシュウが工場長に訪ねると社長宅に行ったと言われ、そこで社長宅に行くとはぐらかされてしまい警察に行くと言うシュウはマイの用心棒に殺されてしまう

 

 

家に残されたチェンやチャオ・メイたちはマイ社長を疑い、工場で情報を求めてストライキを開始、その結果、暴力をもって働かせようとする工場長らと従業員の間で乱闘が始まる

 

形勢不利となった工場長側だったがマイの用心棒たちも送り込まれて従業員側が劣勢となるが、静観していたチェンも巻き添えをくらい母のペンダントが割れて怒り爆発

 

チェンは乱闘の中に入りマイの用心棒らを一瞬にして倒した、チェンは出て行けと言うが従わず掛かってくる用心棒たちを倒して追い返してしまった、チェンの強さに工場長はボスに報告し、チェンを新しい工場長に任命

 

 

チェンはマイに会ってシュウたちの捜索を頼むがその後にマイが麻薬密売で製氷工場は隠れ蓑にしている事実を知った、夜の工場に忍び込むと氷の中にシュウのバラバラ死体を発見

 

そこにマイの用心棒たちが現れて乱闘となり、チェンはその全てを倒してシュウ家に戻ると全員が殺されており、チャオ・メイの姿が消えていた

 

 

復讐の鬼と化したチェンはマイの屋敷へと乗り込み、次々と用心棒を倒してマイとの一騎打ちとなる

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

ブルース・リーが香港凱旋して初主演作となったのが本作です、ロサンゼルス生まれのブルース・リーはその後に香港に帰国、そこで喜劇俳優だった父親と同じく喜劇映画に子役として出演していたブルース・リー

 

 

18歳の時に再びロサンゼルスに渡米して俳優を目指します、それまで鍛錬していたカンフーで道場を経営、そこでテレビでデモンストレーションしたことが関係者の目に留まりテレビドラマでデビュー

 

しかしその後は人種差別もあってアジア人が主役は厳しい世界だと痛感して香港に帰国、そこで大手映画会社を回るブルース・リーでしたがどこも良い返事は得られませんでした

 

そこでレイモンド・チョウが独立して設立したばかりのゴールデン・ハーベストと契約、その際に香港でヒットしていたジミー・ウォング主演作品を出してアレより良いものを作れると豪語したそうです

 

 

そして完成したのが本作です、香港ではそれまでの興行記録を塗り替える大ヒット、ブルース・リーは一躍スーパースターとなったのです、日本では香港映画自体が入ってきてなかったんです

 

1973年のアメリカ・香港合作の「燃えよドラゴン」の公開で日本でも大ヒットとなり、香港映画に注目されるようになりました、そこで空前のドラゴンブームが到来

 

本作のブルース・リー演じるチェンは香港から仕事を求めてタイにやって来ます、もうその会話も凄いんです親戚の誰々は死んだとか捕まったとかね

 

 

オープニングの氷菓子屋の娘がブルース・リーと生涯で一番共演している女優のノラ・ミャオです、悪い奴らに絡まれていますがチェンは父親に止められて見て見ぬふりなんです、暴力は禁止なんです

 

 

本作のヒロインのチャオ・メイを演じるのがマリア・イーで笑顔が素敵です、チェンも笑顔に一目惚れです、ラストには拉致された彼女を救出に向かうんです

 

 

でも工場長に接待をされて酒を飲まされて酔いつぶれてしまうんです、目覚めると昨夜いたホステスのウーとベッドを共にしているんです、それをチャオ・メイにバレるわ、仲間からは工場長側に付いた裏切り者だと冷たい目で見られるわで散々です

 

 

ブルース・リー作品でも珍しいベッドシーンなんです、アクションシーンも見どころですがベッドシーンも目玉です(笑)、こんなに脚技を使うカンフー映画は初めてだったでしょう

 

 

ブルース・リーのジークンドーの原点の詠春拳は主に手技中心なんです、でもブルース・リーは映画の大きなスクリーンでの可能性を信じて脚技を多く取り入れたんです、結果はカンフー映画は脚技中心となってしまいました

 

監督はロー・ウェイとなっていますが前作の撮影が遅れた為に現れず、ゴールデン・ハーベスト創業者の一人のレナード・ホーが演出していたがそれも別の仕事で去り、そこからロー・ウェイが到着するまで工場長役で助監督のチェン・チャオが切り盛りしていたそうです、その仕事ぶりにブルース・リーは生前全ての作品で助監督を任せていたそうです

 

 

 

 

 

ブルース・リー第2弾! それが『ドラゴン危機一発』です。

 

 

 

 

 

本作のブルース・リーはおなじみのアチョーッって声がないんです、でも後にアチョーッってのを別に編集したバージョンがあって日本では不評なんです(笑)