『狼男アメリカン』
1981年 アメリカ・イギリス
《スタッフ&キャスト》
製作 ジョージ・フォルシー・ジュニア
監督・脚本 ジョン・ランディス
撮影 ロバート・ペインター
音楽 エルマー・バーンスタイン
出演 デヴィッド・ノートン/グリフォン・ダン/ジェニー・アガター/ジョン・ウッドバイン/フランク・オズ/ライラ・ケイ/デヴィッド・スコフィー/ブライアン・グローバー
《解説》
ゾ~ッとして、そのあとケケケと笑える!狼男、ロンドンで大暴れ!
「ブルース・ブラザーズ」のジョン・ランディス監督が贈る、狼男になってしまった青年の悲劇を描く、デヴィッド・ノートン、ジェニー・アガター主演、後のホラー映画に多大なる影響を与えた伝説のカルト・ホラー作品
監督ジョン・ランディスがロンドンを舞台に描く作品 ランディスとたびたびコンビを組む特殊メイクアップ・アーティストのリック・ベイカーは、この作品でアカデミー賞ベスト・メイク賞を受賞した
《物語》
アメリカ人のデヴィッドとジャックは、思うままに旅を楽しむ為に3ヶ月間の休みを利用してヨーロッパに旅立った、最初に訪れた地、イギリスの郊外で立ち寄った地元の客たちが集うパブでは独特の雰囲気だが紅茶を出してくれ、和やかな雰囲気となった

しかしジャックの質問で店は険悪な雰囲気となる、2人はそそくさと店を出ようとするが人々に奇妙な警告を受ける、「真っ直ぐに道を行け、荒地は危険だ、月に注意しろ」と
釈然としないままパブを出た2人は夜の闇の中を歩き始めた、気がつけば荒地に迷い込み、夜空には満月が、そして不気味な遠吠えが聞こえ獣が2人をつけ始めていた

襲いかかる獣にジャックは引き裂かれ殺されてしまう、デヴィッドはいったんは逃げるもジャックを助けに戻り襲われるが、パブの人たちに助けられ獣は射殺される、薄れゆく意識の中で横たわる獣を見るとそれは人間だった


ロンドンの病院で目を覚ましたデヴィッドは医師にジャックは死亡し、犯人は異常者だったと言うがデヴィッドは狼だったと、その頃からデヴィッドは悪夢を見るようになる

献身的に世話をする入院先の看護婦アレックスと仲良くなり、しばらくは彼女の世話になり部屋に行くことになる、2人は恋人同士となって愛し合う


ある日、デヴィッドの前に傷だらけのジャックが現れる、ジャックが言うには襲ってきたのは狼男、その呪いでジャックの魂は地上に残されたまま、最後の狼男が死ぬまでだ、最後の狼男とはデヴィッドのこと、自殺しろと言い残してジャックは消えた

狼男に殺された者は不死者としてこの世をさまよい、殺されずに生き延びた者にも過酷な運命が待っている、ジャックの言ったことをアレックスに話すが彼女はデヴィッドを励ましてくれる
そして遂に満月の夜にデヴィッドは全身を震わせて叫びだした、体が焼けるように熱く、腕が変形し出した、デヴィッドの体は毛が覆い、肉体は歪み、牙が生えて顔面が迫り出し、巨大な狼へと変身してしまう

狼となったデヴィッドは咆哮と共に街へと出現する、暗闇の中でホームレスやカップルを襲い、地下鉄へと侵入して通行人を切り裂き、6人を餌食とする

翌日の朝、デヴィッドが目を覚ますとそこは動物園の狼の檻の中、全裸で困惑するデヴィッドはなんとか服を調達してアレックスの待つ部屋に戻った

6人が殺された事件を知ってそれは自分の仕業だとアレックスに話すも信じてもらえず、デヴィッドは自暴自棄になりアレックスの部屋を出て行く
翌日の満月の日に自分を野放しにしていては危険と警察に逮捕してもらおうとするが無理、自殺も出来ずデヴィッドはジャックに導かれるままにポルノ映画館へ
そこではジャックの他にデヴィッドの餌食になった人達が並んでいた、彼らはそろってデヴィッドに自殺するように言う、しかし満月の夜がやってきてジャックは再び狼に変身


ポルノ映画館の客を襲い、映画館のシャッターを閉められたが破壊して映画館の外に飛び出て人々を襲う、ロンドンの街を闊歩するデヴィッドによって街は大混乱

駆けつけたアレックスは狼と化したデヴィッドに説得するも、アレックスにも牙を向けデヴィッドに警官たちの一斉射撃によって射殺される、そこには狼ではなくデヴィッドの遺体があり、アレックスは涙を流す

《感想》
イギリスの片田舎に伝わる狼男伝説をそのままに、しかも現地の人々は知ってるんですけど満月の夜は荒地は避けるんです、しかし旅行者はそんな事は知りません、その地域では警察も含めてなんとなく隠してる感じでもありますしね
そこのパブではアメリカからの2人の旅行者を行かせるかとどめるか言い合いにもなりますが旅行者はすぐにでも立ち去りたいから出て行くんです
すると当然狼男に襲われます、こうしてアメリカ人がロンドンで暮らし、狼男の呪いを受けとめながら運命を生きていきます、満月の夜には狼男に変身します
主人公デヴィッドが狼男に変身する特殊効果がハイライトであることはもちろんですが、死体となって登場し、デヴィッドに色々語り聞かせる友人ジャックのズタズタに噛み裂かれた顔のメイクも素晴らしく凄い

ズタズタの顔でデヴィッドに色々と忠告するんです、それがだんだんと朽ち果てるようにボロボロになっていくんです、この少しずつ腐っていくメイクも素晴らしい

デヴィッドが見る悪夢も強烈でしかもしつこい、森の中で鹿を殺して食べたり、一家団欒で怪物に襲われたり、アレックスが怪物に殺されたりと様々

恐怖と共に笑いも盛り込んでいるのがランディス作品らしいところで、デヴィッドの犠牲になった男女がポルノ映画館に揃うところなどはブラックな笑いを誘います(笑)
この時期に人狼ものがたくさん公開されましたけど本作と「ハウリング」が突出していますね、あちらは顔面の変身シーンが主でしたが本作は全身の変身シーンが見ものです
アレックスの部屋で照明のある明るい場所での変身はリック・ベイカーの腕の見せ所ですね、この全身を毛に覆われて手が変形して、さらには顔面が全面に出てきて狼の顔となります
ポルノ映画館での殺戮も素晴らしい、警官が狼男を発見して、あわてて逃げるところや、シャッターを突き破った狼男が警官の首に噛み付きゴロンゴロンと頭が転がるシーンは忘れられません(笑)
映画よりもその特殊メイクばかりが取り沙汰されますが、狼男に成り果ててしまったことに気付くデヴィッドの苦悩や、その恋人のアレックスのラストの涙も忘れられません、そこがこの作品を現代ホラーの人気作品とされることなんでしょうね
ラストは悲しい結末、涙なくしては観れません、狼男の運命なんですね、自分の恋人が狼男だったらと思うと恐怖より悲劇ですね、アレックス役のジェニー・アガターは繊細に演じていましたね

セル版のDVDにはNGが収録されていて監督が話してる後ろの壁が倒れるとポルノ映画館で流れていたポルノ映画の俳優たちがセックス中であわてて体を隠す場面には笑えました
ジョン・ランディスは恐怖と笑いは紙一重だと考えているのか怖くて笑える、そして悲しい作品でした

恋や友情に悩む青年の姿に哀愁がにじむ新感覚ホラー それが『狼男アメリカン』です。
本作の続編もありますが、変身シーンはCGになっていて怖さ半減でした、なんでもかんでも続編は如何なものでしょう、本作を観たマイケル・ジャクソンがジョン・ランディスに「スリラー」のPVの監督を依頼しました
更に過激な続・裏237号室の『狼男アメリカン』のレビューはこちらです。













