勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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何年か前に強制退会トラブルの時に、予備で登録したID。本家ブログの更新を再開しています⇒http://ameblo.jp/eigasuki/ ここでは読んだ本の忘備録を書くつもりです。書籍購入はブックオフ中心なので、新作は少ないかも?

 

本家の映画ブログ“勝手に映画紹介!?”(http://ameblo.jp/eigasuki/)ではAmeba Pickを登録したのですが、こちらのブログでは登録しなかったので…他社アフィリエイト禁止以降は、今までの体裁を崩したくないので、アフィリエイト風になってるだけで、実際にはアフィリエイトは使用しません、してません(禁止以前の記事はそのままで大丈夫だそうです)。

動乱の刑事 (講談社文庫) [ 堂場 瞬一 ]

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ブックオフの古本220円で入手…2022年5月発行、堂場瞬一の「動乱の刑事」を読了。2019年に単行本で発刊されたものの文庫化。ひとつ前に読み終わっている「焦土の刑事」の続編…“日本の警察”シリーズと呼ばれている作品群の2作目にあたる。終戦から約7年後…戦前はショカツの平刑事、戦後は本庁捜査一課のやり手刑事(1作目の後半で栄転済み)になった主人公(もう1人のメインキャラも主人公といって差し支えないと思うけど、便宜上こう表現しておく)、一方、戦中は特高の仕事に携わり…紆余曲折の果て現在は公安刑事になっている幼馴染。仕事上の接点はあまりないものの、親友として普通に酒を飲むくらいの間柄ではあった。しかし…過激派組織に駐在所が爆破されるという事件を境に、まず捜査方針での対立が始まり、徐々にプライベートの関係にまで影響が出ていく。現代を舞台にした警察小説でもおなじみ、捜査一課と公安の対立…既に戦前の特攻時代を描いていた前作「焦土の刑事」からその伏線はしっかりとあて、それがより明確になってきたという感じだ。最初の爆破事件では駐在所の巡査と共に身元不明の男も巻き込まれて死亡…一課も公安も、その身元不明死体の正体に迫ろうとするんだけど、どうやら公安の一部では、もう何らかの情報を掴んでるんじゃない?事件の背後には戦後の労働組合運動などが大きく関わっており…完全に、一課の捜査は後手に回る。それでも一課の刑事たちは執念で真相に迫っていくが…。戦後から7年も経ってる設定なので、「焦土の刑事」と比べるとだいぶ現代の警察ものスタイルに近づいてきた感じ…とはいうものの、その時代背景なりのドラマは色々と描かれてるんだけど。扱う事件も含め、個人的には「焦土の刑事」の方が新鮮味があって、終始ハラハラドキドキ、面白く感じた…終わり方もちょっとお茶を濁したような感じですっきりしない、物足りなかったですね。3作目「沃野の刑事」での挽回に期待する。


堂場瞬一 動乱の刑事(講談社・文庫)

焦土の刑事 (講談社文庫) [ 堂場 瞬一 ]

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ブックオフの古本110円で入手…2022年4月発行、堂場瞬一の「焦土の刑事」を読了。2018年に単行本で発刊されたものの文庫化。実は、積読本の中に単行本もあったんだけど…シリーズの続きを文庫で入手したので、その時に一緒に文庫で買い直してしまった。正式なシリーズ名ではないかもしれないけど“日本の警察”シリーズと呼ばれている作品群、手元には3作目まであるんだけど…どうやら最新作にて完結編が、最近になって単行本で出たらしい。てっきり3部作だと思って読み始めてしまった。物語は戦中から始まる…東京も空襲やらなんやらで大変な時に、よりによって防空壕で、女性の他殺体が見つかる。ショカツの平刑事がその事件を追い始めると…どこからともなく圧力がかかり、事件の捜査をするなと。やがて同様の事件が再び起きて、またも同じような圧力がかかる。結局、平刑事が警察組織に不信感を抱いたまま、事件は迷宮入りし、終戦を迎えてしまうんだけど…終戦後に、再び同様の手口の事件が起きる!圧力の背景には…どうやら特高(戦後の公安)が絡んでいたようだと。前述のショカツの平刑事には、幼馴染の警察同期がいて…まさに特高に所属している。主に文学や演劇、映画などの検閲を担当していて、ショカツ刑事と敵対するような仕事には携わっていなかったんだけど…戦中と戦後で、刻々と状況は変わり、さらには物語的に事件と深く関わりを持っていくことに。結局は2人で協力して事件に挑む…と、そんな感じの展開。戦中、戦後の演劇業界や映画業界が密接に関係する話であり、事件自体もなかなか猟奇的。途中、なかなかハードな展開もあり、戦中、戦後の雰囲気と相まって…いつもの堂場瞬一の警察ものとはだいぶ印象も異なり、新鮮さがあった。現代ものだと通用しない捜査方法も、時代性ということで許容範囲だ。それこそ、この作品だったら映像で見たい気もするが…戦中、戦後の再現は大変そうだな。


堂場瞬一 焦土の刑事(講談社・文庫)

夜の署長3 潜熱 (文春文庫) [ 安東 能明 ]

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ブックオフの古本220円で購入…2023年2月発行、安東能明の「夜の署長3 潜熱」を読了…夜の街に精通し、署内のみんなから頼りにされている、ベテラン警部補、通称“夜の署長”と、その部下たちが活躍するシリーズの3作目、今回も連作短編形式の全4話構成。1つ目の“ホスト狩り”は…まんま、特定のホストクラブのホストがヤクザものに連続して襲われるという事件を捜査するんだけど、それと別件で…やはりホストが熟女の泥棒に狙われる“熟女キャッツアイ”なる事件や、病院理事長が射殺される事件なども発生。後者の2つの事件は未解決のままこのエピソードは終了する。2つ目の“万引き犯”は…カメレオンと呼ばれる凄腕の万引き犯による被害が多発、どうやら盗品を転売してるらしいという噂もあり、そこから容疑者に目星をつけるんだけど…犯行動機に以外な真相も隠されている。3つ目の“失踪”は…いよいよ未解決だった“熟女キャッツアイ”の正体に迫るんだけど、そこへ連続放火事件や、5年前の専門学生の失踪事件まで絡んできて…。4つ目が表題作でもある“潜熱”…こちらも1つ目のエピソードで未解決だった病院理事長射殺事件がいよいよ大詰めを迎え、それこそ“夜の署長”の過去なんかもちょっと垣間見えたり…。全部で200ページちょっとしかなく、ボリュームも少な目なんだけど、どの事件も意外性のある真実が隠されていて、安定の安東クオリティ!しっかり読み応えがある。ひとつ前に読んだ矢月秀作の「もぐら新章 青嵐」もちょうどコロナ禍の時期を描いたものだったが、本作もまた同じような時期を扱っていて…暴行を受けた被害者にも、刑事たちが細心の注意を払いながら、接するす様子が描かれていたよね。


安東能明 夜の署長3 潜熱(文藝春秋・文庫)

もぐら新章 青嵐 (中公文庫 や53-17) [ 矢月 秀作 ]

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ブックオフの古本110円で入手…2021年4月発行、矢月秀作の「もぐら新章 青嵐」を読了…元祖(旧作)シリーズで死んでしまった影野竜司の息子・竜星が…元祖から引き続き登場する生き残りメンバーと共に、沖縄を舞台にした新たな陰謀に巻き込まれる“もぐら新章”シリーズの3作目、前作を読んだ時期が2022年4月だったので、2年以上経つのか…ようやく続きが読めた。1作目の敵、沖縄で羽振りをきかせていたヤンチャな三兄弟と対峙…ムショや少年院、または病院送りにして、竜星が勝利…三兄弟のうちの1人はまだ後遺症が残っていて入院中なんだけど、残りの2人はムショの中や、少年院で更生に前向きになっているんだけど、そんな三兄弟の威光を再び利用して、沖縄を牛耳ろうとしている連中がいろいろと悪さをしてまして、最終的に、流星やその仲間たちと対決する羽目になるという展開。このシリーズの特徴として、流星本人が動くと、圧倒的な強さで勝利しちゃって、あっけなく話が終わってしまうので…周りの連中が、クライマックスまでの道のりをお膳立てをするパターンが多い。今回はどちらかというと、かつて流星と戦った三兄弟の末弟が、過去のしがらみと対峙するのがメインって感じだったんじゃないかな?一応、今回は…流星がピンチに陥るくらいの強い敵も出てくるんだけど、流星がブチきれたら、やっぱり楽勝だったね(笑)一難去ってまた一難…か?新たな敵、陰謀を予感させてのラストだった…。ちょうどコロナ禍が始まったばかりの頃の時期を描いていて…作中登場人物たちがコロナに四苦八苦していた。ただ、そんな描写も、今ではちょっと懐かしく感じるくらいにはなってしまっていて…再びコロナの急拡大も噂されている、今だからこそ、なんか初心に戻らないとなって気持ちにもなりました。


矢月秀作 もぐら新章 青嵐(中央公論新社・文庫)

県警刑事 (コスミック文庫) [ 森詠 ]

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ブックオフの古本110円で入手、2018年9月発行、森詠センセイの「県警刑事」を読了…2002年に小学館から発行された同名タイトルの改装版とのこと。栃木県警に所属する刑事たちの活躍を描く短編集、全7話構成…毎回、主役の刑事は変わるが、他のエピソードで脇役として登場することもある。“第一話 身代わり”…特定郵便局で立て籠り事件が発生、犯人と思われる若い男を説得するため、管理官が身体を張って、説得を試みる。この管理官が家族の問題を抱えてるなんて設定は…ちょっと今野敏センセイの「隠蔽捜査」に似てるか?“第二話 梅雨の終わり”は…現場百篇を信条にするようなベテラン刑事の1人が、若い女性の強姦殺人を執念で捜査する。“第三話 紅葉狩り”…殺人事件の容疑者が、元カノの前に現れるのではないかと、先輩・後輩コンビの刑事が監視を続けるも、意外な真犯人・真相、とてつもなく切ない結末が待っていた。“第四話 白鷺は飛ばず”は…企業恐喝事件と、別件の列車の運行妨害事件が同時進行で起きており、どちらかというと企業恐喝事件の捜査、犯人とのやり取り中心なのだが、棚ぼたでもう一方の事件も解決してしまう!“第五話 月が追う”は…アパートで女性の死体が見つかり、同棲相手が行方不明となっていたが、死体の女が、実は偽名で、本当は中国籍だったりしたことから事件は思わぬ方向へ。後に捕まった容疑者の同棲相手も…犯行を否認する。“第六話 にごり酒飲む”は…ガンで余命いくばくもない父を抱えている刑事が、連続放火事件に挑む。刑事の父親も元刑事で…ある助言が犯人逮捕のきっかけに繋がる。病気の親を持つという点で、ちょっと親近感がわく…というより、自分の父親が亡くなった時のこととダブるエピソードもあり、色々と思うところがあった。余命宣告された時に、本人にどう伝えたらいいのか、本当に悩むのよね。“第七話 枯葉舞う”…介護していた義母を殺したということで、40代の女が逮捕される。本人も殺害を認めているのだが、犯行の詳細を話そうとしない。刑事たちは、まだ事件に裏があるのでは?と考えるが…。話自体は地味だったが、思いのほか真相が二転、三転して最後まで気が抜けない。入手した文庫で6年前、もともとは20年以上前に書かれていた作品なので、古臭い描写もあったりするけど、事件のバリエーションは豊富でそれなりに楽しめた。


森詠 県警刑事(コスミック出版)


ブックオフの古本で…2023年6月発行、マーク・グリーニーの「アーマード 生還不能」の上下巻を入手…各110円、計220円。先に読了した上巻に続き、下巻も読了…相次ぐ敵の襲来、犠牲も多く出てしまった果てに、主人公たち民間軍事会社の警護員と、ガードする国連関係者は、いよいよ最終目的である、麻薬カルテルの首領との会談場所に到着するも、既に、“裏切り者”たちの描いた絵図にどっぷりとハマってまして、崩壊のカウントダウンが始まっている。しかし、ひょんなことから…自分たちが“ヤバイ状況に陥っている”と察知することができ、最悪の一歩手前の状況でなんとか踏みとどまる。敵対してきた数々の組織に加え、陰謀の首謀者たちとも渡り合う羽目になる主人公…絶体絶命のピンチで、仲間も次々と減っていく。果たして、誰と誰が最後まで生き残るのか?後半は…「ローン・サバイバー」的な展開になっていくんだけど、そういえば、“グレイマン”シリーズの方でも、似たような話があったな。でも、“グレイマン”シリーズよりも、より映像がイメージしやすい感じもし、エンタメ感強めな印象でもあったかな?主人公チームの寄せ集め感は、どちらかというと「エクスペンダブルズ」の方が近いかも(笑)麻薬カルテルの話なので…昔、「007/消されたライセンス」を見て覚えた“鉛か銀か…プロモ・オ・プラタ”なんていう有名な言葉も飛び出し、テンションがあがったなぁ。カルテルの勢力地から大胆な方法で脱出…ついでに“ヤツ”を仕留める中盤の盛り上がりがけっこう好き。上巻で元エリート将校だった嫁さんとの馴れ初めが描かれていたのが伏線になっていて…嫁さんが想像以上に大活躍するクライマックス。陰謀の絵図を描いた謎のコンサルタントの正体なんかも…なるほどなと思わせる部分があり、最後まで面白く読めた。


マーク・グリーニー アーマード 生還不能〔下〕(早川書房・文庫)


ブックオフの古本で…2023年6月発行、マーク・グリーニーの「アーマード 生還不能」の上下巻を入手…各110円、計220円。ということで、さっそく上巻から読み始める。グリーニーといえば、同じ早川から出ている“暗殺者グレイマン”シリーズが有名だが…こちらはグレイマンとは別の新シリーズ(巻末の訳者あとがきによると続刊予定あり)とのこと…民間軍事会社に雇われた妻子持ちの主人公が、麻薬カルテル同士の熾烈な縄張り争いが起きているメキシコでとてつもなく大きな陰謀に巻き込まれるというアクション!上巻ではまず…メキシコの任務に就く前、主人公が別の民間軍事会社で働いていた頃の話から始まる。本書の裏表紙の“あらすじ”に書かれている主人公の“設定”の一つなので、ネタバレではないと判断し、書いちゃうけど…主人公が片足を失い、義足になってしまうまでの話がしばらく続く。そこから3年後が本筋の話…義足になってしまった主人公は、民間軍事会社を辞めざるを得なくなり、しがないモールの警備員をやってるんだけど、負傷時の治療費などで多額の借金を背負っていて、生活が困窮していた。そんな時に、昔の知り合いと偶然知り合い、その伝手で新しい民間軍事会社(実は業界内で評判がすこぶる悪い)での仕事にありつけるんだけど、高額報酬と引き換えに受けた任務が、マジでヤバかったという。麻薬カルテルの首領と極秘裏に和平交渉に臨む国連職員の護衛任務だったんだけど…現地には組織が乱立しているので、その会談場所へ行くまでに、戦闘が避けられない。さらには関係者の中に裏切り者がいて…複数の麻薬カルテルの間を渡り歩き、陰謀の絵図を描いている謎のコンサルタントと通じている感じ。読者視点では早い段階から“雲行きが怪しい”というのは察知できるんだけど…作中の主人公をはじめとする大多数の関係者は、まだそこまでの窮地が目前に迫っているとは…理解していない。そういった現代パートの物語が進行するのと並行し、主人公と嫁さんの馴れ初めを紐解く過去パートも描かれる。主人公の嫁さん…今は、自分で清掃会社を立ち上げて、義足の夫を支えている主婦、肝っ玉母さんみたいな人物なんだけど、実は、結婚前は郡のエリート将校でもあったのだ。そんな2人がどうやって出会ったのか?それがまた、なかなか劇的で…けっこう面白く読ませます。序盤は、コンサルタント視点で語られる、複数の麻薬カルテルの関係性などを把握するのが大変だったけど…アクションが始まれば、グイグイと引っ張るグリーニー節。続きが楽しみだなというところで…下巻へ続くとなりました。


マーク・グリーニー アーマード 生還不能〔上〕(早川書房・文庫)

ギャップ (集英社文庫) [ 西村健 ]

ギャップ (集英社文庫) [ 西村健 ]
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積読本の整理をしていて発見…2012年4月発行、西村健の「ギャップ GAP」を読了。もともとは角川書店から1998年に出ていた同名作品の文庫化であり、加筆・修正が加えられているそうだ。文庫の発売が12年以上も前なんだけど、作品自体はさらに古く、かれこれ26年も前に書かれたものだったのね。西村健は…デビュー初期の講談社から出ていた、やたら分厚いノベルス(バー“オダケン”が出てくる一連のシリーズ)は読んでいたし、なんとなくこの作品もタイトルだけは記憶にあるけど…実際に手には取らなかったんじゃないかな?どうやら非シリーズ、独立したハードボイルドテイストのミステリーなんだけれども…主人公の設定が多重人格という、なかなかぶっ飛んだ作品でもある。サイコセラピストと探偵を兼業している主人公には、他にも人格があり…何かの拍子に、喧嘩っ早い乱暴者になったり、小学生の少年になったり、女性の人格になることもある。だから、“仕事”の依頼が入っても、人格がコロコロと入れ替わると、どんどん脱線していってしまい、収拾がつかなくなる。いや、本来の本人の人格がなんとかして、軌道修正はするんだけどね…まぁ、そうしなきゃ一向に物語も終わりやしないよな。導入部は、幼い女の子が事務所を訪れ…“本当のパパを探して”という依頼をしたことで始まるんだけど、案の定、人格がコロコロと変わってしまったことで、仕事そっちのけで女の子を連れまわす結果となり、果ては誘拐犯として警察のご厄介にもなってしまう。結局、警察の介入もあり…依頼人の少女と引き離されてしまうんだけど、最初に受けた“本当のパパを探して”という依頼をなんとかこなそうと、少女の周辺事情を調べ始めると…少女の親である政治家側から暴力的な妨害工作なども受けてしまう。こりゃー何かあるぞと、躍起になって事件にクビをつっこみ…最終的に、意外な真実が浮かび上がる!クライマックス近く、少女が幽閉されている政治家の自宅(豪邸)へ潜入するくだりが、若干、ダラダラとして長いかなとは思ったけど…それ以外は、なかなか着地点が見えてこず、二転三転する事実に、最後のでっかい爆弾で、さらになるほどと唸らされた。26年も前の作品だが、今でも普通に面白く読める。あと、一応、“オダケン”の名前も出てきて、同じ世界観の話だということもわかって、なんか懐かしくなった。


西村健 ギャップ GAP(集英社・文庫)


先日のAmazonのプライムデーにて、“Kindle Unlimited - 3か月無料で読み放題”というキャンペーンを実施していた…以前、“3か月199円で読み放題”というキャンペーンを利用したことがあったんだけど、Amazonのキャンペーンは新規登録、初登録でなくても再利用できるみたいで、ちゃんと無料になったので…使わなきゃ勿体ないと、期限までボチボチと利用していきます。そんなわけで…未読の樋口昭雄センセイの作品が読み放題にいっぱいあったので、まずはこちらを選んでみた…奥付によると2022年9月に発行された、「屋久島トワイライト」を読了。こちらは以前読んだ「還らざる聖域」と同じ屋久島を舞台にした作品であり、メインの登場人物なんかも一緒、世界観は同じなんだけど…「還らざる聖域」は、屋久島に北朝鮮が攻めてきたというガチガチの本格アクション、著者が得意とする山岳アクションだった。一方、今回の「屋久島トワイライト」は…オカルト雑誌の記者が取材にやって来たんだけど、屋久島が異界と繋がってしまったり、妖怪が跋扈し、巫女まで出てきて邪悪な存在と戦ったりもする、伝奇系、バトルホラーと…まったくジャンルの異なる作品になっている。樋口作品で近いといえば、角川のホラー文庫で展開された“ロスト・ゾーン”シリーズ3部作だろうか?オカルト雑誌の記者がメイン登場人物の1人(「還らざる聖域」には出てきていない)というのも共通点だ。もしかして、“ロスト・ゾーン”シリーズと同じオカルト雑誌なのかな?なんて思って、調べてみたら、さすがにそこは繋がってなかったみたいだ。「還らざる聖域」のノリを期待していると、若干、面食らってしまうかもしれないけど…自分は“ロスト・ゾーン”シリーズも楽しめたし、これはこれで面白い。時系列的には「還らざる聖域」の後の話になるのかな?屋久島が戦場と化した“あの事件”を…作中人物が引きずっているような描写もあって(匂わせ程度で、詳細はいっさい描かれていなかったけど)、やっぱ世界観は同じなんだよなと、あらためて納得もするのであった。


樋口明雄 屋久島トワイライト(山と渓谷社・電子書籍)

老いた男 (ハヤカワ文庫NV) [ トマス・ペリー ]

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ブックオフの古本110円で入手した…2020年9月発行、トマス・ペリーの「老いた男」を読了。とある田舎町で、犬2匹と暮らし…妻に先立たれ、たまにやって来る娘や孫と他愛もない会話をする、一見、平凡そうな60代の男性。しかし、自分が何者かに見張られているのに気づき、警戒を強めると、まさに、その直後…家に、賊が侵入する。しかし、それを見越して用意してあった銃で、応戦、見事に賊を退治する!通報で駆け付けた警察も、不幸な事件として対処するも、男は、その後…そっと、住み慣れた土地から立ち去るのだった。実は、かつて政府関係の仕事をしていた、凄腕工作員だったのね。政府からも訳あって逃げており、他にも、過去に携わった作戦に関連して、命を狙われていたのだ。何十年も警戒はしてたけど、慣れで油断もあったのか、ついにこの日が来てしまったのねと。実は娘なんかも事情を把握しており、父親が逃亡生活を始めるのを黙認…ちゃんと独立している娘一家に迷惑をかけないようなプランも練ってあったのだ。とりあえず、愛犬2匹を連れて…次の潜伏先を探すんだけど、そこで魅力的な女性とも出会っちゃったり、なんかしちゃったりして…。何をして追われているのか、誰が追っているのかも、物語の進行と共に、追々わかっていきます。主人公は無事に逃げ延びることができるのか?嘗めてたジジイが強かった…という、アクション映画なんかでもよくあるパターン。老人版の「暗殺者グレイマン」みたいな雰囲気もちょっとある。自分の頭の中では、完璧にリーアム・ニーソンのイメージの主人公…マジでニーソンで実写化したらうまくハマりそう。主人公の追跡に関わってしまったCIAの雇われ工作員の青年との奇妙な関係性…お互いに自分を重ね合ってしまったのかな?実は、主人公の本名も謎(?)だったり…あらかじめ偽名をいっぱい用意してるんだけど、三人称で書かれた文章も、主人公が名前を変える度に、その都度、その呼び方になるんですよ。それが最初は慣れなくて…一瞬、誰だコイツって思う時もあった(笑)後半になると、あっ…また名前を変えたのねって、直ぐに理解できるようになったけど。クライマックスは、なるほど、そういう落とし前のつけ方なのねって感じ…想像してたよりもしっかりと冒険活劇していたな。