動乱の刑事 (講談社文庫) [ 堂場 瞬一 ]価格:924円(税込、送料無料) (2024/9/14時点) |
ブックオフの古本220円で入手…2022年5月発行、堂場瞬一の「動乱の刑事」を読了。2019年に単行本で発刊されたものの文庫化。ひとつ前に読み終わっている「焦土の刑事」の続編…“日本の警察”シリーズと呼ばれている作品群の2作目にあたる。終戦から約7年後…戦前はショカツの平刑事、戦後は本庁捜査一課のやり手刑事(1作目の後半で栄転済み)になった主人公(もう1人のメインキャラも主人公といって差し支えないと思うけど、便宜上こう表現しておく)、一方、戦中は特高の仕事に携わり…紆余曲折の果て現在は公安刑事になっている幼馴染。仕事上の接点はあまりないものの、親友として普通に酒を飲むくらいの間柄ではあった。しかし…過激派組織に駐在所が爆破されるという事件を境に、まず捜査方針での対立が始まり、徐々にプライベートの関係にまで影響が出ていく。現代を舞台にした警察小説でもおなじみ、捜査一課と公安の対立…既に戦前の特攻時代を描いていた前作「焦土の刑事」からその伏線はしっかりとあて、それがより明確になってきたという感じだ。最初の爆破事件では駐在所の巡査と共に身元不明の男も巻き込まれて死亡…一課も公安も、その身元不明死体の正体に迫ろうとするんだけど、どうやら公安の一部では、もう何らかの情報を掴んでるんじゃない?事件の背後には戦後の労働組合運動などが大きく関わっており…完全に、一課の捜査は後手に回る。それでも一課の刑事たちは執念で真相に迫っていくが…。戦後から7年も経ってる設定なので、「焦土の刑事」と比べるとだいぶ現代の警察ものスタイルに近づいてきた感じ…とはいうものの、その時代背景なりのドラマは色々と描かれてるんだけど。扱う事件も含め、個人的には「焦土の刑事」の方が新鮮味があって、終始ハラハラドキドキ、面白く感じた…終わり方もちょっとお茶を濁したような感じですっきりしない、物足りなかったですね。3作目「沃野の刑事」での挽回に期待する。