勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

何年か前に強制退会トラブルの時に、予備で登録したID。本家ブログの更新を再開しています⇒http://ameblo.jp/eigasuki/ ここでは読んだ本の忘備録を書くつもりです。書籍購入はブックオフ中心なので、新作は少ないかも?

 

本家の映画ブログ“勝手に映画紹介!?”(http://ameblo.jp/eigasuki/)ではAmeba Pickを登録したのですが、こちらのブログでは登録しなかったので…他社アフィリエイト禁止以降は、今までの体裁を崩したくないので、アフィリエイト風になってるだけで、実際にはアフィリエイトは使用しません、してません(禁止以前の記事はそのままで大丈夫だそうです)。

事件持ち [ 伊兼 源太郎 ]

事件持ち [ 伊兼 源太郎 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2021/12/4時点)


ブックオフの古本220円で購入…2020年5月発行、伊兼源太郎の「事件持ち」を読了。この著者の作品を読むのは「ブラックリスト 警視庁監察ファイル」に続き、2冊目。千葉県下で続けて起きた猟奇殺人を軸に、県警刑事と新聞記者、それぞれの矜持を対比させながら、事件の真相に迫っていく。当初はまだ“連続殺人”とは確定しておらず、第二の事件現場付近で、若手の新聞記者が住民に取材…その相手がちょっと不可解な行動をとり、後に行方不明となって、警察が行方を追うことになる。失踪した人物は容疑者、犯人なのか?真相が見えてこない前半は、取材、聞き込みといった記者や刑事の地味で地道な日常が続き、なかなか事件に進展がない。ただし、それぞれの人間関係、はたまたマスコミと警察の駆け引き、マスコミと事件関係者たちの駆け引きがしっかりとスリリングに描けていて、飽きることはない。何も“低レベルな人間”は犯罪者だけではない…時には“マスゴミ”などと呼ばれるように、記者の中にだってクズみたいな使えない連中はいる。それは警察組織にも言えること、延いては社会全体に言えること。その一方でまともなヤツだっていっぱいいるんだよと…だからこそ1人1人の自覚が試されると。新聞記者が被害者家族の懐に飛び込んでいく場面や、警察関係者と妙な絆で結ばれる場面では思わず涙腺が緩み、胸が熱くなった。いよいよ事件の核心に迫ってからの後半では、何気ない伏線の回収(記者や刑事が抱く、関係者の印象は大事)、ミスディレクションからのどんでん返しの連続でミステリーとしての面白さが存分に味わえる。容疑者を確保してからの、コイツも怪しい、いやこっちも怪しい、なんだお前かい!真犯人逮捕はもちろんのこと、記者が警察者や周囲の言動に迷わされず、誤報を飛ばさずに済むかどうかも気になり、最後まで目が離せなかった。新聞記者を題材にした別の作家の別の作品で、今までも似たような話は読んだことがあり、ベタな感じもするが、自分はけっこう好きですね。


伊兼源太郎 事件持ち(KADOKAWA・単行)

絶望の歌を唄え (ハルキ文庫) [ 堂場瞬一 ]

絶望の歌を唄え (ハルキ文庫) [ 堂場瞬一 ]
価格:880円(税込、送料無料) (2021/12/1時点)


ブックオフの古本110円で購入…2020年4月発行、堂場瞬一の「絶望の歌を唄え」を読了。もともとは2017年12月に単行本で出ていたものを文庫化。たぶん非シリーズもの。東南アジアに派遣されている時に、テロに巻き込まれてしまった元外事課の警察官が主人公…帰国後に警察を辞めて神田の小川町で喫茶店をはじめたが、10年後に、なんと神田神保町界隈という自分の生活圏内で、再びテロに巻き込まれ、さらには別の殺人事件にも遭遇!昔の同僚からも、時に街の情報を提供するスパイになれと言われたり、さもなければ事件に首を突っ込んだことで容疑者扱いされることもあり…テロリスト側とみられる相手からの尾行、監視、脅迫を受けることもしばし。しかし、かつての警察官魂が疼き、現在と過去の人脈なんかもうまく利用しながら、なんとか自分の手で真相を暴こうとすると…テロも、殺人も、自分の過去と思わぬ接点が見つかり…みたいな展開。今は、テロよりももっと怖い、未知のウィルスの心配をしなければいけない世の中だが…まぁ、オリンピックが決まって、開催が目前に迫って来た頃なんかは、大きなテロが日本で起きるのではないかとヒヤヒヤしたもので、いつまでも平和じゃないぞニッポンのリアル、警鐘が描かれているように感じた。著者が得意とする警察ミステリーのシリーズものなども好きだが、意外と…こういうハードボイルド調な設定、ストーリーの作品も好きなんだよな。ロックやコーヒーの蘊蓄を語りながら、謎の美女に翻弄され、ついでに姪っ子にも翻弄されるが、警察の鼻を明かして、テロリストと互角に戦っちゃう元警察官の喫茶店のマスター…もっと他の活躍も読んでみたいな。続編、シリーズ化希望(たぶん、なってないと思う)。


堂場瞬一 絶望の歌を唄え(角川春樹事務所・文庫)

海泡 (創元推理文庫) [ 樋口有介 ]

海泡 (創元推理文庫) [ 樋口有介 ]
価格:968円(税込、送料無料) (2021/11/30時点)


ブックオフの古本110円で入手した、2018年6月発行の「海泡」を読了…残念ながら今年の10月に他界されてしまった、自分も大好きな樋口有介の青春ミステリー。もともとは2001年に中央公論新社の単行本として発刊され、その後に同社で文庫化もされているんだけど…著者の希望もあって、大幅に改稿を行ったのが本書だそうだ。巻末のあとがきによると、生前の著者も…マイベスト上位と語っていた。オリジナルの方は未読。舞台は小笠原…所在地としては“東京”であるものの、“陸の孤島”なんて揶揄されることも少なくない、異国感たっぷりの辺鄙な場所で事件は起きる。主人公の男子大学生が夏休みを利用して島に帰省…地元で暮らしている旧友たちと再会を果たすのだが、それもつかの間、幼馴染の女子が死んでしまう。当初は、ストーカー被害の果ての殺人などとも噂されたが、事故、自殺の可能性が大きくなり、結局は自殺として処理されてしまう。しかし…みたいなお話。樋口作品特有のまったりとした空気感(小笠原という風土がいつも以上にそういう雰囲気を強調)、人生を達観しているような、クールでシニカルな主人公が、個性豊かな脇役キャラクターたちと接しながら、事件の真相に迫っていき、その過程で知りたくもなかった“知人たちの過去や秘密”にも触れ、最後はちょっぴり切ない気持ちになると、デビュー作の「ぼくと、ぼくらの夏」を彷彿とする“いつもの感じ”なんだけど、なんかやっぱいいなぁ…小説を読んでいることを実感できる心地よさ。還暦を過ぎながらも、淫行上等で未成年とも平気で“しちゃう”…主人公の父親を筆頭に、みんながみんな、あけすけに性的な会話をするんだけど、それがまったく下品にならないのが、樋口有介の筆力!主人公にしても、嫌味なくらいにモテまくる。女性キャラのほとんどが好意をよせ、その中の何人かとは実際に行為だってしちゃって、艶めかしい描写も少なくないんだけど…決してドロドロした感じがしないんだよな。作中で“海は女で、女は海だ”というわかったような、わからないような名言が主人公の父親から何度か飛び出すが…女子に対する男の理想、幻想が樋口作品、とりわけこの手の“青春ミステリー”系には色濃く出ていてる気がする。あらためて樋口先生のご冥福を祈ります。


樋口有介 海泡(東京創元社・文庫)


2019年の12月に前作「天空の鏡」を読んで以来、麻見和史の“警視庁捜査一課十一係シリーズ”を読んでなかったので、続きが出てるかなって調べたら2020年11月に既に次作が出ていた…よし、またWOWOWで新作ドラマもやるし、原作を読んでおかなきゃって思ったら…今度のドラマは、“警視庁捜査一課十一係シリーズ”ではなく、派生作品の“警視庁公安分析班”の方だった。ドラマ版で一足早く、公安に移動になった鷹野が、原作でも同様の扱いになり、新シリーズが平行して始まったとのこと。しっ、知らなかった。てっきり読み逃していたこの「賢者の棘 警視庁捜査一課十一係」の映像化だとばかり思ってた。普段は110~220円の古本しか買わないのに、ブックオフで税込み520円も出して買ったんだけどなぁ(笑)ドラマのスタートまでに“警視庁公安分析班”も読みたいな。そんなわけで…この作品では、まだ鷹野も捜査一課に所属していて、今まで通り如月とコンビを組んでいる。過去シリーズでも話題に出ていた如月家に届く謎の脅迫状について、本格的に差出人を調べ始めた矢先に、新たな事件が発生。賢者(ワイズマン)を名乗る人物が、警察に挑戦を叩きつけてきた!ヒントを手掛かりに場所を特定し、トラップを解除しないと人質が死ぬと…さらに犯人は如月に事件を捜査させろと指示してくる。背景に過去に如月が関わった事件(厳密には同じ刑事だった亡き父親のかかわった事件)、それどころか今まで如月家に届いていた脅迫状も関係があるのではないかとして新たな事件に対処していくことになるが…。ちょっとやりすぎなくらい手の込んだ犯行スタイルのせいか…今までの作品に比べると、警察ミステリとしてのリアルが若干軽減してるようにも思えたのだが、ミスディレクションによるどんでん返し、それでいて…ミステリとしてはしっかりとフェアという“らしさ”が感じられる、麻見作品としての安定感はある。“警視庁捜査一課十一係シリーズ”としては、現段階でこれが最新刊。上司がなんとなく、如月と鷹野を切り離そうとしているような雰囲気は漂わせていたが、この作品の中では鷹野の公安移動に関する記述はまだ出てこなかった。未読の“警視庁公安分析班”(もう2作品も出てる)が気になってしょうがない…なかなかブックオフの古本で見つからないんだよな。最悪、ドラマが始まるまでに古本で買えなきゃ、新品で買っちゃおうかな…。


麻見和史 賢者の棘 警視庁捜査一課十一係(講談社・新書)

救急患者X [ 麻生 幾 ]

救急患者X [ 麻生 幾 ]
価格:1,650円(税込、送料無料) (2021/11/27時点)


ブックオフの古本220円で購入した2021年3月発行、麻生幾の「救急患者X」を読了…書籍化は今年になってだが、もともと2004年から2011年にかけて幻冬舎の月刊小説誌に連載されていた作品だそうで、それに加筆修正をくわえたもの。ということは連載開始から17年、連載終了からでも10年掛かって1冊の本にまとまったものだと考えると、なんかいろいろと感慨深いものがある。麻生幾は、過去に電子書籍で出ていた短編っぽい作品を読んだことがあり、あとはいくつかの映像化作品の鑑賞経験があるんだけど、ちゃんと単行本で向き合うのは初めてかもしれない。とはいうものの、この書籍自体は190ページしかないので、この著者の入門編として捉えてもちょうどいいかも(ネット等の解説によると、ジャンル的には著者の新機軸なんだそうだが)。大学病院の救急センターが舞台、度重なる身元不明患者、通称“X”の搬送と、院内で続発する怪談めいた不可思議な事件。ナースたちの噂話に耳を傾けながらも、自分は“科学者だ”と自負するクールなチームリーダーの男性医師が、緊急性の高い過酷な治療に挑みながら、“事件”の真相に迫っていく。基本は病院外のことが描かれるわけでもなく、専門用語が飛び交い…海外ドラマの「ER 緊急救命室」でも見ているような、わりとリアルな描写が多い。読んでるだけで、消毒液の匂いがしてきそうな錯覚…大怪我して、こういうところにお世話になりたくないななんて想像しながら読み進めるんだけど、その一方で…トイレの鏡に現れ、消滅する“血文字”など非現実的な展開もあり、最終的な落としどころはどっちなのだろうか?となる。サクっと読めちゃうボリュームではあるが、書籍化まで時間が掛かっている著者渾身の作品だけあり、読後の満足感も高めである。ホラーっぽい不気味さ、真相が解る爽快感、大学病院の内情を描いた社会派っぽい雰囲気もありつつ…最後にはホッコリした感動も。けっこう面白かったですよ。


麻生幾 救急患者X(幻冬舎・単行)

55 (ハヤカワ・ミステリ文庫) [ ジェイムズ・デラーギー ]
価格:1,276円(税込、送料無料) (2021/11/25時点)


ブックオフの古本110円で購入した2019年12月発行、ジェイムズ・デラーギーの「55」を読了…西オーストラリアの田舎の警察署に、男が助けを求めてやってくる。拉致監禁された挙句に殺されかかったところを、間一髪で逃げ出してきたと。男は、犯人の容姿や名前を克明に説明、さらには自分が“55番目”だという奇妙な宣告を受けたらしい。その警察署で一番偉い巡査部長は連続殺人…連続殺人事件の可能性も視野に入れ、男から事情を聴くのだが…しばらくして、犯人と目される男にソックリな人物が、車泥棒の犯人として警察に捕まる。そしてその捕まった男は、先の男が供述した内容を、人物を入れ替え、自分こそ被害者だとして訴える。いったいどちらが真実を述べているのか?巡査部長は本部へ事件の詳細を報せ、巡査部長よりも階級が上の上司が…都会からやって来るんだけど、実はその上司も同じ田舎町の出身、かつては友人であり、同僚だったこともあって、“ある出来事”をきっかけに、仲違いして、犬猿の仲になっていた。現代の“奇妙な事件”を追いつつ、過去にあった巡査部長と上司の遺恨の原因も紐解かれていくが…。2人の男、どちらが本当のことを言っているのか?作中では共犯説、はたまた別人説、別の共犯がいる説など様々な可能性も指摘されるが、いったい何が正しいのか?そして“55番”が意味するものとは?容疑者の1人が名乗る名前で…“こういう方向のネタじゃないかな?”と薄々と感じてはいて、直観で、“こっちの男”が怪しいなって感じにはなっていたよ。クソ野郎なかつての親友であり上司の思わせぶりな言動で、彼が隠している事柄なんかもなんとなく想像できた。後半は、枝葉に見えた伏線がしっかり一つにまとまって…2人の関係にも色々と変化が訪れたりする。最後のまとめが“かなり強引”な感じがしないでもないが、想像してたよりも後味の悪い結末でビックリした。


ジェイムズ・デラーギー 55(早川書房・文庫)

カナリアはさえずる(下) [ ドウェイン・スウィアジンスキー ]

カナリアはさえずる(下) [ ドウェイン・スウィアジンスキー ]
価格:1,056円(税込、送料無料) (2021/11/24時点)


ブックオフの古本110円で購入した2019年1月発行、ドウェイン・スウィアジンスキー著「カナリアはさえずる(下)」を読了…17歳の女子大学生が、ひょんなことから、麻薬取引に巻き込まれ、警察に捕まり…その弱みに付け込まれ、情報提供者=警察のスパイとして働かされる羽目になるというストーリー。そもそも、トラブルの現況である、知り合ったばかりのドラックディーラー(大学の先輩)の名前を、密告するだけでよかったのに…意固地になって、それを拒み続けた結果、他の大物の情報を提供するという代替え案がいつの間にかメインとなり、最悪な状況に陥っていくという。そもそもカレシでもなんでもないんですよ…作中でも本人が何度もそこは“強調”してたし…なのに、なんでそこまでドラックディーラーに肩入れするのかというのが疑問なんですけど、作中で“優等生”というあだ名で呼び続けられるくらい、確かに“頭の回転が速い少女”なので、凡人とは思考回路が違うんだろうなと漠然と納得して読み進んだのが上巻だった。下巻はいいいよ、このドツボから抜け出すための一発逆転を狙った主人公の行動が開始されるわけなんだけど…上巻時点では、主人公の視点に関しては、“死んだ母親に語り掛ける体の一人称”で、ほかの視点が三人称というのが、作品の特徴でもあったんだけど…下巻の途中で、主人公の視点も三人称になると。しかも、名前ではなく…あえて情報提供者のコードネームで描写されるなど意味深な部分もあったんだけど、特に叙述的な驚きがあるわけでもなく、肩透かしに終わる。下巻に入った途端、麻薬取引関係の裏社会の人間が急に色々と出てきたりして作風も若干、かわったようにも自分は思ったし、なんだったら全編このテイストで読みたかったななんて思う部分もある。上巻を読んでる時は、若干、コミカルな印象も抱いていたのだが…サラっとしてて、そこまで劇的に描かれてないものの、“病気で死んだ母親”に壮絶な過去があったり、なるほど…この変な正義感からくる主人公の巻き込まれ体質も遺伝なのかなと、だいぶキャラクターに対しても印象が変わったかな。結末は想像以上にハードだった。


ドウェイン・スウィアジンスキー カナリアはさえずる(下)(扶桑社・文庫)

ドウェイン・スウィアジンスキー カナリアはさえずる(下)(扶桑社・文庫)

カナリアはさえずる(上) [ ドウェイン・スウィアジンスキー ]
価格:1,056円(税込、送料無料) (2021/11/22時点)


先週は久しぶりに日本人作家を攻めてみたが、今週はまた海外もの、翻訳ものに戻る。そんなわけで、ブックオフの古本110円で見つけた2019年1月発行、ドウェイン・スウィアジンスキー著「カナリアはさえずる(上)」を読了…もちろん下巻も古本で入手してあるので続けて読むつもりでいる。優等生の女子大学生が、たまたまパーティーで知り合ったイケメンのドラッグディーラー(大学の先輩)を、車に乗せて目的地まで連れて行ったら、麻薬課の刑事に目をつけられてしまい、彼女だけが逮捕されてしまう。刑事はその地区で幅を利かせている“元締め”をターゲットにしており、その下っ端のディーラーを足掛かりにしようとしていた。そしてそのディーラーを捕まえるために、女子大生がまんまと網に引っ掛かった。助けてほしければ、ディーラーの名前を吐け…刑事は簡単に情報が得られると思っていたが、女子大生は“無関係”を主張し、決してディーラーの名前を吐こうとしない。仕方がなく刑事はせまった…ディーラーの名前を正直に言うか、それともなければ情報提供者となって取り締まりに協力しろ(すなわち、そう言っておけば、根を挙げてディーラーの名前を白状すると思った)…彼女はディーラーを差し出す代わりに、身代わりになる別の売人を自力で探し始める。すると、思わぬ成果を挙げてしまい…。主人公の女子大生は一人称、それ以外のキャラクターは三人称で描く構成…特に主人公視点では、どうして自分がこんな目に遭ってるのかを“母親に語り掛ける”ような描写で表現してるんだけど、その母親は既に他界しているのも、読み始めてすぐに明かされる。せっかくなんで、その辺もなんらかの構成的な仕掛けに使えばよかったのになって思うよね。はじめは、この女子大生視点の文章を読むのが、けっこう辛かった…話もなかなか進まないし。原文が悪いのか、翻訳が悪いのかなんてぶータレながら読んでたんだけど、上巻を読み終わる頃には、文章にも慣れ、少しずつ“事件らしいもの”も起き始め…楽しめる余裕が出てきた。下手の横好きというか、棚から牡丹餅というか…ラッキーパンチで色々と成果を挙げつつも、まだまだ情報提供者から解放される気配がない主人公というところで上巻は終了。正直、知り会ったばかりイケメンディーラーに対し、そこまで庇い続ける主人公の原動力に疑問。とっとと名前を刑事にチクって、自分は無罪放免になりゃいいだけじゃないかって思うのだが、頭がよく回り行動的なわりに、警察側に体よくつかわれちゃってる未成年なりの無知さもあるのかなと…なんかスッキリしない気持ちで、今のところ読み進めている。まぁ、自分なら友達だろうが、親兄弟だろうが…犯罪を見つけたら、直ぐに110番するけどね(笑)下巻でこういうモヤモヤを解消してくれる、なんらかの理由がしっかり描かれることを期待する。一点…作中に、いろいろと映画の小ネタが出てくるのだが、007ネタで“M16ビルディング”という表記があったが、もしかして“MI6ビルディング”の間違いでは?“1”じゃなくて“I"…“M16”じゃ自動小銃になっちゃうだろ!翻訳家の方は、ミリタリーものなども手掛けるベテランなので、印刷の段階で間違えたのではないだろうか?誤訳というより誤植の気がする。


ドウェイン・スウィアジンスキー カナリアはさえずる(上)(扶桑社・文庫)

死紋調査 (角川文庫) [ 安東 能明 ]

死紋調査 (角川文庫) [ 安東 能明 ]
価格:880円(税込、送料無料) (2021/11/20時点)


ブックオフの古本110円で入手…2019年7月発行、安東能明の「死紋調査」を読了。この文庫自体は2年ちょっと前に出た比較的新しいものなのだが、もともとは2009年に同じ角川のホラー文庫の方から出た「予知絵」という作品を改題、加筆修正を加えて再刊したもの。元の作品は未読。子供の描いた絵=“児童画”には意味や意図が隠されている…“児童画診断”という歴とした研究があり、そういった絵の中から“死の兆候”を読み取ってしまった人々が翻弄される姿を描く。児童館でボランティアとして働くシングルマザーの女性が、とても奇妙な絵画を披露が、その絵を描いた少女が電車に轢かれて死んでしまう。やがて、同じボランティアを通じて知り合った絵の専門家から“予知絵”の知識を得、死んだ少女が描いた絵に“死の兆候”が表れていたことを知るのだが…なんと自分の息子にも同じような兆候が!専門家女性らと協力して、“絵の真相”を調べ始めた主人公の周りで…次々と人が怪死する!女の子が電車に轢かれて死んでしまうという出だしは、なかなか不気味でゾクリとなる。“児童画診断”という概念が出てきた時は、なんだか“胡散臭い”なと思ったのだが…主人公は興味を抱き、どんどんと傾倒していく。序盤はややダレ場も多く感じたが、殺人、ストーカー、自殺、事故死など主人公の周りで色々と事件が起き始め、果ては警察の捜査や駐車監視員 (駐車違反を取り締まる人)への不満を皮肉ったりするまでになると…情報量が多いなと思いつつも、この広げた風呂敷をどうやって一つにまとめて終息させるのかという興味がわいてきて、ページをめくるのがとまらなくなった。ただ、もともとがホラー文庫で出ていた作品というのをすっかり失念。全体の心地悪さ、読み終わった後のなんか嫌な余韻と…ホラーだったなと納得する一方で、ミステリーとしてのカタルシスは弱い。警察小説の旗手・安東能明の作品として捉えてしまうと、若干物足りないかなとも思った。


安東能明 死紋調査(KADOKAWA・文庫)

ESP (幻冬舎文庫) [ 矢月秀作 ]
価格:803円(税込、送料無料) (2021/11/18時点)


ブックオフの古本110円で入手…2019年10月発行、矢月秀作の「ESP」を読了。いわゆる“超能力”を題材にしたバトルもの…鈴鹿山脈の霊仙山には、政府公認ながら、決して外部の人間に知られてはいけない、秘密の学園都市があり、超能力者の育成や研究が行われている。学園に通う生徒の能力はピンからキリまでなのだが…その中の1人、そこまで優秀でもなかった主人公が突然、とんでもない能力を発現させてしまい、関係者一同大慌て、国中を巻き込む大混乱に発展していく。主人公は自分が内に秘めたものの存在を理解、制御できない状態で…現象に巻き込まれてしまった幼馴染でクラスメイトの女の子(主人公が片思い中)と一緒に学園から遠く離れた沖縄の離島へとテレポート。女の子や外で出会った人の協力を得て、事象に対処しようとするのだが…主人公の能力を封じよう、はたまた悪用しようと企てる学園側の大人たち(その大人に利用される生徒も一緒)に追われる羽目になる。超能力者を養成する学園都市から始まるので、矢月版の「とある魔術の禁書目録」または「とある科学の超電磁砲」的なものを想像してたら…どちらかというと「呪術廻戦」味もありつつ、「幻魔大戦」や「AKIRA」も入ってたりみたいな(笑)「もぐら」シリーズなどハードアクションの印象が強い著者にしては、ずいぶんと“中二病感”が強い作品だなとビックリした。設定上で国だ、世界だと風呂敷を広げた部分もあるが…結局はほぼほぼ学園都市内の派閥みたいなもの(場合によっては外部の助けもあったが)で、話が集結しちゃうのがいささか物足りない部分。とはいうものの、矢月作品らしい陰謀、裏切り、裏切られな展開もあり、エンタメとしては充分に及第点。一応、キリのいい終わり方はするが、著者のやる気次第では続編、シリーズ化もありそうな落としどころ。


矢月秀作 ESP(幻冬舎・文庫)