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健康管理士コラム

 体内のほぼすべての細胞には、時計遺伝子が存在し、それぞれの細胞ごとに時間を持ちながら働いています。これらは、「子時計」と言われています。それぞれの子時計が刻むリズムは、日々の生活で少しずつずれが生じることがありますが、ばらばらに働くことがないように脳の「視交叉上核」という部分がコントロールしています。

 

 神経細胞の集まりである視交叉上核は、間脳の視床下部にあります。全身の各細胞や各器官に向けて指令を出すことから「親時計」や「ボス時計」と呼ばれ、ほぼ一日のリズムである体内時計を刻んで動いています。

 

 私たちの体内時計は、24~25時間と言われています。しかし、実際には、現代の不規則な生活習慣や人工照明などにより、生体リズムは乱れ、その結果、体内時計に個人差が現れ、23時間周期の人や、26時間周期になっている人もいると考えられています。

 これによって、決まった時間に深部体温や血圧が上がらなかったり、集中力が高まらなかったりと様々な問題が発生しています。

 

 太陽の光の入らない地下室や、時間の手がかりの全くない部屋で長時間過ごしていると、ほとんどの人は寝る時間と起きる時間が日々一時間ほどずれていくことがわかっています。また、二週間もたつと、昼夜逆転の生活になってしまうことも確認されています。

 

 私たちのからだは、体内時計によって一日24時間のリズムで生活していますが、赤ちゃんには体内時計の働きがないため、「ウルトラディアンリズム」という数十分から数時間周期のリズムを刻んでいます。

 生まれて間もない新生児の睡眠と覚醒は、おなかがすいたら目を覚まし、ミルクを飲んでおなかがいっぱいになると眠くなるという、昼夜の区別がない3時間ほどのサイクルを繰り返していますが、生後1~2か月頃になると徐々に体内時計が形成されはじめ、3~4か月頃から約25時間のリズムを刻むようになります。ここで体内時計をリセットする手助けをしているのが、母乳やミルクです。

 赤ちゃんは、眠りを促すメラトニンを3~4か月頃まで作り出すことができないため、母乳やミルクからメラトニンを摂取し、眠りのコントロールをしています。この働きにより、約25時間のサイクルを1日約24時間のリズムにリセットしていきます。

 また、体内時計が完成する3~4か月以前の時期に夜更かしをしたり、眠る時間を変えたりすると、睡眠リズムを作ろうとしている赤ちゃんの妨げになるので、寝る少し前から部屋を暗くしたり、朝になったらカーテンを開けて太陽の光を浴びるという規則正しい環境を作ってあげることが大切です。

 小腸で栄養素を吸い取られた食べ物の残りかすは、大腸へと送られてきます。大腸では、蠕動(ぜんどう)運動によって管を通る間に残った水分や一部のミネラルが上皮細胞の粘膜に吸収され、粥状(じゅくじょう)だった内容物は、固形状の便に変化していきます。

 

 ところで、便の中身は何か知っていますか?

固形状のものが排泄されるので、食べ物の残りかすがほとんどを占めているようにも思われますが、健康な人の便の70~80%は水分です。そして残りの20~30%が固形成分で、そのうち約3分の1が食べ物の残りかす、約3分の1が古くなった腸粘膜、約3分の1が腸内細菌とその死骸です。

 

 大腸の構造図をよく見ると、壁面に一定の間隔で膨らみとくびれがあることに気が付くかと思います。実は、この構造には意味があり、内容物をためるとともに、蠕動(ぜんどう)運動が起きている際に内容物から水分を搾り取りやすくするためのくびれなのです。

 

■おまけ■ 胎児のときって、便はどこに出しているの?

 母親の胎内にいる赤ちゃんを胎児と言いますが、胎児のときはへその緒を通って送られてきた栄養素と酸素を使って成長します。そして、老廃物は胎盤を通って母親の血液中に送り出されます。つまり、胎児は便を出さずに、母親がその老廃物を自分の尿と一緒に体の外へ出しているのです。


もうすぐ夏ですね。体調にくれぐれもお気をつけてお過ごしください。


今日は盲腸と虫垂炎の違いについてお話ししましょう。



 右下腹部の急激な腹痛が引き起こされると、よく「盲腸」といわれますが、実際に炎症を起こしているのは虫垂です。虫垂は盲腸から伸びている器官で、かつては盲腸の一部として認識されていたことから盲腸が病名としても使われていますが、正しくは「虫垂炎」です。

 盲腸には、小腸からの内容物のごく一部が流れ込んできます。その後、内容物は少しづつ上行結腸に向かいますが、盲腸内でいつまでも停滞していると、便が石のように固くなった糞石(ふんせき)になることがあります。この糞石が虫垂の入り口をふさぐと、血液やリンパ液の流れが悪くなり、腸内細菌の感染によって虫垂に炎症を起こし、虫垂炎となるのです。

 

 「はぁ~」とつい出てしまうのがため息です。「ため息ばかりついていると幸せが逃げる」などといわれますが、なぜため息をついてしまうのでしょうか。
ため息をつきやすくなるのは、下記のような状況があげられます。

・忙しくて疲れた時
・仕事がうまくいかなかったとき
・ショックな出来事が起こったとき

 不安やストレス、心配などの精神状態の時に、一時的に出る大きな呼吸がためいきです。
ため息がでる要因としては、不安や緊張から呼吸が浅くなることが考えられます。気づかないうちに浅くなってしまった呼吸を、大きく息を吐き出すことによって、自然と息を吸う動作へつなげます。そうすることで、酸素がしっかりと体の中に取り入れられ、頭や気持ちのリフレッシュをすることができると言われています。

 ため息をつきやすくなったときは、体からのSOSサインだと思って、ゆっくりと深呼吸をし、脳と体を休めてあげましょう。また、体からのSOSサインが出る前に、意識的にリラックスしてあげることも大切です。仕事中、トイレに立った際には、必ず両手を大きく伸ばして深呼吸を行うなど、自分に合ったリラックス方法を探してみましょう。
 肺の中はどのようになっているのか、想像したことはありますか。

 肺は空洞のようなイメージがありますが、実際は、気管支が20回以上枝分かれを繰り返して細くなり、その先に、「肺胞」と呼ばれるブドウの房のようなものが無数に存在し、肺を埋め尽くしています。そして、その一つ一つが風船のようなもの袋状の形をし、約3億個肺の中に存在していると言われています。

 1つの袋の大きさは、直径0.1mmほどですが、肺胞の表面積をすべて合わせると、60~70㎡にもなり、バトミントンコート1面分くらいに匹敵する大きさとなります。肺胞はこのように袋状の形を維持することで表面積を確保し、呼吸効率を上げているのです。

 肺は空気の出し入れをするために、自ら伸びたり、縮んだりしているように思われがちですが、実際はそうではありません。心臓のように筋肉を持たない肺は、自力で動くことはできないのです。
 その代わり、自分の意志で収縮の速度をコントロールすることや、ほんの短い時間であれば、呼吸を止めることもできます。
 
 これは、心臓やほかの臓器にはない大きな特徴です。


 肺への空気の出入り(換気)のしくみについて、考えてみましょう。

 まず、左側の「吸気」についてです。息を吸うときは、横隔膜が収縮し、ドーム状の幕が下がることで胸腔が広がります。そうすることで、そうすることで、肺を引っ張ろうとする力が働き、その圧力で空気が中に入り込む仕組みとなっています。これが「吸気」のしくみです。

 反対に、「呼気」では、横隔膜が緩むことで、ドーム状の膜は上に上がり、また外肋間筋が弛緩することで、胸腔が狭くなり、胸腔内圧は上昇します。すると、圧力により肺は押しつぶされ、空気も押し出されます。これが「呼気」のしくみです。

 このように、胸腔内の圧力の変化によって肺への空気の出入りは行われているのです。