肺の中はどのようになっているのか、想像したことはありますか。
肺は空洞のようなイメージがありますが、実際は、気管支が20回以上枝分かれを繰り返して細くなり、その先に、「肺胞」と呼ばれるブドウの房のようなものが無数に存在し、肺を埋め尽くしています。そして、その一つ一つが風船のようなもの袋状の形をし、約3億個肺の中に存在していると言われています。
1つの袋の大きさは、直径0.1mmほどですが、肺胞の表面積をすべて合わせると、60~70㎡にもなり、バトミントンコート1面分くらいに匹敵する大きさとなります。肺胞はこのように袋状の形を維持することで表面積を確保し、呼吸効率を上げているのです。
肺は空気の出し入れをするために、自ら伸びたり、縮んだりしているように思われがちですが、実際はそうではありません。心臓のように筋肉を持たない肺は、自力で動くことはできないのです。
その代わり、自分の意志で収縮の速度をコントロールすることや、ほんの短い時間であれば、呼吸を止めることもできます。
これは、心臓やほかの臓器にはない大きな特徴です。
肺への空気の出入り(換気)のしくみについて、考えてみましょう。
まず、左側の「吸気」についてです。息を吸うときは、横隔膜が収縮し、ドーム状の幕が下がることで胸腔が広がります。そうすることで、そうすることで、肺を引っ張ろうとする力が働き、その圧力で空気が中に入り込む仕組みとなっています。これが「吸気」のしくみです。
反対に、「呼気」では、横隔膜が緩むことで、ドーム状の膜は上に上がり、また外肋間筋が弛緩することで、胸腔が狭くなり、胸腔内圧は上昇します。すると、圧力により肺は押しつぶされ、空気も押し出されます。これが「呼気」のしくみです。
このように、胸腔内の圧力の変化によって肺への空気の出入りは行われているのです。