映画を観ているみたいに小説が読める イメージ読書術 -14ページ目

映画を観ているみたいに小説が読める イメージ読書術

小説の世界に没入して
“映画を観ているみたいに” リアルなイメージが浮かび
感動が胸に迫り、鮮やかな記憶が残る。
オリジナルの手法「カットイメージ」を紹介します。
小説を読むのが大好きな人、苦手だけど読んでみたい人
どちらにもオススメです。

 2020.12.12のカットイメージ体験セミナー(ZOOM)報告の番外編

 

 参加されたBさんから、感想とともに質問をいくつかいただきました。

 それらにお答えしたやりとりの中から、一つだけ紹介します。

 

【Bさんの質問】 

 読書していて暴力シーンなどを思い浮かべると、自分が思い浮かべたことをいつまでも覚えていて、怖さが続きます。想像がダークでネガティブなほど定着してしまうように感じます。イメージしたことが嫌なことならすぐに忘れてしまうコツはありますか?

 

【教育エジソンからの回答】 

 これについては、NLPという心理技法が役立ちます。心に焼きついて離れないイメージに対して、次のような操作をします。

 

(1)  イメージの中に入って体験している状態(アソシエイト)から外に出て、外部から眺めている状態(ディソシエイト)に移行してみる。

 たとえば、そのシーンの中にいる自分がテレビの外に出て、テレビの枠の中にある映像として意識する。

 そして、自分がそれを外から見ている感じを味わう。

 次には、テレビからから離れ、テレビ自体がどんどん遠くに離れていくようにイメージし、映像が遠く小さくなっていくことを実感する。

 最後にはリモコンボタンを押して、テレビをプチっと消してしまう。

 これを何度もくり返して行うと、リモコンのスイッチを押しただけで嫌なイメージを消すこともできるようになります。

 

(2)  イメージには、色とか音とか、いろいろな属性があるので、その属性を変換してみる。

 先ほどのテレビのイメージで映像を思い浮かべ、たとえば、カラーだった色を白黒にしてみる、画像の解像度を次第に粗くして、最後は破片みたいにバラバラにしてしまう、などの画像操作をします。

 また、スローモーションで再生して声が低音のスローになっていくのを見る、逆に早回しして高音の声でコミカルに動いているのを見る、などして、思わずクスっとしたら大成功です。

 

 そんなふうにしてイメージを対象化して遊んでいると、いつのまにか嫌な気持ちは薄らいでいくと思います。

 

参考文献: 

○入門書としては、山崎 啓支著 サノマリナ作画 『マンガでやさしくわかるNLP』 日本能率協会マネジメントセンター

○より詳しく学ぶには 山崎 啓支著 『NLPの実践手法がわかる本』 日本能率協会マネジメントセンター

 

 

 

 

 

 「カットイメージ体験セミナー(ZOOM)」、参加した方のご感想、続きです。

 メールのやりとりの一部をご紹介します。

 

〈Bさん(女性)からのご感想〉

 このセミナーは、ブログ友だち(Aさん)から誘われて興味を持ち、参加しました。

 やり方は、「カット」「イメージ」という語感から想像したとおりだったので、戸惑うことなく取り組めました。 

 セミナーは円滑に進めていただけて、よかったです。

 受講生がふたりだったので、じっくりできて満足です。

 どんなセミナーでもいえると思いますが、多人数で自分の発表機会がないと受け身になりそうです。

 途中に休憩があってよかったです。

 私自身オンライン講座は今まで3回ほど経験がありますが、もう少し慣れて、操作への不安をなくしたら、もっと講義に集中できるだろうなぁと思っています。

 教材のボリュームや事前に送っていただくタイミングはちょうどいいです。

 

 小説教材(青い花の香り)は、適当だったと思います。

 あれよりも難しいものになると、考え込んでしまって時間がかかったと思います。

 波風が立ちすぎないストーリーなので、解釈がそれぞれ違っていて面白かったです。

 自分の答えが正解とか間違っているとかがないのがいいです。

 

 先生がおっしゃっていた「イメージの取捨選択」で、捨てるものを選ぶのは難しいですね。

 ライター時代、インタビュー記事を書くとき、「いい話をいっぱい聞いたので、あれも書きたい、これも伝えたい」という思いと紙幅の都合で短くしなくてはならない葛藤の連続でした。

 伝えたいことはひとつかふたつくらいに絞らないと、伝わりませんしね。

 何にフォーカスするのか、大事なことは何かを見極めていくトレーニングは一生続くと思います。

 

 ……以下、質問がいくつか続きますが、省略して、返信で一つだけとりあげます。

 

〈教育エジソンからの返信〉

 昨日は、セミナーへのご参加、ありがとうございました。

 積極的に参加していただいたので、私もスムーズにできました。

 そして、さっそくアンケートへのご回答をいただき、いっそう感謝です。

 いくつか質問をいただいたので、できる範囲で考えを書かせていただきますね。

 

【質問】 読書していて暴力シーンなどを思い浮かべると、自分が思い浮かべたことをいつまでも覚えていて、怖さが続きます。想像がダークでネガティブなほど定着してしまうように感じます。イメージしたことが嫌なことならすぐに忘れてしまうコツはありますか?

 

【回答】 →これは別記事にして書くことにします。「読書内容の嫌な記憶を気にならなくするには」

 「カットイメージ体験セミナー(ZOOM)」を昨日、開催しました。

 4名の申し込みがありましたが、ご事情で参加できない方が出て、2名だけで実施しました。

 少人数なので、きめ細かくカットの違いを交流でき、イメージ体験を深めていただけたようです。

 以下、ご感想の一部を紹介します。

 

<Aさん(女性)からのご感想>

 

 小説を読むのは好きなのですが、イメージを思い浮かべるのがあまり得意ではありません。

 小説を読んでいても、あまり長い情景描写などは、飛ばしたくなる時があります。

 自分が文章を書く場合でも、風景を描写するのは、苦手です。

 

 カットイメージは、小説を読んだり、映画を観るのが好きな割には、イメージを浮かべたりするのが苦手な自分にとって、もっと深いところまで話を理解できるかなあと思って学んでみたいと思いました。

 また、話の構成やその裏に隠されているテーマに気づくことができるのではないかと思ったのがきっかけです。

 

  セミナーの進め方は、講義を聞いて、その上で、実際にワークに取り組むという流れで、とてもわかりやすかったです。

 「観てから読むか、読んでから観るか」体験は、とっつきやすく、わかりやすくて、面白かったです。実際に映像と小説にした内容とを見比べることで、カットイメージの感覚がつかめました。

 教材の小説(小川未明『青い花の香り』)は、心情描写が多いので、少し難しくはありましたが、かえって、とても勉強になったと思います。

 実際に、セミナーで教えていただくことで、情景描写だけではないシーンのカットイメージのやり方がわかりました。

 

 現在、『超簡単! イメージ読書術』を読んでいる途中です。

 例題をやりながら、読み進めていますが、今回、実際に教えていただいたので、すごくわかりやすくなりました。

 これから、小説を読むのが、ますます楽しくなりそうです。

 ありがとうございました。

 

<教育エジソンからの返信>

  本日は、ご参加ありがとうございました。
  また、さっそくアンケート回答をいただき、ありがとうございます。
  
  ご感想を拝読して、カットイメージはAさんのニーズにピッタリかと思いました。
  本日のワークの中で、Aさんのカットのしかたはとても適切でしたので、今回つかんでいただいたコツを念頭に、拙著の続きを読んでトレーニングに取り組んでいただくと、メリットが多いかと思います。


 さらに、ご自分で小説を読むときに負担にならない範囲で、ちょっと試してみてください。
 今日、イメージを探る質問をいくつかかけさせていただきましたが、そうした質問を自問自答して、心の中を探る癖をつけていくと、もっとイメージが実感できるようになると思います。
 
 とくに第二段階のまとめで、Aさんの分け方は、なるほどと思う点が多かったです。
 そのコツを応用して、映画の内容や読んでいる小説の内容をカットイメージでふり返っていただくと、読書や映画鑑賞の悩みも解消し、もっと楽しくなると思います。

 桜木紫乃の『ホテルローヤル』が映画になったというので、この機会に「カットイメージ」を意識して再読してみた。

 

 

 

 

 

 桜木紫乃の小説はなぜか好きで、ほとんど読んでいる。

 流転していく女の凄絶な人生を描き切った『ラブレス』。

 

 

 薄幸の美女に惹かれていく男と、その女の犯罪の動機が衝撃的な『それを愛とは呼ばず』。

 

 

 北の外れの街の利権渦巻く男社会の陰で変貌していく三姉妹を描いた『霧(ウラル)』。

 

 

 そして、凍れるオホーツク海を背景に、どん底の境遇からささやかな幸せを夢見て叶わない女の運命の哀しさが胸に迫る短編『氷平線』。……

 

 

 北海道という風土で、自身の運命と向き合って生き抜いていく女たちが、私にはとても魅力的で、いとおしく思える。桜木紫乃の小説に出てくる男たちはいつも哀れで、ちっぽけな存在である。

 

 そうした中で、『ホテルローヤル』は、私にとって記憶に残る作品ではなかった。

 同じように短編連作という形式をとる『ワンモア』や『蛇行する月』、『ブルース』などは、それぞれが短編として読みごたえがありながら、ひとつの物語としてつながっていく感動が味わえる。

 しかし、『ホテルローヤル』を初めて読んだときには、ひとつひとつの短編に大きな盛り上りはなく、それらがつながってくるおもしろさも感じられなかった。

 

 一軒のラブホテルをめぐる7つの連作短編と聞くと、そこで起こる男女の愛憎劇かと想像する人が多いのではないか。 しかし、この小説は実はそうではない。

 既に廃墟となった「ホテルローヤル」から始まり、創業者が「ホテルローヤル」を始める前の物語で終わる。実際にホテルローヤルを利用した客の話は1つしかない。

 

 だが、今回再読して、ひとつひとつの物語を丁寧にイメージして味わってみた。

 すると、これらはそれぞれ離れた時間と空間に浮かんでいるが、その中心には確かに、湿原に面したラブホテルがあり、30年の歳月がある。そう感じられた。

 これらの短編小説を空間と時間の座標軸として、その内側には、「ホテルローヤル」で起きた、ここには描かれていない無数の物語が浮かんでくる。そんな気がしてきた。

 

 映画はまだ観ていないが、予告編を観ると、忠実な映画化ではなくて、ラブホテルを舞台にした新たな物語として大幅に脚色されているようである。

 それも、監督や脚本家がこの小説を読んで、実際には描かれていない物語への想像を掻き立てられた結果ではないか。

 

 

 お待たせしました。

 初めての方でもご参加いただける「カットイメージ」体験セミナーを、ZOOMによるオンラインで開催いたします。
 2020年12月12日(土) 9:30~12:00 
 参加ご希望の方は、「こくちーず」イベントページからお申し込みください。


 初めてのオンライン実施ですが、リアルセミナーで培ったノウハウと、受講経験者の皆さんと実施してきたZOOMセッションのスキルを活用して、小説をカットイメージで読む楽しさ、奥深さを実感していただける2時間半にしたいと思います。

 

「カットイメージ」について詳しく知りたい方は、ホームページ「教育エジソン」浦沢凛花さんの紹介動画などをご覧ください。


 皆様のご参加をお待ちしております。

 映画化もされた『博士の愛した数式』で知られる、芥川賞作家の小川洋子さん。

 

 『博士』以前に書かれた長編小説『凍りついた香り』は、やはり「数学」の美しさへの憧れも垣間見られる作品ですが、恋人の自殺の理由を探して、チェコのプラハへと旅する女性の物語。

 

凍りついた香り (幻冬舎文庫)

 

 謎解きの興味でぐいぐい読ませますが、恋人の実家で、プラハでさまざまな暗合が見つかり謎は解けるかに見えて、また幻想の彼方へと消えていく……。不思議なテイストの作品です。

 

 私の『映画を観ているみたいに小説が読める 超簡単!イメージ読書術』では、長編小説をカットイメージで読むためのヒントとして、この作品の冒頭を使っています。

 

 夕闇迫るウイーンの空港から始まる導入シーンと、それに続く恋人の死を知る衝撃的な場面を、カットイメージで深読みする醍醐味。ぜひ、体験してみて下さい。

 

 

 『イメージ読書術』について浦沢凛花さんの紹介動画はこちら

 高等学校国語の定番教材、芥川龍之介『羅生門』。

 

 

 イメージ読書術(カットイメージ)で読んでいくと、活動写真もまだ十分普及していない時代に、非常に映像的な書き方がされていて、芥川龍之介の天才的なイメージ構成能力には感心させられます。

 とはいえ、長年授業をしていて、「あれ?」っと思うような疑問がいくつか残ります。

 

疑問1)死人を捨てるのに、なぜわざわざ二階へ上げるの?
  どうせさびれてるんだから、そのへんに捨てておけばいいじゃない?と思ったりします。

  第一、死人を背負ったり抱えたりして、はしごを上るのは大変です。 

  二人がかりでもきつい仕事だと思いますが、まして、引き取り手のない赤の他人なんですから。

 

疑問2)なんで「はしご」なの?
  ちなみに、二階(楼の上)に上る「はしご」というのも気になります。

  上で書いたように、はしごで死人を二階へ上げるのは至難の技です。

  しかしここで「はしご」とあるのは、「階段」のことだと、生徒たちにはいつも説明しています。

  広辞苑にも、「はしご(梯子)」の意味として「②階段、だんばしご、きざはし」があります。

  だいたい、門の上は今でこそ死人置き場だが、屋根裏のようなものではない。窓には欄干のついた立派な二階です。

  本来は、貴族が登り、眺望を楽しむためにあるのだと思います(もちろん、有事には固く門を閉ざし、2階から衛士が敵を迎え撃つためでもあります)。

 ならば、運動不足で分厚い着物を着た貴族でも上れる「階段」でなければいけません。

 実際、本文中にも「幅の広いはしご」と書かれています。ならば初めから、「階段」と書いてほしかったなあとおもいます。

 

疑問3)老婆はいつから2階にいるの?

 下人はあたりがうす暗くなり始めた申の刻下がり(4時過ぎ)から降り出した雨に降り込められて羅生門の下におり、かなり長い間そうしていて、いよいよ一晩明かす場所を求めて2階へ上がります。

 では、老婆はいつ2階へ上がったのでしょうか。

 そのとき、下人も老婆も、お互いの存在に気づかなかったのでしょうか。

 寒さを感じた下人は立ち上がり、寝る場所がないかとあたりを見回して、はしご(階段)に目をつけます。つまり、座っていた場所から階段はそう遠くないのです。

 また、老婆は「ずぶぬれだった」とも書いていないので、もしかしたら雨が降り出すよりも前から2階に潜んでいたのでしょうか。

 そうすると、目的の仕事をする時間はたっぷりあり、大量の髪の毛を収集しているはずです。

 しかし、その様子はありません。謎です。

 

疑問4)京都なら、関西弁でしょ!
 二人のことばづかいがとても気になります。

 とくに、老婆が自分の行為を弁明するくだりで、「この女の売る干し魚は、味がよいと言うて、太刀帯(たてわき)どもが、欠かさず菜料(さいりょう)に買っていたそうな」は、やはり、「買うていた」と言ってほしいです。

 

疑問5)雨はいつやんだの?

 結末で、盗人になる決心がついた下人は老婆の着物を奪い、はしごを駆け下りて、夜の闇へと消えていきます。

 あれ? 雨はいつやんだの?
 

 皆さんはどう思いますか?

 コメント、よろしくお願いします。

 

 

※カットイメージによる『羅生門』の授業実践をまとめたレポートを、拙著『映画を観ているみたいに小説が読める 超簡単!イメージ読書術』の巻末読者プレゼントで差し上げています。

 

 そのレポートの冒頭部分は、HP「教育エジソン」国語授業のページで読むことができます。

 

 

 

 浦沢凛花さんが「イメージ読書術」の魅力を語ります。写真をクリックして動画をご覧ください。

浦沢凛花さんの紹介動画 映画を観ているみたいに小説が読める 超簡単!イメージ読書術

 

 芥川龍之介『羅生門』の授業。

 カットイメージ・クイズのつづきです。

 「ある日の暮れ方のことである。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた」で始まる冒頭のシーンで、 

<2>次のうち、この場面にいるものに○をつけよ。
   ア、市女笠(の女) イ、揉烏帽子(の男)   ウ、狐狸  エ、盗人  オ、死人  カ、からす

 

 心の中でしっかり場面をイメージしていくと、これらのクイズに正しく答えることができます。

 これも、ひとつひとつ、選択肢をあげて、「ア、市女笠の女、いると思う人!」と、生徒に挙手させます。

 すると、全部に手をあげる生徒もいれば、いくつかに手をあげる生徒もいます。

 挙手のない選択肢はありません。

 でも……

 

 正解は、「すべていない」です。

 

 ここで重要なのは、小説では、「今、ここ」の場面があり、常にそこに戻って物語が展開していくということです。

 筆者は時代背景を説明するために、市女笠、揉烏帽子、狐狸、盗人、死人、からす……と、さまざまなものを提示しますが、それらは、すべてこの場には「いない」のです。

 ただ、心の中のイメージとしては、それらの映像がリアルに浮かんだあとに、否定されて消えていくので、幻のような残像が残ります。あるいは、それらが醸し出した感情が残ります。

 それが、羅生門の下の石段に腰かけた「今ここ」の下人のイメージに重なり、時代の空気やこの場の不気味な雰囲気を感じさせるのです。

  

 だから、ここでも単に正解不正解で片づけることはしません。

 ひとつひとつのイメージを確かめながら、それらが消えて残る、「今ここ」をしっかり押さえて、物語を読み進めていきます。

  

※ここで紹介したカットイメージによる『羅生門』の授業実践をまとめたレポートは、拙著『映画を観ているみたいに小説が読める 超簡単!イメージ読書術』の巻末読者プレゼントで差し上げています。

 

 

 高等学校国語の定番教材、芥川龍之介『羅生門』。

 もちろん、私は「カットイメージ」で授業をしています。

 平安朝の風俗をどこまでイメージできるかはさておき、心に浮かぶイメージで丁寧に読み解いていくと、いろいろな気づきがあります。

 たとえば、冒頭の「ある日の暮れ方のことである。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。」のところで、次のようなクイズ。 皆さんも、考えてみて下さい。

 

<1> 「雨やみを待っていた」とあるが、下人は、
   ア、立っている   イ、座っている
 

<2>次のうち、この場面にいるものに○をつけよ。
   ア、市女笠(の女) イ、揉烏帽子(の男)   ウ、狐狸  エ、盗人  オ、死人  カ、からす

 

 心の中でしっかり場面をイメージしていくと、これらのクイズに正しく答えることができます。

 いずれの質問も、選択肢をあげて、生徒に挙手させます。

<1>では、「ア、立っている」と答える生徒が圧倒的に多いです。

  でも、正解は、「イ、座っている」。

  先まで読むと、「下人は七段ある石段のいちばん上の段に、洗いざらした紺の襖(あお)の尻を据えて」とあるからです。

 でも、ここで単に正解不正解で片づけることはしません。

 この小説を読み始めたところでは、「立っている」とイメージするのは、ある意味、自然だからです。

 私たちが通り雨に降られてどこかで「雨やみを待つ(=雨宿りする)」」とき、立ったまま、軒下で雨を避けながら空を見上げる、という経験が多いのではないでしょうか。

 だから、最初は立っているとイメージして全然、OK。だけど、読み進めていくうちに、「尻を据えて」を読んだとき、「あ、座っていたのか」とイメージを修正する。

 それが、私たちが小説を読むときの自然な心の動きです。

 そうした、小説を読むときの自分の心の中のイメージの変化に敏感になること、それが、イメージして小説を楽しく読むための第一歩です。

 生徒たちには、それを経験してもらいたいのです。

 長くなったので、〈2〉の解説は次のブログに。

 

※ここで紹介したカットイメージによる『羅生門』の授業実践をまとめたレポートは、拙著『映画を観ているみたいに小説が読める 超簡単!イメージ読書術』の巻末読者プレゼントで差し上げています。

 

 

 

 

 伊坂幸太郎の小説はおもしろいけど、情景描写が少なくて心に絵が浮かびにくいので、映画の方がいい、という人がいます。

 そうかなあ、伊坂幸太郎の小説は細部のしかけがおもしろいのに、映画では単純化されてしまうので、つまらないけどなあ、と私は感じました。

 

伊坂幸太郎の小説

 

 でも、伊坂幸太郎の小説がイメージしにくい理由はわかる気がします。

 

 蝉、鯨、槿(あさがお)、鈴木     …『グラスホッパー』

 天道虫、蜜柑、檸檬、王子、木村…『マリアビートル』

 

 などと、わざと読者のイメージ化をそらすような、符号化した人物名が並んでいます。

 実はそれは、読者に自由に人物像を描いてもらうための意図的なしかけだと思うのですが、そこに無味乾燥なものを感じてイメージが不十分なまま読み進めると、「読みにくい」、「入り込みにくい」と感じるのかもしれません。

 

 そんなときこそ「カットイメージ」を意識して、新たな人物が登場するたびに風貌のイメージをしっかり作って読み進めるようにします。

 すると、しっかりと伊坂ワールドに没入することができます。

 

 伊坂幸太郎のデビュー作『オーデュボンの祈り』は、案山子(かかし)がしゃべり、詩を愛読する殺人者「桜」が秩序をつくる……

 日本の島でありながら日本ではない、異世界を描いた小説です。

 

 ある意味(というか間違いなく)荒唐無稽な作品で、Amazonのカスタマーレビューでも、評価は真っ二つに割れています。

 

 私自身は、書かれている設定を素直に受け入れてひとつひとつ丁寧にイメージしていったら、けっこう楽しめました。

 

 読み終えたら、夢の世界を旅して戻ってきたような気分。

 

 そして、不思議と懐かしく、またあの世界へ行ってみたいが、入口が見つからないようなもどかしさが残ります。

 

 

映画を観ているみたいに小説が読める 超簡単! イメージ読書術