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甘き夢見し

男の子が目をさますと、いつものようにおばあが横にいます

「おきた?」

でも何かが違う

そうか

「おきた?って…これ夢でしょ?」

ちりんちりんと風鈴が鳴る

男の子の頭にはきつねのお面
さっきお面屋さんからカボチャの面をもらったはずなのに

やはり夢だと私も思う

「のどが渇いた」
「お水でも持ってこよか?」
「お水じゃないのがいい」
「何がええの?」
「かちんと音がして、飲むとシュワッとするの」
「ラムネ?」

その途端

「ら~むね~、ら~むね~、らむねはいらんかね」

と物売りがやってくる

「ラムネをひとつ」

おばあは男の子にラムネを渡し

「ええ天気やね」
「いい天気じゃない時もあるの?」
「ええ天気やない方がいいなと思ったらそうなるんやないの?」

やっぱり夢だ

「おなかすいた」
「野菜でも持ってこよか?」
「甘いのがいい」
「ぼた餅でも持ってこよか?」
「甘くて、にがくて、すぐとけちゃうのと
甘くて、丸くて、あまりとけないのがいい」
「チョコレートとキャンディ?」
「そう」

そう言った途端、またあの物売りがやってくる

「お~かし~、お~かし~、おかしはいらんかね?」

今度は男の子が声をかける

「チョコレートとキャンディちょうだい」

物売りはかくんと首を傾けて
まるで声の主を探しているかのよう

「チョコレートとキャンディちょうだい!!!!」

叫んでも、やっぱり同じ

でもおばあが声をかけると、その手に渡るチョコとキャンディ

「まいど」

あの人、今、僕のこと見えてなかったよね?

夢だからかな

これ夢だよね??

どうして夢だって言ってくれないの

…もしも夢じゃなかったとして、それでもそばにいてくれる?

「夢なのにどうして起きへんの?」

そこへ狐の「友達」やってきて

ぼ~くちゃんが欲しい

となりのねーさんとちょっときておくれ

かぼちゃかぶってちょっときておくれ

懐かしいけどちょっぴり怖いわらべ歌


ぼくちゃんじゃわからん

そっちが怖くていかれない

「どうして友達と行かへんの?」
「だって友達じゃないもん!」
「そうなん?…お友達と遊びたないの?行っといで」

どうして…僕は起きれないんだっけ?

知りたい?と狐がたずねる

雨の中、おばあの家に向かった男の子

その後を人間達が追ってきます

ぱんぱんぱんと音がする

あわてた男の子は崖から落ちてしまいます

ちょうどその頃、おばあはひっそりお空の国へと旅立ちました

そう、ここはちょうど「あちらとこちら」の真ん中です

おばあはこちらに来たけれど

ぼうやはどちらも選べるの

「お面屋さんにおうたでしょ、お面屋さんのお面は特別やから」

ぼうやはどれをかぶりたい?

古いの?
キツネの?
カボチャの?

「おばあもお面屋さんに会ったことあるの?」「むかぁし、坊やの生まれるずっとずっと前。
坊や、お面もろうたでしょ
お面見てすぐわかった、あの人におうたんやなぁって」
「おばあもお面もらったの?」
「私はすぐに返してしもたけど」

「地獄町を探してごらん」
「地獄町?」

「地獄と言えば?」
「オニ?」

首をふるおばあ

「地獄と言えば?」
「悪魔!」

やっぱり首をふるおばあ

「地獄と言えば?」
「………妖怪?」

おばあがうなずきます

「また会える?」
「会えるよ」
「いつ?」
「お盆かな」
「お盆だけ?」
「ほかにあるん?」

「あるよ」

男の子はもう知っています

お盆以外におばけにもオニにも妖怪にも会えるお祭りがあること

はるかかなたから声が聞こえてくる

はよう、はよう

おはよう、ジャック先生!!!!

目がさめると地獄町の住民達が男の子をのぞきこんでいます

男の子は今ではこの町の住民なんです

おばけと呼ばれた男の子はカボチャのお面を選び

この妖怪の町「地獄町」に招かれたハロウィンの先生・ジャック・オーランタン

はい、地獄町は妖怪の町なんです

公務員のオニコさんは鬼

神社の巫女さん、コマキちゃん
そのお兄ちゃんのコマオくんは狛犬兄妹

和菓子屋のアライさんに小豆洗い
お面屋の美目さんはのっぺらぼう
建築屋さんのトカベくん、漢字で書くと塗壁

そしてニートなワラシちゃんは座敷童子

……ね、家にいるのが仕事でしょ(爆)


おばけと呼ばれた男の子を助けてくれたお面屋さんは美目ちゃんのお父さんです

今回の「読み芝居」

お父さまから聞いたお話…というのは偶然にも彼の物語だった

町の住民達は心配します

やはり思い出すのはつらいかなと

でももう大丈夫

僕はもうあの町にはいなくて

今ではここの住民だから

そして皆で楽しく歌って踊って大団円


…と、著作権というのを知っていますか状態でおぼえていること全部書いてしまいました

ごめんちゃい


ジャック先生が新しく町にやってきた子だとわかると

出し物であの読み芝居をやるっていうの

町のジジババ…長老達にご紹介って意味にもなるのかなって思ったりしましたよ


でも初回はこの夢物語、ひじょーーーーーーーーに怖かった

夢だよね、夢なのになんで起きれないのかなって

閉暗所恐怖症には最たるもんですよ

渡辺さん演じる夢の中の男の子のキョドキョドっぷり
まんま私のキョドキョドとリンクしてました

こっちくんな、そっちには行かれないー!!!!!って全力で一緒に力んでました(爆)

そのキョドキョド渡辺さんと

全く目が動じない鵜飼さんとのコントラストが非常に良かったっす


あ、そういえば童夢がキラキラネームだから嫌だと言うワラシちゃん

「この年になってわらしべの夢でドームって」という言い分なんだけど

それなら「やかたのゆめ」って普通名乗るんちゃう?とか思うんですけど

まあ特性上、童は名前からはずせないくくりがあるのかもしれませんね、種族的に


それと、古いお面ですが
作りは同じだけれど、男の子のお面だけは少し違っていたのよね

しかし私は見るたびに「クウガ!!!」って思ってました(爆)

トリックおあデリート

こちらは「読み芝居」とありました

町のジジババ…もといお年寄り達から何か私らも楽しめるものやれと言われて
美目さんが昔お父さまから聞いたお話を読み芝居にしてはどうかと提案します

この時の美目様の「ちょっと近い」って言い方がとても好きでした(爆)

先ほどのワラシちゃんのメイクはこの読み芝居用だったのです
途中顔に「肉」とか書かれてたけど、オニコさんは修正の名人ですね(笑)


このお話は「おばけ」と呼ばれた少年の話

山の向こうでおばあと暮らす男の子は
ある日、おばあから祭りに行っておいでと言われます

ずっとオニのお祭りだから行ってはいけなかったのです
夏の夜空に光っているのはオニのかがり火だと聞いていたのです

だけど今年は
このお面を決して取ってはいけないけれど
お祭りに行っておいでとおばあは言うのです

おばあも一緒に行きたいけれど、足が悪いので一緒には行けない
ひとりで行っておいでと


男の子はでかけていきました

たくさんの夜店を見てまわって

その中で男の子の目にとまったのは「きつねの面」でした

「ここでつけていくかい?」とお面屋さん

「でも、おばあがお面を取っちゃいけないと言ったんだ」

「ここには俺しかいねぇよ、さあ、つけちゃいな」

男の子はおばあのくれた古い面をはずしてきつねの面をかぶります

男の子はお面屋さんにおそるおそるたずねます

「あんた、人間か?」

「おうよ」

オニしかいないと思っていたお祭りに「人間」がいた

祭りに行って「人間」に会えたら言おうと思っていた

「友達になってくれないか?」

お面屋さんは言います

「もう友達だ、これをやるよ」

手に握らせてくれたのはビー玉でした

「次に会う時は俺が何かあげるよ」

そう約束して少年はおばあの家に帰りました

それから時がたつのがとてもゆっくりに感じられた

いつもなら夏が終わると、すぐに秋、冬、春がやってきて

すぐにオニの祭りの時期になったのに

今年はまだ秋も過ぎ去らない

男の子はこっそりとおばあの家を抜け出します

町につくと、そこはやっぱりお祭りのような

不思議な飾りがいたる所にありました

自分と似たような年の男の子や女の子が
かぼちゃのお面をつけて楽しそうに走り回っています

子供達が男の子に声をかけます

「仲間がいないのなら一緒にお家を回ろう」
「なんで?」
「ハロウィンだもん」

男の子は皆と一緒に家々を回ります

やがて

皆の両手がお菓子でいっぱいになった頃

「さあ、お家を回るのはこれでおしまい、パーティーだ!」

そう言って、皆は面をはずしだしました

だけど男の子は面が取れません

「どうしたの?お面をはずさないとお菓子が食べれないわよ」
「早くはずせよ」

なかなかお面をはずさない男の子

もみあっている内に誰かの手が面にさわって
落ちて割れてしまいました

男の子の顔を見た子供達は

「おばけだ、本物のおばけが出た」と言って逃げてしまいました

1人逃げ遅れた女の子も

男の子が近寄ると、身を小さくして震えています

そして男の子は思い出すのです

なぜ自分の回りにおばあしかいないのか

お父さんもお母さんも自分が生まれた時に

「私達はおばけを生んでしまった」と男の子を捨てて逃げてしまったこと

思い出して


男の子はもらったお菓子をそっと置いて

女の子に言うのです


「ごめんな、おばけで」


怖くて怖くて

でもその女の子はとても優しい子でした

「そうじゃないの」

だけどその声は男の子には届きませんでした

仲間を連れて女の子を助けに来た子供達

その声を聞いて駆けつけた大人達の間を男の子は駆け抜けます

雨が降ってきて、帰り道がわからなくなった男の子に声をかけたのは、あのお面屋さん

お面屋さんは男の子にカボチャのお面をくれました

「でも俺、もらってばっかりだし…おばけだし」

「実は嘘をついてたことがあるんだ、俺もおばけなんだよ」

お面屋さんはそう言うと、かぶっていたお面をはずしました

そこにはあるはずの目も鼻も口もありませんでした

お面屋さんは「のっぺらぼう」だったのです

「怖いかい?」
「いいや」
「そうか、やっぱり坊やは俺の友達だ。さあ行きな」
「また会える?」
「会えるさ。友達なんだから会おうと思えばいつでも会えるさ」

そう言って、お面屋さんは男の子を逃がし

「この町も悪くなかったんだがな」と自分の面をはずして

追ってきた人間達を散々おどかして町を去って行きました

その後、そのお面屋さんを見ることも、おばけを見ることもなかったそうな

神様のいたずらか、人間が消したのか?

それを知ってるものはおりません


さあ、どうだ

私好みの作品であろう(お客さん、ほぼあらすじ書ききってますけど)

この話に関しましては二次創作モード発動

それは後ほど(え?)


この舞台

対面式なので観ているこちらは普通に観客なのか

それともなんか出し物やれと言った町の妖怪長老組なのか

ってそんな気分になったりもしましたよ


このお話でのわたくし的泣き所1つ目は

男の子の「ごめんな、おばけで」

だってまだ小さな小さな男の子なんですよ

ぽろぽろぽろぽろ泣きたいのは男の子の方だ

だけど泣かずに

いや、泣けずに

なので私が泣いた(おい)


そして2つめは「お面屋さんとおばあの恋」

え?どこにそんな要素があったのかって?

感じ取りました(おいおい)

バケ、モノガタリ

半エチュードというのだそうです

大まかな筋は決まっていますが、その日によって……ものごっつ長くなっていったよね(爆)

ワラシちゃんの「先生」への芽生えたばかりの恋心とか
アライくんの美目ちゃんへの思いとか
(千秋楽のかぼちゃをそっとはずしてあげるとこが、とっても紳士でした)
日々日々濃くなるメイク…メイク?(笑)

そしてなんといってもコマオくんのポエム

SAY企画…最年少男子には試練を与える…ってなんかくくりがあるんですかね

その方向、良いと思います(いいんかい!!!)

千秋楽では前任者が横の席にいらっしゃったので
カーテンコール時にポエム流れた時、ついそっちを見てしまいましたが
思いっきり楽しそうにやじっておられました

次回、それが君に戻ってこないとは限らないんだよ、と思いながら
それを隣で楽しく拝見させていただきました(爆)

ポエム、個人的には「絹でこされたい」と
「はんぺん、たまご、ちくわぶ」が好きでした

が、前任者は2回同じネタをやらなかったよ(やれなかったとも言う)

コマオくん、精進しなはれ(笑)


コマキちゃんのコスプレも毎回楽しみにしてました

アリスに白ウサギで返したワラシちゃんの頭の良さにも惚れ惚れしましたよん

あと…ワラシちゃんの化粧道具

絵の具、色鉛筆…までは耐えられた

まさかクーピーくるとは思わんかったよ、やられました(爆)