甲骨文字百顆印 第七十一顆 / 白文・7mm角・新疆彩凍石
01 「雪」という文字について
| 意 味 | ゆき |
| 成り立ち | 会意文字。『雨』と『ヨ(ほうき)』の組み合わせ。積もった雪を掃き清める意。甲骨文字の段階では雨の下に鳥の羽の象形で、水滴が羽のようにヒラヒラと舞い落ちる樣子を表していた。 |
| 部 首 | 雨 |
| 現代漢字の畫數 | 11畫 |
甲骨文字の「雪」は、雨の下に鳥の羽がある形だったとされる。「羽」の回で鳥の羽の象形の話を書いたが、まさかその形が雪の表現にも使われていたとは思っていなかった。ヒラヒラと舞い落ちる雪の姿を、鳥の羽の動きで表した発想が美しい。現代字のほうきで掃き清めるという表現も素敵だが、甲骨文字の段階の方が詩的だと思う。
02 ほうきで掃き清めるという表現
現代の「雪」の下半分は、ほうきを表す「彗」が変化したものだとされる。
雪が降ると、あたり一面が白くなって清らかになる。その様子を、ほうきで掃き清めるという動作に重ねた。「掃」の回で神聖な場所をほうきで清めるという話を書いたが、雪が降ること自体がその清めの動作と同じ意味を持っていたということになる。
自然が大きなほうきで地上を一掃していく。そういうイメージが「雪」という一字に込められているとすれば、なかなか壮大な発想だ。
03 父と母がスキー場で出會った
雪という字を見て、スキーのことを思い出した。
父と母がスキー場で出會ったという話を聞いている。詳しい経緯は知らないが、当時はスキーが若い人たちの間でかなり流行っていた時代だったらしい。ゲレンデで出會って、仲良くなって、という流れだったのだろう。あの時代のスキー場がどんな雰圍氣だったのか、具體的には想像するしかないが、賑やかで楽しそうな氣がする。
その縁があったからこそ、小さい頃からシーズンになるとスキー場に連れて行ってもらっていた。ほぼ毎年行っていたと思う。行かない年があったかどうか記憶が定かではないが、「行かなかった年はなかったのではないか」というくらいの頻度だった。
04 スキー場の記憶
当時の記憶はおぼろげだが、雪山の空氣と光のことは覚えている。
晴れた日のゲレンデは、雪の表面がきらきらと光っていた。升った後の体の火照りと、冷たい外氣のコントラストが気持ちよかった。こけて雪まみれになっても、それはそれで楽しかった。
今はもうスキーをしていない。何年も行っていないので、今の自分が板の上に立てるかどうかも怪しい。でも、あの頃の記憶は体のどこかに残っているような氣がする。「復」の回で帰るべき場所があるという話を書いたが、スキー場もそういう場所の一つかもしれない。
05 人工雪は雪ではない氣がする
スキー場に人工雪が使われるようになって久しい。
でも、機械で作った雪は、空から降ってくる雪とは何かが違う。結晶の形が違うのかもしれないし、含まれているものが違うのかもしれない。あるいは、空から降ってくるという過程そのものに意味があるのかもしれない。うまく言えないが、人工雪はもう雪ではないという感覚がある。
「農」の回で人間が自然に過度に介入することへの違和感を書いたが、人工雪もそういう部類の話だと思っている。効率的で便利ではあるが、何かが失われている。
06 雪が降るとゴミが消える
今住んでいるところは海岸に近く、雪がほとんど降らない。
積もることもまれで、積もったとしても翌日には溶けていることがほとんどだ。だから雪が降ること自体が少し特別なことで、積もった翌朝の一面眞っ白な景色というのはそれだけで嬉しくなる。
そして、雪が積もると副産物として、ゴミが見えなくなる。毎朝続けているゴミ拾いも、雪の日は拾えるゴミがほぼなくなる。道に落ちているものが全部雪の下に埋もれてしまうからだ。これは「寶」の回でゴミ拾いの話を書いて以来ずっと感じていることで、雪が降った日の朝は地面がきれいに見えて、何となく嬉しい。
雪もほうきで掃き清めているのだと思うと、自分のゴミ拾いと同じことをより大規模にやっているということになる。
07 制作について
今囘も白文。字體は甲骨文字風で仕上げた。擊邊は入れた。彫る前に研いだ。
制作メモ
- 印 式:白文
- 字 體:甲骨文字風
- 印 材:新疆彩凍石(7mm角)
- 印 刀:刀匠印刀 三號(彫前に研磨)
- 擊 邊:あり
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甲骨文字の「雪」は雨の下に羽の形で、ヒラヒラと舞い落ちる様子を描いていた。その形を7mm角に收めた。「羽」の回で彫った形と近いものが今囘も登場したことで、字と字の間の繋がりを改めて感じた一顆になった。
08 甲骨文字百顆印 これから
七十一顆目で「雪」が加わった。
鳥の羽で雪を表した甲骨文字、ほうきで掃き清めるという詩的な表現、両親がスキー場で出會ったという記憶、ゴミが雪に埋もれる喜び。今囘も一字からいろんな景色が広がった。次の一顆も、楽しみながら彫っていく。
生成AIさんに作成いただいた画像はこちら、

漢字がすごいことになってるけど、いいですね(´艸`*)
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