この記事は、高校受験の自校作成校や都立中高一貫校への合格を目指す保護者の皆様に向けて、小学校高学年からの効果的な学習戦略を解説します。勿論、私立への対応も充分に可能な学習法です。
近年、難関校の入試で問われるのは「知識の量」ではなく、「思考力」です。特に、英語の「抽象化・要約」スキルを早期に習得することが、国語、算数、そして適性検査対策の最強の土台となります。
1. 自校作成校の英語対策が求める「高度な思考力」
高校受験、特に難関公立高校の自校作成問題は、大学入試改革の流れを汲み、複雑な情報処理能力を問う傾向が強まっています。
英語:問われるのは「文法知識」ではなく「情報処理能力」
自校作成校の英語対策で最も重視されるべきは、単に中3までの単熟語と文法を丸暗記することではありません。目指すべきは、中3までの基礎を土台として「英検2級レベル」の思考力を実現することです。
この目標を達成するための訓練こそが、「抽象化」と「要約」です。
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抽象化 (Abstraction): 具体的な事例やデータから、筆者が本当に伝えたい普遍的なメッセージ(主題)を抽出する能力です。文章の細かい具体例を切り捨て、その本質を見抜く訓練を行います。
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要約 (Summarization): 抽出した主題を、本文の表現を避け、既習の簡単な単語・文法(中3レベルまで)で、指定された語数内に再構築し直す能力です。
この訓練は、単に英語力を高めるだけでなく、文章を立体的に理解し、論理的に再構築するという、高度な情報処理能力そのものを育成します。
段階的な学習の意義
この思考力は、中1レベルから中3レベルへと、習得済みの文法・単語の範囲に合わせて段階的に難易度を上げていくことが重要です。
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中1レベルでは、基本的な文法と単語のみを使い、単純な文の統合と主題の特定という要約の基礎を身につけます。
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中2レベルでは、不定詞、受動態に加え、因果(because)や譲歩(although)の接続詞を分析し、複雑な論理構造の理解と複文での表現力を高めます。
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中3レベルに至っては、関係代名詞や英検2級必須語彙を駆使し、長文全体の抽象化と、オリジナルの表現を使わない指定語数での再構成(パラフレーズ)を目指します。これは自校作成や英検2級の記述問題への直接的な対応力となります。
2. 英語で鍛えた思考力は「国語・理数」へ横断する
英語学習で獲得した「情報構造の分析力」と「抽象化能力」は、科目を超えて、国語、算数(数学)、理科へ応用可能です。
📘 国語(現代文・適性 I 対策)への応用
現代文の読解や適性検査Iの小論文では、論旨の正確な把握と論理的な記述が求められます。
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抽象化の訓練で具体例を無視する力は、国語においても筆者の感情的な描写や補足情報を切り捨て、普遍的な主張だけを抜き出す力となります。
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論理構造把握の訓練は、国語で「しかし」「すなわち」「なぜなら」などの論理マーカーを分析し、段落間の因果関係や対比を正確に読み解く力となります。
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要約(Paraphrasing)の訓練は、難解な表現を論旨を保ったまま自分の言葉で平易に記述し直す、記述力の基礎を築きます。
🔢 算数・理数(適性 II・III 対策)への応用
小学校5年生頃は理数特性が色濃く出始める時期であり、特に図形(立体図形)と比や分数などの割合は、この思考力訓練の重要な対象です。
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図形(立体図形)の学習では、単に公式を当てはめるだけでなく、「なぜこの補助線を引いたのか」「図形をどう分解/変形したのか」といった空間的な抽象化のプロセスを言葉で説明させることが重要です。これは、後の幾何学や物理学に必要な空間認識能力と論理的思考力を養います。
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比や分数などの割合の学習では、速さや濃度といった三量関係や、全体と部分の比率を論理的な構造として捉え、分析させます。英語や国語で鍛える「構造把握力」は、算数・数学において「問題の構造」を読み解く力に直結します。
これらの訓練は、特に適性検査 III で要求される非定型な問題の構造を読み解く力となり、高い対応力を生み出します。
3. 【結論】自校作成対策は「中高一貫校対策」を兼ねる
自校作成校の英語対策として、中3までの文法知識を土台に「抽象化・要約」を鍛えるアプローチは、結果的に、その中学生版にあたる都立中高一貫校の適性検査対策をも可能にします。
この多角的な思考力訓練は、知識量ではなく思考力を測る適性検査の各分野へ高い対応力を示します。
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適性 I(小論文・記述)への対応は、英語・国語での要約訓練による論旨の正確な把握と論理構成力で賄われます。この分野に関してはかなり早期から学習できることが魅力だと言えるかと思います。
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適性 II(分離横断型)への対応は、全科目での構造把握訓練による複数資料の統合と課題解決力で高まります。独特な思考パターンを身につけることはどちらかというと探求や自由研究などから学ぶと効果的だと言えるかもしれません。
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適性 III(数理的思考力)への対応は、算数での「なぜそうなるか」の言語化訓練による非定型問題の構造分析力で可能になります。条件や環境、様々な設定からの対応になるので難易度は上がりますが、今後理系に進路を進みたい子にとっては早期からの対応が必要になるかと思っています。
4. 受験ルートを問わない「最強の学習戦略」
この「抽象化・要約」の訓練は、単なる知識の先取りではなく、「思考のスキル」の先取りです。
この思考力の土台は、小2頃から芽生え始める図形や割合の基礎の学習から意識し、小5頃から中3までの基礎単語・文法を土台として、英検2級レベルの「抽象化・要約」に段階的に挑戦していくことが理想です。正直にいってしまうと、小学生(4年生くらいまでに)英検2級相当のCSEスコアを取れている子に関しては、方向性さえミスらなければ、中受・高受はかなり楽に進むことが出来ますし、いっそ算数へシフトすることがいいのかなとさえ思います。ポイントとしては英検で培ったスキルをそのままにし他教科は「暗記ゲー」にしてしまうのはかなり勿体ないと思っています。
小学校低学年からの家庭学習において、この「スキルの先取り」を一貫して行うことは、中学受験・高校受験のどちらのルートを選ぶにしても、お子様の学習効率と成果を最大限に高める最強の戦略となるでしょう。
参考になれば・・・
でわ
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