【シャーロット(米ノースカロライナ州)及川正也】激戦の米大統領選民主党指名争いは6日、インディアナ、ノースカロライナ両州で予備選が行われ、バラク・オバマ上院議員(46)がノースカロライナで大勝する一方、ヒラリー・クリントン上院議員(60)は接戦のインディアナを小差で制した。獲得代議員数で劣勢の同氏が辛くも「1勝1敗」に持ち込んだため、指名争いの決着は最後の予備選が終わる6月以降になることが確定した。
オバマ氏は同夜、「ワシントンの政治を変える必要があると判断してくれた」とノースカロライナの勝利を宣言。クリントン氏はインディアナの勝利確定を前に「この勝利はあなたたちの勝利。私はさらに支援を必要としている」と語った。
ノースカロライナの代議員総数は134人でうち115人が予備選で争われた。インディアナは85人でうち72人が選挙で選ばれる。両州を含む残り8州・自治領の中で最も代議員数が多いため、両陣営は「最後の大決戦場」と位置付け総力戦を展開した。
オバマ氏はノースカロライナで、投票者の3割強を占めた黒人層の圧倒的な支持を獲得。ただ、親交があったライト牧師の過激発言などの影響で、クリントン氏の地盤であるインディアナで攻めあぐんだ。クリントン氏はインディアナで支持基盤の女性や高齢者層に加え、白人労働者層からの支持取り付けに奔走した。
米CNNによると指名獲得に必要な全代議員の過半数までオバマ氏は189人、クリントン氏は344人と迫った。残り5州1自治領で選出される一般代議員計217人だけで一方が過半数を得るのは不可能な情勢で、上下両院議員らから成り全代議員の約2割を占めるスーパー代議員の動向が焦点になる。
共和党も両州で予備選が実施されたが、すでにジョン・マケイン上院議員(71)の指名が確定している。
◇クリントン氏、しぼむ逆転戦略
【インディアナポリス(米インディアナ州)大治朋子】米大統領選民主党指名争いで逆転を目指すヒラリー・クリントン上院議員は、6日のインディアナ州予備選を小差で制した。だが、同日実施のノースカロライナ州予備選でバラク・オバマ上院議員に大勝を許したため、獲得代議員数で同氏にさらに引き離され、逆転戦略の望みは急速にしぼみつつある。一方、大票田で勝利したオバマ氏は指名獲得を視野に入れた。
「皆さんのおかげでホワイトハウスに全速力で向かっている」--。クリントン氏は6日夜、インディアナ州でこう演説し、指名獲得に向けた「前進」を強調した。だが、反転攻勢への道のりは、一層厳しさを増したのが現状だ。
選挙で選ばれる一般代議員数で引き離されたクリントン陣営は、地盤のインディアナで大勝し、黒人の多いノースカロライナでもオバマ陣営に迫ることで、上下両院議員らから成るスーパー代議員に「本選(11月)で勝てる候補」をアピールする戦略だった。
だが、今回の選挙戦でその「最善のシナリオ」はほぼ姿を消し、クリントン陣営は最後の「切り札」に望みを託しつつある。
「すべてのアメリカの大統領になるために立候補している。だからフロリダ州、ミシガン州の投票は大切だ」。クリントン氏は6日の演説でこう訴えた。
党則に違反して予備選を前倒し実施した両州は、代議員資格を失っている。両州の予備選で勝利したクリントン陣営にとって、代議員資格の見直しや再選挙などが認められれば、逆転の望みが再び強まることになる。
クリントン陣営の中には、党大会の代議員資格審査委員会で両州の資格復活を協議すべきだと主張する声もある。しかし、両州での再選挙などは一時検討されたものの、党幹部やオバマ陣営の強い反対もあり、実現には至っていない。
一方、オバマ氏は6日夜の勝利宣言で「指名確定に必要な残り代議員数は200を切った」と指名獲得への自信を表明。声明でインディアナ州での惜敗を「予想を上回る健闘」と自画自賛した。
◇態度未定のスーパー代議員280人の争奪戦に
【シャーロット(米ノースカロライナ州)及川正也】長期化する米大統領選の民主党指名争いは、6月3日までに残る5州1自治領で選出される一般代議員約220人と、いまだに態度を明らかにしていないスーパー代議員約280人の争奪戦に収れんされてきた。
世論調査などによると、獲得代議員数で先行するバラク・オバマ上院議員はオレゴン、モンタナ、サウスダコタ各州で、これを追うヒラリー・クリントン上院議員はウェストバージニア、ケンタッキー両州と自治領プエルトリコでそれぞれ勝利が予想されている。
調査通りに運んだ場合、予備選などで選ばれる一般代議員計217人のうち55%はクリントン氏、45%はオバマ氏が獲得する見通し。選挙戦終了後もなお、指名獲得に必要な総代議員の過半数(2025人)までオバマ氏は75人、クリントン氏は204人足りない計算だ。
このため、6日現在で態度未定のスーパー代議員278人のうち、オバマ氏は27%から支持を得れば過半数に達するが、クリントン氏は74%の支持を獲得できなければ敗退が確実になる。
毎日新聞 2008年5月7日
なんか裏に黒いモノを感じますねぇ