康夫「太郎ちゃん、これからアメリカに行ってくる」
太郎「出張?」
康夫「サラリーマンじゃあるまいし」
太郎「それもそうだ。どんな用事?」
康夫「新型インフルエンザのワクチンを接種するんだ」
太郎「そのためにわざわざ?」
康夫「観光も兼ねてね」
太郎「しかし、アメリカまで行かなくても、政府優先枠が・・・」
康夫「そう、我々は、もう野党なのだよ」
太郎「だけど、国会議員は優先されるんじゃない?」
康夫「それを待ってる間に感染したらどうするのよ?」
太郎「むむむ」
康夫「それにさ、国民を差し置いてとか言われそうじゃない?」
太郎「確かに!」
康夫「だから、似てないってば」
太郎「確かに!」
康夫「死んだら、何もかもお終いなんだからね」
太郎「アメリカに行ったら、打ってくれるの?」
康夫「古い友人がいてね。どうにかしてくれるって」
太郎「アメリカは余裕だなぁ」
康夫「アメリカだけじゃないよ。イギリス、フランス、オーストラリア、ブラジル、イタリア、ニュージーランド、ノルウェー、スイスは、ワクチンを他国に提供するって、WHOに申し出たそうだよ」
太郎「余裕だなぁ。我が国は、アメリカから買おうとしてるのに」
康夫「やっぱ、先進国ってのはさぁ、こういう時に発展途上国に手を差し伸べるくらいの余裕がないとね」
太郎「だよね~、他国のワクチンに頼っているようじゃいかん。そうだ、早速緊急時用のワクチン製造施設の建設を計画しよう!」
康夫「だから、もう野党なんだってば」
太郎「そうでした。じゃあ、法案を提出するとするか。こういう事態に備えて、ワクチンの製造施設を国の予算で作り、平常時は凍結しておく」
康夫「いいアイデアだねぇ。これなら箱物行政と揶揄(やゆ)されることもない」
太郎「何?その揶揄って」
康夫「皮肉を言われるってこと」
太郎「へぇ~」
康夫「施設を眠らせるなんて、民間にはできないからね」
太郎「そうだよねぇ。民間の採算ベースの施設では、新型ウィルスが発生した時に生産量が間に合わない」
康夫「じゃあ、僕は言ってくるね」
太郎「待って!僕も行く」
康夫「法案作りは?」
太郎「死んじゃったらできないもん!」
康夫「そりゃそうだ」