夜のクラゲは泳げない 第1~6話 | 物語の面白さを考えるブログ

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2024年春アニメ『夜のクラゲは泳げない』を観ています。

面白いです。

 

心に鬱屈した感情を秘めた四人の女子高生が渋谷で出会い、匿名アーティスト〝JELEE〟を結成して、創作活動の道を進み始めるが――。という青春群像劇。

作品テーマは、「自分だけの好き」を見つけること。

承認欲求を満たすために、自分に嘘をついてでも「いいね」がもらえるような発信をする今の時代において、「好き」という気持ちと「承認」の間で苦しみながら、少女たちが「なりたい自分」を見つけるお話です。

 

 

第1~4話では、メインとなる四人のキャラ紹介をしながら、JELEE結成の経緯と、活動開始の第一歩目までが描かれます。

ここまでは起承転結の「起」ですな。

 

主人公の光月まひる。

幼少期はイラストレーター「海月ヨル」として活動していたが、クラゲモチーフの絵を気持ち悪いと言われたことに傷つき、絵を描くのをやめてしまう。

以後は〝ふつう〟の女の子として振る舞い、妹からは量産型と評されてしまうことも。

 

まひるが、元アイドルの山ノ内花音と出会ったことで、物語が動き出す。

花音は、まひるの描いた、渋谷の壁画を好きだと言う。

花音は、ある炎上騒動がきっかけでアイドルグループを脱退後、配信で歌っていたが、まひるのために路上で歌い、それを聴いて心を動かされたまひるは、再び絵を描き始める。

 

何やかんやで四人そろって活動開始。

右から、歌唱&作詞、MV製作、イラスト、作曲を担当。

花音のわがままで、無理なスケジュールで突貫作業をしたので、顔が死んでいます。

 

 

第5話「コメント欄」

  【JELEEちゃん】

 

まひるの創作したキャラター「JELEEちゃん」のイラストを動かし、MVを製作。

ネットにアップしてバズったのはいいけれど、コメント欄で「絵が下手」と言われ、まひるは傷ついてしまう。

一方で、好意的な反応も多く、ある有名絵師によるファンアートが送られてくることもあった。

喜ぶメンバーの陰で、まひるは複雑な思いを抱く。

それは、自分より画力の高いイラストレーターが、自分が創作したキャラクターを描いたことへの、「嫉妬」と「侵害された感」だった。

 

第5話には、いろいろと、思い当たることと、思うことがありました。

創作した作品を公開することは、とても怖いことです。

称賛の声ばかり聞こえればいいのですが、そんな都合のいいことは起こりませんから。

その怖れとどう向き合うか――。創作者が直面しなければならない壁のひとつです。

「批判の声」が、実は「敵」ではないと、気付けるかどうか。

まひるは、やる気を失ったり、花音に八つ当たりをしたりしましたが、最後には自分の実力不足を認め、画力向上のために努力をする道を選びました。――この落としどころは、実にまっとうで、実によかったです。

これは小説家の多崎礼さんのお話ですが、17年間、アルバイトをしながら投稿を続けてデビューしたそうですが、創作を続けるかどうか、悩みをご友人かどなたかに相談したところ、こう言われたそうです。「ものになるしかない」と。

つまりはそういうことなんですよ。

 

「私の絵と有名絵師の絵とどっちが上手いと思う?」とか問い詰める、めんどくせー女。

第5話のラスト、復活して前向きな気持ちを取り戻したまひるのほっぺに、花音は思わずキスをする。

あら~、まさかの百合展開!?

 

 

第6話「31(サーティーワン)」

 

第6話は、サブキャラのお話しでしたが、作品テーマである「好き」と「承認」の間がわかりやすく表現されていて、よかったです。

崖っぷちの地下アイドルから、JELEEに楽曲製作の依頼が届き、本人に会ってみると――。

 

みー子(17歳)さんは、18歳のときからアイドルの卵を続けて14年目という経歴の持ち主。

サブタイトルの「31」が、アイス屋さんではなく年齢だった件。

しかも――

 

小学生のお子さんがいらっしゃいました。

みー子こと本名・馬場静江さんは、バツイチのシングルマザーでした。

娘の亜璃恵瑠(ありえる)ちゃんは、アイドルを続けるお母さんが大好きなのに、同級生から、「お前の母ちゃん、変だ」と言われて、悩んでいました。

自分が好きなものを好きと思うのは〝変なこと〟なの?

 

実は第1話で路上ライブをしていたみー子さん。

 

このあと、花音ちゃんにライブを乗っ取られました(笑)。

この歌をきっかけに、まひるは花音と仲良くなっていくのですが――。

このとき破いたポスターの弁償を、みー子から、ちらつかせられ、楽曲製作の依頼を受けることに(崖っぷちアイドルのケアという危険な案件なので、最初は断るつもりでした)。

 

JELEEによる新曲が完成し、事務所脱退のかかった運命のライブ当日。

亜璃恵瑠ちゃんが会場に来ないことを心配する静江さん。

スマホの挙動からイジメを察知した静江さんは、迷わずライブをすっぽかし、亜璃恵瑠ちゃんのもとへ駆けつける。

亜璃恵瑠は、同級生からお母さんのことでからかわれている真っ最中でしたが、親が出る幕もなく、自分はお母さんが大好きだと言い切ってみせる。

自分の「好き」に胸を張る――。

わが子の姿に、静江さんはひとつの勇気をもらう。

 

一方、そのころ、花音ちゃんは、静江さんがすっぽかしたステージの穴埋めをやらされていました。元アイドルだけあって、このあたりは慣れたもの。

 

この後、もどってきた静江さんは、ファンの前で自分の本当のプロフィールを公表し、これでアイドル活動も終焉かと思いきや――31歳でアイドルを続ける姿に勇気をもらいました! などと好意的な反応が寄せられ、バズりましたとさ。めでたし、めでたし。

静江さんのMVの再生回数が、本家JELEEを上回っているのがジワる。

 

 

この歌すき。

 

ミニアルバム「JELEE BOX」は6月26日発売。

これは買いますよ~。