西尾維新 * 講談社ノベルス


シリーズ二冊目。ファウストで読んでいるので、書き下ろしの『出征!』のみ目当てで。

小学五年生の供犠創貴と、”魔法の国”長崎県からやって来た転入生・水倉りすか。水倉神檎を追う彼らの前に今回立ちはだかるは、最強の”天敵”!

一巻に比べて物語りは確実に核心へと向かって動いています。ツナギの登場で三角関係っぽくなってきましたし、創貴も前作よりいくらか丸くなっているような。ラストとか随分爽やかでどうしたんだ西尾維新、という感じ。とはいえ、嫌いではありません。


西尾 維新
新本格魔法少女 りすか2

重松清 * 講談社


私のところにも橋本さん親子がこないかなぁ。

いや、たとえきてくれたところで気持ちを立て直せるかどうかは怪しいけれど。決して動かない未来を修正するのは、過去の自分の過ちを認めること。それが出来ないならばきっとワゴンに乗っても意味はないのだから。

それでも願わずにはいられません。どうか、私の元にも流星ワゴンを。

暴力をふるう息子、浮気を重ねる妻、会社からはリストラ寸前。そんな37歳の秋。「死んでもいい」とさえ思った僕の前に現れた不思議なワゴンに乗って、自分と同い年の父と出会う……。

始まりの痛みは、ワゴンにのって次第に過去の傷を改めてゆきます。是非、色んな人に読んで欲しい。そして心が疲れたときに思い出して欲しい。

死んでもいい。そう思ったときにワゴンが現れなければ、それはきっとまだ大丈夫だということだろうから。

重松 清
流星ワゴン

宮部みゆき * 中央公論社

面白い。どことなくありきたりな展開でありながら、しっかり見せてくれています。上手いなぁ。

いきなり五億円もの遺産を手に入れてしまった平凡な「僕」の一家。ゆらゆらと立ち込める暗雲を取り除き、家族の絆を取り戻すため、僕は親友の島崎と謎の解明に乗り出します。

ミステリとしては勿論、家族小説としても読みたい。子どもの視点であるからこそ納得できるし、共感も出来る部分が多々ありました。

児童文学のノリで読むには少し深いかもしれませんが、中学生くらいから充分楽しめるんじゃないかなと。


宮部 みゆき
今夜は眠れない

歌野晶午 * 文芸春秋

ぎゃふん!

思わず口にして言わずにいられない。何この小説。こんなオチってありなんですか…!

いや、だから結局それがどうした、と言われると単に読者をひっくりかえしたかっただけなんじゃないかとも思えるのですが、しかしすごい。この発想はすごい。

あんまり細かい紹介はしたくありません。恋愛、活劇、本格、展開も様々なエピソードを交えて、バランスは悪いのですが(しかしこれが後々大きく影響してくるのですよ…)楽しく進みます。

一度引っ繰り返されたら、もう一度最初から読みたくなることは必至な作品。


歌野 晶午
葉桜の季節に君を想うということ

荻原規子 * 徳間書店

神々が地上を歩いていた古代日本、乱世の世を舞台にした和製ファンタジー。下手な説明は不要かな…。

面白いんですけど、私やっぱりファンタジー苦手なんだなとしみじみ…。

うーん、展開的にはとても楽しめたしページ数もそう気にならないくらい一気に読めたのですが、だから結局なんなのだろう、みたいなところが…。共感しにくいと言うのか、素直に楽しかったー、と思えないのは私がひねくれているからですか…。


荻原 規子
空色勾玉

森絵都 * 理論社


毎日中学生新聞に連載していたものの加筆版。超・短編集。ネタ帳みたいな感じです。

すべての作品が原稿用紙三枚分という短さでありながら、実に上手く描かれていて、首を傾げたり噴き出したりじーんと来たり。

一気に読むにはあまり向いていないので、時間のある時にぱらぱらとめくってみると良いと思います。眠る前に一遍ずつとか。「旅」をテーマにした作品集なので、旅行のお供にも良いかもしれません。

何でもないのに心の隅にぽっと入ってくる、お気に入りの作品が見つかるはず。


森 絵都
ショート・トリップ

伏見憲明 * 河出書房新社

ゲイのフリーライター和紀の日常を描いた自伝的作品。作者の経験から示されたものが大半を占めています。

こういうタイプの本は感想が書き難いですね。ただでさえ同性愛ものは不要な発言が出来ないのに、自伝となれば一層…。

母親の恋愛もメインとなっていますが、こちらも切なくて…。いくつになっても恋心を忘れない、その姿勢に憧れはするものの、心は身体の一部でしかないのだと思い知りました。悲しい。

セックスシーンなど過激な描写もありますが、ゲイものとしてではなく一人の人間の人生として読んでみて欲しい一冊。


伏見 憲明
魔女の息子

響野夏菜 * 集英社コバルト文庫


反則的なサブタイトルです。ぐう。

自由な校風でありあがら、お情け一切なしの厳しいS県立単位制校・黄尾高校。ピチピチの十五歳からご老人まで選り取りみどりの黄尾校の保健室には、もはや校内に巣食うウィルス扱いの『探偵団』が存在します。事件に遭遇すればうっかり犯人を自殺させてしまい、香港へ行けばマフィア相手に拳銃をぶっ放し、強請り脅迫なんのその、兼業ギャングの彼らの名は『東京S黄尾(トーキョー・スーパー・イエローテール』。

って、探偵はみんなが幸せになれるように事件を解決しなくちゃならない! なんて思想の人にはまったくオススメできないシリーズなのですが、長く続いたこの作品も、どうやら完結に片足を突っ込んでいる様子。

三年間姿を現さなかった行衡ママ・美津絵さんがニューヨークから帰還。「二十一年前のカレシ五人を探し出せ」、と依頼を告げる。多少困難なれどなんでもない調査だったはずが、あれよあれよという間にメンバー間の歪みが広がってゆきます。

とんでもないラストでくくられてしまっているので、さっさと次を読まねば。


響野 夏菜
東京S黄尾探偵団―S黄尾、解散!?

村上春樹 * 講談社

年上の女性に恋をしたすみれを「ぼく」の視点から描いたラブ・ストーリー。ただのビアン小説ではないですよ。

痛みをともなう恋愛模様が描かれていますが、読後感はすっきりほっと出来ます。喪失の後の前進は、重いテーマを扱いながらしっとりと読ませてくれる描写の力が大きいかな。

何となく中山可穂の白い薔薇の淵まで を思い出しましたが、共通点はあんまりないはず。ビアン、行方不明、くらいかな…。

教師がみんな「ぼく」のように喩えが上手ければなぁとひそかに思ってみたり。奇妙、というか不思議な話でした。


村上 春樹
スプートニクの恋人

香月日輪 * 講談社YA!ENTERTAINMENT

長谷くんは過保護すぎると思うんですけどどうでしょうか。ぎゃ。かわいいなこいつら。

妖怪アパートでの生活も二年目となり、高校二年生になった夕士。魔導士の修行をしながらも平和な日常を送っていたのに、講堂にオバケが出るという噂が広まりはじめ…。

三巻目ということで、シリーズ自体も落ち着いて読めるようになってきたかなという感じ。方向性が定まってきたというか。二巻で唐突にヒエロゾイコンだの言われて正直混乱したのですが、今回はまったり楽しく読めました。

妖怪アパートで生活することに慣れきった夕士が、はたして今後どんな風に現実を見つめてゆけるか。楽しみです。


香月 日輪
妖怪アパートの幽雅な日常〈3〉