マンション選びは築年数だけで判断してはいけません。旧耐震から新耐震、品確法以降まで、年代別の構造・設計の違いを解説し、“原石”としての築古物件の見方を伝授します。後悔しない判断基準を知りたい方へ。本気不動産・佐藤による実践的アドバイス。
こんにちは、本気不動産の佐藤です。
今日は「マンション選びで築年数だけを基準にするのは危ないよ」というテーマでお話しします。
「ああ、新しい方が安心でしょ?」と思っているあなた、ちょっと待って。築年数だけで“いい・悪い”を決めてしまうと、意外と失敗しやすいんです。
◎ 導入・テーマ設定:築年数だけでは測れない価値
まず、相談を受けていると、「築浅が絶対いい」「築古はダメ」という思い込みを持っている方が本当に多いです。でも、それは誤解の元。
マンションの住みやすさや価値は、構造・建築基準・設計・構造バランス・法改正経緯・間取りトレンド・メンテナンス状態など、複数の要素が絡んでいます。
そのため、「築年数至上主義」では見落とすリスクが大きいんですね。
僕(佐藤)は不動産業25年、売買実績1200件超、査定相談4000件超の経験があります。
その中で常に伝えているのは、「後悔しないための本音情報」を出すこと。今回も、築年数別の特徴を丁寧に整理して、最後まで読んでいただければ“見極め力”が確実に上がるように構成しました。
◎ アプローチの全体像と到達目標
この記事では、以下の観点を年代別に整理していきます:
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建築基準・構造上の違い
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設計・間取りトレンド
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価格動向・マクロ要因
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中古・リフォームとしての価値
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各年代の“おすすめ度”と注意点
これらを知ることで、居住快適性やリフォーム適性、コストパフォーマンスを総合的に見られるようになります。
特に、旧耐震を含む築古物件を「除外対象」とするのではなく、“原石を磨く”視点で再評価する力を持ってほしいと思っています。
年代別で見る構造・法基準・設計の違いと評価
以下、年代を区切って解説します。
① 旧耐震(昭和56年6月1日以前)物件
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基準・構造面
旧耐震は、現在の耐震基準より前の時代のもの。法律上は“旧耐震”ですが、実務上、RC(鉄筋コンクリート)構造では無筋では成立しないため、配筋がされているケースがほとんどです。また、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造の物件も当時から存在しました。 -
強みと弱み
強み:価格が抑えられていること、希少性ゆえの個性
弱み:壁量不足、バランス不良、1階構造の弱さなど、地震時リスク要因が出やすい -
評価のコツ
築年数だけ否定するのはナンセンス。重要なのは「柱・梁・壁のバランス」「補強履歴」「配管更新履歴」「管理状態」など。
旧耐震の「素の評価」は☆2 くらいですが、リフォーム内容や構造補強次第で☆4.5 相当まで伸ばすことも可能。
僕なら築40~50年程度の物件を選び、リフォームで快適にする戦略を取ります。ただし、築50年級は工事制約が出やすいため慎重に。
② 新耐震(昭和56年6月1日以降~おおよそ2000年あたり)
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基準・構造面
新耐震以降は、「震度6強程度に耐える」基準が導入されました。ただし、揺れの型(長周期地震波など)や地盤条件、建物バランス次第で“耐性”は変わるため、すべてが万全というわけでもありません。 -
設計トレンド
団地型・通路型、L字型複合配置、タワー型などバリエーションが拡充。高級仕様や意欲的な設計も見られます。ただし、この期には物件差が大きいのが特徴。 -
評価目線
新耐震期は“試験期”的な側面もあり、当たり外れが出やすい時期。法基準を満たしている物件でも、設計の妙・品質差で差が出ます。
この時期は、☆3 前後の評価レンジ。ただし、状態良好で管理良好なら高評価も可能。
③ 2000年以降(品確法以降~現行基準に近い時期)
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基準・構造面
2000年(およそ1998~2000年あたりから)住宅の品質確保促進法(品確法)が導入され、壁厚・床厚・耐久仕様などの基準が見直されました。
維持管理のルール整備も進み、現行の新築基準に近い仕様が標準化されてきます。 -
設計トレンド
アウトフレーム化(構造柱を室外に出す設計)が普及し、室内の使い勝手が良くなるケースが増加。設備・配管のメンテナンス性も向上。 -
評価目線
この帯はコスト・性能・流通性のバランスがよく、最もおすすめ度が高いゾーンと僕は考えています。築10~25年程度の物件もこの範囲に入ることが多く、中古でも高評価を得やすいです。評価は☆5 程度が理想。
④ 最新築(震災後~現行新築水準)
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特徴
耐震・制震・免震技術、最新設備、高級仕様などが盛り込まれており、品質は高い。ただし価格が非常に高くなりがちで、「手が届かない」ことがマイナス要因になりやすい。 -
評価目線
性能的には星以上の満足が得られる可能性もありますが、コスト・予算の制約で☆4 程度にとどまることも。
立地や開発性の高さを重視できるなら選択肢になります。
価格高騰の背景:時代とマクロ要因で振り返る
マンション価格がここ数十年で大きく高騰してきた背景を時系列で見ておくと、なぜ中古が強みを持ち得るか理解しやすくなります。
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2008年リーマンショック
このショックで一時的に中古相場が下落。だが、それを契機に供給が抑制され、新築建築業界全体に影響が出ました。 -
2011年 東日本大震災
復興需要により職人・人材が都市部に集中。人件費上昇、施工体制の逼迫で建築コストが上昇。供給抑制圧力が高まりました。 -
コロナ禍(2020年~)
資材調達の混乱・世界的な物流制約により、建築コストがさらに上昇。ウッドショックをはじめ建材高騰が顕在化。
これらの複合要因で、新築価格は下がりにくい構造が定着。相対的に中古マンションやリノベーション案件の存在感が高まってきました。
最近のトレンドと中古マンションの相対価値
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間取りのコンパクト化
コスト抑制のため、専有面積を抑える方向へ。3LDK相当を4LDKに詰める設計や、1~2LDK中心の供給が増えています。これにより、ファミリー層には中古+リフォームという選択肢が強まります。 -
中古・リフォーム需要の上昇
新築価格と所得水準のギャップが広がる中、中古マンションを「素材(原石)」とみて、性能を引き上げる戦略がトレンドになりつつあります。 -
購入戦略としてのリフォーム重視
「本体価格を抑えてリフォームに予算を振る」戦略が現実的。半分近くをリフォーム費に回すケースも。リフォームで快適さ・性能を追求して、新築同等以上を狙う発想です。
ただし、築50年級になると建築制限(構造・法規制)が影響を与えることもあるので、そのあたりの見極めが重要です。
年代別おすすめ度と星評価の指針(佐藤の私見)
年代帯 | 推奨度(星目安) | コメント |
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旧耐震 | ☆2(最大☆4.5) | 素では評価低めだが、構造補強・リフォームで大化けする可能性あり |
新耐震初期(昭和後期〜1990年代) | ☆3 前後 | 当たり物件あり。設計や状態次第で評価が大きく変動 |
2000年以降(品確法以降) | ☆5 | バランス・性能・流通性の面で最もおすすめ帯 |
最新築・新築群 | ☆4(条件次第で☆5以上) | 性能は高いがコストとの折り合いが課題 |
もし私(佐藤)が自分で選ぶなら、築40〜50年クラスの古い物件を選び、全力でリフォームして快適性を追う戦略を取ります。新築にこだわるより“原石”を磨く発想が好きなんです。
ただし、築50年級になると工事制約や法的規制も出やすいため、個別の構造・配管・管理状態の調査は必須です。
まとめとメッセージ
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築年数だけでマンションの良し悪しを決めるのは危険。複合的な観点で評価すべき。
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古い物件には多様性と個性があり、設計やリノベーション力で差が出る。
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中古市場全体は強みを持っており、ストック活用・再生可能性を価値軸に据えるべき。
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皆さんの具体的な体験や相談テーマ(旧耐震購入例、リフォーム工夫、新築判断など)をコメントで募集します!
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相談はエリアネットの公式LINEやフォーム、またコメント欄でも受け付けています。
少し長くなりましたが、築年数だけにとらわれず、「構造・設計・リフォーム性」をセットで見ていく視点を持っていただけたら嬉しいです。
あなたのマンション選びに、少しでも有効なヒントを提供できれば幸いです!
YouTube動画リンク(本記事テーマと関連が深いもの)
下記の動画は、本記事のテーマと近しい内容です。読者の方にも参考になると思いますので、ご紹介します:
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