“わたしの家には鳥の足がはえている”
“すくっと立ち上がり猛スピードで走り出す”

とても面白い本でした。一気に読みたい本です。
ロシアの本です。この走る家というのはロシアの昔話に出てくるのでしょうか。
とても気になります。

主人公マリンカとヤーガである祖母バーバは走る家に住んでいます。家とヤーガのバーバは死者を送り出す役目を持っているのです。
マリンカはその役目を継ぐことを言われているのですが、あらがっていくのです。
このお話は設定も含め、生きていくことの意味を問うのです。自分の思い、世界を広げること、周りの人々の大切さ、お話が進むにつれたくさんのことをマリンカが知っていくのです。
本当に明日がわからないような過ごし方だけど、人との出会いはマリンカが変わっていくきっかけとなる、本当にいろんなことに気づける本です。

2019年のカーネギー賞ショートリスト作品

 

 

 

 

 

 

家にあったので読んでみる。

まず、私の勝新太郎氏へのイメージというと、やはりワイドショーを騒がせた事件のことや、奥さまである中村玉緒さんのバラエティー番組での活躍である。

座頭市で有名なこと、俳優さんであるということはわかっていても、実際の映画はみたことがない。(*1970年代までは映画やドラマによく出ている。その後は散発的。)

 

でも、この本はそんな勝新太郎氏のほんとうのところを見せてくれる。そして、映画を観たくなる。まず冒頭から、なんだか暗示めいているのだが、そこで一気に引き込まれる。

 

この本を読んでいると、見たくなる映像が数多く紹介される。とくに心躍るのは、才能と才能のぶつかりあうシーン、実験的な映像のドラマ、頭の中で映像を思い描いてみる。
 

「偶然生まれるものが完全なものだ」の信念のごとく、台本がないままに出来上がっていく映像。勝氏の「頭の中のデッサン」を作り上げていく現場。

 

テレビドラマ『新・座頭市』第十話「冬の海」

少女「てん」役 原田美枝子

 


 

 
剣での一騎打ち、これも映像で見てみたい。
 
剣豪役者、近衛十四郎との共演。殺陣の技術の共演である。
 
映画『座頭市』十七作目「座頭市血煙り街道」

 

 

 

 

 

即興演出で、雪を探しに福井県まで行っての撮影。

雪の中で最後まで考え抜いたラストシーン。

 

テレビドラマ『座頭市物語』第二十三話「心中あいや節」

 

はなれ瞽女(ごぜ)役、浅丘ルリ子

 

 

 

 


 

 
また、本を読んでいてわくわくするのである。勝氏のストーリーはすごいのである。次に何が起こるのか、次々とページをめくりたくなるのである。
 
映画界の華やかな時期、没落、そして、活躍の場を失っていく勝氏。これが、なぜ起きていくかが書かれている。心に残る映画が作られる時というのは、まさにスタッフと一体になっての幸せな時間ということも。そして、それは奇跡ともいえるのかもしれない。ほとんどの映画は予算や期限によって、ある程度の妥協のもとに作られているだろう。きっと、映画で満足がいくまで撮れるというこというのは、ほとんどないのかもしれない。もちろん、そういった制約の中で逆に工夫してうまくできていく映画もあるのだろうが・・しかし、ゆるされる時間やお金があって、そして、勝氏のような才能とよりよいものを求める魂とそれに呼応するスタッフたちがいて初めて成立した映画たちがここにはある。

 

勝氏はこだわりぬいた。そのことは、映画会社の没落とともに時代と合わなくなる。また、映像世界に没頭し、自分自身や周りとの折り合いをなくしていった勝氏の一面なのかと思う。もっと、楽に生きる方法があっただろうに、と傍目には見えてしまうが、そうとしかきっと生きられないのが勝新太郎氏であったのだろう。

でも、ここまで魂を込めて、演じること、映像にこだわりを見せた人の映画は見てみたいなと思う。

 

(過去ブログより)

2010年の本屋大賞。

この本を読んで嬉しかったのは、日本史で名前を覚えた人たちが生き生きと活躍すること。

 

 

 


江戸時代、徳川4代将軍徳川家綱が統治する時代、主人公は渋川春海。碁をもって徳川家に仕える碁打ち衆。算術にも興味を持つ春海は日本独自の暦を作りあげる大仕事に携わるようになっていきます。
 
登場人物に、会津藩士で算術家・安藤有益、天才・和算の関孝和、水戸藩二代目藩主・水戸光圀、学者・山崎闇斎、徳川幕府の影の総裁・保科正之、加賀藩主・前田綱紀、日本史の教科書で見てきた人たち。でも、名前や肩書きは知っていても、具体的には、どう行動したのかを知らない人たち。日本史の教科書でどう記されているか確認したかったけれど、探すにも、とってあったかも覚えていないのであきらめました・・・
 
上下巻を読み終わって感じるのは、春海の成長と人々の情熱です。23歳から46歳、年月にして約23年なので当たり前といえば当たり前なのかもしれないけれど、ひとつの暦をかけての大勝負に碁打ちのように、始まりでは頼りなかった春海が、布石を打ち込んでの確実な勝負をしていくのです。
 
そして、大仕事の源となる情熱。春海にその仕事を任せた人たちの情熱、自分でやりたくてもできない人の情熱、春海と一緒に改暦事業に携わる仲間たちの情熱、もちろん春海の情熱も強いです。冒頭に出てくる、神社での絵馬での算術勝負。圧倒される算額奉納絵馬の数々。神社の絵馬や私塾で問題を出して、解きあう人々。江戸時代の人々が算術を趣味や娯楽として行っていたのです。暦を作るために、歩測と算術で北極出地を予想する二人の老齢の書道家と医師。みな、学ぶこと、解くこと、喜びに満ちています。
 
失敗を重ねても尚、「明察」を求める春海の情熱。人々の情熱。その空気感が本の中にはあふれています。

未読の『光圀伝』も気になります。『天地明察』の中にも、光圀は独特の人物として登場しています。
(過去ブログより)

この本の登場人物はみな個性的。

着ぶくれ女、運び屋、語学屋、戻し屋ちゃん。
いちばん、ふつう(?)なのは図書館長。
それから、大事なのは、着ぶくれ女の飼い猫ギィ。

 

とにかく設定がおもしろい。
ツクツク図書館は「つまらない本」を蔵書する図書館。
図書館職員の仕事はつまらない本を読むこと。

 

図書館には部屋がたくさんある。そして、一つ一つの部屋に名前が付いている。
≪魅惑的な一文から始まる小説の部屋≫≪草原でたわむれる部屋≫≪脱獄の部屋≫≪雨に打たれた女学生の部屋≫…いろいろある。伝説の本の噂なんかもある。

 

それぞれのミニストーリーがつながっていく小説だけれど、この図書館の世界は気になってしょうがない。少しずつ、登場人物のストーリーは紹介されるけれど、読後も謎はたくさんある。

 

着ぶくれ女はなぜ着ぶくれになったのか。
館長はなぜ、ここの図書館に雇われることになったのか。
猫ギィの元の飼い主の本はあるのか。

 

自分自身の謎としては、館長は男の人なのだけど、読んでいるとどうしても女の人と思ってしまうところである。おじさんと言われる場面もあるし、他にも男の人だとわかる場面があるのだけど、常にいろいろと心配している姿がお母さんっぽいのか、なぜだか女の人に思えてしまう。

 

このお話が終わっても、こうやって読んだ人の中に疑問を残しつつストーリーを想像させてしまうところがこの本のすごいところかもしれない。

 

絵本にしたら楽しそうだなと思う。一つ一つのストーリをそれぞれ1冊の絵本にできそうだ。

 

それから猫のギィの姿は想像するにかわいい、そして、ちょっとせつない。

 

いつか行ってみたいような、そうでもないような、でも、行くことができたらすごい人な、不思議な図書館です。

 

 

 

(過去ブログより)

 

 

 

 

 

 

 

病院に入院しているときに図書館があるといいな、あったら通ってしまいます。

題名で読んでみたいなと思いました。

この本の主人公は、小学5年生の空花(そらは)ちゃん。
入院中の病院で図書館を見つけます。
この図書館に行くと不思議なことが起こるのです。

長くつ下のピッピ
小公女
赤毛のアン
秘密の花園

本の中に入りこめてしまうのです。

これは、特にこれらの本を読んだ人には楽しくなるエピソード!
本の登場人物たちは静止していて自分たちは動けるというシチュエーション、よーく場面を観察できます。
本の中に空花ちゃんを引き寄せた少女アオと一緒に、本の中で動いて、出てくるパンを食べたりとちょっと楽しいのです。

物語はアオが誰なのかのということを紐解いていくのと同時に、空花ちゃんも現実の世界では新しい学校に少しずつなじんでいってお話は進みます。
その過程は新しく出会った誰かを知るということは難しい、よく話してみれば見えてくるものがあって、友だちはこういう風になじんでいくのだなと思い出します。
また、アオと空花ちゃん、二人が友だちでいるには行動力が必要でした。

一歩進むには少し勇気やエネルギーがいることを空花ちゃんが示してくれます。新学期や新生活になる時期、共感できる所が多々あるお話かもしれません。

 

 

 


 

高速バスを利用する人々の連作短編集。
バスクル新宿は小説上の設定のバスターミナル。
実在の新宿高速バスターミナル バスタ新宿 を利用したことがあるので、そうだよな~と共感したりなんだり。
私自身はこんな風に話を誰かとすることはなかったけれど、それぞれの物語があってバスに乗っている、それが交差する場だなと。
そして、お互い接点があればこんなミステリにもなったりするかも?!
バスの乗客たちのちょっとした(?) 謎から読み解くそれぞれのストーリー。
そして一人一人のストーリーをつなぐ人物もいたりして、ミステリ好きを最後まで楽しませてくれます。

 

 

ラブコメ短編集

「ラブコメは癒やしである」となんとなく言ってみます照れ

ラブコメと言うジャンルは好きです。漫画でも、本でも。きゅんきゅんラブラブしたいのです。いくつになってもキラキラ

自衛隊三部作に出てくる人物もでてくる自衛隊ラブコメ。1冊分の小説を読むより短編をちょこちょこ読みたい気分の時だったので手にしてみました。

6つの短編のうち、2つの短編からお気に入りポイントを少しずつ。

 


表題の作品
『クジラの彼』
潜水艦乗りとの恋愛。出会いのシチュエーションがいい。合コン幹事の彼、見てくれがよく、気後れするもお互い率直に話をして意気投合していくというような流れ。
彼が惹かれるのが言葉の使い方というのも素敵ポイント。

ラストもユーモアが見え隠れしていいです!


『有能な彼女』
潜水艦乗り(「クジラの彼」に出てくる彼の友人)と防衛省技官の有能な彼女とのお話。

有能な彼女は素直でない口の悪い彼と付き合っているうちに本音を話せない関係では物足りなくなっていく体質?に。一方、潜水艦乗りの彼は有能な彼女には自分よりふさわしい相手が見つかるのではないかと悩んでいるのです。

実は彼女は面倒なタイプで自分しか合わないと気づくまでの潜水艦乗りの彼の姿がいじらしい、そして、素直になったときのかわいらしさも良いポイントです。
喧嘩するほど仲がいいというのを地で行く二人の気持ちの緩急が見所なのです!

 

しかし、自衛官の特に潜水艦乗りの恋敵は距離というところは切ないですね、連絡も取れず、いつ会えるかもわからないというのは。

 

 

 

 

いろんな制約がありつつ、恋愛も人間の一つの要素、自衛官の日常を少し知りつつ、キュンを覚えることができる短編集ですラブラブ

作者の有川浩さんはあとがきで“ベタ甘”という言葉を使っていますキラキライエローハーツ


自衛隊三部作の二つ「空の中」「塩の街」は読んだけれど、「海の底」は未読。今回、登場した潜水艦乗りはどうやら「海の底」で活躍した登場人物のようです。
順番が逆になってしまうけれども、「海の底」を読んでみなければ!

 

 

 

 

 

 

 

あまり大きな声では言えませんが、アニメ映画「君の名は。」をまだ見ていないのです。少し最初の方だけテレビ放映時に見たぐらいです。
見逃したままなので、自分からストーリーを調べることもなく巡り会う機会にと思っていた作品ですが、小説版「君の名は。」を家族が購入したので読んでみることに。
いわゆるアニメの小説版というのものを今まで読んだことがなかったので興味が湧いたこともあります。
知っているのは男の子と女の子が入れ替わるという設定、そして何か大変なこと(大雑把?!)が起こりそうなことぐらいです。

読みやすいのと面白いので一気に読了。
知っている方ばかりだと思うのと、内容はやはり私と同じ見逃した方の為に詳しくは置いておきます。

小説版として読むというのはこういうことかな、と思ったこと。
自分の中でアニメの絵を浮かべるということ、きっと映画を先に見ていると小説の内容を補完される場面があるのだなと思うこと。私の場合はちょっと見ただけの場面だけれども。
お互いが好意を持つ過程はもっとアニメを見た方がわかりやすいかなということ。身体が入れ替わるならそうならざるを得ないかしれないけれども!
題名の持つ意味とか、CMで見た断片的な場面が小説を読むとつながっていくのが逆に新鮮な感覚でした。
おそらく、多くのこの小説を読む方はアニメを見た方なのでしょうが、小説版から読んで今度はアニメを見て完全な世界を体感してみたいと思います。
題名が活きている作品作りも魅力的でした。監督があとがきで書かれている“映画版は多くの方々による華やかな結晶”、アニメ、音楽、たくさんの行程を経ての映画作品、一人ではできない世界観を見るのが楽しみです。