この本の登場人物はみな個性的。

着ぶくれ女、運び屋、語学屋、戻し屋ちゃん。
いちばん、ふつう(?)なのは図書館長。
それから、大事なのは、着ぶくれ女の飼い猫ギィ。

 

とにかく設定がおもしろい。
ツクツク図書館は「つまらない本」を蔵書する図書館。
図書館職員の仕事はつまらない本を読むこと。

 

図書館には部屋がたくさんある。そして、一つ一つの部屋に名前が付いている。
≪魅惑的な一文から始まる小説の部屋≫≪草原でたわむれる部屋≫≪脱獄の部屋≫≪雨に打たれた女学生の部屋≫…いろいろある。伝説の本の噂なんかもある。

 

それぞれのミニストーリーがつながっていく小説だけれど、この図書館の世界は気になってしょうがない。少しずつ、登場人物のストーリーは紹介されるけれど、読後も謎はたくさんある。

 

着ぶくれ女はなぜ着ぶくれになったのか。
館長はなぜ、ここの図書館に雇われることになったのか。
猫ギィの元の飼い主の本はあるのか。

 

自分自身の謎としては、館長は男の人なのだけど、読んでいるとどうしても女の人と思ってしまうところである。おじさんと言われる場面もあるし、他にも男の人だとわかる場面があるのだけど、常にいろいろと心配している姿がお母さんっぽいのか、なぜだか女の人に思えてしまう。

 

このお話が終わっても、こうやって読んだ人の中に疑問を残しつつストーリーを想像させてしまうところがこの本のすごいところかもしれない。

 

絵本にしたら楽しそうだなと思う。一つ一つのストーリをそれぞれ1冊の絵本にできそうだ。

 

それから猫のギィの姿は想像するにかわいい、そして、ちょっとせつない。

 

いつか行ってみたいような、そうでもないような、でも、行くことができたらすごい人な、不思議な図書館です。

 

 

 

(過去ブログより)