GPSをつけたい
猫は大体そうだろうけど、きぃちゃんは玉のおもちゃが好きだ。
軽くてころころと転がっていく玉を、
前足でけりながら追いかけていくのが楽しいのだろう。
しかし、玉遊びはあっという間に終了する。
見える範囲が狭いせいもあり、すぐに玉を見失ってしまうから、
もしくは家具の下や横の隙間に入れて取れなくなってしまうからだ。
広くない我が家で探す場所は大してないのだけど、
消えた玉はなかなか見つからない。
どこをどう探しても見つからず、現在、行方不明中の玉は3つ。
ある本に、人生で無駄な時間のひとつは、探し物をしている時間だと書かれていた。
私は毎日どれだけ無駄な時間を費やしていることか。
そして床に膝をつき、キャットタワーやらテレビ台やら棚の下やらをのぞき込んでばかりいるので、
なんだか膝もヒリヒリして痛いし。
玉にGPSを埋め込みたい!
玉探しをするのが大変なので、できるだけ玉の行方を見ることにする。
楽しそうに玉とじゃれあっている。
でも、あっという間にテレビ台の下に。
この下にあるはずと、しきりにのぞき込む。
が、取れない。
ので、あきらめる。「取れません」
で、跪いて床に頭をこすりつけながら私が玉を取り出すわけです。
夜更けに警察が来た案件以来、考えちゃうこと
10日ほど前の夜の10時近くにインターフォンが鳴った。
宅配も頼んでいないし、こんな遅くに誰? と思ったら警察官で、
一人暮らしの隣室の方が亡くなって見つかったので事情を聴いて回っているとのことだった。
隣といっても頻繁に顔を合わせることはなかったので、大した情報はなかったが、
「1週間前くらいにはベランダ越しに挨拶を交わしてお元気だったのに」というと、
「1週間くらい前ですか?」と警察官から念押しされて、
そう確認されると断言できるほどの確実性はなく……。
よく目撃者の証言をもとに犯人を追い詰めるけど、
あれって無茶苦茶怖いと思う。
いつ、なにがあったのか、人の記憶って自分が思っている以上にあいまいで、
3日前のことが先週のことに感じたり、見たもの、聞いたものを著しく勘違いしていていたりする。
だから、証言なんて疑わしい限りだ。
で、話がそれたが、とにかくお元気だったので突然死されたと思われる。
年齢に関係なく突然死は起こる。普段、元気な人でも起こる。
もし、私が家の中で死んでしまったら、毎日顔を合わせる人や、必ず連絡をとっている人がいないので、
腐臭が漂うまで誰も見つけてくれない(ぎゃー!)。
周りの方にご迷惑をおかけするし、そして残されたきぃちゃんはどうなってしまうのか。
きぃちゃんを見送るまではなんとしてでも元気でいたい。いや、いなくては。
もしくは最低限、誰かと一緒にいるときに死んで、きぃちゃんの後見人となってくれる人に
連絡がいくようにしなくては。
などと、考えているわけだ。
置いていかないから大丈夫だよ
お出かけするならおやつくれ
私が出かける気配を感じると、きぃちゃんはこの機会を逃すものかと
キッチンに走る。
そしてお座りをして待つ。
何を待つのかというと「おやつ」だ。
別に出かけるときにおやつをあげていくと決めたわけではない。
ただ、午後に出かけるときは、
朝ごはんから夕飯まで時間があくのでおなかがすくかもしれないし、
と思ってあげていったことが数回あり、
それを彼女は「出かけるときはおやつをくれる」と覚えたらしい。
今日も朝、出かける準備を始めると、キッチンに先回りしてお座りして待機する。
「いやいや、まだ出かけないから」
「ていうか、朝ごはんあげたばかりだよね、まだ残ってるよね」
と、諭してもかたくなに待つ。
猫は気まぐれだけど、自分の欲望のためにはとても辛抱強い。
で、そのひたむきな瞳の強さに負けて、結局チュールを出してしまうのだ。
「おやつよね、おやつよね」
猫は小さいから気を付けないとな
小型犬と暮らしたことがない私にとって、猫は小さくて軽い。
トラブルも発生する。
たとえばキッチンや洗面所に立っているとき、いつの間にか足元に来ていると気づかない。
小さくて目に入らない。
なので、うっかり足を動かすとぶつかって蹴ってしまうことになる。
この間はしゃがんだら、太ももの裏とふくらはぎの間にきぃちゃんのしっぽが挟まってしまった。
とても短いしっぽなのに。
みゃっ!と叫ばれてこっちも驚く。
でもさー、怒られてもさー、
しゃがんだ拍子にまさかそんな短いしっぽが挟まるなんて思わないじゃない。
腿がじんわり温いなと思うと、きぃちゃんが膝の上にのっている。
(モンタンは頭と前脚しか乗らなかった)
寝返りを打ちながらぐーすか眠ったり、丹念に毛づくろいをしたり、
冬場は特に長居する。
私が胡坐をかいて乗るスペースが少なくなってもへっちゃら。
片方の足に上手に乗っかってくつろぐ。
さすが猫。
バランス感覚に長けている。
多分、人の膝は椅子のようなものと思っているに違いない。
片足の上でもへっちゃら。ちんまりして座る。
毛づくろい中。「邪魔しにゃいで」
数時間で消えてしまった
きぃちゃんの毛で毛玉ボールを作った。
せこせこ毛をためて、虫がわかないように毛を洗って、
熱湯消毒して、さらにレンチンで熱消毒し、
さらにさらに日光消毒してから丸めて出来上がり。
とても時間がかかる。
で、やっとこさ出来上がって与えると、まずまずの喜びようだ。
しかし、そうなることはわかっていたけど、あっという間に姿が消える。
キィちゃんは右の眼球の上の方しか見えないので(下は膜がかかっている)、
手ではじいて遊んでもすぐに玉がどこにあるのかわからなくなってしまうのだ。
遊んでいるところを見はっているときは私が見つけて持って行ってあげるのだけど、
見ていないときは後で探すのに苦労する。
今回はまったく見つからない。
It's gone.
作るまでの時間は長かったけど、消費期間は短かった。
がっかり。
そのうち見つかればいいけど
だめだ、もう限界だ
寒い時期、キィちゃんは私の体の上で寝る。
私の両足が開いているときにはその間にすっぽり入り込み、
閉じているときには腿の上に乗って香箱座りで寝る。
可愛い。
とても可愛い。
だけど重いのだ。
キィちゃんは小柄で3.2キロほどだけど、時間が経つにつれてじわじわと重みがこたえる。
すやすやと心地よさそうに寝ているキィちゃんを邪魔したくはない。
けれど体を動かせないと、特に下半身がだるくて目が覚める。
人は一晩に20~30回、寝返りを打つことが推奨されている。
体の圧力を分散させ、体を動かして血流を保つためだ。
足の間にキィちゃんが寝ているときは、そのままの体勢で頑張って寝るのだけど、
辛くて夜中3時が限界で目が覚める。
足の間で寝ているキィちゃんをどうにか動かさないように、
足を開脚したり、キィちゃんをまたいで足だけ反対に動かしたりして、
少しでも足を動かそうとするのだが、体勢的に無理があり、
股関節がぴきっとしたりして、どっちにしても寝られない。
翌朝は睡眠不足と股関節痛が私を襲う。
そして昨晩は、腿の上に乗っかるパターン。
こんな不安定な場所に体をはみ出しながらよく乗っかって熟睡できるもんだと感心する。
その姿はとても愛らしい。
でも、重い。
血流、遮断されている。
もう、耐えられない。
この先も、お互い健康で良好的な生活を続けていくために、意を決して寝返りを打つ。
睡眠を妨害されたきぃちゃんは、「なんでそんなことするの?」みたいな瞳で見つめてくる。
予想以上に長い間、私を見つめた後、あきらめたように私の体の横にうずくまった。
モンタンともいつも一緒に寝ていたけど、彼はデカかったので、
私の寝返りではびくともせずに寝ていたから、こんな忍耐は初めての体験だ。
猫はなんにでも顔をこすりつける。
けっこう読書妨害だ。
猫のふしぎちゃん
犬と違って猫は気まぐれ、わかりにくい。
きぃちゃんはお腹を触られるのも、抱っこされるのも嫌いだ。
自分から近づいてきたくせに、私の顔を目の前にして「ミャー」と鳴いて逃げるし。
(それは失礼だろ、と思う)
なのに、そばにいたがる。
キッチンでご飯の支度をしているときや、
立ったままスマホをチェックしているときなど、
知らないうちに足元にいる。
外から戻り、玄関の扉を開けるともうそこにいるか、
どこかで寝ていてもすっとんできて、まとわりついてくる。
(こういうところはモンタンと同じだ)
「撫でろ撫でろ」と、こちらの都合なんてかまわず撫でるまで執拗にせがむくせに、
気が済むと「もういい」と指図してくる。
まことに自分中心。
忖度なし。
気遣いなし。
こうありたいものだけど、猫は可愛いから許されるんだよなー。
気付くと忍びのように側にいるので、たまに気づかず蹴とばしてしまう。


















