相当なインフレへの備え
国家政策の話としては「適度なインフレは良い」。しかし、インフレはデフレに苦しんだ過去15年後に経済現象として始まった。団塊の世代が年金受給を始める2007年以降をみても、今年は47兆円超の税収が見込めたとしても、国家財政が破綻に瀕している現在、経済学者の言うボックス圏内のインフレ誘導など格好が良すぎるであろう。
景気回復の経営環境が顕著な今年以降は、生涯資産のインフレ対策が必要な時期に差し掛かっている。国土交通省の公示価格では単純平均で前年比▲2.8%の下落(住宅地の加重平均で▲0.9%の下落。大都市商業圏では4.0%の上昇)。日本銀行の資料では、加重平均で1.4%の上昇。
地価反転の主因はオフィスビル需要や住民の都心回帰。東京都では昨年0.5%の上昇、平成18年は5.5%上昇。因みに19991年(平成3年)は前年比6.8%上昇であった。5.5%と6.8%・・・。都心では暫く持続するバブルの足音が聞こえる。ビル着工も今年は年率127万戸で、1997年以来の高水準と、日経18・5・8は伝える。総量規制の悪夢を教訓にしながらも、金持ちは不動産投資へ走り始めている。おりしも本年1月26日には改正耐震改修推進法が施工され、今後10年で650万戸等の追加需要が見込める状況にある。
インフレは進行し始めたのである。過去15年のデフレ時代の発想を至急に転換しなければならない。資産はインフレ対応の投資信託、不動産等へ、国内外を診ながら、分散投資を敢行すべきであろう。また、借金は相当の金利上昇を織り込んだ経営計画を立てないと、今後5年をみる中長期経営計画は頓挫する可能性が大きい。デフレ時代はもう終わったと考えるべきであるから・・・。以上。
文責H18/5/8 AFP税理士堂上孝生
品位・品格
Noblesse-Oblige(ノゥブリィース・オブリージュ)と云う言葉がある。高貴な品位・品格と云う意味である。金銭な裕福さとは直接的には関係ない。しかし昨今の風潮は、Celebrity(芸能界の著名人等)を「セレブ」と呼び、テレビに出る有名なタレント・俳優・スポーツ選手らに憧れないと言えば、「何も尖がらなくっても(良いではないか?)」と云うことになる。
評論家の芦屋暁氏は、「12の徳目」の教育勅語は、全体主義や軍国主義を煽ったと批判されて廃止された歴史のノスタルジアに好意的である。しかし、「教育勅語」なる言葉こそが、批判を浴びるイメージを持っている。言葉を変える努力が作家・詩人に無かった事実は悲しい。同氏は品性無き指導者の暴政で良識派が退けられたと・・・。そして荀子を引用して「服装は華美、男性はナヨナヨ、歌は奇妙、風俗は堕落、志望は私利、居は豪勢」と社会廃頽の兆しを嘆く。
それでも2006年からは、建設業でも拝金主義の景気回復は、長期安定的になっている。国土交通省の耐震改修促進法は、今後10年で650万戸もの建設・改修の需要や、5万棟もの学校・病院・デパート等の建設・改修を見込む。前年比50%を超える需要創出のようである。既に首都圏の中小建設現場では労働者が足りないで困っている。
余り歴史の流れに棹差しても生きにくい。そうかと言って、自分に品位・品格がないのも困る。否、その価値観が傷つくのは絶対に困る。そこそこ、品格を保ちながら、極度な拝金主義者にならないように自分を処する(Disciplineする)しかあるまい。いずれにしても、人様にとやかく言う話ではなく、極めて個人の内面的な修行の話のような気がする。私も寿命が尽きるとき、自分の生涯をどう総括するだろうか? 孤独でもそう想うだけでも人生は楽しい。
文責(H18/5):AFP税理士・堂上孝生
国際化
先日、娯楽番組のTVをみていたら「小学生に英語を義務化するのなら、先に日本語をもっと教えなさい。その上で、英語に特化した人材がいるのもいいじゃない」と有名な芸能タレントが、熱弁を振るっていた。とても説得力があった。
アマノジャクの私はこう思った。その話は教育制度の話なので色々な角度から検証しなければならない。教育制度と国際社会での英語力の必要性、言葉の習得に関する科学的な時期の話が同一次元で論じられている。日本が国際社会で生きて行き難くなるような精神構造の主張を、さも尤もらしい説得力で、大衆娯楽番組で一方的にアッピールするのは問題だと・・・。
もう一つ別の角度で、庶民から喝采を浴びそうな、庶民レベルから政府に楯突く話題としては、経済的な格差の問題がある。考えてみれば「金持ち父さん」と「貧乏父さん」というような経済的な格差の拡大は、私も同感で、確かにあるなあと感じる。しかし「それは仕方がない」とここで私が裕福振ってみても空虚感は否めまい。私もマル貧な庶民を標榜する方が言葉の座りも良い。国境などの境界(ボーダー)がないボーダーレスな状態が、国際航空・外国航路による物理的な交流について進み、情報がインターネットで瞬時に国際的に流れ、おカネがサイバーネティックに実需のボーダーを超えて飛び、投機的マルチプル計算が瞬時に国際を走る世界的に下克上の経営環境下にあって、誰だって一瞬の内に立場は逆転する。従って幾ら私が見栄っ張りと言っても、私が一端の事業主だと偽って金持ちの支配階級ヅラの論陣を張ることは、どうしても憚られる。
ただ、ここに国ごとに人々の意識の違いが非常に明確に示されているデータがある。それは平成18年5月17日の日本経済新聞、「人口減と生きる」というシリーズものの記事である。第四部「膨らむ世界の中で」との副題を付けて「次代のアジア、どう描く」と日中韓を比較して取材している。冒頭の有名タレントの主張とは反対の主張であろう。24歳から44歳へのインターネットでの調査で、「30年後のアジアの中心は?」の質問に対し、回答の第1位は日本では東京、中国では上海だそうである。どちらが国際的な答えであろうか?「国際的でなくても正しければよい」と言われそうであるが・・・。その記事によると、自国の成熟度に関して、概ね日本は42歳、中国29歳。アジアの結びつきが強まると答えたのは、日本54%、中国90%。労働力の移動が自由になるか?でハイと答えたのは日本22%、中国60%。30年後の自国の経済的地位の向上は?の質問に日本22%、中国90%前後がハイ。日本は「変わらない・やや悪くなる」が60%とか。日本の若者は良く自国を観察しているようである。
同記事は、10年後のアジアで日本が「眼中にない」と言われないように、国を変える努力を怠れないと締め括っている。ただ、国境や人の心がボーダーレスの時代、村上ファンドも今月シンガポールに本拠を移転してしまった。「英語よりは国語が大事」という主張が妙に説得力を持つ黄昏の日本に、何時までも「金持ち父さん」や若者が住み続けるかどうか疑問である。
文責(H18/5):AFP税理士・堂上孝生
建設業のボンド制度導入に際して(オピニオン)
建設業では概ね99%が原価管理に苦労している。弊社アアクス堂上税理士事務所(東京都)では、CMLや佐藤税理士(宮城県)との提携等により、現場の納品書による投入原価を会計に反映する手法等により、リアルタイムの財務会計ベースによる原価掌握を可能にしている。
そして、建設業者にとって、より重要な経営ポイントは社長の経営指針の見直しであろう。経営事項審査では、一説によると70%が不正をしているという噂もあるが、一概に否定できない。その評点が企業存続を左右する以上、「背に腹は変えられない」ので粉飾決算をしているというのもうなずける。それ故か、この度「ボンド制」が導入されることとなった。中小建設業者も、顧客満足の視点に立って、このボンド制度に対処しなければ未来はない。企業存続が危ぶまれるならば、早めのM&Aを検討すべきである。例えば、新会社法に基づく、ホールディングカンパニー制を採ると、屋号・経営権等も以前に近い状態で残る。以下は「ボンド制」導入に際して、業界の指導者・CML理事長吉永茂公認会計士(熊本県)による建設業界の社長に対するアドバイス以下の記事に掲載されているので、参考にされたら如何であろうか。
2006・9・22文責:(建設業経営支援アドバイザー税理士・行政書士)堂上孝生
建設業経営研究所(CML)の吉永茂理事長(公認会計士・税理士)は、会計面での優劣が、企業評価に大きな影響を及ぼすようになると話す。背景には、昨年発表された「中小企業の会計指針」や、ここ数年の金融情勢の変化、さらに国土交通省で検討が進む公共工事での入札ボンドの導入などがある。建設業は、いかに財務体質強化に取り組むべきか。金融機関の視点なども踏まえながら、吉永氏に話してもらった。
【ボンド導入見据え、財務体質改善を】
-銀行(金融機関)とどう付き合えばいいのか。
「建設業は売上のばらつきが多い産業。それだけに他産業と比べても、より銀行と良好な関係を築いておく必要がある」 「銀行としては、いい会社を抱き込み、なるべく安全な企業と取り引きしたい。特に地方銀行は、いまだ体力が十分でなく、貸し倒れリスクが怖い。リスクの高い会社は切り離したいとも考えている」 「建設企業としても、そうした動きを認識し、銀行に縁を切られないよう財務体質を強化しなければならない」
-銀行は企業のどこを見るのか。
「主に重視するポイントは、(1)業種自体が好況か不況か(2)決算書が信頼できるか(3)今後の受注・売上はどうか-の三つ」 「建設業の場合、現状では不況業種とされ」財務の透明性についても比較附粉飾が多いとみられている。売上の点でも、特に公共主体の企業であれば、投資の減少や一般窮争入札の増加などで受注が見えづらい。価格競争の激化で、利幅も小さくなっている」 「こう考えると建設業は、建設業であるだけで不利な立場といえる。業績が良いにもかかわらず、割を食っている企業も中にはあるだろう」
-対処方法はあるか。
「銀行に対して、会社の将来をきちんと説明することが大切。例えば、何を将来の市場ととらえ、どう営業展開していくのか。具体的にどんな努力・工夫をしようと考えているのか。そうした経営計画をきちんと話し、文書でも提出していく」 「経営者としての先見性を疑われないよう、銀行にアピールすることは、信頼の獲得にもつながる。実力以下に見られないために、意識して取り組む必要がある」
-公共事業などでの企業評価も変わりつつある。
「昨年8月に中小企業の会計処理の基準となる『中小企業の会計指針』が発表された。今後会計の透明性が高まり、企業の優劣がきちんと見えるようになるだろう」 「建設業に限れば、経営事項審査のチェックが厳しくなる方向。秋には入札ボンドの導入も予定されている。特に入札ボンドでは、ボンドを受けられない業者は入札に参加できない。ボンド会社の判断材料の一つとなる財務を、建設業は無視できなくなる」
-入札ボンドにどう備えるべきか。
「ポンド発行会社となる銀行、損保会社、保証会社は、リスクを避けるために、おそらく従来以上に審査を厳しくする」 「まだ制度が固まっていない段階ではあるが、受注者はボンド導入を視野に入れながら、すぐにでも財務体質の改善に向けた対策をスタートさせるべきだ」 「ボンド会社の与信の判断基準は、倒産の危険があるかどうか。具体的には、自己資本が十分か、運転資金がしっかりと回っているかが評価の中心になると考えられる。こうした部分に手を打つことは、結果的に経審にもプラスとなるし、銀行との信頼の強化にもつながるはずだ」
[建通新聞-2006.08.25]
M&Aに関する国家の「しょ場代」
1. 官僚の成功体験
平成18年10月26日の日経新聞は「社会保険庁がここまで?」と思う腐敗ぶりを報道した。日本国は「官僚民主主義」の代替体制がないままに、社会体制が傷ついている。「キャリア」官僚は、省庁を通じ今もって絶大な権益を温存している。「天ぷら」官僚は、閉塞感でフテ腐り高校の学業単位の管理すら手抜きする。また一般大衆は、「憂国は余計なお世話」と無気力化し、TV番組も娯楽天国である。視聴率が下がるとテレビ広告の収入が減るから仕方ない。
そういう状態であるから、明確なビジョンも希薄なまま、多くの国家運営の基幹戦略と同様に、国家の経済戦略としての「M&Aのショバ代」もまた世界的に劣後する。戦略が後手にまわる状態である。
2. 諸外国の様相
明日で、ロンドン・シティーの株式委託手数料が自由化されて20年。インドタタ製鉄による英蘭コーラスの買収M&Aの財務助言者は、タタ側・ABNアムロとドイツ銀行、コーラス側・クレディスイスとJPモルガンカザノブ。しかし、舞台(プラットホーム)はシティー(英国)であったという。
英国で15年続く景気拡大の一因がこの舞台装置と言われる。株式委託の手数料は20年で十分の一になった。そこで証券会社はM&A業務に業態変更した。M&A資産総額の対GDP比率は、英米:日本=10:3。わが国のM&Aは、2008年3月迄の銀行不良債権処理、企業再生DPO等と平行して、ハードランディングの日本産業の構造を変革させると思われる。
「光と影」の影としては、製造業のGDP比率が30%から15%程度になり製造業は空洞化することになる。「だから反対!」の声もある。しかし私は、守旧サイドに立たず、世界の潮流には逆らえないと考えたい。当然に零細な我がアアクス堂上税理士事務所も、数年後の倒産の危機に見舞われている。
3. だから・・・
金融商品取引法・銀行法は今年改正され、日本の「ビッグバン」は、株式市場・銀行・保険に及ぶ。銀行代理店業務も、野村證券に続き、この度、一般業者たるF&Mの「Tax House」にも開放され、450行前後の銀行と提携して事業者ローン・住宅ローンの仲介等を目指すという。
弊社・アアクス税理士事務所はアアクスグループ㈱を別会社にして、M&Aでは㈱日本M&Aセンターと提携し、銀行融資仲介ではTax Houseと提携した。その上で、住宅ローンのFP業務を深掘りして、米国のモーゲッジ・ブローカーに準えて井村中央大学教授が中心となって推進する「モーゲッジ・プランナー制度」(住宅ローン)に参加して資格装備や企業改革を断行中である。
私はもう63歳。しかし老いは感じない。いや68歳位になれば感じるよと言われる。M&A仲介業の経験上、各社長の勇退意識に関しては、67~68歳がM&Aによるハッピーリタイア志望が顕在化する年齢のようである。以上(2006・10・26記文責:AFP税理士・堂上孝生)。