建設業のボンド制度導入に際して(オピニオン)
建設業では概ね99%が原価管理に苦労している。弊社アアクス堂上税理士事務所(東京都)では、CMLや佐藤税理士(宮城県)との提携等により、現場の納品書による投入原価を会計に反映する手法等により、リアルタイムの財務会計ベースによる原価掌握を可能にしている。
そして、建設業者にとって、より重要な経営ポイントは社長の経営指針の見直しであろう。経営事項審査では、一説によると70%が不正をしているという噂もあるが、一概に否定できない。その評点が企業存続を左右する以上、「背に腹は変えられない」ので粉飾決算をしているというのもうなずける。それ故か、この度「ボンド制」が導入されることとなった。中小建設業者も、顧客満足の視点に立って、このボンド制度に対処しなければ未来はない。企業存続が危ぶまれるならば、早めのM&Aを検討すべきである。例えば、新会社法に基づく、ホールディングカンパニー制を採ると、屋号・経営権等も以前に近い状態で残る。以下は「ボンド制」導入に際して、業界の指導者・CML理事長吉永茂公認会計士(熊本県)による建設業界の社長に対するアドバイス以下の記事に掲載されているので、参考にされたら如何であろうか。
2006・9・22文責:(建設業経営支援アドバイザー税理士・行政書士)堂上孝生
建設業経営研究所(CML)の吉永茂理事長(公認会計士・税理士)は、会計面での優劣が、企業評価に大きな影響を及ぼすようになると話す。背景には、昨年発表された「中小企業の会計指針」や、ここ数年の金融情勢の変化、さらに国土交通省で検討が進む公共工事での入札ボンドの導入などがある。建設業は、いかに財務体質強化に取り組むべきか。金融機関の視点なども踏まえながら、吉永氏に話してもらった。
【ボンド導入見据え、財務体質改善を】
-銀行(金融機関)とどう付き合えばいいのか。
「建設業は売上のばらつきが多い産業。それだけに他産業と比べても、より銀行と良好な関係を築いておく必要がある」 「銀行としては、いい会社を抱き込み、なるべく安全な企業と取り引きしたい。特に地方銀行は、いまだ体力が十分でなく、貸し倒れリスクが怖い。リスクの高い会社は切り離したいとも考えている」 「建設企業としても、そうした動きを認識し、銀行に縁を切られないよう財務体質を強化しなければならない」
-銀行は企業のどこを見るのか。
「主に重視するポイントは、(1)業種自体が好況か不況か(2)決算書が信頼できるか(3)今後の受注・売上はどうか-の三つ」 「建設業の場合、現状では不況業種とされ」財務の透明性についても比較附粉飾が多いとみられている。売上の点でも、特に公共主体の企業であれば、投資の減少や一般窮争入札の増加などで受注が見えづらい。価格競争の激化で、利幅も小さくなっている」 「こう考えると建設業は、建設業であるだけで不利な立場といえる。業績が良いにもかかわらず、割を食っている企業も中にはあるだろう」
-対処方法はあるか。
「銀行に対して、会社の将来をきちんと説明することが大切。例えば、何を将来の市場ととらえ、どう営業展開していくのか。具体的にどんな努力・工夫をしようと考えているのか。そうした経営計画をきちんと話し、文書でも提出していく」 「経営者としての先見性を疑われないよう、銀行にアピールすることは、信頼の獲得にもつながる。実力以下に見られないために、意識して取り組む必要がある」
-公共事業などでの企業評価も変わりつつある。
「昨年8月に中小企業の会計処理の基準となる『中小企業の会計指針』が発表された。今後会計の透明性が高まり、企業の優劣がきちんと見えるようになるだろう」 「建設業に限れば、経営事項審査のチェックが厳しくなる方向。秋には入札ボンドの導入も予定されている。特に入札ボンドでは、ボンドを受けられない業者は入札に参加できない。ボンド会社の判断材料の一つとなる財務を、建設業は無視できなくなる」
-入札ボンドにどう備えるべきか。
「ポンド発行会社となる銀行、損保会社、保証会社は、リスクを避けるために、おそらく従来以上に審査を厳しくする」 「まだ制度が固まっていない段階ではあるが、受注者はボンド導入を視野に入れながら、すぐにでも財務体質の改善に向けた対策をスタートさせるべきだ」 「ボンド会社の与信の判断基準は、倒産の危険があるかどうか。具体的には、自己資本が十分か、運転資金がしっかりと回っているかが評価の中心になると考えられる。こうした部分に手を打つことは、結果的に経審にもプラスとなるし、銀行との信頼の強化にもつながるはずだ」
[建通新聞-2006.08.25]