第106回京料理展示大会 No2
番外編は、料理旅館「塩野温泉」(滋賀県甲賀市:京料理研究会会員)の作品。
籠の中に伊勢エビや煮付けが。暖かさが伝わってきました。
そして、アートのような、「うお寿」(京都府長岡京市)の作品。
シンプルですが、食材に細かい作業が施され、かわいらしさの中にも、真似できない職人の技が隠されています。
今回の目的の一つに、菊乃井主人、村田吉弘氏による京料理教室があります。
ミシュランガイド2012でも三ツ星を獲得している菊乃井の村田先生が講師というだけあって早くから人が集まっていました。
おせち料理の一つ、「ごまめ」と「煮しめ」を作ってくださいました。
ごまめ(イワシの子)は、色がブルーがかっていて、ぽきっと簡単に折れるものを選ぶといいそうです。そして、煮ている間にごまめがくっつかないよう途中でサラダ油を入れるのが村田流。盛り付けは少量づつ上品に盛るようにと指導がありました。どんなに美味しくても、盛る量が肝心だと仰っていました。そこに、京料理の繊細さが出ているような気がしました。
煮しめは、人参・牛蒡・蓮根・里芋・椎茸などを使いました。
京料理では、「下ゆがき」が大切で、里芋など上手くレンジを利用してやわらかくしておくことが大事だそうです。
最初に食材を鍋に敷きつめ、落としぶたをして煮汁がなくなるまで炊きます。落としぶたの使い方、人参の皮むきなど、親が子供に教えて伝えることが大事だと教えてくださいました。
出来上がった二品は、モニターでしか見ることができませんでしたが、煮つけのいい香りは会場中に広がっていました。
京料理は細かい作業、細かい盛り付け、そして和紙や葉もの、竹細工の使い方が素晴らしく、うまく料理に活かしているところに食文化を感じました。
器にこだわり、目で楽しめる京料理は、日本の大事な文化でもあると思います。
ここまで料理で表現できる職人の方々を尊敬いたします。
ともすれば、名ばかりで内容の伴わない「京料理」が巷にはびこりかねない昨今、京都料理組合では、かねてより京料理とはどうあるべきかについて正面から向き合い、正しい京料理を後世に伝えていく活動に力を入れているという話を聞いたことがあります。
京料理展示大会は本物の京料理について触れることのできる貴重な機会であり、伝統や文化を守り伝えていくためにも、こういったイベントはとても大切だと感じました。
敷居が高く少し近寄りがたいイメージだった京料理の色彩豊かな食文化を学ぶことで、おもてなしの心と人を感動させるための料理人の日々の努力を実感できた一日でした。
食空間コーディネーター
占部恵子
第106回京料理展示大会
12月13・14日の2日間、京都市左京区岡崎の京都市勧業館「みやこめっせ」で、第106回「京料理展示大会」(主催:京都料理組合、後援、農水省、近畿農政局、京都府、京都市など)が開かれました。
京料理の老舗が集結し料理の展示や料理教室、有名料亭の京料理がいただけるコーナーなど、京の食文化を目と舌で味わえ、また、普段はなかなかお目にかかることの出来ない老舗料亭の料理が展示されている貴重なイベントです。
会場は、同じ料理業界に携わっている方をはじめ、関西にお住まいの方や、制服を着た高校生まで、世代を超えて多くの方が来場されていました。
料理展示コーナーは、それは素晴らしいものばかり。75点展示されていた中で、感動した作品を3点ご紹介します。
まずはハートンホテル京都内にある「濱登久」(京都市中京区)の作品「昇り龍」。
来年の干支にちなんで作られたそうです。発想が大胆で美しく、時代がタイムスリップしたような感覚になりました。松の下の器は松笠や葉煎餅で飾ってあります。昇り龍の力強さがとてもよく表現されていて、料理の域を越えていました。
次に全国的に有名な老舗料亭の「菊乃井」(京都市東山区)。向付から香のものまでの茶懐石です。彩りが豊かでため息がでます。
菊乃井は大正元年に創業。豊臣秀吉の妻、ねねが茶の湯に用いた井戸は、菊の花が咲くように湧き出たと言われ「菊水の井」と呼ばれていたそうです。菊乃井の屋号はこれに由来しています。器と料理の相性も素晴らしく、菊乃井の世界観が伝わってきました。
最も感動した作品は、「銀水」(京都市下京区)。
昭和12年創業、鴨川沿いに佇み、夏には川床を楽しむことができます。花・器・料理のバランスや色使い、全てが私好みで感動ものでした。
規則正しく並べられた器に、繊細な料理の数々。葉ものや和紙の使い方は、これぞ京料理と感じさせる、美しい作品。目の届かない細かいものまで絶対に手を抜かない職人魂、おもてなしの心がありました。実際お料理をいただくことが出来るとするならば、いちいち感動して食事がすすみませんね。
インド風カレーとバターチキンカレー食べ比べレポート
今まで、様々なレトルトカレーを食べてきましたが、甘辛・ルー・具材・スパイスなどにこだわり、付加価値を付けたレトルトカレーがたくさんあります。
現在はそれだけに留まらず、煮込み時間を全面にアピールしたり、有名シェフのプロデュース商品などレベルが高くなってきていると感じます。
今回は、ひき肉を使ったハチ食品のインド風カレー(中辛)と、無印良品のバターチキンカレー(中辛)の食べ比べをしてみました。どちらも良く売れているそうで、どのような味の特徴があるのか、楽しみです。
まずインド風カレーは香りからスパイスを感じることができ食欲をそそります。
ひき肉とガルバンゾ(ひよこ豆)とマッシュルームはルーとしっかり絡み合っていて美味しい。
中辛ですが、食べた後にグッと辛さが広がり、カレーを食べたい欲求を満たしてくれる感じがします。
ほのかに甘みもあり、しっかり煮込んであるという印象。ライスだけではなく、ナンにつけて食べてもとても美味しくいただけると思います。
無印良品のバターチキンカレーは、開封するととふわっとバターのいい香りが広がります。
こちらの商品は、化学調味料や香料などを使わない無添加。インドのバターチキンカレーをお手本に作られただけあって、辛さがしっかりでています。全体的にコクがあり、インド風カレーよりルーに濃さを感じます。また、具の満足感はバターチキンカレーの方がボリュームがあるように感じました。
辛さがいつまでも残るのはインド風カレーですが、どちらもルーの辛さと煮込んだとろみと甘みがあり、暑い夏に無性に食べたくなるカレーはインド風カレー、冬の寒い日に食べたくなるのは、体を温めてくれてくれそうなバターチキンカレーかなと思います。
カレーはそれぞれ好みが分かれる食べ物だと思いますが、普段チョイスしない風味や甘辛さなど冒険してみるのもいいかもしれませんね。
食空間コーディネーター
占部恵子





















