中学校や高校などでの「冬なのに、コートを着てはいけない」など、理不尽なルール、いわゆる「ブラック校則」について批判するニュースが多くなってきました。これはとてもいい傾向なんだと思いますが、このニュースの時に、コメンテイターと呼ばれる人が、「修学旅行で生徒がお風呂に入って、終わって、浴室から上がって脱衣所に行く際に、教師が、生徒の体の水分がちゃんと拭かれているかいちいちチェックしてるんですよ! そんな馬鹿なことありますか!」って非難してました。この発言に他の出演者も「それはひどい!」とか相槌を打ってましたが・・・・ 私に言わせると、無知なコメンテイターのほうがひどいと思います。
私たちは、学校アルバムの仕事で、修学旅行や林間学校などの宿泊行事に帯同することがあります。この時に、入浴にもつきあいます。本来の仕事は「全員が湯船に浸かったところで1枚記念写真を撮る」(※男子のみ なお、ここ数年は入浴写真を取らないケースが多くなった)というものですが、撮影以外にも先生に頼まれて、安全監視の仕事をするのです。
お風呂というのは、非常に危険な場所で、「みんながはしゃぎたがる」「誰かが絶対に飛び込む」「足元が滑りやすい」「床も浴槽も、どこもかしこも硬いものでできており、ぶつかると大怪我になる」「湯気でよく見えない」「潜水遊びをして溺れる」「シャンプーしている時は何も見えない」「悪ガキは女湯を覗こうとする」といった危険因子がいっぱいあり、先生は非常に用心をしています。
また、「時間の制約があり、次のクラスに上手にバトンタッチしないといけない」「忘れ物が必ずあるので、注意しないといけない」(この場合の忘れ物は、通常の「置き忘れ」の他に、「タオルを持ってくるのを忘れた」とか「着替えを忘れた」とか、そういう忘れ物もあります)という注意点もあります。
さらに、「子供は共同浴場のマナーを知らないから、この機会に教えてあげる」という「教育」の場でもあります。
「かけ湯をせずに汚い体のまま、湯船にドボン」
「湯船にタオルを入れる」
「シャンプーや石鹸の泡がまだ残っているのに湯船に入る」
こういうのに、ひとつひとつ注意してマナーを教えます。
そして、今回の論点である「お風呂から上がる時」の話になるわけですが、共同浴場では、浴室のドア付近で、しぼったタオルで自分の体の水分を拭き取ってから脱衣所に戻るのがマナーです。そうしないと、脱衣所が水浸しになります。また、濡れたままで服を着ると、風邪をひく原因にもなります。
水浸しの脱衣所は、滑って転倒する危険性もあります。また、新しい靴下をせっかく履いたのに、それが瞬時に濡れてしまいます。最初の1組の場合はまだいいとしても、2組3組となると、すごい水浸しになり、気分も悪くなります。
そのため、先生たちは、お風呂から上がる子どもたち一人ひとりに「ちゃんと体を拭いたかい?」と聞きます。
でも、子供ですから、「拭きました!」と言っても、背中はびしょ濡れだったりします。ちゃんと全身を見てあげてチェックしないといけないのです。
これって、何も知らない人からすると「異常な監視」「異常な干渉」とかに思えるかもしれませんが、何よりもまず「子どもたちの安全」のことを考え、そして、これから社会に出ていく際に大丈夫なように、共同浴場でのマナーを教えてあげているわけです。
今、サウナが流行ってますが、サウナの横にある「水風呂」には、どこの店でも、「サウナから出たら、まずはシャワーで汗を流してから水風呂に入ってください」という注意書きがありますが、あれと同じです。上記のコメンテイターさんも、この注意書きを批判したりしないと思います。先生のやってることもこれと同じなんです。
こういのって、我々のような「現場の体験」がないとなかなかわからないことだと思います。
ですが、評論家の皆さんも、現場を知らないのに安易に批判しないで欲しいと思います。むしろ、こんなことまでして子供の安全を守っている先生たちを褒めてあげて欲しいと思います。
















