
ある事情で、頻繁に行かないといけなくなった施設があるんですが、そこ、23区内なんですが、「陸の孤島」みたいな場所にあり。
最寄り駅のいずれからも「徒歩20分以上」かかり、バス便があるにはあっても、本数が少なく、かつバス停から離れていて、とにかく不便なんです。
それで仕方なくタクシーを使うのですが、これが往復3000円くらいかかります。けっこうな経済的負担です。
なんとかならないだろうか? と考えていたら、その施設の近くに「LUUP」のステーションを発見し、「これを使えないか?」と考えて、さっそく体験してみました。(※ただし、起点となる「駅」近くにはステーションがなく、駅からステーションまで5分くらい歩かないといけない。)
まずは申込み。

全部スマホのアプリで行ないます。
「身分証明書の画像送信」「支払い用クレジットカードの登録」など、わりと簡単に登録できました。
そして、LUUPを使用するにあたっての基本的な交通ルールの試験があり、これに合格しないと登録できません。いちおう全問正解でしたが、LUUPの電動キックボードは道路交通法において、「原付き」なのか「自転車扱い」なのか、どっちなのか? とか、ちょっとややこしいです。
さて、電動キックボードは「ヘルメット装着義務」がありますが、強制力がありません。しかし、日頃バイクに乗ってますから、バイク用の軽量なヘルメットを持参し、手袋も用意し、夜間の走行になるため、背中のリュックには尾灯かわりのライトをつけて、腕には黄色の反射材もつけて、夜間でも目立つような安全対策をして、いよいよ実車に乗ります。
乗るための手続きも全部スマホアプリです。地図とか見るのは老眼にはつらいです。

駅近くのステーションを探しますが、実際に現地に行ってみると、地図を見ているのに、「いったい、どこにあるんだ?」と迷います。ステーションがあるのが、「マンションの裏口のゴミ置き場に行くための通路の中にある、わずかな空地」みたいなところ(そういう場所を有効利用してステーションを設置している)なので、初めて行く人には非常にわかりづらいのです。もうちょっとわかりやすい地図にしないとしんどいです。
そして、利用開始には車体上部にある「QRコード」みたいなのを読み取るのですが、ステーションの場所が、ほぼ真っ暗な場所のため、うちの安物スマホのカメラでは暗くて読み取れません。参ったな。スマホ内蔵のライトを点灯させますが、そうなると、今度は明るすぎて読み取れないという・・・・・ 結局、車体を無理やり移動させて、街灯の下まで持ってきて、その明かりで撮影するという・・・・ これだけで10分以上経過しています。
そのあと、実際に乗車するにあたっての了解事項みたいなのがずらずらっとスマホ画面に出てきて、それを「了承する」わけですが、毎回、ここで変な画面に切り替わってうんともすんともいいません。
どうやら、「GPS情報を常にLUUP社側に提供するための切り替え」作業が必要だったみたいですが、そういうことに対する「ここをこうして、こうする」みたいな丁寧な説明がないため、なんで起動しないのかわからず、 大沢誉志幸 みたいに途方に暮れてしまいます。
かといって、電話で問い合わせできるような電話番号も出てこないし・・・・・
スマホに頼りすぎる社会は、自分には合いませんね。
利用終了時に返却する際もスマホのバッテリー残量が十分にないとだめなので、luupを利用するにはバッテリーに要注意です。
なんとかかんとか、アプリで入力できたら、突然、車体が光りました。これで利用可能になりました。
さて、ヘルメットをかぶって、背中のライトも点灯させて、反射材も装着して、実車に乗りますが。。。。
説明では「足で2~3歩駆けて飛び乗る」ように書いてあります。それと同時に、アクセルレバーを操作します。
車体の不安定さがけっこうひどくて、予想よりも怖いです。
足を揃えて棒立ち状態で立ってますし、立ってるから重心は高いし、車輪は小さいから、不安定なのは当たり前なんですが、それ以上に不安定な気がします。
車がまったくいない裏道で2~3分、仮免練習みたいに練習し、実際の道路に出ます。
最高速度は20キロ、モーターは意外と強力ですぐに20キロになります。不安定な姿勢で、かつ視点が高い(立っているので、バイクの乗車視点よりもはるかに高い)ため、けっこうスピードを感じて怖いです。
これで車の少ない裏道を1キロほど走りました。
車輪が小さいのと、チューブのないゴムタイヤ、サスペンションがない、ことにより、乗り心地は非常に悪いです。路面の凸凹をもろにくらいます。ちょっとした陥没とかあったら、すぐに転倒すると思います。その点では、バイクや自転車よりも危険です。
また、椅子に座るのではなく、ずっと立っているので、すごく疲れます。
右左折や、駐車車両を避ける際はウィンカーを使いますが、スイッチ類の配置が悪く、ウィンカーとクラクションのスイッチを間違えやすく、曲がろうとして、クラクションを鳴らしてしまうミスを多発します。
また、バックミラーがないため、後方の状況がまったくわかりません。後ろを向くと、不安定になり、運転が怖いし。右側一個でいいので、バックミラーは絶対につけるべきと思います。
運転はかなり難しく感じました。
そして、信号待ちなどで、停止するたびに、ステップから足を地面に降ろさないといけないのが、これが意外と面倒。自転車だと、オシリはサドルのままでつま先だけ地面につければいいですが、キックボードでは、毎回、その都度「降りないといけない」という感じです。
周囲から見た場合も、テールランプが非常に低い位置にあり、わかりにくいと思います。背中にライトつけたり、反射材を身につけているような人は私以外にはおらず、夜間とか、周囲の車両からは非常に発見しづらいと思います。
とにかく、試験走行を30分ほどして、同じ場所に戻り返却します。返却の際は「ちゃんと戻しましたよ」という証拠写真を撮って送信することで、返却完了です。この手続きはわりと簡単でした。そして、利用料金が表示されます。
※入会特典のクーポンがあったので、それを利用したつもりですが、計算されてませんでした。クーポン登録とか面倒な手続きなしに自動的に割引してくれればいいのに、なんでそうしないんだろう。とにかく、アプリの設計には改善の余地があります。
実際に乗ってみて、「乗りにくい」「不安定」「乗り心地も悪い」という感想で、「そんなにいい乗り物ではないなあ」というのが正直なところでした。電動自転車のほうが、歩道も走行できて、姿勢も楽で、速度もそんなに変わらず、「自転車のほうが楽じゃないか」と思いました。
さて、その後、自分以外の電動キックボードライダーの様子も気になり、見つけるとじっくり見てしまうのですが、とにかく、マナーがひどいです。
私が乗っている時に遭遇したのは、「正面からキックボードがこっちにまっすぐに向かってくる」という状況。つまり、「車道を逆走している」ということです。明らかな違反です。また「信号を守らない」「二段階右折をしない」といった違反もやり放題。
そもそも、ヘルメットをしている人をまったく見ません。ヘルメットは車体に付属しているわけではなく、自前のヘルメットをわざわざ自宅から持参していかないといけないのですから、そんな荷物を持って出かける人などいないでしょう。luup社側は「ヘルメットをしましょう」と言ってますけど、会社側でヘルメットを用意しないで、口先だけ「しましょう」とか言うのはひどい経営姿勢だと非難したいです。
なんで、こんな危険なものを認可してしまったのか? 悪徳国会議員が動いたみたいだし、警察の幹部が天下りしたり、とにかく、ろくな制度じゃないです。これから事故が多発して多くの人が死ぬと思います。自分で実際に乗ってみて、それを痛感しました。
その後も実験をかねて数回乗車しましたが、キックボードのほうはもう怖くて乗る気がなくなりました。いっぽうで、電動自転車のほうは、乗り心地もよくて、これは場所や目的によっては利用価値があると思います。趣味の「銭湯めぐり」にも使えるかもしれません。
以上、体験記でした。ご参考まで。
追伸 私は過去に「セグウェイ」に乗った経験があるのですが「乗り心地」「操作性」安全性」・・・どれをとっても、キックボードよりもセグウェイのほうがはるかに上質です。(ただし、車体はかなり大きい)
どうせ、「公道走行OK」にするのなら、セグウェイを解禁して欲しかったです。