
今、「統一教会」の話題がにぎやかになっており、それで思い出したことを綴ってみたいと思います。ちょっと長いですが、お付き合いください。
今現在、音楽関係のステージの写真を主に撮っておりますが、これは自分が「音楽好き」であることが大きいと思います。
さて、今から45年くらい前の私が高校生だった頃のお話です。
安物ではあるが、ちゃんとしたステレオコンポを買ってもらったことで、当時「FMエアチェック」と呼ばれた、「FM放送で流れる音楽をきれいに、カセットに録音する」ということが可能になりました。
当時は、「音楽をちゃんと聞く」には「レコードを買うしかない」という時代で、そのレコードは1枚2500円とかしてましたから、当時高校生の自分にはおいそれと簡単には買えません。そして、「レコードレンタル屋」なんてのはまだ誕生していません。(ただし、図書館で、レコード貸出をしており、そんなに種類はありませんが、借りられるものは手当たり次第に借りたもんです。)
NHKのFM放送では、アナウンサーの余計な声などなく、純粋に「レコード1枚をそのままかけて放送する」ということをやってる時間があって、それは「無料でレコードが手に入る」を意味するわけで、貴重な時間でした。(※カセットテープ代はかかります)
当時、同じようなリスナーがたくさんおり、FM放送2週間分の番組表(どんな曲が放送されるのかも詳細が記載されている)が乗った「FM放送専門誌」というのが隔週で発売されており、これを毎号購入して、FMエアチェックをやっておりました。
FMファン
週刊FM
FMレコパル
こちらで詳しく紹介されています
といった雑誌があって、私が購読していたのは、「FMレコパル」でした。
この雑誌も無料ではなく、200円とかしてましたが、毎号欠かさず買っていました。その理由は上述の「FM放送の番組表」が欲しかっただけではなく、別の目的もありました。
読者対象の「コンサートの無料招待」「映画の試写会の招待」というのが毎号あったのです。これは貧乏人には本当にありがたいものでした。
もちろん「抽選でご招待」なのですが、「映画」に関しては、何度か応募しているうちに、ある法則がわかってきました。
それは、「抽選ということになっているが、おそらく、抽選はしておらず、実際は先着順で当選させている」ということ。
それがわかってからは、「雑誌の発売日当日に購入し、その場で、応募ハガキを書いて、すぐにポストへ投函」、そうすると、高確率で「試写会」に当選したのです。(ちょっと遅れて、翌日に投函した場合は、外れます)
これで、高校生の頃は、「毎月2本のペースで新作映画を見られた」ということになります。映画1本見るのに、「1000円」かかっていた時代ですが、これが無料で済んだのです。映画マニアにはたまりません。(※無論、ホールまでの交通費はかかります)
音楽コンサートに関しては、「必ず当選する」という手法は見いだせませんでしたが、毎号、マメにハガキを書いていたおかげで、わりと当選しました。
「サザンオールスターズ」「鈴木茂」「南佳孝」「岡林信康」、はては「ロッド・スチュアート」に到るまで、無料招待でした。
単独アーティストのコンサートだけでなく、今でいう、いわゆる「フェス」みたいなのも多数行きました。これも貴重でした。
(※南佳孝さんのコンサートでは、自分の隣の席に、ユーミンが座っており、「派手なかっこうのお姉ちゃんがいるなあ」と最初思っており、ステージの上から「今日はユーミンが来てくれています!」って紹介して、その時に、隣の女性が立ち上がった時は、びっくり仰天しました)
こういう特典があったため、FMレコパルを毎号買う費用は「十分なお釣りが来る」というものだったのです。
というわけで、高校生時代は「無料招待」でいろいろ行ったのですが、FMレコパルだけでなく、その他の新聞雑誌もよく読んで、「無料招待」というのがあれば応募していたものです。
そういうものの中に「レックスハンバードファミリー合唱団」(入場無料)という公演がありました。
このアーティストについてはまったく知識がなく(当然、当時はGoogle検索などできない時代)、当時は「ウィーン少年合唱団」とかが有名だったので、「合唱もいいなあ、日本武道館でやるんだから、きっと有名な楽団なんだろう。無料だったら、聞きに行こう」と考えて、武道館へ行きました。
コンサートが始まり、普通に合唱してたのですが、だんだんと「変な雰囲気」を感じるようになりました。
歌はあったのですが、その他の「お説教」みたいなのが多いのです。
当時、自分は「宗教」に関する知識などまったくない「無知な少年」だったのですが、「これって、もしかして、キリスト教のなにかなの?」というのがわかってきました。
そして、コンサートの終盤。客席に、「箱」がやってきました。
そうなんです。「お布施を入れる箱」だったのです。
客席にいる人達は、みな、信者さんだったらしく、観客全員、「千円とか 三千円とか 五千円とか・・・」投入していて、それが全座席を回ります。こうなると、「周囲の圧力」というのがあるわけで、自分もお金を入れないといけなくなります。
そこで拒否する勇気は高校生の自分にはありませんでした。そして、神社のお賽銭みたいな「硬貨」ではとても無理で、お札をいれないといけない雰囲気でした。
「入場無料」だったのに、結局千円取られてしまいました。正直「詐欺にひっかかった」という感覚でした。
これが私の「宗教って怖いなあ」という初体験でした。同時に「タダほど高いものはない」というのを実感した経験でした。
日本武道館という屋内施設の中で、周囲が全員「信者」という空間では、逆らうことなどできません。
結局のところ、「入場無料のコンサート」という宣伝でしたが、実際は「布教&集金活動」だったわけです。
今、統一教会の話題で、「なんで、そんなのに騙されるんだ」「逃げればいいのに」とか言う人もいますが、あの雰囲気では逃げるのは無理です。その心情がわかります。宗教って、ほんと怖いです。昔は特に、情報手段が少なかったですしねえ。
でも、いい勉強になりました。おかげで、その後の大学入学時に、変な勧誘に引っかからずに済みました。
今のテレビ報道を見ていて、そんなことを思い出してしまった次第です。
