この前、テレビドラマ「女神の教室」第二回の中で、「銭湯で、入れ墨を理由に入店を断わられて、店主といざこざになり、怪我をしたので損害賠償を請求した」という話がありました。

 

そこで、入れ墨入店禁止に関する持論を再度書きたいと思います。

 

私は、温泉マニアで、特にここ数年は「横浜市内の銭湯、全店入湯」など、公衆浴場に関して、かなり詳しい人間であると自負しているので、こういう意見を言う資格はあると思います。

 

まず、今の日本の現実の状況なのですが、

いわゆる「街の銭湯」、法律で言うところの「公衆浴場」では、「入れ墨の人入店お断り」というのはまずありません。

いっぽう、「スーパー銭湯」や「日帰り温泉施設」、これも一般的には「公衆浴場」と呼ばれますが法的には「その他の公衆浴場」と分類されるところは、「入れ墨お断り」(※小さな入れ墨については、シールを貼って隠すことで入店OKにしている場合も多い)としているところが多いです。

 

「公衆浴場」というのは、公的性の高いもので、そのため、自治体から補助金などを受け取って運営しています。「なんとか浴場組合」といった団体に所属し、料金も、「同一組合内ではすべて同じ500円」とかに統一されています。「誰でも入れるお風呂」ということで、入れ墨によって入店禁止にはしません。公衆浴場法にも入店禁止の条文はありません。

 

「その他の公衆浴場」については、公益性よりも、個人の楽しみで行く性格が強く、「同一料金」といった規制もなく、自由に経営しています。ですから、「入れ墨の人は怖い」という苦情があれば、「入れ墨禁止」とするのは、経営者の自由です。

 

ちょっと前に閣議決定で、「入れ墨禁止はよくない」という決め事がありましたが、これは、入れ墨をしている率が高い「外国人観光客」に対する配慮であり、いわば「利益重視」の発想であり、「入れ墨が怖い」と感じる日本人客のことは無視したもので、良い決定ではないと思います。

 

ただ、「差別だ!」と主張する人も多く、「利益」と「差別撤廃」の両方の観点から、「入れ墨でもOK」とする、スーパー銭湯や日帰り温泉施設がちょっとずつ現れているようです。

 

ここで、「公衆浴場」である「街の銭湯」の経営を考えたいと思います。かなり苦しい経営をしているところが多いです。コロナ禍でいっそう苦しくなり、閉店したところも多いです。そういう、苦しい銭湯のことを考えると、「スーパー銭湯」などが「入れ墨OK」にするのはよくありません。

現状、入れ墨を入れている人は、街の銭湯しか行けません。こういう人が多数、街の銭湯に行くから、なんとか経営が維持できているというところも多いのです。もし、スーパー銭湯が入れ墨OKにして、893さんたちがスーパー銭湯のほうに流れると、街の銭湯の経営は客が減って成り立たなくなってしまうでしょう。

 

私の意見は、「街の古くからある銭湯を守るためには、スーパー銭湯は、入れ墨禁止のままで良い」という結論です。

 

 

なお、今まで、多数の、「入れ墨客のいる銭湯」に入ってきましたが、入れ墨客で、暴れたり、態度が悪くて他の客に迷惑をかけている、という人は皆無です。地元の堅気の人間に迷惑をかけてはいけない、という仁義を守っていると思います。

むしろ、大学生のグループなんかのほうが迷惑だったりします。