世を忍ぶ坂上忍
『エレクトリック・ボウイ』
と…………。
何故なら俺はこの指先から高圧電流を発射する事が出来るからだ。
信じられなくとも当然だ。
しかしながらこれは紛れもないリアル。
この俺が「エレクトリック・ボウイ」だという確固たる証拠に他ならないのだ。
では俺、「エレクトリック・ボウイ」の必殺技の一例を紹介しよう。
アジトに戻る、そのドアノブに触れる瞬間に俺の「ハイ・プレッシャー・ウェイブ」が放出されるんだ。
その電流で俺は何時でもキーレス・エントリーってわけ。
車を降りる時は決まってそのドアに俺の「エレクトリック・サンダー・ボルト」が炸裂するのさ。
そして俺の愛車は「ビッグ・サンダー・カー」になるって寸法だ。
俺のコスチュームを見てくれ。「ユニーク・クロージング社」製のフリース・スーツさ。
このスーツを脱ぎ捨てた時、俺は必殺技「メガ・ヴォルテージ・サンダー」をお見舞いするのさ。
その破壊力にどうだい?俺様の体毛も皆ピンコ立ちさ!
この間は困ったぜ。
敵を追ってエスカレーターにライド・オン。
その手すりベルトに触れようとしたその刹那、最後の大技「ギガトン・ハイパー・エレクトラ」が発射。
その音はパチッなんてもんじゃないぜ…。
「ドンッ!!」
なのさ!
隣のご婦人は鳩が豆鉄砲喰らったような顔で俺を見つめていったっけ。
どうだい?
この俺が本当の「エレクトリック・ボウイ」って事が解ったかい?
ん?
「37のおっさんのどこがボウイか?」って?
そう思ったお前ら。
明日セーターを着やがれっ!!
俺の「グレート・アングリー・ライトニング」が火を噴くぜっ!
食事中読んではいけないブログ
先日。
小用を足そうとトイレに行き、少し息んだら大が出てしまいました。
自宅ならば良かったのですが、不幸な事に出先の店舗での出来事。
小専用のスタンディングポーズのまま、ぎこちなく大専用に移る、コンビニに寄ったついでに電気料金を払うシステムには似ていないがボーと飛び乗ったザクがシャア専用で周りに悟られないようにゴックに乗り換えるシステムに似てなくもない。
思いの外、わたくしのランジェリーも無事。
更に他に誰もいなかったので奇行ととられずにすみました。
最近は少々の便意を感じればすぐさまトイレに行くことを心掛けています。
何故なら最近わたくしの括約筋に信用がおけないからなのです。
忍耐や緊張と言う言葉を忘れた我が括約筋。
昔は少々の便意もねじ込む程のパワーを誇ったその筋力も今や空前の灯火。
すぐさま敵の要求に従って開門してしまう脆弱さに悩まされているのです。
先日も然り。
わたくは都会の新名所、六本木ミッドタウン内の美術館へと向かったのです。
丁度クリスマスの時期でしたので立ち並ぶお店は色とりどりのデコレーションで華やいだ雰囲気。
その中を必死の形相で早足で進む40手前の男。
そうです。
わたくしに他なりません。
寒空に浮かぶ脂汗が悲愴です。
先ほどからずっと「toilet」の表示を見つけてはそちらへ向かっているのですが全く到着しないのです。
「これが都会の洗礼か……。」
都会は田舎者には冷たく、トイレをも差し出してくれないのか……。
わたくしはトイレと言う名のオアシスを求めて彷徨う旅人……。
歯を食いしばり、溢れんばかりの涙で歪む視界の先にわたくしは復讐の小さな火種がくすぶるのを感じました。
都会がそんな冷たい仕打ちをわたくしに向けるのならば、こちらも田舎者の意地で報復してやろうと。
「野グ〇」で。
しかしながら探せどもトイレはもちろん「野」さえ見つけられない、ここ東京砂漠。
「負けるものか。」
頬を流れ落ちる液体は溢れ出た涙か、はたまた滲み出す脂汗か。
何時しかわたくしはトイレを求める本来の目的を忘れ、この身を焦がす程の内なる熱き魂の置き場所を探して彷徨うのでした。
この冷たい都会に一矢報いて、そしてわたくしの存在を知らしめるべく……
あの頂へと!
「epilogue~都会の果て…」
冷たく巨大な、都会の象徴といったそのオブジェの前で一気にパンツを下ろす。
擘く悲鳴と唸りをあげる怒号。
複数のガードマンがわたくしに飛びかかり冷たい大理石に組み敷かれる。
阿鼻叫喚と化す六本木ミッドタウン。
全てはスローモーションのようにわたくしの目に写って行くのでした。
わたくしは目の前の巨大オブジェの頂に手を掛けることもなく、その場所を涙で揺れる視線で見つめ続けました。
そして何人かに飛び乗られて抑えつけられたその下で彷徨い続けた熱い砲弾を暴発させるのでした………
という妄想を巡らせつつ、間一髪、命からがらに辿り着いた六本木ミッドタウン内のトイレで事なきを得たのです。
【postscript~ひとくちメモ】
命からがら辿り着いたトイレのドアを握った瞬間の括約筋と気持ちの緩みに気をつけようぜ!
ちなみに美術館は休館日だったぜ!
濡れ衣48
恒例の夫婦水入らずでの外食…と言っても居酒屋巡りなんですが、たらふく呑んだアルコールで「ポニーテールとシュシュ」を口ずさみながらご機嫌に帰宅しドアの鍵を回した刹那、我が愛妻「ジャイ子」は淡々と口を開くのでした。
「え?…誰」
「あんた。」
あまりに突然の台詞にわたくは戸惑い質問しましたが、その返答は素早く、ややかぶせ気味に返ってきました。
たらふく呑んだのは我がラブリーワイフ「ジャイ子」とて同じ。
しかも数メートル前までは彼女もご機嫌で、どちらかと言えばわたくしに対してラブラブな「大声ダイヤモンド!」な感じで、「今夜はおまえを『ヘビーローテーション』……違うか!?」と思っていたのでわたくしには青天の霹靂でした。
「な…何で?」
「その『AKB』と…」
断っておきますが、わたくしはここで妻に嫌悪される程の「AKBオタ」では有りません。本当の「AKBガチオタ」の方々に失礼にあたってしまうほどのにわか「AKBファン」程度です。
総選挙の投票もしたことは有りませんし、AKB劇場に足を運んだ事も有りません。
在宅です。
ただ最近富にテレビ露出の増えたメンバーに多少の推しメンがいますがどちらかと言えばDDです。TOの方々には恥ずかしくてとてもオタなんて
「??………『と』?」
「ちいさい子と遊んでるあんたがかぶるとやっぱキモいんだよね。」
昨年の年末から今年の年明けも友人の娘と遊び、そして三歳まで嫌われ続けた姪は今年はわたくしの側からずっと離れず、正月は幼い娘達と遊び続けたのでした。
確かに大晦日には友達に娘の手を取って紅白歌合戦を観ながら振りコピし、明けに姪の手を取って特番で振りコピし、
「『涙サプライズ』も踊りたかったな!」
と姪に言ったわたくしに
「は、……はあ。」
な姪と義姉達の冷えた視線の先でジャイ子は「ロリータコンプレックス」の幻影をわたくしに映してしまったようです。
「え!?え!?…そんな……」
「『熟女好き』とかだったら」
「かたせ梨乃?かたせ梨乃?」
今度はわたくしがかぶせ気味に答えました。
純粋に子供達と遊んでいたわたくしの清い心は今、とんでもない誤解によって踏みにじられ汚されようとしているのです。
大体自分の夫をロリコン呼ばわりとは何事でしょう。
わたくしは決意表明ならぬ、宣言でその濡れ衣を晴らすべく叫ぶのでした。
「もしここにAKBが全裸で立っててもなあっ…!!」
「『コリス』以外には盛らないんじゃっ!!」
ジャイ子は無言で床に就きました。






