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日々好奇心の趣くまま

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あけましておめでとうございます。

思い返すと、ほぼ素人が一眼レフを入手して本格的に写真や映像、そしてそれに伴う画像処理系の勉強を我流で始めたのが2010年のこと。
時を同じくして、世の中では著しく機材や技術や方法論の新陳代謝があってキャッチアップするのも一苦労な中続けること今年でちょうど10周年。

巷で時折聞くのは何事も10年真摯にやればとりあえずモノになるとかなんとか。
本当にモノになったかどうかは正直よく分からないのだけれども、なんとなくおぼろげに全体像が見えてきたような。
まだまだ撮りたいものは沢山あるのだけれども、一区切りということでオーソドックスな撮影は今後少しばかりペースダウンして次のステップに進んでもよいかなと。

というのは、以前から絶大な興味がありながら習得しなければいけない事柄が余りにも多すぎるため今まで封印していた「ある分野」を少しづつ探求していこうかなと考えています。

その分野とはいわゆる「CG」、その中でも「PBR(Physically-based rendering)」と呼ばれるもの。
日本語にすると「物理ベースレンダリング」。
文字の通り光が持つ諸々の物理法則をエミュレートすることで画像や映像を作り出す技術の総称で、(上手く扱えば)実世界を撮影したような画像や映像を作り出すことができる。

願わくばこれまで培った技術と統合して何か新しい映像を作れないかというのが目指しているところ。

少々脱線して絵画の世界の話しだけれども、大まかな分類法で「具象」と「抽象」というのがあって、前者はモノや風景を写実的に描いたもの、後者は現実世界に囚われずに脳内にあるイメージを昇華して描いたもの(勝手解釈)。
もちろん明確な線引きはできないが、個人的には後者の方に好きなアーティストや作品が多いし、もし自分が絵描きだったとしても後者寄りだったはず。

翻って、カメラを使って表現できるのはあくまでも「具象」の範囲内、しかも現実に目の前に存在するものしか切り取れないというなんとも越えられない壁がある。
脳内だけにある映像を具現化するには昔であれば絵画しかなかったのだけれども、現代だとコンピュータの力を借りてより効率的かつ精緻に実現できる。
そんなことに最近強く惹かれています。

さて、どこまでできますやら…

まずは再び素人の状態から諸々の技術にキャッチアップすることから始める故、当面未熟なネタを連発する悪寒がしますが、ご了承ください。

心機一転、サイトのヘッダー画像をその勉強中に作成したものに差し替えました。
 

栃木の山奥にて。


もともとは画像処理実験用の素材として撮影したものなのだけれども、想定以上に視覚的に美しかったので何枚か。

 



これらは円周魚眼で紅葉の真下に潜りこんでブラケット撮影したものをOpenCVのExposure Fusionで合成したもの。
つまり上方半天球の樹木を通して入ってくる彩とりどりの秋の光をカメラのダイナミックレンジの許す限りほぼ満遍なく捉えていることになる。

遠目に見ると高級な飾り絵皿のようにも見える。

 



この素材を使って何を企んでいるのかについてはまたの機会にでも。
 

幻想的な絵が撮れるので以前から陸上ではしばしば機会がある際に試していた特殊な撮影手法について。



簡単に言うと可視光の代わりに紫外線を照明することによって撮影する写真。

雪写真でも著名な写真家の方がこの技法の技術的側面について美しい作例と共に書いてくれている。

https://petapixel.com/2017/09/21/using-ultraviolet-light-make-nature-fluoresce-photos/

記事の中で紫外線写真の種類が"UV reflectance"と"UV fluorescence"に区別されていることが書かれているが、今回ネタにするのがカメラ改造の必要のない後者の方。

撮影には紫外線を発する光源を使うのだが、そのままだと同時に発せられる可視光も被写体に当たってしまって普通の写真に近づいてしまうため、光源の前に紫外線のみを通す特殊なフィルタ(高価!)を1~複数枚通して可視光を除去したものを被写体に当てる。
被写体は紫外線照射によって蛍光を発して何らかの色を持つ可視光を励起(用語合ってる?)してくるのでこれを撮影する…というのが大枠の流れ。

被写体によってその励起特性が異なるので、いかにArtisticな反応をする被写体を見つけるかというのが面白いところ。

最近使っている光源が巷で評判のよい以下の365nmを照射できるライト。
 

 

JAXMAN U1 UV 紫外線365nm 18650 3W LED懐中電灯 お金の検出器 蛍光剤検出光 18650電池一本使用(電池含まず)

 

直視は厳禁。
若干高価だけれども、他の安物の製品だと波長が長かったり出力が弱かったりしてあまり被写体が反応してくれない。
これにHOYAのU340とSchott S8612の二種類(ebayで購入。いずれも高価!)の二枚重ねで可視光をカットする。

普段、林道や登山口で車中泊するが多いので、暗くなってからの暇つぶしでよくこのライトとカメラ抱えて暗黒の森へ散歩に行くのだけど、おおよそこんな写真が撮れる。

 



経験上、多足系の節足動物とか蜘蛛とか菌類がよく光ってくれる。

 



さて、これからが本題で。

これらの撮影機材一式を海に持って入れないだろうかとずっと模索していた。
水中生物の紫外線撮影に関しては以下の方が超絶美しい写真や映像を公開されていて、それに感化されたのがきっかけ。

http://www.coralmorphologic.com/

ただし、この方たちは生簀で撮影しているみたいだけれども。
どうやら紫外線に反応する生命体は水中の方が遥かに多いようだし、海の中で紫外線を照らすとどんな世界がひろがっているのか興味津々。

カメラに関しては問題はないのだけれど、陸上用のライトを都合よく格納できる防水ハウジングでよいものがないので断念していた。

どうしてもない場合は市販の水中ライトをUV改造することも検討していたのだけれど、たまたまDJI Osmo Pocketが上のJAXMANライトと寸法がほぼ同じであること発見。
また、Osmo Pocket用の水中ハウジングも発売されているので試しに購入してみた。
 

 

【MYOOJI】DJI Osmo Pocket用 防水ハウジングケース 保護ケース 水中60メートル ハンドストラップ付き 日常防護 水中撮影 耐圧 落下防止 耐汚れ

 

そこでJAXMANライトを入れてみると若干テープで太らせる必要があるものの、ほぼピッタリだった。
ただしスイッチは触れないので水中ではずっと点灯することになる。



とりあえずHOYAのU340の小径のものとディフューズ用のトレペを頭にテープ止め。



さて、この機材とTG6を携えて前回書いた沖縄の某珊瑚の森に(島酒をぐっと我慢して)日没後に侵入してみた。
しかしながら、珊瑚の場所まで泳いで行って潜りこんでみるものの、水深が3m以内と極端に浅いので体が浮いてくる。
ウエイトも持っていないし、これでは水底でうまくスタビライズできない。

フリーダイビングのトレーニングの一つに「ネガティブ」というのがあって、要は息をほぼすべて吐いた状態で潜るというある種の負荷トレーニングがある。
最近は全然やっていなかったのだけれども、とりあえずこれを思い出して潜ってみる。
これでなんとか水底で静止することができた。

ライトで照らしてカメラを構えてみるが、発光が弱すぎてフォーカスが効かない。
上のような状況なのであまり長時間は留まれないので、マニュアルフォーカスを使用する余裕はない。

そんな中なんとか撮影できたものを何枚か。

 

 



中には珊瑚の先端だけ蛍光するものがあって、生で見ると人工イルミネーションのようで綺麗だったのだけれど、あまりに光量が少なすぎてきちんと撮影はできなかった。
ピンボケだが、こんな感じ。



やはりこれ系の撮影はきちんとスクーバ+一眼でやった方がよろしいようです。¥がかかるけど…
多くは黄緑~薄青に蛍光するものがほとんどのようで、上の方々のようなカラフルなものは見られなかった。
今度は伊豆あたりでやってみたい。


残念ながらこれから水温低下や季節風などで不適な季節なので、来期にでも本腰を入れて撮影してみようかと考えています。
 

ANAのマイレージがいつのまにか貯まってきたため、久しぶりに沖縄に蒼の成分の補給を目的にプチ旅。

このところの沖縄はオーバーツーリズムが顕著なのであまり繁忙期には行かないようにしている。

海だけが目的であれば実は11月は隠れたベストシーズン。
観光客は少なくなり、海水温も透明度も高く、台風は一段落しているし、まだ季節風も吹いていない。とにかく悪いところがない。

今回の目的地である某所、以前から凄いと聞いていたので非常に楽しみにしていた場所。

防波堤の隅からエントリーして沖に数100mほど泳ぐとこんな信じられない光景が広がる。

 

 



長年、沖縄の多くの場所で珊瑚を見てきたが、これは最高峰のひとつじゃなかろうか…

 

 

このあたりは観光資源がほとんどなく、人がほとんど来ないのが大いに幸いしている。
正直なところ、慶良間などの珊瑚よりも元気がいいし、損傷や白化もほとんどなく完全な状態で残っているかなり奇跡的な海。


沖縄の海に魅せられて通うことン十年、各所で海水温の上昇や人為的な理由で珊瑚が壊滅しつつあるのをリアルタイムで実感している。

いつかはここもその餌食になってしまうのかもしれない。
そう言っている自身も文明社会で生活しているからには多少なりともそれに加担していることになるのだが。
今できるのはこの光景を映像で残すことくらい。
 

「少しばかり」と書いた理由はこの撮影旅行中に件の台風19号がみるみる巨大化したため。


時間をかけて各所撮影する予定だったのが、自宅の災害対策をすべく旅を早々に切り上げて急遽帰宅。
なにしろ荒川が氾濫すると最大水深5mになる地域の住人なもので。

紅葉の撮影、以前はほぼ北アルプス一択だったのだけれども、このところ東北方面ばかり通っている。
理由は2つほどあって、有名どころを外せば人がほとんどいなくてストレスがないことと、標高が低いため全山紅葉をして美しいこと。

今回はドローン撮影をしたいために人が極力入らず、かつ紅葉が文句なく美しい場所を慎重に選んだ。
つまりは極力アクセスが不便・困難な場所ということ。


この場所、紅葉独占の代償として未舗装の悪路を片道10km運転という苦行がついてくる。 ウチの凡庸なファミリーカーだとギリギリな荒れ具合。

…というか1,2回軽く腹をコスってしまった。


 



 

 



いずれも空撮による撮影なのだけれども、地上から想像する脳内のイメージとしての風景と現実のそれはかなり違う。
そのギャップを補正しながら撮るのが難しくも面白い。