漆黒の海でUVを | Nature | Photography | Music | Art

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日々好奇心の趣くまま

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幻想的な絵が撮れるので以前から陸上ではしばしば機会がある際に試していた特殊な撮影手法について。



簡単に言うと可視光の代わりに紫外線を照明することによって撮影する写真。

雪写真でも著名な写真家の方がこの技法の技術的側面について美しい作例と共に書いてくれている。

https://petapixel.com/2017/09/21/using-ultraviolet-light-make-nature-fluoresce-photos/

記事の中で紫外線写真の種類が"UV reflectance"と"UV fluorescence"に区別されていることが書かれているが、今回ネタにするのがカメラ改造の必要のない後者の方。

撮影には紫外線を発する光源を使うのだが、そのままだと同時に発せられる可視光も被写体に当たってしまって普通の写真に近づいてしまうため、光源の前に紫外線のみを通す特殊なフィルタ(高価!)を1~複数枚通して可視光を除去したものを被写体に当てる。
被写体は紫外線照射によって蛍光を発して何らかの色を持つ可視光を励起(用語合ってる?)してくるのでこれを撮影する…というのが大枠の流れ。

被写体によってその励起特性が異なるので、いかにArtisticな反応をする被写体を見つけるかというのが面白いところ。

最近使っている光源が巷で評判のよい以下の365nmを照射できるライト。
 

 

JAXMAN U1 UV 紫外線365nm 18650 3W LED懐中電灯 お金の検出器 蛍光剤検出光 18650電池一本使用(電池含まず)

 

直視は厳禁。
若干高価だけれども、他の安物の製品だと波長が長かったり出力が弱かったりしてあまり被写体が反応してくれない。
これにHOYAのU340とSchott S8612の二種類(ebayで購入。いずれも高価!)の二枚重ねで可視光をカットする。

普段、林道や登山口で車中泊するが多いので、暗くなってからの暇つぶしでよくこのライトとカメラ抱えて暗黒の森へ散歩に行くのだけど、おおよそこんな写真が撮れる。

 



経験上、多足系の節足動物とか蜘蛛とか菌類がよく光ってくれる。

 



さて、これからが本題で。

これらの撮影機材一式を海に持って入れないだろうかとずっと模索していた。
水中生物の紫外線撮影に関しては以下の方が超絶美しい写真や映像を公開されていて、それに感化されたのがきっかけ。

http://www.coralmorphologic.com/

ただし、この方たちは生簀で撮影しているみたいだけれども。
どうやら紫外線に反応する生命体は水中の方が遥かに多いようだし、海の中で紫外線を照らすとどんな世界がひろがっているのか興味津々。

カメラに関しては問題はないのだけれど、陸上用のライトを都合よく格納できる防水ハウジングでよいものがないので断念していた。

どうしてもない場合は市販の水中ライトをUV改造することも検討していたのだけれど、たまたまDJI Osmo Pocketが上のJAXMANライトと寸法がほぼ同じであること発見。
また、Osmo Pocket用の水中ハウジングも発売されているので試しに購入してみた。
 

 

【MYOOJI】DJI Osmo Pocket用 防水ハウジングケース 保護ケース 水中60メートル ハンドストラップ付き 日常防護 水中撮影 耐圧 落下防止 耐汚れ

 

そこでJAXMANライトを入れてみると若干テープで太らせる必要があるものの、ほぼピッタリだった。
ただしスイッチは触れないので水中ではずっと点灯することになる。



とりあえずHOYAのU340の小径のものとディフューズ用のトレペを頭にテープ止め。



さて、この機材とTG6を携えて前回書いた沖縄の某珊瑚の森に(島酒をぐっと我慢して)日没後に侵入してみた。
しかしながら、珊瑚の場所まで泳いで行って潜りこんでみるものの、水深が3m以内と極端に浅いので体が浮いてくる。
ウエイトも持っていないし、これでは水底でうまくスタビライズできない。

フリーダイビングのトレーニングの一つに「ネガティブ」というのがあって、要は息をほぼすべて吐いた状態で潜るというある種の負荷トレーニングがある。
最近は全然やっていなかったのだけれども、とりあえずこれを思い出して潜ってみる。
これでなんとか水底で静止することができた。

ライトで照らしてカメラを構えてみるが、発光が弱すぎてフォーカスが効かない。
上のような状況なのであまり長時間は留まれないので、マニュアルフォーカスを使用する余裕はない。

そんな中なんとか撮影できたものを何枚か。

 

 



中には珊瑚の先端だけ蛍光するものがあって、生で見ると人工イルミネーションのようで綺麗だったのだけれど、あまりに光量が少なすぎてきちんと撮影はできなかった。
ピンボケだが、こんな感じ。



やはりこれ系の撮影はきちんとスクーバ+一眼でやった方がよろしいようです。¥がかかるけど…
多くは黄緑~薄青に蛍光するものがほとんどのようで、上の方々のようなカラフルなものは見られなかった。
今度は伊豆あたりでやってみたい。


残念ながらこれから水温低下や季節風などで不適な季節なので、来期にでも本腰を入れて撮影してみようかと考えています。