『愛の神、エロス』ーウォン・カーウァイ スティーブン・ソダーバーグ アントニオー二
ミケランジェロ・アントニオーニが94歳で亡くなって、彼の遺作となった「eros」を観たいと思ってた。
2005年の映画だから90歳を越えての作品ということになる。
オムニバス映画で、ウォン・カーウァイ、スティーブン・ソダーバーグに誘いをかけたのもアントニオーニからだったと、DVD特典映像のウォン・カーウァイ監督の発言から知れた。「今までの映画造りに満足できなくなって・・・」とアントニオーニの思いを語るウォン。
アントニオーニは、終生アヴァンギャルドだった。先駆者であり続けた。
彼の遺作となった「eros」で、彼の映画は瑞々しい。女性の肉体を自然のひとつとして捉えている。豊かな実りを胸に感じ取る感受性。自然の中で女性が舞う。ノビノビと大らかに。そして大地と一緒になったようなラストシーン。
あらためて、アント二オー二の偉大さを思う。
長い時間をかけて、彼の作品を辿っていきたいと思った。
ベルイマンから学んだこと
逝去された20世紀最大の映画の巨人、ベルイマン。彼の映画は時として苦痛を伴った。演劇をみるように映画をみることを求めてくる。北欧の独特の内省的な時間が流れる。しかし苦痛は映画をみる苦痛というより描かれる人間の苦悩そのものが苦痛にみちた現代人のテーマを扱っていたからだ。
「ペルソナ」で映画の撮影機(キャメラ)がスクリーン(我々の視界)に向けて迫ってくるシーンが思い出される。モノクロームの濃度が濃い見事な撮影技術。
「野いちご」の老人の苦悩は、後年アラン・レネの映画「プロヴィデンス(摂理)」でさらに深化していったのではないか?「野いちご」がなければ、「プロヴィデンス」は生れなかったろう。
「沈黙」だったと思う。深夜の市街地に戦車が通る。ベッドサイドのコップがカタカタ揺れだし水が震える。その不安はデビッド・フィンチャーの「セブン」では地下鉄の走行に揺れる部屋という形で受け継がれる。
多くの映画人がベルイマンから学び、ベルイマンは映画の中に偏在した。
彼の映画に、日本の若者たちがふれることを願う。いまでは図書館に貸し出し用として用意されている。
偉大なる映画人、ベルイマン。安らかに眠ってください。
「運命の女」 UNFAITHFUL
エイドリアン・ライン監督といえば、「危険な情事」(1987) FATAL ATTRACTION で、アメリカ人のボキャブラリーに「バニー・ボイラー(兎を茹でる人)」を付け加えた張本人。確か、「ナイン・ハーフ」も「フラッシュ・ダンス」もこの人で、スタイリッシュな映像感覚の持ち主である。
「ジェイコブズ・ラダー」という隠れた傑作がある。ベトナム戦争のPTSDを題材に、男の魂の悲劇を描いてる。
しかし芸術系の映画評論家や映画批評には黙殺されているらしく、PLAYBOYの[完全保存版]映画評論家&ライターが選ぶ世界の映画監督250人「250 Film Directors of the World」には入ってないので驚いた。灯台元暗しとはこのことだ。
UNFAITHFUL
不実な 不貞な の意。
ダイアン・レインが素晴しい。
リチャード・ギアもいい。
この映画には、凡百の不倫映画を乗り越えた光がある。
ダイアン・レインを乗り越える勇気がない女優は、不倫映画に出ないほうがいい。
映画史に余計な贅肉を付け加えるだけだから。