映画ハック! -57ページ目

「働きマン」の主観描写

「働きマン」は面白い。面白い理由が何か?考えてみた。


①「働く」という普遍のテーマを、♀(女性)が働きモードに入る形でみせていくアプローチ。

②菅野美穂の中性的な魅力。

③雑誌編集という業界内幕物。

④バイ・プレイヤーたちの魅力。


脚本がよくできてるし、配役もいい。勿論原作の力も大きい。「面白い」と感じさせるのは共感を持てるから。


登場人物が、時折本音をキャメラ目線で語る。


まるでTVをみてるオーディエンス(我々)には、本音を明かすように。


面白い演出(脚本)だと思った。


この時折本音を、もしもウソもちりばめたらどんなになるだろう。


「あっ、こいつは嘘つきだなあ・・・」とか思うのだろうか?かなり高度なテクになるだろうから、「働きマン」では単純に<本音>装置として使われていくに違いない。


仕事モードに入った瞬間のグロウ(と呼べばいいのか、輝きの瞬間)、ウルトラマンを想起する。


「入った・・・」、皆が呟く。


そういうパターン化がまたTV的でよい。

「ディア・ハンター」をデジタル・リマスター版で観る

「THE DEER HUNTER」(1978年)はオスカーの作品賞、監督賞、助演男優賞、編集賞、録音賞を受賞してるが、アメリカ資本ではなく英国資本(EMI)で造られた映画と言うことを、今回初めて知った。


監督マイケル・チミノのオーディオ・コメンタリーが良質の作品ガイドとなっている。


ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、メリル・ストリープたちの輝かしいキャリアがこの映画には刻まれている。映画評論家がつけいる隙をたくさん持っている映画で格好の餌食にもされたが、この映画に刻まれた真の感情は今みても色褪せない。


「ディア・ハンター」のテーマ曲(Stanley Myers)の弦の響きは、魂を癒す。


この映画は傷ついた魂の物語である。ウォーケンは無垢な魂でロシアン・ルーレットに象徴される戦争によって魂を破壊された。新婚のジョン・サベージも過酷な現実に精神を病み、身体を壊した。多くの若者たちが傷ついて最後に「ゴッド・ブレス・アメリカ」を歌う。アメリカが無邪気さを喪失した転換点に、この映画はあるような気がしてならない。


デ・ニーロは、新しい父性を象徴してるかにみえる。彼が帰郷して寝室で身体を揺すり頭を抱えるシーンは、今回見て心に響いた。


この映画は観た人々の人生に刻印された映画になったが、その後の監督マイケル・チミノの運命をかえた映画でもあった。次回作の「天国の門」は映画会社ユナイテッド・アーティストを倒産に追い込んだ。アメリカはこの映画を葬り去ろうとした。今でもこの映画は不当に扱われている。アメリカ人は自身の歴史の暗黒を許容する程、まだ大人になれていないということか。


「ディア・ハンター」の中に流れる時間は、ハリウッド映画の時間ではない。


つまり、ウソの時間ではないということだ。一夜の夢で現実を忘れさせるのではなく、覚醒を迫る物語。


「生きるか死ぬか傷つくか」、その三択しかない人生の極限のテーゼがこの映画にはある。


だからこそ、このテーマ曲は心に染み入る。



「ALL THE KING'S MEN」 オール・ザ・キングスメン

ショーン・ペンとジュード・ロウとアンソニー・ホプキンスが顔を揃えてる映画を、観ないでいるのは難しい。オリジナルをまだ観ていないので、リメイクのこの作品を観るのが先になった。DVDは新作ででたばかりである。


なかなか見ごたえがあった。ショーン・ペンはどうしてこういう危ない役柄が上手いんだろう。


選挙演説で大衆の心を鷲づかみにしていく様は見ごたえある。観客の私それともあなたの心を鷲づかみにする。


政治家や政治家を目指す方は、この品のない演説の凄みを勉強するといい。


ジュード・ロウの重度(ジュード)のファンである自分にとっても、この映画は満足を与えてくれる。彼は苦悩する様さえ、美しい。


アンソニー・ミンゲラの「こわれゆく世界の中で」のジュード・ロウもいいし、こちらもいい。


映画で感じるのは、ショーン・ペンの演じる政治家の魅力は性的な魅力で、それに女も男も引き込まれてるということである。


日本の政治家は見習った方がいい。


権力は媚薬である・・・そうかのキッシンジャーは語った。


昔、成田空港でエージェントも少ないキッシンジャーとすれ違った。決して重々しくはない、風のように通り過ぎた男に、やはり知性の媚薬の気配を感じた。


政治は性的であるということを、この映画が示したことには意味がある。