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リーンのガラパゴスサロン~趣味や娯楽の広場

「リーンのガラパゴス批評」の兄弟ブログです。趣味に関する記事はこちらでどうぞ。

 

 達郎さんのコンサートでは男性トイレに列ができる。40代から50代の年齢の方が多いからですけど、他のアーティストのコンサートではそんな光景は見られないでしょうね。逆に女性の皆様は楽ですよ。


 いよいよ『TATSURO YAMASHITA PERFORMANCE 2011-2012』がスタートしました。58歳になるというのに、達郎さんは声がでますね。約1700人のキャパシティを誇るALSOKホールに生声(マイクに声を乗せない)を響かせるのは楽にやってますね。2008年からツアーを再開しましたが、声の調子は今回が一番じゃないでしょうか。そんな生声パフォーマンス、2002年までやっていたことを再開したこと、また今回の新しい試み、今までと同じようなステージ構成でもかなり趣向をこらしています。また、震災がなければライブハウスでツアーをやるといっていましたが、インプロビゼーション(ジャズのように楽器演奏の音でつなぐこと)が滑らかで拍手を忘れて身体でリズムをとって聞いていました。達郎さんの歌が聴けない時間は、今までなら「早く歌が聞きたい!」と思ってイライラしましたが、今回はとくにジャズのようなセッションが楽しめます。ジャズがお好きな人が達郎さんのコンサートを聴いた感想、なんてどこかのブログにありませんかね?


 私の前に座っていたのは、おそらく還暦をとっくに過ぎた老夫婦(ごめんなさいね)がかしこまっていました。お顔には皺がより、ややよれよれのクリーム色のジャンバーを申し訳なさそうに着ていた方でした。達郎さんのコンサートは1曲目からスタンディングすることは絶対にありませんから、どんな年齢層でもポップス以外の嗜好を好む方でも楽しめますから、短髪で総白髪の御老人が座っていてもまったく違和感はありません。ただ、達郎さんの曲を御存知なのかは不安がありますし、まるで演歌しか聴かないようなのんびりした空気がおふたりから感じられました。御主人が途中2回ほどトイレに中抜けしてましたけど、それはしょうがないですよね。


 ところが、前半で1970年代の曲が演奏されると、御自分の顔の前で両の手を一回強く叩いていました。


「あ!! これ、昔オレがよく聞いていた曲だ!!」


 若き日々の記憶が甦ってきた、そんな仕草でした。約30数年前の若き血潮を胎内にたぎらせた一瞬を後ろの席で見ていました。嬉しいですね。そんな方のためにでしょうね、MCで達郎さんは語りかけます。


「共に白髪が生えるまで……、あ、もう生えてるか!? そこまで頑張ってコンサートをやっていきます!!」


 御自分についてきてくれる方のためになら、ファンの数は少ないかもしれないけれどそれこそ一生懸命に演りますよ、っていってくれているわけですね。こちらも総白髪になるまでついていくしかないですね。


 この御夫婦は電車の時間の都合があったのか、アンコールの途中で帰られましたが、満足そうなお顔をされていましたね。こんなファンのために、きっと達郎さんは歌い続けてくれますね。


 今回のセットリストは最近のコンサートでよく演奏する曲もかけていますが、アレンジに工夫を凝らしているので今までと違った新鮮な気分で楽しめます。あ、「ネタバレの無い様、御配慮のほどを」とおっしゃっているので曲目は絶対に書きません。2ちゃんねるでとっくにばらしているんでしょうけどやめて欲しいですね。


 広島1日目の終演時刻は21時50分でした。13本目で3時間15分、早くも3時間越えですなあ。今後はもっと長くなることが大いに予想できます。来年は22時を回る日も必ずありますね。お帰りの公共交通の時間をちょっぴり気にしながら、この後行かれる方は大いに楽しんでくださいね。さて私は広島2日目を待ちながら広島を散策します。それでは、また。

 

 達郎 13曲目に入ってありますが、ラヴィアンローズ“バラ色の人生”でありますが、前(「愛してるって言えなくたって」)がフランス趣味でありますがその延長で、これにしようと。この曲、入れようか入れまいか迷ったんですが、明るい曲、上がりなので、ひとりアカペラのいわゆるドゥーアップアレンジなので、明るいのでいいや、と。まりやの「君住む街角」の1曲目で入れようかと思いましたが、入れるところの場所が難しい。結局、ラストに持ってきました、「バラ色の人生~ラヴィアンローズ」。これは2008年の夜のニュースワイドで『ブロードキャスター』、これのテーマソングで作ったんですが、それは必ず洋楽というオファーだったんですが、そこのプロデューサーの方が僕の回で勇退されるということで、そのプロデューサーの方が一番好きな曲が「LA VIE EN ROSE」なんでやってくれと。


「えー、Edith Plaf(エディット・ピアフ)僕やるの!?」


 えー、まあ、いわゆる、その、オーケストラで「LA VIE EN ROSE」、ちょっとなあ。って思ってると、そういうとき、パッと豆電球が点くんですよ。


「よし、アカペラでいこう」


 伝家のアカペラっていうんですが、えー、ひとりアカペラでドゥーアップ仕立てでやるとなんでもできちゃう。たとえ演歌でもできちゃうだろう、やりませんけど。そういう、なので。ドゥーアップアレンジのこれができました。ラヴィアンローズ。



 ♪ バラ色の人生~ラヴィアンローズ



 というわけでバラ色の人生、「ずっと一緒さ」のシングルのカップリングでございますが、これで明るく終わって、この後にこのアルバムの一番最初に「希望という名の光」のアカペラの「Prelude」というタイトルでアカペラのバージョンがありましたが、それの今度は「Postlude」、後奏、「希望という名の光」のポストリュード、というものが出てまいります。これでアルバムを挟み撃ちにしてトータリティーを出そうという狙いでありますけれども、この「Postlude」はぜひCDで実際にお聴きをいただければと思います。ちょっと意地悪しちゃったりして。何しろとにかく今の時代、パッケージがどんどん滅亡しつつある時代でありますけれど、私は古い人間なのでやはりCDのパッケージの14トラック、これで続けて流れをお聴きをいただきたくためにこのアルバムをつくっておりますのでですね、えーぜひともCDでお聴きをいただければ、とおもいます。


 それから、そうそう、アルバムのカバーについて申し上げとかなければなりません。今回の『Ray Of Hope』の、カバー、もういろんなところでネットでも出ていると思いますが、楽器のコラージュです。えー楽器をコラージュして手のかたちに仕上げています。これらの楽器はわたくしの自分の全部私物でありまして、えーしかもコレクションで持って飾っているものでは実際にスタジオでレコーディングで実際に使っているものばっかりです。全部で132点、写真にとりましてその内からコラージュしてこの手のかたちになっております。えー、ブックレットのなかの全てそうした楽器で散りばめてあるものなので、あのう楽器好きな方でしたらきっと喜んでいただけます。とてもきれいなブックレットですごくいい感じで仕上がって、自分でも喜んでおりますのでですね、ぜひそちらの方もお楽しみいただければと思います。


 以上『Ray Of Hope』8月10日発売、なにとぞよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。



 リーン “伝家の宝刀”ですね。つい達郎さんはしゃべりにまかせて略していましたが、今回のラヴィアンローズはすでにPerformance2008-2009で演奏され、今回の話も披露しました。まさにひとりアカペラは達郎さんの“伝家の宝刀”、幾重にもかさなった山下達郎の声の広がり、どうぞ御堪能ください。また「Posolude」はちょっとアフリカはサバンナの響きがします。


 というわけで、ようやく『Ray Of Hope』の全曲紹介も最後まで来ました。今回のツアー『JACCS PRESENTS 山下達郎Performance2011-2012』では何曲が取り上げられるんでしょうか。私のコンサート参戦まで一ヶ月を切りました。待ちきれませんねえ。それでは、達郎さんの記事を取り上げるのはライブの記事になります。それではごきげんよう。

 達郎 12曲目でございますが、これは今年発売されました最新シングル「愛してるって言えなくたって」。3月9日に発売されて二日後に地震が起こりましてですね、もし発売前だったら大変なことだったんですが、一応発売されただけでもありがたいと思わなきゃいけないんですが、地震の直前のシングルでしたのでいろいろと大変でしたけれども、でも曲に何の罪もございませんのでですね。今回のアルバム用にちょっとリミックスして、ちょっとピアノの抜けを良くしております。その辺のマイナーチェンジをお楽しみいただければ、と思います。「愛してるって言えなくたって」リミックスバージョンです。



  愛してるって言えなくたって



 今年の1月から3月までのTBS系の日曜劇場『冬のサクラ』、草彅剛さんと今井美樹さん主演のドラマの主題歌でシングルカットされました「愛してるって言えなくたって」。3年間で4曲バラード、しかもシングルカットでバラードを書かされまして、なかなかたいへん(笑)だんだんネタが無くなってくる、なんですが今回の『冬のサクラ』、冬の悲しい物語でしたので、えー、最後まで愛してるっていえない、そういう男の切なさ、そういうものがありましたので、ちょっとこうシャンソン趣味といいましょうか、フランスのマイナーメロディーな出だし、ジャック・ブレルとかですねそういうもののAメロといいましょうか歌いだしにしてみたら気に入ったのでそういう感じにしました。完全な自己満なんですけれどもね、えー自分では割と気に入っている1曲でございます。「愛してるって言えなくたって」、ニューリミックスバージョンでアルバムでは収録してございます。



 リーン 『冬のサクラ』、震災の影響で最終回とその前の回を2時間のスペシャルバージョンとして放映していましたが、ごらんになった方はいらっしゃいますでしょうか。私は見ませんでした。というより、どうしても見る気になれませんでした。DVDに録画しているのですが、このままお蔵入りしそうです。このブログは震災前まではテレビドラマの感想、および批評を扱うものとしてスタートしたのですが、“3.11”がすべてを変えましたその後、6月まで無理やりドラマ批評を続けましたが、時事批評と平行して書くことに無理を感じ、ドラマ批評をあきらめました。ちなみに震災前のこのブログの題名は


 リーンのアルチザン批評


 でした。ファンの方なら御存知、達郎さんのアルバムタイトルから取りました。しかし、震災を契機に地震、原発、時事批評を書くことに決め、題名を


 リーンのガラパゴス批評


 に変えました。自分だけが見える批評精神を書こう、などと偉そうな考えでブログの方向性を転換しました。ガラパゴス、日本国内の市場にだけ特化してしまい海外向けに通用しない商品とそれを好んで扱う日本をやや揶揄する意味を込めて使われる言葉ですね。もっとも、今回扱う曲「愛してるって言えなくたって」のスペシャルサイトのインタビューで


「自分はこれからガラパゴス化しようと思っていた」


 と達郎さんは述べていましたが、どんどん自分の音楽性を先鋭化して深めようとする姿勢を強めようとする宣言をしていました。それを読んだことも題名を変えるきっかけになりました。結局、達郎さんに影響を受けているわけです。今回のコンサートツアーでは


「これからはもっともっとガラパゴスしようと思っている」


 とかMCで語っているんでしょうか。はやくコンサート、行きたいですね。



 さて、今回のバラードは「MY MORNING PRAYER」にとって変わられるまで、アルバムの中で一番好きな曲でした。「ゲット・バック・イン・ラブ」より好きかも!? バラードなんだけど、暗すぎない軽味が魅力です。


 愛してるって

 言えなくたって

 僕の想いが

 あなたにいつの日か

 届くまで

 愛してるって 

 言えるときまで

 涙の痕が色付く

 光の春を待っている

 光の春を夢見てる


 この詩、今の状況を言い当てているようです。震災前に作られたのですが、とても暗示的な気がします。早く光の春が訪れんことを。

 達郎 11曲目が、かの「MY MORNING PRAYER」でございます。これも、番組ではずいぶんお話しておりますが、4月から始まりました日本テレビ系の朝ワイドの『ZIP!』という番組のテーマソングで、それのオファーを受けて、当初はぜんぜん別の曲で予定してたんですけれども、それのレコーディングしてる最中に地震が起こりましてですね、それまでの作ってた曲を捨てて急遽全面的に書き直しまして、この曲に差し替えてつくりました。いろいろと世情が不穏なところで六本木のど真ん中で電源の低下に苦しみつつ作ったものなので、いままでのそれこそ自分の作品にしてはすごくシンプル明瞭というか『ミューズ』以上にシンプルかつ直球な1曲でありましてですね、ちょっとなんか恥ずかしい感じもしてどうしようかなあと思ったんですが、まあこれも歴史の1ページだろうと。とにかく電源事情が最悪の状態でレコーディングしておりましたのでですね、テレビで流れているテレビバージョンというのがですね、いまいちその音質面といいましょうかミックス面で不安がありましたのでボーカルとストリングス以外すべて再録音しまして今回のアルバムに収録をいたしました。わたくしごとで変ですけれども、これを聞くとあの地震のときの世の中の空気というのがやっぱりフラッシュバックします。そういう意味では自分のなかではそういう思いがこもってる歌でもあります。「MY MORNING PRAYER」





  MY MORNING PRAYER





 というわけで「MY MORNING PRAYER」、アルバムバージョンであります。今回のアルバム全14トラックでございますけれども、実はシングルのカップリングで入らなかった曲が2曲あります。「ミューズ」と「ANGEL OF THE LIGHT」。なんで「ミューズ」はいれないんだ、というお便りを下さった方がありますが、「MY MORNING PRAYER」が入っているので「ミューズは」同系の曲なので割愛しました。あと「ANGEL OF THE LIGHT」は英語の歌なのでちょっと難解な歌なのでもうちょっと膨らましてですね、あれはシングルバージョンと書いてあるとおもいますが、フルオーケストラでもう一回やりたかったんですが、あのとにかくバラードが多いので、またチャンスがあればもう一回やってみたいとおもっております。今回のアルバム、そういう具合でコンパクトにしたかったので割愛した曲があります。





 リーン 私が山下達郎の曲で1番好きな曲、すくなくとも『Ray Of Hope』のなかではこの「MY MOR
NING PRAYER」です。全作品のなかで好きな曲を5曲えらべときかれたらこうなります。



 いつか(AOMEDAY)



 僕の中の少年



 BLOW



 MY MORNING PRAYER



 そして、そのとき聴いている曲。



 今回取り上げた曲は、最初はポップにメロディーが流れるだけの普通の曲に聞こえたんですけどね。アルバム発売から3ヵ月たった今ではもはやこの曲を聴かない日はありません。朝、ペタをつけながら『ZIP!』のオープニングで達郎さんの声を耳に入れ、出勤の車中でメロディーを全身に浴び、帰りには明日の喜びを信じてまた繰り返す。おそらくスタジオ収録の曲では全作品を通じてもっとも聞いています。どうしてこれほど聞くようになったのかはうまく説明できませんが、やっぱりその歌詞によるところが大きい。恥ずかしがり屋でへそ曲がりな(と御本人は自認しておられる)達郎さんがストレートに、赤裸々に思いのたけを歌い上げる、そんな、もっとも達郎さんらしくない曲だから惹かれました。

 達郎さんが個人的心情を歌った曲に「蒼氓(そうぼう)」がありますが、20数年前に作られたこの曲でも、どこか斜に構えていて、そのくせ顧みられないかもしれない個人的な生き方を、どこかのだれかにそっと伝えたい。やや複雑な心根が見られます。しかし、「MY MORNING PRAYER」は思い切って思いのたけをぶつけ、心身ともに傷ついた人に向かって叫び、寄り添ってくれる。

 今回はこの2曲の歌詞を全文掲載します。本来、音楽著作権としては違反なのでしょうが、営利を目的にしておらず、詩を通して達郎さんの世界とその変遷を知っていただきたくおもい、あえて掲載に踏み切ります。なにとぞ御容赦くださいませ。





 ♪ 蒼氓 (1988)



 遠く翳る空から

 たそがれが舞い降りる

 ちっぽけな街に生まれ

 人混みの中を生きる

 数知れぬ人々の

 魂に届くように



 凍りついた夜には

 ささやかな愛の歌を

 吹きすさんだ風に怯え

 くじけそうな心へと

 泣かないで この道は

 未来へと続いている



 限りない命のすきまを

 やさしさは流れて行くもの

 生き続けることの意味

 誰よりも待ち望んでいたい



 さみしさは琥珀となり

 ひそやかに輝きだす

 憧れや名誉はいらない

 華やかな夢も欲しくない

 生き続ける事の意味

 それだけを待ち望んでいたい

 To find out the truth of life!



 たそがれが降りてくる

 歌声が聴こえてくる…



 La La La La …





 ♪ MY MORNING PRAYER (2011)



 夜明けがまたたいている

 あなたを照らすために

 ちいさな想いがある

 あなたに届けるため



 今日という日が

 昨日より

 少しだけやさしく

 あなたを包んで

 くれること祈って

 THIS IS MY PRAYER

 MY MORNING PRAYER



 あふれるその悲しみ

 僕には消せないけど

 せめてこのメロディー

 あなたをはげませたら



 ひとときでも

 耳をすませ

 心をゆだねたら

 かすかな希望の

 音を聴いておくれ

 THIS IS MY PRAYER

 MY MORNING PRAYER



 手と手がつながる

 鼓動が伝わる

 みんな立ち上がる

 ひとりじゃないこと

 確かめるために



 涙がいつの日にか

 途切れるその時こそ

 本当の夜明けが来る 

 全てが生まれ変わる

 

 気高いいのち

 いつまでも

 心に刻みこみ

 明日をかかげて

 僕らは生きて行く

 あなたと生きて行く

 みんなで生きて行く

 THIS IS MY PRAYER

 MY MORNING PRAYER

 THIS IS MY PRAYER

 MY MORNING PRAYER



 この2曲の歌詞をお読みいただいてどんな感想をお持ちでしょうか。私は、やっぱり後者が好きですね。あの山下達郎にここまで寄り添っていただけたら、泣けてきそうです。同じ思いのファンの方もこの日本のどこかにいらっしゃるのではないでしょうか。

 達郎さんは自分のゆれる心情を別の媒体にこう述べています。


 原発が爆発するなどのデマが飛び交う状況下で曲を作りレコーディングしたものなので、出来上がった作品は、あまりに直接的・赤裸々で、装飾性がまったくない。あまりにガチンコでなんとなく恥ずかしいというか。でも、あの時にはこういう形でしか感情を表わせなかった。一時は、アルバム本編に入れるのはやめようとか、シークレットトラックにしようかとも考えたんだけど……。


                           (TATSURO MANIA No.79


 日経新聞のインタビューでは事務所の社長(小杉理宇造氏のことか)から原発のことをいわれたが逆に腹が据わった、ともコメントしている。多数の命が海に飲み込まれ、ひとつの建物の外壁が吹き飛んだだけで電気の供給がそこなわれ、そして一地域の難民が発生する。『Ray Of Hope』は震災後の人々に寄り添う内容としてつくられたと前に書きましたが、この曲には、ひとりのミュージシャンが未曾有の大惨事にどうやって向き合うのか、その答えと思いが凝縮しています。「HAPPY GATHERING DAY」では


 

 人生はそんなに捨てたものじゃない


 

 と肯定的に歌われ、「いのちの最後のひとしずく」では


 

 あなただけを あなただけを あなただけを 愛してる



 と愛情を素直に表現している。その後に来る曲が



 あふれるその悲しみ 僕には消せないけど せめてこのメロディー あなたをはげませたら



 と、やるせなさともどかしさを披歴する。この流れの落差に愕然とする。どうか曲の配列の妙に浸りながらお聴きくださいませ。きっと、達郎さんが、より近くに感じられます。ひとりのシンガーの魂の叫びをじっくりとどうぞ。




 閑話休題


 この記事を書いている2011年11月6日は、山下達郎のコンサートツアー『JACCS PRESENTS TATSURO YAMASHTA PERFORMANCE 2011- 2012』の初日、市川市文化会館公演の日です。今日行かれるファンのみなさま、ワクワクしておられるでしょうね。どうぞ、楽しんできてくださいませ。今回のツアーはまた一段と音がグレードアップしているでしょうね。私の希望は「MY MORNING PRAYER」をぜひとも演奏してほしい、それもアンコールに入る前の締めで聞きたいということ。セットリストどうなるのですかね。このコンサートはネタバレ厳禁ですから2ちゃんねるもほかのブログもシャットアウトしないと大変です。どうか、余韻を胸にきざみましょう。私は12月に中国地方の某市に出向いて楽しむことにしています。ネタばれなしでブログを書けるのか不安ですがそのときには頑張ってみたいと思います。では初日に行かれるみなさま、楽しんでくださいませ。そして、『Sunday Song Book』もお忘れなく。


 達郎 そして10曲目がブランニューな1曲でございます。今回のアルバム、そういう意味で純粋にブランニューな曲は3曲でございますが、これはこのアルバムでは異色な1曲でありまして、いわゆる女言葉の歌です。今まで女言葉の歌なんてほとんど歌ってこなかったんですけれど、ちょっとそういう曲が作ってみたくてですね作った曲なんですが、メロウなブラコンのサウンドなんですけれども詩だけ読みますと完全に演歌であります。いわゆるお水のお姉さんがですね男に尽くすという、よくある昔からあるですね演歌のパターンで、これもマイナーメロディーで展開した完全に演歌なんですけれども、これをそうしたブラコンのえー、ちょいと70年代的なメロディーラインでいくのでですねそこがミソなんですが、えーそれをまた女言葉で歌うといいかな、という。ホントは若い演歌歌手の方に女性でも男性でもいいんですけれども歌っていただけたらな、と思いつつですね。でも意外に自分でこう脇道にそれた曲だと気に入ったものが意外にできるんですよね。こう、作家的パトスといいましょうかそういうものがあるのでですね、じゃあ自分でレコーディングしてやってみようかな、と。これもなかなかこの音世界をまとめるのにですね、すごく難しくて時間がすごくかかったんですけれども、がんばっただけのことはあると自負しております。10曲目、タイトルからして演歌チック、「いのちの最後のひとしずく」



  いのちの最後のひとしずく



 えー、わたくしのアルバムに「レアリティーズ」というレアトラックばかり収録した、もともとあれに入っておりますが、もともと鈴木雅之さんにかいた「MISTY MOUVE」というのがありますが、ああいうような路線の1曲であります。「いのちの最後のひとしずく」、こういう曲を書くようになった自分も大人になったなあという感じがいたしますがですね、でもなんか、意外と自分で気に入ってたりするんですよ。まあ、そんなことはいい。



 リーン で、この曲をカバーすることになった栄えある最初の歌手、それがKinki Kidsだそうで。デビュー曲「硝子の少年」はオリコンチャート初登場1位、そしてミリオンセラーを暗黙のうちに約束させられたとのことで、達郎さんはかなりのプレッシャーを感じながら作曲したとか。結果はみなさん御存知のとおり、大ヒットになりました。この曲からして中性的でムード歌謡といったメロウな響きがしますが、それを歌いこなしたKinkiのふたり、特に光一さんには「いのちの最後のひとしずく」は似合うでしょうね。


 生まれて 出会えて

 今 愛し合う

 心のすき間をふさぐ口づけ

 今夜はもうどこにも行かないで

 あなただけを

  あなただけを

   感じたい


 まさに女性が求めてやまない素直な愛情を達郎さんが歌う、実に摩訶不思議な歌世界であります。


 人生はたった2秒で何もかも変わってしまう、1秒でもなく3秒でもなく2秒、と歌っているのがなんとも微妙な浮遊感を醸しだしている。そして切実に相手を求める。欲しくてたまらない。そばにいてほしい。


 ……


 そして、次の曲で、山下達郎が同胞のために切実な祈りを叫ぶのです。メロウな曲のあとに痛切な叫びが朝に響きわたります。個人的な愛の結びつきの後にそれは悲しく高らかに響きます。