
久しぶりにDVDで『世界の中心で、愛をさけぶ』を見ました。この映画は片山恭一氏著の原作本が2001年に発売。累計発行部数300万越えの大ベストセラーになり2004年に映画が上映。こちらも大ヒット作となり平井堅の主題歌『瞳を閉じて』も年間売上1位を記録しました。
そんな作品を今回改めて見ました。元々『セカチュー』は好きな映画でドラマ版も見たことがあるぐらいにハマっていたのですが私自身3年前にがんになりどちらかというと患者の立場でこのストーリーを見るのはきついと思い避けていました。
今回見ようと思った理由
私の現在の身体と心が安定しているということがあります。闘病系のドラマや映画は見終わった後落ち込まずに前を向けるかどうか?が大事なので今は大丈夫ということで4〜5年ぶりにリピートしてみました。
それと白血病の治療や世間の認識が当時と今とでどれぐらい違うかも知りたかったです。そんなところから久しぶりにこの作品を見てレビューを書きたいと思います。
『セカチュー』のテーマおよび名シーン
テーマ
【若い高校生サクと亜紀の純愛物語】
【ヒロイン亜紀が急性白血病になってしまう】
【亜紀の死後、ずっと忘れることができないサクの苦しみ】
名シーン
【海辺で原付バイク2ケツ】
【夢島での一夜】
【ヒロインが体育館で彼氏へ白血病を告白】
【坊主頭の亜紀が見舞いに来たサクと無菌室越しのキス】
【空港でサクが亜紀に寄り添い周りに助けてください!】
【死後10数年経過してからオーストラリアのウルルで散骨】
私がこの映画を35歳の頃に見た時の感想
あるサイトに2009年、私が35歳の時に書きこんだ感想の一部が残っていました。
主な感想
・観た人の年代によって感じ方はそれぞれ
・私は大人サクと同年代なのですごく話に引き込まれました。特に1986年時代の回想は郷愁がありました。私自身もウォークマンが欲しくて小遣いはたいて手に入れ、重低音のすごさに感激したのは今でも覚えてます。ほかにも深夜放送を聞いて寝不足になりながらもちょっと大人になれた気がしたり、初恋の相手を見るのが楽しみで学校へ通ったり…
・サクの回想シーンが私の青春時代とオーバーラップできるところがこの映画最大のいいところだと思ってます。
・だからこそ大切な人を失って何年も苦悩する大人サクにも共感できます。
・青春時代を思い出させてくれて生きる意味を再考させてくれた良作でした。
うーん。感想としてはポジティブなことが多いのですが長澤まさみさん演じる亜紀と森山未來さん演じるサクの恋愛模様のほうに気持ちがいき過ぎているのか白血病のことは二の次という印象になりますね。
本来は大人になり過去を引きずりもがく大沢たかおさん演じる30代のサクにもっと感情移入しないとこの映画の本質は見えてこない気もします。
52歳の現在は見方に変化
当時はあまり気にならなかったシーンが今見直すとすごくささったりします。
心に残ったシーン
・物語の伏線ともなるサクのハガキ投稿(同級生が白血病にかかり闘病をがんばっているという架空の話)がラジオ番組で採用されウォークマンが贈呈されたことに対して亜紀がサクを軽蔑し叱った場面
→これは子どもの教育にも大事なんじゃないかと思います。「自分がされて嫌なことは相手にもしない」「病気で苦しむ人を使って自分の利益にするべきじゃない」この精神がひいてはSNSでの誹謗中傷いやじめの減少になるのではないか?
・急性白血病は現代では不治の病から脱却している
→直近数年でも有名人では池江璃花子選手や歌手の岡村孝子さんが罹患され治療に臨み寛解、復帰を果たしました。
物語の設定は1986年なのでこの当時はかなり厳しかったのでしょうが抗がん剤の種類が増え骨髄移植も可能な40年後の現在は白血病に罹患しても生き続けられる確率はかなりアップしています。
・サクが治療するも症状が進行する亜紀のことを考えながらお祭り会場で涙する場面
→当時はなんでこんなシーンがあったのか分からなかったのですが今見るとよく分かります。「がん患者・家族・恋人側」と「幸せそうに祭りを楽しむ人側」に分けることで患者側の「苦悩」「孤独」を演出していたのだと。
私も仕事を休んで入院し手術、治療を受けていた時は「社会から離れてしまった」と思っていました。手術後や治療日を過ぎれば仕事に復帰して平常心に戻れるのですがが「死ぬのが怖い以上に社会から置いていかれて自分は今何をやっているんだろう」という気持ちのほうが先にきていました。
でもこれは考え方によっては仕事復帰のことを考えるほうが死のことを考えてモヤモヤするよりメンタル的にはよいことなのかも。
あくまで私は現役世代といわれるアラフィフの立場ですので世代によって感情は変わってくるのかもしれないですね。
・亜紀のお父さんが病院内の待合室で「おれはあいつに何もしてやれないんだ」と横にいるサクに頭を抱えて嘆くシーン
→患者家族の偽らざる心境と思います。でも患者は身内がそばにいてくれれば安心できます。孤独じゃなければいい。病院では先生や看護師も心強いけれど話ができるのは限られた時間のみ。家族なら昼は面会、夜は電話でそばに感じられるんです。
この作品がもたらしてくれたもの
本と映画が社会現象にまでなったことで2004年以降骨髄バンクのドナー登録者が爆発的に増えました。そして世間の白血病への認識が強くなり研究も進んで救える命が増えています。
そうやってがんの研究は過去に闘病された皆さんたちの経験やデータの蓄積で進歩します。また、社会問題にすることで得られる病気に関する知識の共有や研究費、治療費の捻出、患者家族側の正しい情報収集などよい方向に進められるのでこの映画やドラマ版は色んな人に見ていただきたいと思いました。

夕焼け空とあまおう