これからのイラストレーター ② | 富山県のイラストレーターブログ

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富山県で絵描きとして活動中のだいごろうのアート作品ブログ。

 

 

【多種多様のイラストレーター】

 

 

 

 

 

世間一般の「プロとアマの違い」は、

 

たぶん、その技量とか、それまでの努力とか、

 

もしくは、資格とか、何かすごい賞を獲ったことがある経歴とか、

 

そういう先入観で見ているだろうけど、

 

俺の中の「プロとアマの違い」は、

 

「お金を一円でも稼げばプロ」なのです。

 

そこには、技量も、経歴も関係ない。

 

「その道、30年のプロイラストレーター」も、

 

「その道、10年のプロイラストレーター」も、

 

「今年から初めてのプロイラストレーター」も、

 

「プロ」を自ら名乗り、自分のイラストを1枚でも売り、

 

お客さんから1円でもいただいたら、「プロ」なんです。

 

逆に言えば、どんなにすばらしい技量を持っていようと、

 

どんなにすごい賞を獲った過去があっても、

 

自ら「プロ」と名乗らず、「素人です。絵は趣味です。」と言って、

 

自分の絵を、1枚も売ったことがなければ、その人は「素人」なのです。

 

ずっと「素人」を名乗っている限り、その人が「プロ」になることはない。

 

 

 

はっきり言って、昔から、素人でも「プロ」顔負けなほど

 

素晴らしいイラストを描く人たちが、ゴマンといる。

 

今では、中学生ですら、SNSで自分のイラストを公開して、

 

フォロワーが増え、そのフォロワーから「自分にも絵を描いて」と頼まれるほどだ。

 

中学生だし、お金のトラブルを避けたいからって理由で、

 

その子はお金をもらわないスタイルで、フォロワーたちに

 

絵を描いてあげているけれど、もし、お金の管理がしっかりできるようになれば、

 

すぐにでも「プロ」として、やっていけるわけだ。

 

 

 

・・・ただし、「プロ」であっても、

 

その稼ぎで、生活していけるかどうかは、また別の話だ。

 

イラストレーターの世間一般の相場というのは、人や地域によって違うものだ。

 

そのへんは、ネットで調べてみてほしい。

 

そして、俺から言えることは・・・

 

相場どおりに、自分のイラストを売るべきだ。

 

「上手い、下手」とか「経歴」とか、関係ない。

 

「プロ」を名乗り、お客さんから1円でもいただくのであれば、

 

その時点で、「新人プロ」も「10年プロ」も「30年プロ」も、

 

みんな、同じ土俵に立っているのだから。

 

 


by絵描き士・大五郎

 

 

中には、「こんなに高いの?」というお客さんもいるだろう。

 

そういう人は、自分の絵の価値を、相場以下だと感じているわけだから、

 

相手にしなくてOKだ。

 

・・・ついつい相手を「お客様=神様」という対象で見てしまって、

 

相手が買ってくれる金額に合わせると・・・その後も、その金額で描くことになる。

 

そうなると、どうなるか?

 

自分の生活ができなくなる。絵だけでは食べていけなくなる。

 

相場通りでも、「買いたい」と言ってくれるお客さんこそが神様であり、

 

あなたの絵を高く評価している人たちだから、

 

そういうお客さんだけ、大切にしたらいい。

 

 

 

昨今、「イラストレーター」と「デザイナー」の違いを

 

はっきりと分かる人が少なくなった。

 

その世界で生きている人たちですら、分からない人が多いのだから、

 

お客さんとなる一般人の方々に、その違いが分かるはずもない。

 

そして、すでに分けて考えることがナンセンスだったりする。

 

「イラストレーター」は、自分の画風、タッチがあって、

 

そのままのイラストを売っている人だ。いわば、芸術家タイプ。

 

一方、「デザイナー」は、ある程度、自分の個性的なデザインは持っているものの、

 

お客さんの要望をなるべく取り入れたデザインをするのが仕事だ。

 

つまり、お客さんが納得するものを創り出す人。クリエイタータイプだ。

 

ところが、この線引きが、もう曖昧になってしまっていて、

 

イラストレーターといえども、「自分の想いのままに描いて、そのままで納品」という

 

時代ではなくなってきている。

 

俺も、お客さんの意向を汲んで、イラストを描くことが多い。

 

「お客さんだから」と、相手の意見ばかり聞いていれば、

 

まったく自分の意図しない作品を納品することも有り得る。

 

 

 

中には、まったく自分の画風と違った注文をしてくるお客さんがいる。

 

以前までは、なんとか自分で描いてあげたいと思い、

 

お客さんの満足度にこだわって、描いていた。

 

自分が描きたいものじゃない作品に仕上がっても、だ。

 

そんな仕事をこなしたあとは、ものすごく消化不良をおこす。

 

お客さんは満足したかもしれないけれど、自分が満足できなかったからだ。

 

「お客さんが満足してくれたなら、自分も満足」という人は

 

クリエイタータイプで、そのまま、続けていけばいいと思う。

 

でも、俺のように、お客さんの言うとおりに描いて、消化不良を起こすなら、

 

やり方を変えたほうがいい。

 

 

 

今や、プロもアマも含めれば、日本だけでも数万人いるとされているイラストレーター。

 

一言でイラストと言っても、多種多様なタッチがあるし、お客さんの求めている仕様も多種多様だ。

 

はっきり言って、俺じゃなくてもいいって話だ。

 

初めてのお客さんなら、俺のタッチが分からなくて当然だから、

 

ホームページやポートフォリオなどで作品を見てもらうことも必要だろう。

 

その上で、俺に依頼するのであれば、それは、

 

「だいごろうのイラストだから」という前提をもって、依頼してくれているということだ。

 

そういうお客さんばかりではないのだが、ある程度、

 

俺の絵を認めてくれているお客さんであることは確かだろう。

 

それでも、何度も修正依頼するお客さんもいる。

 

最終的には、もはや俺のタッチがどこにもない状態に仕上がる作品を求められる。

 

そうなったら・・・まことに申し訳ないが、たとえ途中まで描いていても、お断りする。

 

お高くとまっていると思われてもいい。

 

だって、もはや、それは俺の作品とは、ほど遠いものになっているのだから。

 

元から、「だいごろうの作品じゃなきゃ」と思っていなかったということになる。

 

漫画家・鳥山明さんに、「ジョジョっぽく描いて」と頼んでいるようなものなんだ。

 

それなら、最初から、ジョジョの漫画家・荒木飛呂彦さんに頼むべきなんだ。

 

なんなら、失礼にあたるようなことをお客さんは頼んでいるようなものなんだ。

 

自分にとっても、お客さんにとっても、時間の無駄になると思うし、

 

お互いに、気持ちの良い結果にならないのなら、いっそ早めに切ったほうがいい。

 

・・・ということを、最近になって、ようやく、そう思えるようになった(汗)

 

 

 

自信がないから、よくお客さんの要望を聞こうとしてしまう。

 

必要とされていたいんだ。

 

要望を言われると、求められていると感じることが出来るから。

 

でも、上記のような結果を、何度か経験したため・・・

 

今では、本当に、お断りするようにしている。

 

断る勇気も必要なんだ。

 

もちろん、断るのは、最終手段にしている。

 

初めから断ることは、あまり無い。(ゼロではないが)

 

打ち合わせしていて、話し合って、

 

求められていることが、俺に出来るのならば、可能な限り、尽力する。

 

方向が思いっきり違っていても、妥協点を話し合って探す。

 

 

 

俺の場合は、そういう仕事の仕方をしているが、

 

これが正解ではない。どんな仕事にも、正解というのは無い。

 

人、場所、タイミング、条件がちょっとでも違えば、正解は、いつでも変わる。

 

だからこそ、毎回、正解を探る。

 

だから、毎回、必死だ。話し合いの時も、作成するときも。

 

きっと、イージーな仕事なら、それはとてもつまらなくて、情熱を注げなくて、

 

すぐに終わってしまうだろう。きっと続かない。

 

やってみなきゃ、結果が分からない仕事こそが望ましい。

 

だからこそ、ワクワクドキドキして、おもしろいんだ。

 

俺は、すっかり、この仕事にハマっている。

 

 

 

 

 

先日の記事「これからのイラストレーター ①」にも書いた通り、

 

今や、「全人類、総クリエイター時代」。

 

イラストレーターは、アイディアと技術の仕事だから

 

コンピューターに仕事を取られることは無いと聞いたが、

 

ところがどっこい、最近のコンピューターは、写真をイラストや漫画に

 

瞬時に加工できるし、なんだったら、今までの偉人の作品を学習して、

 

新たな作品を生み出すことだって出来てしまう時代になってしまった。

 

そして、「アート」というジャンルは、「何でも有り」の世界だ。

 

高い画力がないと売れないというジャンルではない。

 

芸術の国・フランスへ、あからさまな道着を身に着けた無名の格闘家が、

 

「えいや!」と叫びながら、たった数秒で、墨でデタラメに書いた「書」が、

 

「アート」として認められ、その場で、数百万という値段で取引される世界だ。

 

どこかの動物園の、サルやゾウが描いた絵に、数百万という値がつけられてしまう時代だ。

 

さきほども書いたように、いくらでも替えが効くんだ。

 

あなたじゃなくてもいいし、俺じゃなくてもいいんだ。

 

イラストレーターを目指しやすい世の中に、やっとなったのに、

 

今度は、そのイラストレーターとして生活しづらい世界になってしまったわけだ。

 

 

 

それでも、仕事というのは、どこまでいっても「人と人」なんだ。

 

コロナ禍で、テレワークがどうとか言われてたけど、

 

ちゃんとした打ち合わせは、やっぱり直接会わないとダメなんだ。

 

「売る人」と「買う人」。「仕事する人」と「お金を払う人」。

 

「仕事がない」と言っている人は、ネットなんかで募集をかけるだけじゃなく、

 

ちゃんと、人に会いに行ったほうがいい。

 

俺の仕事は、ほとんど、

 

会ったことがある人からの依頼だったり、紹介によるものばかりだ。

 

今ではネットで、まったく知らない、遠く離れた人に依頼も出来るけど、

 

やっぱり、会ったこともない、得体の知れない人間に、

 

大切な仕事を依頼することって、なかなか無いものなんだ。

 

人間の本能かもしれない。

 

「会ったことないけど、あの人が紹介してくれたから・・・」

 

「この前のイベントで名刺交換してたから・・・」

 

そうやって、接点が合った人たちからのほうが、断然、依頼されやすい。

 

こちらとしても、まったく知らない人から依頼されるよりは

 

顔見知りの人から頼まれたほうが、安心する。

 

冷やかしもなく、金銭面のトラブルもなく、安全だったりする。

 

お客さんにも、そういう気持ちが働くんだろう。

 

 

 

何度も書くけど、「全人類、総クリエイター時代」。

 

替えはいくらでもいる時代。

 

こんな世界で、有名になるのは、ほんの一握り。

 

それは、昔から変わらない。

 

でも、悲観することはない。

 

誰にも、未来は分からないのだから。可能性は、低い確率でもある。諦めることは無い。

 

そして、諦めない人には、何かしら、チャンスが訪れるってこと。

 

諦めたら、そこで試合終了なのは、昔も今も同じだから。

 

ただ、有名になることは目指してもいいけれど、

 

それを目標にしないほうがいいかもしれない。

 

「チャンスがあれば狙う」ぐらいの心持ちで。

 

富や名声を目標にしてしまうと、すぐにつらくなるし、楽しめない。

 

「楽しむために仕事をしてない」と聞くけれど、

 

苦しいよりも断然、楽しいほうが長続きするのは間違いない。

 

人間の人生のうち、大半の時間は、仕事に費やされる。

 

その大半の時間が苦しみしかなかったら、ストレスで体を壊す。

 

だから、仕事に楽しみを見つけること。

 

 


by絵描き士・大五郎

 

 

「同業者の友人、知人がいても仕事に繋がらないから要らない」という人もいる。

 

同業者は、いわばライバルたちであり、

 

仕事を取り合う最悪の関係で、嫉妬の対象でしかないという人たちもいる。

 

それは個人の考え方なので、それが間違っているとは一概には言えない。

 

でも、俺は、同業者は、お互いを高め合う「良きライバル」であり、

 

同業者だからこそ、同じことで悩み、苦しみ、分かりあえる関係だと思っている。

 

ゆえに、自分に描けないタッチの依頼がきたら、そのタッチが得意な知り合いの同業者に仕事を回す。

 

逆に、仕事を回してもらったこともある。

 

俺は、そういう助け合いの仲であり、同志であるという認識だ。

 

同業者の画力に嫉妬はするし、順風満帆そうに見える同業者にも嫉妬するけど、

 

犬猿の仲になるほど他人を憎むことは無い。

 

画力は、経験や学習、練習の結果だし、

 

うまくいって見えるのは、その人の一面だけしか見えてない証拠だ。

 

その人が、うまくいくまでに、どれだけの苦労や努力があったことか。

 

うまくいっている今もなお、陰で、どれだけ大変な想いをしていることか。

 

当人にしか分からないものだから。

 

それを妬むのは、お門違いだ。

 

他人をどんなに妬んだところで、自分の人生は1ミリも好転しない。

 

他人がどんなに成功しようが、失敗しようが、自分の人生には1ミリも影響しない。

 

何度も書くけど、「全人類、総クリエイター時代」。

 

上も下も、ゴマンといる。ライバルなんて、ゴマンといる。

 

そんな中、すべての同業者を妬み、嫌い、蹴落とすことに、なんの意味があるんだろうか。

 

そんなことに時間を費やしている間に、

 

他の同業者たちは、地道に自分自身のために時間を費やし、

 

立ち止まっているあなたを軽々と飛び越えて、先へ、上へと進んでいくことだろう。

 

はっきり言って、時間の無駄だ。

 

自分自身のために、自分自身が夢中になれるものに、時間を費やすほうが

 

有意義だと思う。

 

 


by絵描き士・大五郎

 

 

これからの時代・・・おそらく、すでに依頼は分散されている。

 

有名人に集中して依頼がいくのは、世の常だが、

 

それ以外のイラストレーターたちへの依頼は、分散される。

 

安い金額設定だと、多く依頼を受けないと生活できない。

 

依頼が分散されると困る人たちが出てくる。

 

だから・・・みんな、一律で、高めの金額設定になり、それがイラストの世界の相場になる。

 

みんな一律で、同じ金額ならば、あとは・・・

 

どれだけ自分の作品、仕事ぶりを、世の中にたくさん発表しているか・・・

 

どれだけ、他人の目に触れる機会が多いか・・・

 

どれだけ、人と人の繋がりを大切にしているか・・・

 

依頼が巡ってくる確率、チャンスが巡ってくる確率は、

 

そういう些細なことで、他人との差となって表れてくるんだと思う。

 

・・・こんなふうに書いたけど、結局、売り方は人ぞれぞれ。

 

「アート」といっしょで「なんでも有り」な世界。

 

義理を欠いていても、バカ売れする人もいるし、

 

ご縁を大切にしていても、売れない人もいる。

 

有名人の成功方法をマネて、うまくいく人もいれば、

 

ぜんぜんうまくいかない人もいる。

 

正攻法なんてない世界だ。

 

思い切って、やってみて、トライ&エラーを繰り返していくしかないかも。

 

 

 

 


by絵描き士・大五郎

 

 

 

 

なんか、当たり障りない文章で、

 

もしかしたら、誰のためにもならない記事かもしれないけど、

 

今の自分が、ふと思ったことを、つらつらと書いてみました。

 

最後まで読んでくれた方々、ありがとうございました。