ニートになった。

いつからニートになったんだろう。

ニートになっても、僕は何も変わらない。



「草」


 昔々あるところに、人里はなれた場所にたたずむ村がありました。

そこで人々は、毎日ひっそりと畑仕事に精を出し生活の糧をえていました。

村の中央には大きな木があり、その木の周りにはどんな病気でも治すと言われている草が生えていました。

どんな病気でも治すその草ですが、効き目は一度だけ。

医者のいない村の人々はその草を本当にやばくなったときに使うことにしています。


 ある日の事、草の噂を聞きつけた近くの小国の王様の使いが、草を売ってほしいと村の長老のもとをおとずれました。村の長老は尋ねました。

「王様は一体どんなご病気をわずらっておられるのです?」

使いは言いました。

「王様はうつ病をわずらっておられます。毎日リストカットをされるのでお供の者を常に監視においている状態です。不景気風のふくご時世、そのような場所に人件費をかける訳にはいかないのです。」


 長老は気まぐれな人だったので、草を売らないことに決めました。

王様は後日かかりつけの医師の手によってうつ病が治り、その後も国は平和をたもたれたというお話。











ニートになった。

ニートって楽だな。

全てが弛緩していくこの感じ。

ぼくはこのままだめになっていくんだろう。


「髪の毛」


昔々、あるところに意思のある髪の毛がいました。

髪の毛は思います。

「なぜ私は存在しているのだろうか。」

髪の毛は近所に住んでいるフケじいさんにたずねます。

あなたはなぜ存在しているのですか?

ゴミのような存在のあなたに存在している価値はあるのですか?

フケはフフンと鼻でわらっていいます。

「わしはわしの役目を終えたから今のわしになったのである。ゴミという役目もいまだけの話。いつかは土に返り栄養となって違う形に姿を変える日が来るであろう。」

髪の毛は目を見開かれる思いでそれを聞いていました。そして、ゴミのようなフケじいさんを馬鹿にしていた自分が馬鹿だという事に気がつきました。

それからというもの髪の毛は何も考えず一心不乱に頭皮を守るため働き続けました。

何十年かたったある日髪の毛からはすっかり色が抜け落ちていました。

そして、となりに住む若々しい黒髪の髪の毛に言われました。

「おっさん、もうそんな髪の毛の色して何の役に立っているというんだ。いさぎよく抜け落ちてしまえよ。」

そんな若者に対して白髪になった髪の毛はいいました。

「貴様、殺すぞ。」

髪の毛は長い間働いている間にすっかりやさぐれてしまっていましたとさ。





年の瀬も押し迫った今日この頃。

僕はまだニートのままだ。

このままニートでいるのも悪くはないような。

お金と愛があればニートでもいい。

さて、今日はどんな妄想に耽ろうか。


「バー」


とある街中にたたずむ一軒のバー。

名前のないそのバーには今日も寂しがりや達が集うのであった。

バーテンのマリちゃん。

彼女はいつも寂しがりや達をうまくあしらっている。

笑顔をふりまき、なんやかんや客と話しながらてきぱきと注文をさばく、まるで人工知能をつんだロボットのよう。

だいたい、僕がバーにいくと決まってウィスキーのロックをもらう。

ビールと違って腹にたまらずかつ酔える、なんて素晴らしい飲み物なんだろうか。

「ガラガラ」

「いらっしゃーい」

客が入り始めてきた。

どうやら一見さんのようだ。

風体はとても大きく、どこか鬱々としている。


うどん屋さんだった。

元バンドマンのうどん屋さん。

ニルバーナがとても好きだというそのうどん屋さんは、やはり鬱々としている。


「今度一緒にバンドやりましょう。」


初対面のその人がそう僕に言った。

まあ、別にいいかなとも思った。

鬱々とした僕には鬱々とした人がたくさん寄ってくる。

ああ、めんどくさいな。


その人とバンドを組んだ夢を見た。

めんどくさい夢だった。

多分、実際に起こったとしてもめんどくさいんだろう。

僕はうどん屋さんと番号交換したが電話がかかってきても出ないことにした。

君子危うきには近寄らずという事だ。


おしまい。




ニートになった。

さて、今日は何を食べよう。

さて、明日は何を食べよう。

今日も妄想の世界へダイブしよう。



少女は言いました。

私はきれいなものが大好きと。

きれいな写真、きれいな心の人、きれいなものはなんでも好きと。

少女はたくさんのきれいなものを集めてそれをながめるのが日課になっています。

少女は言います。

私はこうしてきれいなものを目の前にしてぼーっとしているときがとても幸せ。

しかし、そんなある日少女の身に変化がおきました。

「ああ、きれいとはなんなんだろうか?きれいなものばかり見ていたらいつのまにかきれいなものが何か分からなくなってしまった。」

今まで集めたきれいな海の写真や、きれいな石を眺める事からも次第に遠のいていきました。

日常が満たされなかったそんなある日少女は床に寝そべってぼーっと天井を眺めていました。

天井にある染みに焦点を合わせて、ぼーっとしていました。


その染みを見ていてぽつんと言いました。

「きれい。」




ニートになった。

毎日が休日だ。

さあ、今日も妄想の世界にダイブしよう。

「デジタルワールド」

デジタルな世界に生まれ落ちた。

この世界は全て0と1、一定のリズムで構成されている。

この世界の住人は全て数字で物事を考えている。

この世界の住人は一定のビートがループする音楽をこよなく愛する。

年寄りは言う、私の時代はいつの間にか遠い過去のものになったと。

しかし、若いものは言う。

「今も次の瞬間には過去に変わっているはずです。それは遠い昔から一定のリズムで同じ事が起こってきていたはず。」

デジタルとアナログ。

アナログな人物とはこの世界のリズムにのれなくなった人間の事ではないだろうか。

ニートになった。

ニート生活も毎日続けてるとニートも仕事になってくる。

さて、今日はどんな話を考えてみようかなあ。


「愛の話」


僕は毎日飲み歩いている。

金と愛を毎日探しているが、金は自分の元から離れ愛はいくら探しても見つからない。

愛とはなんだろうか。金があれば愛は買えるのだろうか。

夢をみると僕はとても満たされる。

そこには何かがいた。

姿形は覚えていないがたしかにそこには何かがいたのだ。

たしかに愛の正体は夢の中にいたのだ。

一生僕はそれの正体を知ることはないのかもしれないが

それが存在しているということがわかったのがなによりも僕にはうれしかった。

















ニートになった。

ニートなニートだ。

でも、少しだけお金を持っているニートだ。

だから、小金持ちニートだ。

毎日何しようかなと考える。

今日も、いつものスタバでアイスグランデラテを頼んでテラスで空想に励もう。。


「指の話」


あるところに子供がいました。


なあなあ、お父さん。僕指の名前覚えてんかー。

今から言うで聞いてな。

お父さん指やろ、お母さん指やろ、お兄さん指やろ、お姉さん指、そんで赤ちゃん指やねん。

うちはお姉さん指と、赤ちゃん指はおらんなあ。。


するとお父さんはこう答えました。


いやいや、うちはこうやねん。

この太い指はお父さん指。その隣がお母さん指、その隣がおまえや。

そこまではお前の言ったとおりだが、その続きはな

お姉さん指、これがまゆみだ。そして、その隣の赤ちゃん指はまゆみの子供、お前の弟だ。


子供はいいました。


ふーん、僕には弟がいるのかあ。


お父さんはいいました。


そうだ、お前には弟がいるんだ。そして、そのせいでお母さん指にコブラツイスト決められている最中なんだ。


二人の目の前の大きな夕日は、川の水面に反射して綺麗なオレンジ色の川を作り出していましたとさ。




マドロミという女の子がいました。

マドロミは寝る事が大好きな女の子です。


今日マドロミがダイブした世界。

そこでのマドロミは男の子でした。

他の登場人物はクリリンと孫悟空でした。

どうやらドラ〇ンボールの世界にマドロミは飛び込んでしまったようです。


その世界でマドロミは完璧なオブサーバーでした。

孫悟空とクリリンがとりあえずもめていました。

マドロミはオブサーバーです。


いつの間にかその揉め事も解決したのでしょうか、孫悟空は誰かと戦っていました。

マドロミはオブサーバーに徹しています。

いつの間にか孫悟空は結婚していました。相手は牛魔王の娘チチです。

マドロミはオブサーバーです。


目が覚めました。

マドロミはふーっとため息をついて、

「ああ、相変わらず訳が分からん。」


と自分の頭の中を少し疑ってしまうのでした。

ある日、ふと少年は自転車に乗り地獄を見に行こうと思った。

地獄とはどんなところだろうか。

地獄絵図は見たことはあるが、本当の地獄とはどのような景色なのだろうか。

お気に入りの自転車をこぎこぎ、1時間程すると地獄らしき景色にでくわした。


そこでは、薄汚い格好をした老人達が地べたに座りながら酒を飲んでいた。

殴られたのだろうか、一人の老人は目を腫らしていた。

街自体も薄汚い。

首輪の無い犬がそこら中で餌をあさっている。

鳩もいる。鳩の羽が宙を飛び交っている。

秩序が無い。

少年はとてもわくわくした。なぜならば、そこに少年が見たかった景色があったと思ったからだ。

老い、貧困、絶望。

これこそ、イメージの中の地獄だ。

そう思ったのもつかの間少年はあるものを目にした。

地べたにしゃがみこんだ老人達が楽しそうに話していたのだ。

少年は思った。

地獄にいる人間は笑わないはずだ。

じゃあ、ここはなんなんだろう。

地獄であって地獄でない場所。

現実世界なはずなのにリアルを感じる事ができない。


少年はその場所を後にした。

そして、ふと今度は天国が見たいと思い、帰り道とても華やかな街に行く事にした。

きれいなドレスを着た美しい女性達、高級車、ネオンの光。

少年はとてもわくわくした。なぜならば、これこそが世にいう天国に違いないと思ったから。

若さ、富、欲望。

これこそ、この世の中の天国。

そう思ったのもつかの間、身なりの良い紳士がとても暗い顔をして美しい娘達のいる店から出てきた。

少年は思った。

天国の人間は暗い顔などしないはずだ。

じゃあ、ここはなんなんだろう。

天国であって天国で無い場所。

現実世界なはずなのにリアルを感じる事ができない。


少年は家に帰る事にした。

天国と地獄のある街と少年の住む現実の街を結ぶ橋を渡り、

少年は川越しにキラキラと光輝くビルの群れを見た。


おもちゃの街、レゴの街。天国と地獄のある街。

いつまで光続けるのだろう。


”天国と地獄”を口ずさむ少年のこぐ自転車は夜道を駆けていく。















マドロミという女の子がいました。

マドロミは寝ることが大好きな女の子です。


マドロミは今夢の世界にいます。

現実の世界のマドロミはまどろんでいるという事です。


マドロミは寝ることを”ダイブ”と呼んでいます。

夢世界はダイブするたびにその形状を変えるので、マドロミは毎回違うものに形を変える事となります。


今回のダイブではマドロミはカズヤという男の子になっています。


なぜかって?


それは、誰とも知れない誰かがマドロミをそう呼んだからです。


マドロミはカズヤとして何をしたのか?


現実世界にもどった彼女は全てを忘れていて唯一覚えているのはその名前だけでした。


マドロミは現実世界でレンタルビデオ屋の店員をしています。


レジで受付をしていたら、一人の客がDVDを借りていきました。


タイトルは”夢うつつ”


会員証に書いてある名前は一也。

なんとなく気にはなったものの、特に何もなくその客は1週間そのビデオを借りていきました。


夢うつつ。

夢うつつ。


現実世界もマドロミにとっては夢うつつ。

とりあえず、BIGを5口バイト帰りに買って帰りました。