あなたのとなりにいる 中年男子の本棚 -31ページ目

其の12  セブン・イレブンのロゴマークの最後の文字はnって知っていましたか?

ビジネスマンのための「発見力」養成講座  小宮一慶

ディスカヴァー・トゥエンティワン  1050円


著者は京大法学部卒業後、東京銀行入行。MBAを取得し経営コンサルタントをされています。

帯には「見えてるつもりで見えてない!?」とありますが、あたりまえです。
例えば、セブンイレブンのロゴがELEVEnとなっていること、知ってますか?ローソンのマークは何が描かれているでしょうか?
私はローソンの件は気が付いていたので知っていましたが(学生時代ローソンでバイトしていたのです)、知っていたところで何の得にもならないから、ふつう注意深く見ないわけですよね。でも、誰でも興味があることは、他の人が気がつかないことでも知っていることはいっぱいあると思います。

著者は最初にセブンイレブンの例をあげて、毎日見ているものでも見えていないものがたくさんあると述べたにすぎませんが、普段の生活や仕事上でもこういう風に自分で情報にスクリーニングをかけて、見えていないことがいっぱいあるから、関心の幅を広げて意識するようにしなさいと言っているのでしょうか。そして、その奥に隠れた関連性や法則性をつかむと完全にものが見えるようになると言っています(と思う)。

私の職場は女性が多いから、「女性の同僚が髪を切ったのに気がつくかどうか。月曜日の朝だけ注意すればよい。」というのはなるほどと思いましたね。(→女性が美容院に行くと男性よりずっと時間がかかる。そうなると平日の仕事帰りに美容院に寄るというのは難しいから。)
発見力をつければこういう見方、考え方ができるんだと感心しました。
あとは、サラダバーでプチトマトのへたが取ってあるホテルは良いホテルという著者の仮説は分かりやすかったです。日常生活でいろんな仮説を立てることができたら面白いかもしれませんね。

すべてのことには理由がある。それに気がつくための読みやすい教科書でした。


ここからは、わたしが大事だと気がついたところです。

私たちは目にはいるものすべてを見るわけではなく、見るべきものをあらかじめスクリーニングしてから、その情報を取りに行く。
何かのプロフェッショナルはそのことについて素人には見えないものがたくさん見えていますが、それは何であれ、見れば見るほど、見たいもの、見ようと思うものが増えてくるからです。言い換えると、物事には奥行きがあって、深いところまで見れば見るほど、その先にまだ、見えてないものがたくさんあることが分かってくるのです。

ものを見る力を磨くには、まず、自分には見えていないものがある、分かっていないことがあるという意識がとても大事です。

最終的にものが見えるかどうかのポイントは、仮説を立てられる能力、現象を見て、こういうことじゃないかという仮説を立てられる能力を高められるかどうかです。(例 新幹線のグリーン車の隣の席が空いているかどうかで企業の業績を占う、サラダバーのプチトマトのヘタが取ってあるホテルは一流ホテル等)

関心→疑問→仮説→検証
(まず関心を持つ→どうしてだろうと疑問を持つ→こういう理由ではないかと仮説を立てる→それが本当にあてはまるか観察して検証する)

適切な仮説を立てるための技として分解してポイントを絞る、または全体像を推測しうる一点を見つける。(例 床がきれいな工場の経営は間違いない、料亭では客を履いている靴で見分ける等)

先入観を疑う。→仮説とは時に誤った「レッテル」となってしまいがちで、そうなるとかえってものが見えなくなる。(例 学歴、ロレックスの時計をはめた経営者等)

従業員が見知らぬお客様にも声をかける会社はいい会社。
初心者マークや研修生等の札をつけた店員がいる店はだめな店。
働く人が止まっているレストランは儲かっていない。飲食業の原価は36%が限界。(高級店は別)
年間一人当たり一千万円の粗利(中小企業)、千五百万から二千万円(大手企業)出ていてだいたい儲かっている。
一秒で財務諸表を見る方法(現預金やすぐに売れる有価証券が月商の何カ月分あるか、流動負債が流動資産より多いか少ないか)
物事を根底から考える人にだけ見えていることというのは、実は驚くほどたくさんある。→深く物事を考える習慣をつけておけばものは自然と見えてくるようになる。

見える力を養う方法
①人は関心のあることしか目に入らない、だから関心の幅を広げる。→新聞を読むのが手っ取り早い、仮説を持って新聞や情報を読む
②ノーマルなものをたくさん見る(対比するものをいっぱい見て優れたものが分かる)
③問題解決の経験をたくさん積むと問題発見能力につながる。
⑤できるだけいろいろなものに触れていくことにより一見関係がなさそうな散らばっているニュースや数字、商品の関連性が見えてくる。
⑥責任を持つ→関心の源は突き詰めると「責任感」(責任を責任と感じるとそれに必要なものが見え、真剣さも違ってくる)
あることについて真剣にやっているとき、「好き」か「嫌い」かしかなくて、「ふつう」はない。考える機会が与えられることで、関心が生まれる。関心を持てば、好きか嫌いかどちらかが分かる。つまり基準が生まれる。その基準が仮説となり、いろいろなものが見えてくる。
⑦思想を持つ→適切な仮説を立てるためには、その根幹となる正しい思想(価値観、倫理観)が必要。思想があれば、物事の原理原則を見極めることができる。原理原則からものを見ることができる。

ものが見えるヒント
先に要点を知る(本の太字をザーと読んで要点を知る)
ヒントを先に得る(ガイドブックや解説を先に読む)
分解する(興味ある一点を注意深く丹念に見る)
情報を減らす(見る対象を少なくした方が気がつく)
気がついたことをすぐメモする(メモした事柄の関連性に気がついてさらにものが見える)


この本の中年男子発見力養成度は★×3.75でした。

ビジネスマンのための「発見力」養成講座/小宮 一慶
¥1,050
Amazon.co.jp




その11  いま、旬の勝間本です

効率が10倍アップする新・知的生産術~自分をグーグル化する方法~ 

勝間和代 ダイヤモンド社  1575円


最初に断っておきますが、今回はちょっと長いです。
今、旬の勝間本を紹介します。というか紹介するまでもないとは思いますが。
著者は当ブログの「その6」でも紹介しました、勝間和代さんです。

私はこの本が出版されてすぐに数件の本屋に行き、立ち読み(試し読み)を試みましたが、どこにも在庫がないという事態に遭遇しました。で、結局見つけたら即買いしてしまいました。私はつくづく普通の人だな~と思いました。もしかしたらいつの間にか、勝間ファンになっていたのかも知れません。
(強い女性になんとなく魅かれるし)

ここで著者が紹介することを、日本のサラリーマンが皆実行したら、すごい知的生産能力になるのではないでしょうか。本当にこの著者は情報をGiveの5乗してくれます。

でも、私が実行するには困難なこともありました。
5千円以下の良書は惜しまず購入することや、いつもノートパソコン携帯して駆使すること。過剰な付き合いを断ること。

まず、自分の小遣いでは中々一冊の本に5千円近くの金額を投じることができないのです。
ノートパソコン。地方都市では無線LAN環境が余り整っていないのです。(必要性もあまり感じませんが)
付き合い。古い組織なもんでなかなか・・。

ぼちぼち、やれることからやっていきます。

この本、285ページもあってなかなかのボリュームですが、実は何回も同じことを言っているのね。読み直して分かりました。しかし、フレームワーク、ディープスマート力、ベスト・プラクティスという言葉は、なかなかニュアンスがつかめず、私には定着にするかどうか。

たぶん、この本は入り口にしかすぎないのでしょう。本当に理解するには、著者が紹介する本を読むしかないな~と実感した次第です。

それにしても勝間本の影響力はすごいですね。この方が紹介した本は、今まで在庫もなかったような本なのに、今やビジネス書コーナーに所狭しと山積みされてますよ。おかげで古本屋にもないし、あってもすごく値上がりしてます。紹介したツールもきっと売れてるんでしょうね。

試し読みする方は、最終章と巻末に紹介している本やツールを見るとよいでしょう。


ここからは、著者がやる必要がないと言っていた、この本のまとめです。

情報こそが現代の通貨である
賢くない人が賢い人からどんどん搾取される危険な時代
情報主義社会ではより情報を持つ人=賢い人が、情報を持たない人=賢くない人から、合法的にお金を巻き上げているのだ

情報入手の効率を上げるためには、問題意識、すなわち自分のテーマを持つことである。
自分から情報を出せば出すほど、不思議なほど周りの人が情報をくれるようになる。=GIVE5乗の法則
グーグルとIT機器を120%使い倒す=情報は各種ツールを組み合わせることで、能動的に管理できる。
Gmailはプライベートな補助脳=自分宛てのメールは常にGmailに転送されるようにしている
情報の二重化=システムダウンしても対応できるようにコピーを作っておく

知的生産のスキル向上に必要なこと
①原理原則を学ぶ
②原理原則に従ったテクニック、すなわちケースを学ぶ
③ケースをお手本に、自分のやり方を試行錯誤して身につける。
多くの人が①を飛びぬかして②から入ろうとしている。学習は頭ではなく、五感全体で行うものである。

いろいろな情報の中で本質的に必要なものはせいぜい1%。これをすくい取るには

①フレームワーク力をつける②ディープスマート力をつける③失敗力をつける④ベスト・プラクティスの共有で学びを分けてもらう⑤自分の価値を出せないところはバッサリ捨てる

フレームワーク力=情報の中から共通点や相違点を見つけて、その情報が何を意味して自分の生活にどう生かせるか本質を見極める力

フレームワーク力をつけると次が改善できる

①必要な情報と不必要な情報の見分けがつく②いい情報と悪い情報の区別がつく③情報の因数分解ができる④本質的な情報とそうでない情報の区別がつく⑤既存のフレームワークを下敷きに、新しいフレームワーク力を作ることができる


フレームワークの具体的な使い方について→問題解決プロフェッショナル、7つの習慣
フレームワークを使うと情報の価値についての勘が身についていき、それが熟成されるとディープスマート力になる。
歴史から学ぶのがフレームワーク力としたら、経験から学ぶのがディープスマート力、さらに失敗力だ。
失敗することで、何が本質なのかすばやくその部分に近づくことができる。

ベスト・プラクティスとは現場の経験や知恵の中で生まれてきた、最良の方法、やり方である。
自分の価値が出せないところはバッサリ捨てる→仕事を引き受けすぎないこと、自分の価値が出せない仕事については断ること、自分が得意なことに集中する

Not to do list を作ること→勝間氏の場合、時間・お金・集中力がなくなり健康を害するので、たばこは吸わない、お酒は飲まない。情報整理をする大事な時間なので睡眠時間は削らない、脳の老化を加速するので過度に高カロリーの食事をとらない、運動不足になるのと情報が入りにくくなるのでタクシーをなるべく使わない、仕事を必要以上に詰め込まない。

本題をケチらず良書を読む→勝間氏は月に10~15万本代に費やす。隙間時間にパッパと読む、本はじっくり読まない(パーと読んで自分の興味がある部分、分かりやすい部分を抽出して読む)、本を読む前にその本読む理由を設定する(何を得たいから読むのか)、

インプット力を高める6つの技術
①ノートパソコン(補助脳として使い倒す)

→レッツノート、イーモバイル、ウィルコム、フリーマインド、HD革命
②フォトリーディング、親指シフト、マインドマップ
 (フォトリーディング→全体を見ること、問題意識を持つこと、ソフトフォーカス・リラックスした状態で情報を入手しやすくなること、親指シフト→入力スピード1.7倍、NICOLA、マインドマップ→MindManeger)
③アナログ入力とデジタル入力をバランスよくつかわける

→小さいメモ帳とボールペン、ICレコーダー、薄型デジカメ、グーグルデスクトップとGmailで検索が容易になる
④マスメディア情報を減らし、実体験、他者体験、良書を3大情報源とする

→テレビや一般誌等のマス情報との接触時間1日30分に抑える、本は対話しているつもりで読む、本はとりあえず買う、5000円以下の本は迷わず買う、自分のテーマアンテナを張ると必要な本が目に入る、保管する本は10分の1でよい、本はスピード優先で線引きやまとめがきは不要、複眼的に読む(賛否両論の視点から)
⑤目以外の感覚器、特に耳をもっと活用する

→視覚だけでなく聴覚や臭覚、触覚を合わせた共感覚により深く記憶に残りやすい。
⑥睡眠は投資、よく運動してよく寝る

→集中力をつけるには体力が必要、毎日の有酸素運動、週2回の筋トレ、1に6時間以上の睡眠

アウトプット力を高める6つの技術
いい情報を見つけてインプットしても、アウトプットしなくては宝のもち腐れ。理想としてはインプット:アウトプットは5:5の比率。
①自分でインプット情報の信憑性を確認する。(自分なりの手法で確認する)
②自分の学びを言葉で表現する(自分が知っている言葉からしか、話し言葉も書き言葉も出てこない→だから本を読むべき)
③自分の学びを常に数字に置き換える癖をつける(日常の些細なことに気づいて、そのことに疑問を抱き調べてみて、新しいことを発見する)
④情報から本質を絞り込み、簡略化、階層化(必要に応じて深い情報に入れる)、フレームワーク化(全体像がいつでもわかる)する。
⑤自分の学びをブログに統合して表現してみる。(自分のアウトプット力を他人に評価してもらう)
⑥自分の学びを本として出版する(本を出すとステージが変わる)→人脈、仕事、情報、チャンスが向こうからやってきてくれるようになる。

知的生産を支える5つの生活技術
①喫煙、飲酒、過度のテレビ・ゲーム・ネット・人付き合いを極力遠ざける
②隙間時間を有効利用する癖をつける
③質の高い睡眠時間を確保する
④集中力を高めるために体力をつける→自転車通勤、スポーツクラブ、万歩計
⑤頭と健康に良い食生活を心掛ける→砂糖、動物性タンパクは控える、加工度の高いものは控える

自分の力が10倍アップする人脈作りの技術
①情報をGive×5乗する
②メールの質量を高める(→素早い発信と返事、文頭は相手への呼びかけから、すべて個人宛、相手への明確な意思表示)
③自分のコミュニケーションスタイルを尊重する→自分の得意な方法で相手に情報をGiveの5乗する。

成果=知識(新しいことを学んだ情報)×実行割合(その中から行動に着手した割合)×定着率(習慣化したもの) この積み重ねが大きな違いを生んでいく。


最後に中年男子お好み度は ❤(★)×4


効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法/勝間 和代

¥1,575
Amazon.co.jp



その10  結局、バイトは雇うべきなのか?

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字(上)  山田真哉
光文社新書 735円


最近、この下巻に当たる「食い逃げされてもバイトは雇うななんて大間違い」が出版されました。
またこの手か!、と思ったのは私だけでしょうか?当ブログの(その3)で取り扱った、「千円札は拾うな!」の続編?が「下を向いて歩こう」であんまりだろう、と思っていたらこの本の下巻も同じような逆説的タイトルをつけています。続編にも興味を持たせようという手法なんでしょう。

著者の本職は公認会計士。大阪大学文学部を卒業後、就職するも五月病にかかり退職。数字が苦っだったということですが、24歳で公認会計士の2次試験に合格しています。やっぱり頭の良さが違いますね~。

今回、読んだのは上巻の「食い逃げされてもバイトとは雇うな」の方です。

私はこの著者の「さおだけや~」も読んだのですが、いまいち内容を覚えていません。この本も数日経つと忘れそうな気がします。読み物としては非常に面白くスラスラ読めるのですが、「ふ~ん、なるほどね」という程度のインパクトなんです。会計初心者に興味を持たせるような趣旨で書いたものだからでしょう。

このタイトルの意味は、店主が配達中に食い逃げされるラーメン屋でバイトを雇わないという選択は、バイトの人件費を考慮すれば会計学的(経営的に)理にかなった行動だ、ということです。この行動を「感情より勘定(数字)で判断する、食い逃げ(貸し倒れ)の金額よりバイト代(回収コスト)の方がかかるのなら、食い逃げはあきらめる」と著者は説明しています。

会合の集合時間を6時53分という中途半端な時間にすると皆がその指定時間の理由にこだわり遅刻が減る等の数字のテクニックを紹介しています。その他、タウリン1000mgは実は1gのことだったり、50人に一人無料とは結局2%の還元率であったり、巷に溢れる数字のテクニックの種明かしをしているので、全く知らない人にとっては新鮮に感じるかもしれません。吉野家に券売機がない理由は私も気がつきませんでした。

私は安い買い物でも割引率にこだわりがちなので、(例えば1000円の商品が500円で売っている方が、10万円の商品が95000円で売っているよりも魅力的に感じてしまう)「値引きのパーセンテージではなく、いくら得したのかという金額が優先される」という著者の指摘には、なるほどと思いました。

あとは、著者は会計士なのに「株式投資はギャンブルに似ている」と断言したところには驚きました。でも、その通りだと思います。なんだか気持がさっぱりしました。


ここからはこの本で私が忘れないで記憶しておきたい内容です。

コスト削減のコツは値引きのパーセンテージではなく、いくら得したかという金額が優先される問題である。これは会社や家庭を問わず節約の鉄則です。

あらゆる感情を排除して、数字のありのままの姿を捉えることは、金額重視主義の極意です。感情が入ると会計学的な思考はできなくなります。

「不確定要素でお金が変動する」「完全に法則化はできない」という意味においては、株式投資はギャンブルと同じなのです。

現実を見れば見るほど株の勉強と株の儲けは無関係のように思える。

普通に株式投資するならば、いづれ潰れそうな会社だけは避けなければなりません。(そのために決算書を見る必要はある)

決算書を見る上で注意する点
数字は読むのではなく探す。ババともいうべき数字だけをパッと探せばよい。
①過去と比較する。増減が激しい数字を見つけたら「どうしてなのか?」と考え「こうかもしれない」と仮説 を立てて目星をつけて調べる。
②他社との比較で「売上高利益率」(=当期純利益÷売上高)に注目する。
③売上高利益率が1%を切った会社は要注意。大手企業では1%の売り上げの水増しは容易であり、かろうじて黒字決算の会社は粉飾決算の疑いもある。稼ぐ力が会社が存続する上で一番大事。
④あとは「当座比率」「有利子負債比率」「売上債権回転日数」「在庫回転日数」を見ると健全性が確認できる。


最後に、この本の中年男子満足度は★×700‰(★×3.5のこと)です。


食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉/山田 真哉
¥735
Amazon.co.jp