あなたのとなりにいる 中年男子の本棚 -32ページ目

その9  何かと話題のグーグルの本です。

グーグル Google ~既存のビジネスを破壊する~  佐々木俊尚

文春新書 798円


著者は毎日新聞社記者(警視庁捜査一課担当)、月刊アスキー編集部勤務を経てフリージャーナリストになった方です。おもにIT関連の取材をしており「ヒルズな人たち」や「ライブドア資本論」等の著書があります。


この本の帯には「Google 破壊者か、全能の神か」と刺激的なコピーが書いてあります。
約2年前の平成18年4月に上梓されているためでしょうか。近所の古本屋で101円という格安価格で売っており、以前から興味があったテーマでしたので特に期待もせず購入して読んでみました。(こういうPC関連の書籍は内容と関係なくタイトルだけで、古本屋ですぐに安く売られるケースが多いような気がします。)

読んだ感想としては、今のところ特に古さを感じることもなく、むしろ著者が予期していたようなgoogleの事業展開になっており、興味深く通読することができました。

前回のブログで紹介した勝間和代氏の最新著書、「効率が10倍アップする新・知的生産術」では副題が「自分をグーグル化する方法」とあるように、最近雑誌でもグーグルを好意的に取り扱う記事が多いような気がしていました。 最近では週刊ダイヤモンドの「グーグル化」知的生産革命も購入して読みました。

すぐに感化されやすい私は、早速自分のパソコンにYahoo!と並べてGoogleをホームページにしたのですが、私はどうもgoogleの無機質な表示が苦手でついついyahoo!を利用してしまいます。

googleの強みは自分仕様にカスタマイズできることではないでしょうか。gmailをはじめとして、グーグルアラート、グーグルノートブック、グーグルデスクトップ等、使いこなせばかなり便利な機能があるようです。

私もgmailで自分宛てのメールを職場でも見れるようにしたかったのですが、何となく心理的な抵抗があり実現に至っていません。メールのコピーがgoogleのサーバに保管されることにです。

そして、今回紹介する本を読んでますますその思いが強くなってしまいました。

この本ではgoogleがもたらした効果として、ある弱小駐車場の成功を例に挙げています。羽田空港に近い駐車場でありながら知名度の低さから中々増えなかった顧客が、キーワード広告により格安の費用で顧客が増加した状況が、本文を読むと詳細に書いてあります。

逆に影の部分。これには著者のこれから起こりうる予想の部分も入っているのですが、現実に起こった事象が非常に興味深い。ある映画評論家のホームページにいきなり襲いかかった、アドセンス停止処分とアカウントはく奪処分のgoogle側とのやり取りが、生々しくて「さもありなん」と思ってしまいました。無料で利用している以上、問題が発生した場合の力関係が明白です。

つまり、グーグルが社会に公的なサービスとして受け入れられつつも、「そうともいえないよ、所詮一民間企業だよ」と著者が警鐘を鳴らしているような気がしました。もちろん、それをわかった上でgoogleのサービスを使い倒すのなら話は別です。こんなに便利なサービスが無料で使えるのですから。私もサービスの一部は利用するつもりです。(ここにもグーグルアドがいつの間にか貼り付けてありますし。)


もしこの本が古本屋で格安で売っていたら、購入してみてはどうでしょうか。
もちろん定価で買っても新書で安いし、私は価格以上のものがあったと思いました。

この本の中年男子グーグルか?度は ★×4.25


グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)/佐々木 俊尚
¥798
Amazon.co.jp





その8  タイトルは魅力的「非属の才能」

非属の才能  山田玲司   光文社新書  735円


タイトルに惹きつけられ、新書で安いから購入して読んでみました。

著者は漫画家で「Bバージン」や「ゼブラーマン」を書いている。私は漫画はあまり読まないので、著者の漫画家としての評価は分かりません。

帯に「行列なんかに並びたくないあなた。おめでとうございます」とあり、またページを開くと
 ・「空気が読めない奴」と言われたことのあるあなた
 ・まわりから浮いているあなた
 ・「こんな世の中おかしい」と感じているあなた
 ・本当は行列なんかに並びたくないと思っているあなた
 ・のけ者になったことのあるあなた
おめでとうございます。
とあります。私はここまで立ち読みで眺めて、「あ~これは私のことが書いてある」と思って買いました。

でも、これはおそらく出版社がこの本を売らんがために考えたコピーでしょうね。冷静に考えれば、誰でもひとつは当てはまるのではないでしょうか?私は3つ当てはまりましたが多すぎますか?

自分で考えて判断する大事さ、世間一般の評価で右往左往する愚かさ、等を説くのは今となっては少し言い古された感がしました。むしろ個を尊重するばかりに、今は社会の色んなところで歪みが出ているような気が私はしますが。

「引きこもりは人生のジャンピングチャンス」、「学校嫌いは才能のサイン」等は理解できる点もありつつ、「?」と思うところがありました。著者が紹介している非属の才能の方々が、皆そうであったわけではないですし。可能性があるかもしれないから諦めないで、くらいなら賛同できるかも。一応、著者が最後のほう「得する変人、損する変人」でそこら辺を勘違いしないよう注意しているので救われます。

読んだ感想。
未だに学歴が一番大事と思っている方、寄らば大樹の陰と思っているお父様・お母様、3高(古っ)の男性と結婚したい女性には、読んで頂きたい本です。


ここからはこの本の非属の言葉です

1%の「分かりやすくない才能の芽」を見つけてあげるのが本来の親の役割のはずなのに、子供が凡人になるのは親がそう仕向けているからなのだ。

自分の価値観は自分の世代で終わり。自分の人生は支えてくれたかもしれないが、子供の人生は子供が考えるものだから邪魔はしない。

子どもの未来は「親が子供の失敗をどれだけ許せるかで決まる」と考えていい。

みんなの行く方向にただついていくことに慣れてしまうと、正しいとされることを必死で努力しているのに、いつまで経っても報われない事態になることが間々あるということだ。

正しいか正しくないかは別として、カジノの「逆張り」のように、主流な意見や動きがあれば、その180度逆をひねくれながら攻めるのだ。

人生を変えた出会いはたいてい「なんとなく直感」で決めたときに訪れることが多い。

「三人寄れば文殊の知恵」と言うが、それは自分の頭で考えることができる人間が集まったときの話で、「三人寄れば場の空気で」といったことのほうが多いのが現実だろう。

「こうすればオイシイ思いができる」という立場の人たちが「どうでもいい」と思っている人たちをコントロールして多数決は決まるのだ。

小学生の頃から「本当の自分はどうしたいのか?」を考えていれば、大人になってから無理してインドに行かなくてもすむはずだ。自分探しとは、自分の「非属の才能」を見つけることに他ならない。

(引きこもったときに)少しずつ頭がクリアになってきたら、今度は自分で創るステージに入るといいだろう。創る対象は何だっていい。ここで重要なのは、決してそれを人に見せないことだ。

自分が孤立してようが、自分の子供が孤立してようが、その時本人が何かにひたすら向き合っているならば、心配することは全くない。

自分を認めて欲しければ、まず他人を認めるしかないのだ。

話を聞くことができない自分人間は、会話に「でも」と「だって」が多い。否定から会話に入る人間が本当に多くてうんざりする。「ていうか」になると問題外だ。

話を聞く時間は自分の意見をあえて言わず、ひたすら相手の言わんとすることを聞く努力をするのだ。



最後に、中年男子の非属の感想度は★×3


非属の才能 (光文社新書 328)/山田 玲司
¥735
Amazon.co.jp



その7  殺人的読書法

キラー・リーディング  中島孝志  実業之日本社   1575円


著者のプロフィールを見ると、この人もすごいです。何が本業なんでしょうか。ひとつ分けて欲しいくらいです。

ざっと紹介しますと「早大政経学部、南カルフォルニア大学大学院修了。PHP研究所、東洋経済新報社を経て独立。経営コンサルタント、経済評論家、ジャーナリスト、作家(ペンネームは別)、出版・映画プロデューサー、大学・ビジネススクール講師、TVコメンテーター等々・・・・」う~ん、やっぱり何をしている人かよく分かりません。詳しいことは著者のブログ見て下さい。結構面白くて私のお気に入りです。
http://www.keymannet.co.jp/

著者曰く、キラー・リーディングのキラーとは「ダントツの、他を寄せ付けない、並はずれた」という意味だそうです。(killerにそんな意味あったかな?)この方は年間3000冊を読むそうですが「ビジネスマンにマスターしてもらいたい読書法は速読でも多読でもない。1冊1冊きっちり消化し、いまあなたが抱える仕事の問題を解決するヒントを必ずつかみ取る知的生産のキラー・リーディングなのだ。」と述べています。

年間3000冊読むのに速読でも多読でもない、そんなこと可能なのか?と興味をそそられることが、まえがきに書いてあるのです。著者は、「まず本からキラー・ワードとキラー・フレーズを見つけることが大事だ」と言っています。この二つを「インテリジェンス」(=情報収集力)と呼び、聞く人が聞けばこの一節でアイデアの極意をつかみ、その後の仕事がガラッと変わるようなもの、としています。そして、それを生かすには「イマジネーション」(=発想力×想像力)が必要だとも。う~ん、わかったようなわからないような。

キラー・ワードやキラー・フレーズ(=インテリジェンス)はどんな本にもあるとは限らず、著者の経験上ではせいぜい20%、しかも1冊の中でも数行、数文字のこともあるという。実際、著者は購入した本の2割は目次や前書きを読んで捨ててしまっているとか。

キラー・リーディングのコツは、やはり多くの本をチェックする必要があることから、1.速読、2.多読、3.省読をすることになるそうです。(はじめに言ってたことと違うようですが) ただ、省読とは「これは」というキラー・ワード、キラー・フレーズにポイントを絞る、つまり「アタリ」をつけて読む方法のことです。この感覚は使えるかもしれないと思いました。

この本を読んだ感想。参考になります。読書術として分かりやすいです。


ここからは、この本を読んだ私のキラーワード・キラーフレーズです。

テーマに集中して乱読すると思わぬ副産物に巡り合える。

本の中には正解などどこにもない調べる脳を考える脳に変えるには「一人ブレスト」が効果的(つまり自問自答しながら読む)

読書モードを「ヒーローモード」に切り換える(当事者・主人公意識を持って読書する)

本を読んでこれはという部分に付箋を貼って、後でそこだけ読み直す。

(速読法として)まえがき、目次、あとがきの順に読んで内容を俯瞰してアタリをつけてから本文を読む。

1週間かけて精読するな、1時間ずつ3回読め。(1回目アタリ探し、2回目アタリ読み、3回目アタリ部分からアイデア発想)

同じことを経営者が書いた本と現場第一線が書いた本なら後者の方が「インテリジェンス」だ。

読むことと書くことは全く別物で、書くという行為はまず問題意識ありきなのだ。

困り果てるという行為は実は問題点を明確にし、問題点を解決するプロセスなのだ。

本との出会いも一期一会と心得る。

「スパーリング・リーディング」で「え~っ、本当?うそでしょ。」と著者に反論しながら読む。

出かけるときは本を忘れずに。(細切れ時間で読書)

「インテリジェンス」をゲットする3つの習慣とは ①考える習慣(考えながら本を読む)、②まとめる習慣(本を読んで考えたことをまとめる)、③メモる習慣(まとめたアイデアを手帳にメモる)

仕事のために読む本のキラー・リーディング法、①Skippinng(飛ばし読み)、②Skimming(欲しい情報を狙い取り)、③Scanning(これはという内容や画像を保存する)



最後にこの本の中年男子キラー度は★×4.0です。


キラー・リーディング 「仕事脳」が劇的に回り出す最強の読書法 (JBシリーズ)/中島 孝志
¥1,575
Amazon.co.jp