其の12  セブン・イレブンのロゴマークの最後の文字はnって知っていましたか? | あなたのとなりにいる 中年男子の本棚

其の12  セブン・イレブンのロゴマークの最後の文字はnって知っていましたか?

ビジネスマンのための「発見力」養成講座  小宮一慶

ディスカヴァー・トゥエンティワン  1050円


著者は京大法学部卒業後、東京銀行入行。MBAを取得し経営コンサルタントをされています。

帯には「見えてるつもりで見えてない!?」とありますが、あたりまえです。
例えば、セブンイレブンのロゴがELEVEnとなっていること、知ってますか?ローソンのマークは何が描かれているでしょうか?
私はローソンの件は気が付いていたので知っていましたが(学生時代ローソンでバイトしていたのです)、知っていたところで何の得にもならないから、ふつう注意深く見ないわけですよね。でも、誰でも興味があることは、他の人が気がつかないことでも知っていることはいっぱいあると思います。

著者は最初にセブンイレブンの例をあげて、毎日見ているものでも見えていないものがたくさんあると述べたにすぎませんが、普段の生活や仕事上でもこういう風に自分で情報にスクリーニングをかけて、見えていないことがいっぱいあるから、関心の幅を広げて意識するようにしなさいと言っているのでしょうか。そして、その奥に隠れた関連性や法則性をつかむと完全にものが見えるようになると言っています(と思う)。

私の職場は女性が多いから、「女性の同僚が髪を切ったのに気がつくかどうか。月曜日の朝だけ注意すればよい。」というのはなるほどと思いましたね。(→女性が美容院に行くと男性よりずっと時間がかかる。そうなると平日の仕事帰りに美容院に寄るというのは難しいから。)
発見力をつければこういう見方、考え方ができるんだと感心しました。
あとは、サラダバーでプチトマトのへたが取ってあるホテルは良いホテルという著者の仮説は分かりやすかったです。日常生活でいろんな仮説を立てることができたら面白いかもしれませんね。

すべてのことには理由がある。それに気がつくための読みやすい教科書でした。


ここからは、わたしが大事だと気がついたところです。

私たちは目にはいるものすべてを見るわけではなく、見るべきものをあらかじめスクリーニングしてから、その情報を取りに行く。
何かのプロフェッショナルはそのことについて素人には見えないものがたくさん見えていますが、それは何であれ、見れば見るほど、見たいもの、見ようと思うものが増えてくるからです。言い換えると、物事には奥行きがあって、深いところまで見れば見るほど、その先にまだ、見えてないものがたくさんあることが分かってくるのです。

ものを見る力を磨くには、まず、自分には見えていないものがある、分かっていないことがあるという意識がとても大事です。

最終的にものが見えるかどうかのポイントは、仮説を立てられる能力、現象を見て、こういうことじゃないかという仮説を立てられる能力を高められるかどうかです。(例 新幹線のグリーン車の隣の席が空いているかどうかで企業の業績を占う、サラダバーのプチトマトのヘタが取ってあるホテルは一流ホテル等)

関心→疑問→仮説→検証
(まず関心を持つ→どうしてだろうと疑問を持つ→こういう理由ではないかと仮説を立てる→それが本当にあてはまるか観察して検証する)

適切な仮説を立てるための技として分解してポイントを絞る、または全体像を推測しうる一点を見つける。(例 床がきれいな工場の経営は間違いない、料亭では客を履いている靴で見分ける等)

先入観を疑う。→仮説とは時に誤った「レッテル」となってしまいがちで、そうなるとかえってものが見えなくなる。(例 学歴、ロレックスの時計をはめた経営者等)

従業員が見知らぬお客様にも声をかける会社はいい会社。
初心者マークや研修生等の札をつけた店員がいる店はだめな店。
働く人が止まっているレストランは儲かっていない。飲食業の原価は36%が限界。(高級店は別)
年間一人当たり一千万円の粗利(中小企業)、千五百万から二千万円(大手企業)出ていてだいたい儲かっている。
一秒で財務諸表を見る方法(現預金やすぐに売れる有価証券が月商の何カ月分あるか、流動負債が流動資産より多いか少ないか)
物事を根底から考える人にだけ見えていることというのは、実は驚くほどたくさんある。→深く物事を考える習慣をつけておけばものは自然と見えてくるようになる。

見える力を養う方法
①人は関心のあることしか目に入らない、だから関心の幅を広げる。→新聞を読むのが手っ取り早い、仮説を持って新聞や情報を読む
②ノーマルなものをたくさん見る(対比するものをいっぱい見て優れたものが分かる)
③問題解決の経験をたくさん積むと問題発見能力につながる。
⑤できるだけいろいろなものに触れていくことにより一見関係がなさそうな散らばっているニュースや数字、商品の関連性が見えてくる。
⑥責任を持つ→関心の源は突き詰めると「責任感」(責任を責任と感じるとそれに必要なものが見え、真剣さも違ってくる)
あることについて真剣にやっているとき、「好き」か「嫌い」かしかなくて、「ふつう」はない。考える機会が与えられることで、関心が生まれる。関心を持てば、好きか嫌いかどちらかが分かる。つまり基準が生まれる。その基準が仮説となり、いろいろなものが見えてくる。
⑦思想を持つ→適切な仮説を立てるためには、その根幹となる正しい思想(価値観、倫理観)が必要。思想があれば、物事の原理原則を見極めることができる。原理原則からものを見ることができる。

ものが見えるヒント
先に要点を知る(本の太字をザーと読んで要点を知る)
ヒントを先に得る(ガイドブックや解説を先に読む)
分解する(興味ある一点を注意深く丹念に見る)
情報を減らす(見る対象を少なくした方が気がつく)
気がついたことをすぐメモする(メモした事柄の関連性に気がついてさらにものが見える)


この本の中年男子発見力養成度は★×3.75でした。

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