その10  結局、バイトは雇うべきなのか? | あなたのとなりにいる 中年男子の本棚

その10  結局、バイトは雇うべきなのか?

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字(上)  山田真哉
光文社新書 735円


最近、この下巻に当たる「食い逃げされてもバイトは雇うななんて大間違い」が出版されました。
またこの手か!、と思ったのは私だけでしょうか?当ブログの(その3)で取り扱った、「千円札は拾うな!」の続編?が「下を向いて歩こう」であんまりだろう、と思っていたらこの本の下巻も同じような逆説的タイトルをつけています。続編にも興味を持たせようという手法なんでしょう。

著者の本職は公認会計士。大阪大学文学部を卒業後、就職するも五月病にかかり退職。数字が苦っだったということですが、24歳で公認会計士の2次試験に合格しています。やっぱり頭の良さが違いますね~。

今回、読んだのは上巻の「食い逃げされてもバイトとは雇うな」の方です。

私はこの著者の「さおだけや~」も読んだのですが、いまいち内容を覚えていません。この本も数日経つと忘れそうな気がします。読み物としては非常に面白くスラスラ読めるのですが、「ふ~ん、なるほどね」という程度のインパクトなんです。会計初心者に興味を持たせるような趣旨で書いたものだからでしょう。

このタイトルの意味は、店主が配達中に食い逃げされるラーメン屋でバイトを雇わないという選択は、バイトの人件費を考慮すれば会計学的(経営的に)理にかなった行動だ、ということです。この行動を「感情より勘定(数字)で判断する、食い逃げ(貸し倒れ)の金額よりバイト代(回収コスト)の方がかかるのなら、食い逃げはあきらめる」と著者は説明しています。

会合の集合時間を6時53分という中途半端な時間にすると皆がその指定時間の理由にこだわり遅刻が減る等の数字のテクニックを紹介しています。その他、タウリン1000mgは実は1gのことだったり、50人に一人無料とは結局2%の還元率であったり、巷に溢れる数字のテクニックの種明かしをしているので、全く知らない人にとっては新鮮に感じるかもしれません。吉野家に券売機がない理由は私も気がつきませんでした。

私は安い買い物でも割引率にこだわりがちなので、(例えば1000円の商品が500円で売っている方が、10万円の商品が95000円で売っているよりも魅力的に感じてしまう)「値引きのパーセンテージではなく、いくら得したのかという金額が優先される」という著者の指摘には、なるほどと思いました。

あとは、著者は会計士なのに「株式投資はギャンブルに似ている」と断言したところには驚きました。でも、その通りだと思います。なんだか気持がさっぱりしました。


ここからはこの本で私が忘れないで記憶しておきたい内容です。

コスト削減のコツは値引きのパーセンテージではなく、いくら得したかという金額が優先される問題である。これは会社や家庭を問わず節約の鉄則です。

あらゆる感情を排除して、数字のありのままの姿を捉えることは、金額重視主義の極意です。感情が入ると会計学的な思考はできなくなります。

「不確定要素でお金が変動する」「完全に法則化はできない」という意味においては、株式投資はギャンブルと同じなのです。

現実を見れば見るほど株の勉強と株の儲けは無関係のように思える。

普通に株式投資するならば、いづれ潰れそうな会社だけは避けなければなりません。(そのために決算書を見る必要はある)

決算書を見る上で注意する点
数字は読むのではなく探す。ババともいうべき数字だけをパッと探せばよい。
①過去と比較する。増減が激しい数字を見つけたら「どうしてなのか?」と考え「こうかもしれない」と仮説 を立てて目星をつけて調べる。
②他社との比較で「売上高利益率」(=当期純利益÷売上高)に注目する。
③売上高利益率が1%を切った会社は要注意。大手企業では1%の売り上げの水増しは容易であり、かろうじて黒字決算の会社は粉飾決算の疑いもある。稼ぐ力が会社が存続する上で一番大事。
④あとは「当座比率」「有利子負債比率」「売上債権回転日数」「在庫回転日数」を見ると健全性が確認できる。


最後に、この本の中年男子満足度は★×700‰(★×3.5のこと)です。


食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉/山田 真哉
¥735
Amazon.co.jp