~RICE処置について~


今回は,既に馴染みの深いRICE処置に関する情報提供です。


RICE処置とは,『Rest(安静)』『Icing(冷却)』『Compression(圧迫)』『Elevation(挙上)』の各頭文字を取ったもので,打撲や捻挫などのいわゆる急性外傷に対する応急処置として幅広く認識されています。


そして,当処置を正しい知識の下,適切に施行される事で組織の損傷や二次的障害を最小限に留めるに至り,可及的早期の競技復帰が可能になると考えられています。


では,“正しい知識”“適切な施行”とは何か?その部分を項目ごとに考えて行きましょう。



『Rest(安静)』



安静を保たない場合,損傷部位やその周辺組織における二次的障害を惹起する可能性がある他,生理学的には体内における損傷組織の修復作業開始を妨げる要因となり,結果的に競技復帰の遅延を招く事に繋がります。


尚,近年では,“PRICE”とRICEの前に『Protect(保護)』を加え,必要に応じて患部を固定や保護する事を推奨されている方もいます。



『Icing(冷却)』『Compression(圧迫)』


この2つはセットで考えて行きましょう。

実は,“正しい知識”の下“適切に施行”されていない部分は,この2つに集約されると考えています。


まずは目的について,患部を冷却する事で得られる生体反応は,痛みの軽減と血管の収縮です。


しかし,組織は血液供給により修復・再生が図られる為,血管の収縮を物理的に引き起こす事は逆効果ではないか,この矛盾点に対して様々な医療従事者の方々が,各々の考えを展開しているのが現状です。


ただ,受傷直後より腫れ・熱感・発赤・痛みなどの炎症所見が認められた場合,組織の損傷が生じている事は明白です。


従って,この場合は冷却と圧迫を適切に施行する事で,損傷部位の二次的低酸素状態の防止と炎症所見の早期改善に努め,傷害の重症化防止を図る事が重要だと考えます。


次に方法について,冷却と圧迫の効果を損傷部位へ充分に与える事が重要であり,ただ袋や氷嚢に氷を入れ,患部へ当てれば良いという事ではありません。


損傷部位へ圧迫力を加える為,氷を入れた後平らに整え,袋や氷嚢内の空気をしっかり抜きましょう。


この作業を省略する事で,氷と損傷部位の間に空気が介在し,充分に損傷部位へ圧迫力が加わらない事となります。


注意点としては,冷却による凍傷と圧迫による神経などの絞扼です。


前者はアンダーラップや薄めのタオル又はガーゼなどを挟んで対応し,後者は巻く強さの加減にて対応する事が必要です。







『Elevation(挙上)』



目的は腫れや痛みの軽減であり,損傷部位を心臓の位置より高く挙上する事で,うっ血又は充血を防止する事に繋がります。


RICE処置において冷却や圧迫ばかり注目されがちですが,この挙上を軽視しない事を推奨します。






さて,最後までお読み頂きありがとうございました。


このように馴染み深く,簡便に実施できそうなRICE処置も各々理論を述べて行くと,簡潔にまとめたつもりがここまで長々となってしまいました。


既に周知の事実も多々あると思いますが,今一度目的や方法論の確認に活用して頂ければ幸いです。




当団体HP:
http://csc-lab.jimdo.com/


前回のセルフチェックポイントを元に運動方法を説明します


脊柱からハムストリングスの柔軟性が低下していた人は図1の方法でストレッチを行って下さい



図1 ハムストリングスのストレッチ



大腿四頭筋の柔軟性が低下していた方は図2のストレッチを行って下さい


図2 大腿四頭筋のストレッチ


猫背の人は上記の2つのチェックポイントで柔軟性が低下していたもの以外に図3のストレッチを行いましょう



図3 大殿筋のストレッチ


反り腰の人は大腿四頭筋とハムストリングスの柔軟性が低下していたもの以外には図4のストレッチを行いましょう


図4 腸腰筋のストレッチ


片脚立ちの安定性が悪かった人は図5・6の運動を行いましょう



図5 大殿筋のトレーニング



図6 体幹トレーニング



どの運動も継続して行う事で予防することができます!

運動後や運動を行わない日にこつこつと行いましょう!


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以前の記事はこちらから

筋・筋膜性腰痛の基礎知識①


筋・筋膜性腰痛の基礎知識②


筋・筋膜性腰痛のセルフチェックポイント