【コラム投稿】
いよいよ本日関東の梅雨明けが発表されました。

久しぶりの投稿となりますが、スポーツ活動をされている皆様はいかがお過ごしでしょうか?

新型コロナウイルスの影響で思うような活動が出来ていない中、スポーツをする上で有益となる情報を当団体としてはコラム形式でアップしていこうと思います。

第一弾は今度危惧される熱中症についての情報です。

複数回情報をアップしていく予定ですので是非御一読下さい。

【コンディショニングコラム No.15】


~競技特性とコンディショニング~

 

―だいぶ寒くなってきましたね。


さて,夏が去り今年は秋らしい秋を感じる事も無く急激な冷え込みを見せ,もうすぐ冬本番を迎える季節となりました。そんな中,気温の低下と共に不調を訴える方も少なくはありませんが,スポーツ選手にとっても冬場は慢性的なスポーツ障害を惹起しやすい季節とも捉えられます。
従って,是非今一度『障害予防』へ目を向けて頂きたい!と思っている私の今回のコラムでは,“競技特性とコンディショニング”というテーマを書かせて頂きますので,最後までお付き合い頂ければ幸いです。

 

―競技特性とは?


それでは,早速本題に入っていきますが,まずは以前のコラムでも記述した『スポーツ障害の発症要因について』をおさらいしておきましょう。“スポーツ障害”は様々な要因によって発症すると考えられており,内的要因(個々の筋力・柔軟性・バランスetc.)や外的要因(靴・天候・サーフェスetc.)はもちろん,“競技特性”も重要な因子として捉えられています。そして,それらに加えて疲労や“不可抗力的要素”などが重った結果,『ケガ』が起こってしまうのです。
ここで“競技特性”“不可抗力的要素”というワードが出てきました。それぞれ聞いた事がある方も多いとは思いますが,これらの本質を理解する事は“不必要”な『ケガ』を予防できる上に,パフォーマンスの向上へも繋がりますので,幾つか具体例を挙げながら紐解いていきましょう。
ここでは,比較が容易なサッカーとテニスを例に挙げていきましょう。真っ先に思い浮かぶ相違点は『を多用するスポーツ』と『を多用するスポーツ』という点です。競技特性とは“ルールを含めた特色”とも取れる為,前述の相違点を換言するならば,サッカーよりテニスの方が『腕を酷使する』とも言えます。従って,テニス実施後は“肩~腕を中心にケアした方が良さそうだ”という結論に至ります。つまり,コンディショニングケアやフィジカルトレーニング領域の双方においては,目標とするパフォーマンスを最優先に考慮する為,競技特性ごとに要素の“優先順位”が生じます。もちろん,全ての要素をバランス良くケアしたりトレーニングしたりする方が効果的という場合や考え方もありますが,アスリートにとっては,目標とするパフォーマンスやポジションごとの特徴,競技ごとのスタイル等々を理解した上でのコンディショニングが非常に大事になってきます。指導者もしくは選手本人の“競技特性”に対する理解が乏しい場合,逆にパフォーマンスを下げてしまったり,『ケガ』を引き起こしてしまったりする場合もある為,“競技特性に応じたコンディショニング”を十分に理解しましょう。

 

―不可抗力的要素とは?


それでは,次なる相違点はどうでしょう?
正解は,『ネットによって隔てられている』という点です。あたりまえじゃないかー,と思う方もいるかもしれませんが,とても大事なことです。テニスは,ネットで隔てられている為に相手とのコンタクト(接触)が皆無です。一方,サッカーはある程度のチャージがルール上で認められている為,相手とのコンタクトは非常に多く生じます。そして,後者のようなコンタクトスポーツにおいては,“防ぎようの無いケガ”というものが起こる可能性もあり,これが“不可抗力的要素”を指します。尚,当要素の中には“いわゆる自爆”は含まれず,具体的には,方向転換時に強く踏み込もうとした際の捻挫やダッシュしようとした際の肉離れ等がこれに該当しますが,これらの“いわゆる自爆”による『ケガ』は,セルフケア及びトレーニングによって予防が十分可能です。この他にも競技特性上の相違点は数多く存在しますが,伝えたい事がブレてしまう事を懸念して割愛させて頂きます。
さて,上述してきた幾例かで“競技特性”と“不可抗力的要素”について少しは理解して頂けたでしょうか?拙い文章で申し訳ありませんが,スポーツ外傷及び障害発生要因の各々の関連性とその捉え方,そして多くは予防が可能であるという事を図1,図2に示しましたので,そちらもご覧になりながら文章をお読み頂ければ幸いです。

 

 

 

―競技特性とコンディショニングとは?


続いては,上述してきた競技特性に応じたコンディショニングの実際について,成長期に多発するスポーツ障害と伴わせながら述べていきたいと思います。尚,主に我々が関わっている地域に多いスポーツ競技数例を挙げ,簡潔にまとめていきますので,知りたい競技が挙がって無い場合もございますが,ご容赦下さい。

 

【サッカー】
サッカーの競技特性は,先でも述べたように主に脚でボールをコントロールし,約60分~90分間(※各年代により異なる)不規則かつ連続的に動き続けます。尚,当競技中にはスプリントやジャンプ,急激な方向転換等を繰り返す他,ボディコンタクトも生じるためにスポーツ外傷及び障害の受傷機転になりやすい動作が多く含まれます。然るに予防コンディショニングを行うには,サッカーにおける各動作の特性を考慮し,同競技において多発する外傷及び障害の受傷機転・機序を深く理解する必要があります。さらに,これらの認識を適切な予防プログラムへ落とし込む事で,『ケガ』を防ぐだけに留まらず,結果としてパフォーマンスアップに繋がる可能性があります。
成長期のサッカー競技にて生ずるスポーツ障害には,オスグッド病・腰椎分離症・シンスプリント・大腿四頭筋肉離れなどが挙げられます。成長期による身体の変化は大前提にあるとして,それらの多くは股関節や足関節周囲の筋肉の硬さ(伸張性低下)より起因するものが多い印象を持ちます。もちろん“脚を多用するから“という理由は真っ先に挙げられますが,それ以外にも,繰り返される急激な方向転換やスプリント,ジャンプ動作による地面からの強い反力が,時として股関節周囲の筋肉へ多大な負担をかけ,当該筋肉の硬さを惹起するために上記障害を誘発してしまいます。従って,サッカー競技に対するセルフケアとしては,特に股関節や足関節周囲筋のストレッチを励行する事が望ましいと考えられます。

 

【バスケットボール】
バスケットボールの競技特性は,攻守の切り替えが瞬時に生じ激しく入れ替わる競技であり,サッカーと類似している部分として走る・止まる・加速・減速・跳ぶ・方向転換等の様々な動作が要求されます。尚,ルール上ボディコンタクトは禁止されていますが,実際にはファウルにならない程度のコンタクトはあらゆる場面で起こっています。つまり,このような激しく且つ多様な動きが要求される競技特性上,当競技における外傷発生のリスクは比較的高い事がわかります。
成長期の当競技にて生ずるスポーツ傷害には,足関節内反捻挫・腰椎分離症・シンスプリント・ジャンパー膝などが挙げられます。それらの多くは,サッカー競技と同様に股関節や足関節周囲筋の硬さという“成長期特有の問題”より起因するものですが,ここでは“正しい動作の習得”を挙げ,その重要性について述べていきます。例えば『スクワット』ひとつ取っても,お尻が後方へ引けずに膝を前方へ突き出したような膝の屈伸運動を行う選手が多く散見されます。このような動作を練習あるいは試合中に繰り返した場合,膝関節には悪しきストレスが生じ各種スポーツ障害を誘発しやすくなります。また,同屈伸運動やサイドステップ時,パワーポジションを取った際等に,膝の位置が爪先より内側へ入り,いわゆる内股のような姿勢・動作を呈する選手も多く散見され,障害予防の観点から言えば全て悪しきストレスを惹起する事となります。従って,股関節や足関節に対する入念なストレッチ等のセルフケアに加え,爪先と膝の向きを揃えるような“正しい動作の習得”を目標としたセルフトレーニングの励行も当競技においては重要であると考えられます。

 

【バレーボール】
バレーボールは縦18m,横9mのコート中央をネットで区切り競技を行う『ネット型競技』であるため,先で述べたテニスと同様に相手チーム競技者との接触はありません。その他の諸ルールについては割愛しますが,バレーボールの基本技術の中でスポーツ傷害を生じやすいのはアタックの中でも“スパイク”である事には触れておきます。これは,相手競技者との接触は無い『ネット型競技』ではあるものの,“スパイク”を打つ際には双方が空中において裏をかきあい,結果としてバランスを崩し,スポーツ傷害が生ずる場合もある事を指します。
以上が簡単な競技特性となりますが,当競技における成長期特有のスポーツ傷害には,腰椎分離症・ジャンパー膝・鵞足炎・肩関節における障害・足関節内反捻挫などが挙げられ,やはり股関節周囲筋の硬さは各障害において問題となり易いです。しかし,ここでは“肩甲骨や脊柱の可動性”を挙げ,肩関節や腰部に生ずる障害との関連性について述べていきます。なぜならば,当競技は前述の競技と比較してもやはり“上肢(腕)を多用”するスポーツであるからです。
さて,冒頭でも述べたように当競技でスポーツ傷害を引き起こしやすい動作は“スパイク”です。この“スパイク”の一連動作の中で,肩関節は大きな可動域を必要とされますが,運動学的視点からは肩甲骨と脊柱の十分な可動性が無ければ肩には悪しきストレスを生じさせます。それは,強いスパイクを打とうとすればする程,肩へのストレスは比例的に増大していきます。一概には言えませんが,肩を痛めた当競技の成長期年代の多くは,不良姿勢を呈し,肩甲骨が外側に開いてしまっていると共に脊柱の回旋可動域も乏しい場合が多い印象を持ちます。従って,股関節や肩周りのストレッチ等に加え,肩甲骨のエクササイズや姿勢改善のためのトレーニング等を励行する事が望ましいと考えられます。

以上,最後までお読み頂き,また,最後まで拙い文章にお付き合い頂きありがとうございました。今回のコラムでは数競技を例に挙げながら“競技特性から視たコンディショニングについて”を述べてきました。野球や陸上競技,柔道や剣道等,この他にも多くの競技があり,無論,競技の数だけ競技特性が存在する為,当コラムにて全てを記載する事が困難である事をご理解頂ければ幸いです。
尚,当コラムが“競技特性”という概念を『ケガ予防』或いは『パフォーマンス向上』のためのケアやトレーニングへ活かすキッカケとなり,さらには指導者の方だけでなく,選手自身へこのような概念を伝えていって下さると大変嬉しい限りです!全ては『ケガ』を未然に防ぐために!!

 

それでは,次回は『栄養学~競技特性編~』をUPする予定です!専門的な知識を深めた人材による情報ですので,是非お読み頂ければと思います!乞うご期待!!


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Ⅰ.アキレス腱炎とは
アキレス腱炎は,反復するストレスによってアキレス腱に炎症が生じる慢性スポーツ障害です(図1).

急なダッシュや方向転換を繰り返す事によって受傷する恐れがあります.
スポーツ種目別ではランニング競技やジャンプ競技に多くみられ,陸上競技,バスケットボール,剣道などの種目で注意が必要です.
アキレス腱炎はさらに,足部の過回内による①内側型と過回外による②外側型,または混合型である③中央型に分類されます(図2).

また接地時に疼痛を発生するタイプと蹴り出し時に疼痛を発生するタイプにも分かれます.


症状は,踵骨のアキレス腱付着部から2~6cm上方部の痛み(図3),腫脹,熱感などがみられます.アキレス腱周囲の皮膚や筋肉などの動きが悪くなる事(軟部組織の滑走性が低下)で,アキレス腱自体の炎症,腱周囲膜の炎症,腱の微小断裂,腱の変性などがみられます.障害発生当初には安静により疼痛が軽減しますが,症状の進行に伴いトレーニング中や日常生活においても痛みを生じるようになります.スポーツの練習を継続する事によって長期化してしまう場合も多くみられます.深刻な状態では,わずかにアキレス腱へ触れただけで強い痛みを感じる事もあります.この場合には,腱の微細損傷が繰り返されアキレス腱が硬結状態(筋肉が縮まり硬くなった状態)となっており,完治は困難となります.またアキレス腱断裂に繋がる危険もあり,跳躍動作などを行う際には注意が必要です.


重症度については,Ⅰ度(運動開始時のみの痛み),Ⅱ度(動いている間に消失するが運動の継続により再び痛みが生じる),Ⅲ度(運動中には常に痛みが消えない)に分類されます.強い痛みや再発を繰り返すなど難治性の場合には,ギプス固定(2~4週)や手術(肥厚した腱周囲膜の切除術)などが必要な事もあります.炎症が生じてしまった場合には,まず冷却(Icing)と安静(Rest)が必要です.女性の場合は靴のヒールを高くしてアキレス腱の緊張を和らげる事も有効です.競技復帰については,2~6週で可能となる事が多いですが,その間にも再発防止に努める必要があります.
 

Ⅱ.原因
アキレス腱炎の原因として,まずはスポーツ場面でのOver useがあげられます.ランニングにおける過剰な足関節での蹴り出しや,着地時に足部の過回内や過回外がみられる場合にアキレス腱へ過度に疲労が蓄積する事で生じる障害です(図4).

これは回内変形(もしくは回外)によりアキレス腱の内外側における緊張が不均一となり炎症の原因となります.回内変形となる原因としては土ふまずの低下や足部~足底にかけての筋力低下などがあり,回外変形については土ふまずの問題に加えて足の小指側に荷重する習慣などが関連しています.
ランニングにおいて,接地時の姿勢がKnee-in&Toe-outではアキレス腱の内側に,Knee-out&Toe-inでは外側に痛みが生じやすくなります(図5).

股関節周囲筋群や体幹筋群の筋力低下,または股関節前面の柔軟性低下がある場合には,ランニング以外のスポーツにおいても,蹴り出す運動や前方へ下肢を振り出す運動(テイクオフ~フォワードスイング)で股関節~膝関節が使いづらく(股関節伸展の不足)なり過剰にふくらはぎや足関節への負荷が加わり,障害に繋がりやすいといえます.


上記のような動作における過度な負荷に加え,下腿三頭筋の柔軟性および筋力の低下による負荷がアキレス腱に加わる事でも生じる障害です.これについては運動前後でのケアが重要であり,下腿三頭筋への過度な疲労の蓄積を防ぐ事が大切です.
姿勢の影響については,骨盤が前方へ出た姿勢では真っ直ぐに立った姿勢に比べ,姿勢を保持するために下腿三頭筋からアキレス腱に加わる負荷が増す事となります(図6).

この姿勢を修正するためには腹部やお尻の筋肉(殿筋)を強化し,姿勢を真っ直ぐに保つ必要があります.

 

Ⅲ.チェックポイント

 

 

 

 

 

Ⅳ.予防方法

 

 

 

 

 

 

これでアキレス腱炎の説明を終わりとさせて頂きます!

しっかりとケアをしてスポーツを楽しみましょう!

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