Ⅰ.アキレス腱炎とは
アキレス腱炎は,反復するストレスによってアキレス腱に炎症が生じる慢性スポーツ障害です(図1).
急なダッシュや方向転換を繰り返す事によって受傷する恐れがあります.
スポーツ種目別ではランニング競技やジャンプ競技に多くみられ,陸上競技,バスケットボール,剣道などの種目で注意が必要です.
アキレス腱炎はさらに,足部の過回内による①内側型と過回外による②外側型,または混合型である③中央型に分類されます(図2).
また接地時に疼痛を発生するタイプと蹴り出し時に疼痛を発生するタイプにも分かれます.
症状は,踵骨のアキレス腱付着部から2~6cm上方部の痛み(図3),腫脹,熱感などがみられます.アキレス腱周囲の皮膚や筋肉などの動きが悪くなる事(軟部組織の滑走性が低下)で,アキレス腱自体の炎症,腱周囲膜の炎症,腱の微小断裂,腱の変性などがみられます.障害発生当初には安静により疼痛が軽減しますが,症状の進行に伴いトレーニング中や日常生活においても痛みを生じるようになります.スポーツの練習を継続する事によって長期化してしまう場合も多くみられます.深刻な状態では,わずかにアキレス腱へ触れただけで強い痛みを感じる事もあります.この場合には,腱の微細損傷が繰り返されアキレス腱が硬結状態(筋肉が縮まり硬くなった状態)となっており,完治は困難となります.またアキレス腱断裂に繋がる危険もあり,跳躍動作などを行う際には注意が必要です.

重症度については,Ⅰ度(運動開始時のみの痛み),Ⅱ度(動いている間に消失するが運動の継続により再び痛みが生じる),Ⅲ度(運動中には常に痛みが消えない)に分類されます.強い痛みや再発を繰り返すなど難治性の場合には,ギプス固定(2~4週)や手術(肥厚した腱周囲膜の切除術)などが必要な事もあります.炎症が生じてしまった場合には,まず冷却(Icing)と安静(Rest)が必要です.女性の場合は靴のヒールを高くしてアキレス腱の緊張を和らげる事も有効です.競技復帰については,2~6週で可能となる事が多いですが,その間にも再発防止に努める必要があります.
Ⅱ.原因
アキレス腱炎の原因として,まずはスポーツ場面でのOver useがあげられます.ランニングにおける過剰な足関節での蹴り出しや,着地時に足部の過回内や過回外がみられる場合にアキレス腱へ過度に疲労が蓄積する事で生じる障害です(図4).
これは回内変形(もしくは回外)によりアキレス腱の内外側における緊張が不均一となり炎症の原因となります.回内変形となる原因としては土ふまずの低下や足部~足底にかけての筋力低下などがあり,回外変形については土ふまずの問題に加えて足の小指側に荷重する習慣などが関連しています.
ランニングにおいて,接地時の姿勢がKnee-in&Toe-outではアキレス腱の内側に,Knee-out&Toe-inでは外側に痛みが生じやすくなります(図5).
股関節周囲筋群や体幹筋群の筋力低下,または股関節前面の柔軟性低下がある場合には,ランニング以外のスポーツにおいても,蹴り出す運動や前方へ下肢を振り出す運動(テイクオフ~フォワードスイング)で股関節~膝関節が使いづらく(股関節伸展の不足)なり過剰にふくらはぎや足関節への負荷が加わり,障害に繋がりやすいといえます.
上記のような動作における過度な負荷に加え,下腿三頭筋の柔軟性および筋力の低下による負荷がアキレス腱に加わる事でも生じる障害です.これについては運動前後でのケアが重要であり,下腿三頭筋への過度な疲労の蓄積を防ぐ事が大切です.
姿勢の影響については,骨盤が前方へ出た姿勢では真っ直ぐに立った姿勢に比べ,姿勢を保持するために下腿三頭筋からアキレス腱に加わる負荷が増す事となります(図6).
この姿勢を修正するためには腹部やお尻の筋肉(殿筋)を強化し,姿勢を真っ直ぐに保つ必要があります.
Ⅲ.チェックポイント
Ⅳ.予防方法
これでアキレス腱炎の説明を終わりとさせて頂きます!
しっかりとケアをしてスポーツを楽しみましょう!
___________________________
当団体HP:http://csc-lab.jimdo.com/
当団体FB:https://www.facebook.com/csclab.2015/
当団体へのお問合せ:csc.lab2015@gmail.com
___________________________
















