~成長期に必要な栄養の知識~
運動を行うことで体の細胞などの組織は破壊されます。それを修復するために食事から摂取する栄養が必要であり、睡眠によって修復を促します。これは成長期に限らずに運動をする人全てに言える事です。
さらに成長期の体では、身長が伸びるという外見の変化を筆頭にして身体の成長が起こります。その成長のためには多くの栄養が必要であり、十分な栄養が食事から摂取されなければ発育不全を起こすだけでなく、簡単に怪我をしてしまったり、体調を崩しがちになることもあります。

スポーツをしている成長期のお子さんにとって、食事や睡眠の大切さは認識されていないことがほとんどではないでしょうか?いくら上手くなるために練習を頑張っても、その頑張った結果破壊された組織の修復やさらなる肉体の変化を促すには食事・睡眠も必要なのです。
また、この食事や睡眠は家庭状況によっても左右されやすく、スポーツをしている選手のみならず親の協力が必要不可欠な部分でもあります。是非、選手・保護者共に食事や睡眠の大切さを再認識して下さい。
今回はその2つの中の食事についてご説明させて頂きます。
上記の表はその年齢時に必要なカロリーです。このカロリーは運動している人が対象のため、運動部などでない場合は別途確認する必要があります。また、成長期によって体の変化が起こるのが個々によって時期が異なるため、一概には当てはめられない面もあります。
このカロリーをどう摂取するのか?それは五大栄養素というものをバランス良く摂取する必要があります。
五大栄養素?
①タンパク質:身体を作る必要な栄養素であり、最も有名なのは筋肉の原材料となるものというイメージではないでしょうか?主な食品としては、肉・魚・豆腐などの大豆製品・卵などです。運動後に飲むプロテインなどもタンパク質が豊富に含まれています。
②脂質:魚介類や植物性油に多く含まれる不飽和脂肪酸と、肉の脂に多く含まれる飽和脂肪酸などがあります。摂取しすぎると肥満に繋がりますが、スポーツをする上では大きなエネルギー源となりますし、体温を保つ断熱材の役割もあります。
③炭水化物:身体を動かすためのエネルギー源であり、いわば車を走らせるのに必要なガソリンのようなものです。運動をする人は運動前後に積極的に摂取したい栄養素です。特に持久力を必要とするスポーツでは、この炭水化物を試合前などに多く摂取してエネルギーを蓄えて持久力をアップさせるグリコーゲンローディングというものもあります。
④ビタミン:他の栄養素の働きを高め、身体を正常に機能させるなどの働きがあります。油に溶ける脂溶性ビタミン(D・A・K・E)と水に溶ける水溶性ビタミンがあります。
ビタミンB1は糖質のエネルギー産生に必要であり、運動後に糖質と一緒に摂取すると疲労回復に繋がります。ビタミンCは吸収の悪い鉄分の吸収を助け、タンパク質の合成にも欠かせません。また、A・C・Eは抗酸化ビタミンと呼ばれ、運動時に発生する活性酸素を除去する働きがあります。
⑤ミネラル:とてもわずかしか存在しませんが、ビタミンと同様に身体の調子を整える働きがあり、欠かせない栄養素です。代表例はカルシウムでしょう。骨の原料になりますし、筋肉を動かすにも実はカルシウムが必要です。また、スポーツ選手は貧血になりやすいのですが、その際に鉄分が必要となります。鉄分は吸収率が悪く、多く摂取する必要があります。
食事はバランスが大切!
いくらカロリーが適性値であろうとも、栄養のバランスが崩れていてはいけません。

上の図は食事のバランスをコマで表したものです。主食・副菜・主菜・乳製品・果物の5つがありますが、下にいくほど量が少なくなっていきます。バランスが取れているとコマは回りますが、どれか多い場合や少ない場合はバランスが崩れてコマは上手く回りません。現代では主食や主菜は多く、副菜や乳製品・果物の摂取が少ない傾向にあります。
詳細については下記のアドレスより農林水産省のHPをご覧下さい!
http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/
栄養フルコース型が理想的!

具体的な食事の見本です。このような食事を栄養フルコース型と呼びます。
昼や夜はこのような食事の形を取れていても、朝食は菓子パンや果物のみなんていうことが多いのではないでしょうか?理想は朝御飯3:昼御飯3:晩御飯3:補食1です!
特に成長期の子供達はこの理想的なバランスが必要です。なぜかというと、1度に吸収できる栄養素の量があり、晩御飯で帳尻を合わせようと多く食事を摂取しても実は吸収には限界があるのです。また、成長期の子供は消化能力が大人と比較して低く、消化不良を起こしやすいためにタイミングもバランスよくする必要があるのです。
年代別に特に必要な栄養素を考える
●小学生:神経系の発達が大きく進む年代であり、そのためにはカルシウム・タンパク質・鉄分・マグネシウム・亜鉛などが必要となります。カルシウムや鉄分は体の吸収率が悪く、多く摂取することや吸収率を上げてくれる食品と一緒に摂取することをオススメします!(カルシウム:ビタミンD・ビタミンK。鉄分:ビタミンC・タンパク質)
多く含む食品
ビタミンD:しらす干し・いわし・いくら・紅鮭・干しシイタケ・カツオ節・卵・マイタケ
ビタミンK:納豆・ほうれん草・小松菜・ひじき・昆布
カルシウム:牛乳やチーズなどの乳製品・豆腐や納豆などの大豆製品・骨ごと食べられる小魚・ひじき・わかめ・のり・小松菜・チンゲン菜
鉄分:豚・レバー・ひじき・大豆・あさり・かつお・ほうれん草
ビタミンC:キャベツ・ブロッコリー・オレンジ・キウイフルーツ
(水溶性ビタミンのため熱処理に弱い!)
●中学生:心肺機能の発達が大きく進む年代であり、炭水化物や鉄分を多く摂取したい年代です。小学生年代で説明したように鉄分は吸収がとても悪い為、その他の食品と一緒に摂取する必要があります。
●高校生:筋肉量が多く増加する年代であり、タンパク質を意識して摂取する必要があります。また、より専門的になっていくために減量を必要とする競技もありますが、そのために脂質を減らして体脂肪を落とす食事を続けていると脂質の不足が生じてしまう可能性があります。過度な減量は避けましょう。
年々骨折する子供が増加・・・

図は子供の骨折をした割合を年代別に表示したものです。
年々少子高齢化によって子供の人口は減少しているにも関わらず、子供達の骨折する割合は増加していることが図からわかります。
原因は?
⇒運動時間の減少・カルシウムの不足・カルシウムの吸収を阻害する飲食物の摂取量の増加
骨折を防ぐために積極的に摂取したい栄養素を多く含む食品例
年代別に多く取りたい食品の所でも説明しましたが・・・
以下が多く含む食品例です
●ビタミンD:しらす干し・いわし・いくら・紅鮭・干しシイタケ・カツオ節・卵・マイタケ
●ビタミンK:納豆・ほうれん草・小松菜・ひじき・昆布
●カルシウム:牛乳やチーズなどの乳製品・豆腐や納豆などの大豆製品・骨ごと食べられる小魚・ひじき・わかめ・のり・小松菜・チンゲン菜
カルシウムの吸収を阻害する飲食物とは?
代表例はリンという栄養素があります。
よく部活動で炭酸飲料を飲むと弱くなると学生時代に言われたものです。
それは糖分と炭酸を多く含む清涼飲料水を飲むことで満腹になり、運動後の食事量が減少してしまい、必要な栄養素を摂取できないからということが一番の要因でしょうが、このリンという栄養素が多く含まれており、骨折の可能性が高まってしまうこともそう言われていた要因の1つでしょう。
以上で基礎編の説明を終了とさせて頂きます!
これからも栄養学について様々な投稿をしていく予定です!!
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