前回は野球肘のセルフチェックポイントをご紹介させて頂きました!

http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12195647597.html

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今回はその予防方法をご紹介させて頂きます!!

 

〇ストレッチ

ストレッチは2分間伸ばすことが重要で効果が期待されると言われています。

)30秒×4セット

①前腕前面(手関節掌屈筋群)

※肘を伸ばし前腕前面の筋をストレッチします。このとき上図では肘を伸ばしてストレッチを行っていますが、肘を曲げて行うことにより他の筋肉も伸ばすことができます。

 

②上腕三頭筋(二の腕部分)

※肘をしっかり曲げた状態から反対の手でゆっくりと肘を引きます。このとき体を倒すことにより上腕三頭筋をより伸ばすとともに、わき腹も伸ばすことが可能となります。

 

③大殿筋(お尻の筋肉)

※注意点として前に出す足は肩のラインと平行にすることです。また骨盤が引けないようにすることも正しいストレッチをする上で大事になります。

 

④ハムストリングス(ももの裏)

※注意点として、反動をつけずに膝をしっかり伸ばして行います。また足首を上に反らせることでより効果が期待できます。

 

⑤大腿四頭筋(ももの前)

※注意点として、ストレッチする反対側の股関節は曲げます。またストレッチ側の足を後方に引くことでさらに筋肉が伸ばされます。

 

⑥股関節内捻りストレッチ

※注意点として、上図で説明すると下の足を上の足で下に押します。そうすることによりお尻の中の方がストレッチされます。しかし右図のように右のお尻が上がってしまうと正しいストレッチができませんので注意が必要です。

 

〇トレーニング

①中殿筋(お尻の横)

20回×3セット

※このトレーニングではお尻の横の筋肉を鍛えますが、やり方によって他の筋肉のトレーニングになってしまうので注意が必要になります。

※開始肢位は左図で横向きに寝ます。その体制から上側の足を天井に向かって挙げます。このときの注意点として1つはつま先が天井を向かないことです。逆につま先を床に向けかかとを天井に向けて挙げることにより中殿筋のトレーニングとなります。2つ目は体幹と下肢が「くの字」にならないように気を付けることです。かかとを体幹から下肢への直線よりも後方に足を挙げることがポイントです。

 

②骨盤前後傾

20回×3セット

※注意点として、背骨を意識するよりも骨盤に意識をして行います。また後傾から前傾を主に意識し実施しましょう。

 

③腸腰筋(股関節前面の筋肉)

20回×3セット

※注意点として足を挙げる際、真っ直ぐに挙げることがポイントです。また膝が開いたり閉じたりしないようにします。そして重要なのは骨盤前傾位で実施しましょう。後傾位での運動では他の筋肉での代償も入ってしまいます。

 

④股関節内旋を意識したリーチトレーニング

20回×3セット

※注意点として右投げの方は上図、左投げの方は反対で実施します。このとき上図でいう左足は膝が開いたり閉じたりしないように真っ直ぐを意識しましょう。またこのトレーニングは骨盤前傾を意識しながら実施します。

 

以上で予防方法のご紹介を終わりにさせて頂きます!

セルフチェックポイントで柔軟性が低下していた部分や筋力が低下していた部分を重点的に行うと効果的です!

フォームの改善ではこれらのフィジカルの問題で悪いフォームになっている可能性があります。

フォーム指導と共にフィジカル面にも目を向けていきましょう!!

 

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前回はOCDについての基礎知識の記事を投稿させて頂きました!

http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12194722743.html

 

今回はそのセルフチェックポイントをご紹介させて頂きます!!

 

●野球肘の早期発見のポイント

 野球肘の予防・早期発見のチェックポイントにおいて、まず肘における圧痛です。外側型野球肘ともいわれるOCDですので、外側裂隙(上腕骨小頭)に認められます。その部位の圧痛が認められた場合は、まず医療機関での受診や相談が望ましいです。その他の自覚症状として「張り感」です。肘内側(内側上顆)に付着する前腕屈筋群あたりに自覚することが多いですが、張りは一種の痛みと理解すべきことでもあります。張りであっても持続・繰り返す場合にはまず医学的にチェックする必要があります。また肘の炎症は肘伸展の左右差(軽微な伸展制限)をきたすことが多く見受けられます。よって日常から自ら行えるセルフチェックが非常に大事になってくるとともに、楽しい野球人生を過ごす上で必要不可欠と言っても過言ではないと言えます。その他のセルフチェックは以下をご参照ください。             

 

OCDのセルフチェックポイント

①圧痛(肘関節外側列隙)

*肘の外側を押して痛みがでるか?

②圧痛(手関節掌屈筋群)

*肘の内側の筋肉を押して痛みがでるか?

③圧痛(肘伸展筋・上腕三頭筋)

*二の腕の後ろ側の筋肉を押して痛みがでるか?

④可動域制限(屈曲制限)

*肘を曲げて左右差及び肩に手が届くか

⑤可動域制限(伸展制限)

*肩の高さに肘を挙げて、肘の伸び具合に左右差は無いか?

⑥可動域制限(前腕回内・回外)

左から回内チェック・開始肢位・回外チェック

※左右差で判断しましょう!!
⑦片脚立ち(投球側)

※ぶれることなく10秒保持できるか!?

●片脚立ちの際にバランスを崩してグラグラ動いてしまうと下半身での投球を阻害され、上半身のみでの投球(手投げ)になりやすくなってしまいます。

⑧股関節屈曲可動域

*床と平行な線から股関節を曲げて125°曲がるか?

⑨ハムストリングス(もも裏)の柔軟性チェック

※膝をしっかり伸ばしたまま前屈し、指先が床に届くか!?

◆投球動作(特に投手)においてハムストリングスの柔軟性は非常に大事と言われ、ハムストリングスに硬さがあると股関節が使えない投球動作となってしまい、本来では体の体重移動でリリースポイントまでの推進力を作り上げますが、硬い選手は上半身の力を過度に使い、手投げとなって投球してしまいます。

 

⑩大腿四頭筋(もも前)の柔軟性チェック

※踵がお尻につくか

◆ももの前面が硬い方は右図のような投球フォームをしていませんか?ももの前面が硬いことによりこのようなフォームになっているというより、このようなフォームをしていることによりももの前面の筋(大腿四頭筋)に過度の負担がかかり硬くなってしまっているということが考えられます。またなぜこのようなフォームが良くないかというとアーリーコッキングからレイトコッキングに移行する際も骨盤が後傾位であるために肘下がりの原因となってしまうからです。それにより肘への負担は大きくなり肘を壊す原因となってしまいます。そのためにはフォームの改善が重要になります。またこのようなフォームになっている原因としてハムストリングスの硬さが考えられます。よって股関節周囲筋の柔軟性は非常に大事であると言えます。

⑪股関節内旋(内捻り)の柔軟性チェック

 

◆投球におけるフォロースルーの際、図のように前足(左股関節)は骨盤に対し内側に捻じられ、体幹はその反対側に捻じられます。ここでの股関節の捻じれは投球の際に肘のみのストレスが加わらないようにするためには大事な動作になります。捻じれがない状態で投球するといわゆる“足を使って投げていない”という投球動作になってしまい、上半身のみの投球となってしまいます。そうすることにより手投げ・肘下がりの原因となり肘へのストレスは増大してしまいます。

⑫腕立て伏せ

◆投球において下半身・体幹を使って投げる事は基本であり、投球障害の予防の大前提であります。そのため股関節周囲筋の柔軟性を重要と上記で説明してきましたが、実際ボールを投げるのは上半身であり上半身そのものの筋力は投球において必要不可欠なものと言えます。しかし近年の小・中学生では腕立て伏せができない子が以外にも多く見受けられます。従って腕立て伏せができるかできないかは上肢の評価として重要になるのです。

 

これでセルフチェックポイントの紹介を終わりとさせて頂きます!

次回は予防方法をご紹介させて頂きます!!

 

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今回は野球肘、特に中学生前後に多い肘のOCDについてご説明させて頂きます!

 

●「野球肘」とは、投球による肘へのストレスが繰り返しかかることによる「オーバーユース傷害」、いわゆる「使い過ぎ」=「投げ過ぎ」傷害であると思われています。一見、正しく思える考え方ではありますが実は大きな落とし穴となっていることを認識していただきたいと思います。

 

「投げ過ぎならば休めてやれば治る」「治れば次から投げ過ぎに注意しながら野球を続ければよい」という考えにいきがちですが、実際ほとんどの選手は他の選手とさして変わらない野球をしていて「野球肘」になってしまっているはずです。つまり「野球肘」になった選手は、同じ野球をしている他の選手より知らずに余計な負担を肘にかけていることとなります。同じ一球を投げても他の選手より余分なストレスが肘にかかってしまうために生じた「オーバーユース傷害」が「野球肘」なのです。

 

 

●肘の離断性骨軟骨炎(OCD)について

「野球肘」には「内側型野球肘」、「外側型野球肘」、「後方型野球肘」と分けられており、OCDは、「外側型野球肘」に分類され、骨化未成熟な1215歳の成長期に発症し、関節面の一部が軟骨下骨とともに分離を生じ遊離体に至る進行性の疾患です。特に成長期の野球少年では上腕骨小頭に圧痛や運動時痛が出現し、関節炎が生じると可動域制限を認められるようになります。その後、進行すると引っかかりやロッキングを生じ変形性肘関節症に至ることもあります。

 

 診断には画像診断が有用とされており、X線像評価では病期分類、MRI像では不安定性の評価、CT像では転位骨片の存在を確認することができます。

 

.1肘関節(上腕骨小頭)

 

OCDの病期分類

OCDはその時期によって3段階に分類されます。 

初期(透亮期)は軟骨が壊死を起こした状態で、投球時のみ痛みが認められます。しかし痛みが認められないケースも稀ではありません。中期(分離期)は骨軟骨に亀裂が入り肘の完全伸展や屈曲が困難となります。末期(遊離期)になると肘の動きに伴い、剥がれかけている骨片が動くため肘の曲げ伸ばしが困難となり、強い痛みが認められます。骨軟骨片が完全に剥がれ落ちると遊離体(関節ねずみ)となり、関節の中を自由に動き回り、軟骨を傷つけるようになります。また動き回った骨片が狭いところに挟み込まれるとロッキング現象が認められ、肘が動かなくなります。

.2 OCD病期分類

 

●野球肘の原因となる投球時のストレス

 投球時には腕を振ることでボールを加速させますが、このとき肘の傷害を生じるストレスがかかりやすいフェーズがあります。それはレイトコッキング期から加速期において肘をしならせるときにかかりやすい「外反力」とボールリリースからフォロースルー期にかかりやすい「伸展力」です。外反力とは上腕骨に対して前腕が外へ振れようとする力であり、このとき肘の内側には牽引力(引張り力)、外側には圧迫力(ぶつかる力)がかかります。それぞれにより生じる傷害を「内側型野球肘」、「外側型野球肘」と分類されます。

 

.3 投球動作時の外反ストレス

 

.4 投球段階図

 

●外側型野球肘(OCD)

 外反ストレスにより肘外側において、上腕骨小頭と橈骨頭の衝突が原因と考えられているOCD。上腕骨小頭は生下時には軟骨であり、成長に従って骨化を始めます(その骨を骨化核という)。このときに繰り返す圧迫力が加わるとそこに循環障害が生じ、骨化核の分節化を惹起します。この傷害に気づかず、または痛みを押して投球を続けると、成長終了時に骨片が癒合せず、いずれ関節内に剥がれ落ちて「関節ねずみ」となります。これは早期に発見してノースロー(投球禁止)によりストレスを極力回避し、成長による骨形成能を最大限発揮させることによってのみ治癒が期待される傷害です。従って肘の成長が終了にさしかかっている中学生(成長の個人差を加味して判断する必要があるが)で発見された場合には自然治癒を期待するには極めて困難で、何らかの手術を要することが多いです。完全治癒が期待できる可能性の高い小学生レベルで早期発見することが極めて重要な傷害であると言われています。逆に言えば、成長も病期も進んだ中学生以降のOCDに対して、ノースローで何ヵ月も無用な時間を浪費するのは無意味であり、正確な診断と評価の下、適切なタイミングで適切な手術を選択することが早期復帰には重要であり、その成否が選手の野球人生を左右することとなりかねません。またOCDは関節ねずみになってしまうと逆に疼痛が消失することが多く、「ロッキング」という関節ねずみが関節に嵌頓して激痛とともに肘が動かせなくなる症状が出るまで、治ったと勘違いする危険性がはらんでいます。関節ねずみの危険なところは、痛みがないため放置していると肘関節全体の軟骨を徐々に損傷・変性させ、気づかないうちに「変形性関節症」という不可逆な障害に陥ってしまうことです。

 外側型野球肘において、小学生など若年では外側型野球肘を見過ごさず注意深く治癒経過を観察し、中学生レベルで適切な治療を選択して変形性関節症を未然に防ぎながら野球に復帰させるため、早期に専門家に相談することが重要となります。

 

次回はその肘OCDの早期発見のためのセルフチェックポイントをご紹介させて頂きます!

 

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