今回は熱中症予防のための水分補給のポイントとして4回にわたって連載させて頂きました。

夏場などに運動する際になんとなくこまめに水分補給をするのではなく、様々な知識を持ったうえで効率よく水分補給をすることが大切です。

また、どの選手にもあてはまる水分補給量は無く、個々によって適切な水分補給のタイミングや量は変わります。その点を忘れずに!

 

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今までの4回の連載を簡単にまとめたものです

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●汗についてでは、体温調節のために汗をかくことが大切で、その汗は99%の水分と1%のミネラルによって構成されています。その1%のミネラルがとても大切であり、このミネラルによって水分のバランスが保たれています。

のどが渇いたと感じた時には1%程度の水分が体内から無くなっているサインであり、脱水症状が始まっています。3%の水分が失われると顕著な脱水であり、熱中症になるリスクが高まります。

1度に吸収できる量はコップ一杯程度ですので、がぶ飲みせずにこまめに水分補給する必要があります。飲料の温度は5~15℃が適しています。

汗についての記事はこちらからご覧下さい!

http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186345027.html

 

●水分補給に対する考え方の歴史ですが、1960年代までは運動中の水分補給はパフォーマンス低下を招くために禁止されていました。1970年代から水分補給がパフォーマンスの低下を防ぎ、熱中症も予防できるために運動中の水分補給は勧められいきました。しかし、2007年以降その積極的な水分補給にも間違いがあることがわかり、のどの渇きと共に気水分補給を行うべきだという考え方が一般的になりつつあります(スポーツ環境に限ります。一般の熱中症予防とは少々異なるためお間違いなく)。

水分補給の考え方の歴史についての記事はこちらからご覧下さい!

http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186350933.html

 

●暑熱順化についてですが、外気温が高くなるとそれに適応しようと身体は汗をかきやすくなります。それを暑熱順化と呼び、汗をかきやすく・ミネラルが失われにくい汗になり・体温が上がりにくくなります。その順化をするためには1週間~10日かかるため、しっかりと水分補給を運動以外の時に行い、積極的に汗をかく環境を作る事が必要です。また、運動後に牛乳を飲むと血液量が増え、体温調節機能が20~50%増加します!

暑熱順化についての記事はこちらからご覧下さい!

http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186350933.html

 

●浸透圧についてですが、体内の溶液と溶液は半透膜という膜を介して高い濃度へ低い濃度の液体が移動して同じ濃度になろうとします。それを浸透圧と呼び、口から入った飲料が胃を通過して小腸にてこの浸透圧を利用して体内に水分が吸収されます。

人間の体液の浸透圧は285±5mOsm/Lですが、水などは0~50mOsm/Lのため、早く吸収されすぎて逆に脱水状態になってしまいますし、ポカリスエットやアクエリアスなどは人体の体液よりやや高く設定されているために吸収が遅くなります。

そのため、運動時に速やかに、そして効率良く水分を吸収するにはハイポトニック飲料と呼ばれるやや人体の浸透圧より低い飲料を飲むことが大切です!

例としてSUPER H2O・アミノバイタル・ポカリスエットステビアなど。

お手軽に自分で作るには、アクアエアリスなどを半分に薄め、一つまみの塩分を加えると効果的に吸収できる飲料となります。

浸透圧についての記事はこちらからご覧下さい!

http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186631099.html

 

いずれも記事の内容から抜粋させて頂いているため、深く理解したい方は是非元の記事を御一読下さい!!

 

 

●まとめ

運動前40分前までに300cc500ccの飲水を行う(水分補給とエネルギー補給の意味がある)

*なぜ運動40分前までかというと、30分以内の場合、糖分を吸収するとインスリンという物質が血液中に分泌され、このインスリンは糖分を肝臓などの臓器に取り込む作用があります。ちょうど運動を始めようとする時間とこのインスリンによる糖の取込みが重なり、血液中の糖分が低下して低血糖症状を起こす危険性があるからです。

 

運動中はハイポトニック飲料(もしくはアイソトニック飲料を半分に薄め、一つまみの塩を入れたもの)を適宜飲水することが大切です。あくまでも、いつでも水分補給ができる環境作り(15分~30分おきの休憩や運動中も水分補給ができるように)を行い、のどが渇いたらすぐに補給する。運動後は糖分濃度が高いジュースやスポーツ飲料で水分補給を行い、疲労改善に努めましょう。

 

つまり飲水量を決めて水分補給をするのは運動前だけでいいというのが現在の傾向でしょう。あとは個人個人の体調や体格・運動時間や運動負荷量によって飲水すべき量は異なります

「のどの渇きと共に飲水する」

しかし、忘れてはならないのは飲水する機会(夏場であれば15分~30分間隔)を作り、飲水できる状態を設けられるようにすることが必要です。最近では試合の合間に“給水タイム”などが設けられている競技が増えており、いい傾向と言えるでしょう。

 

また、まだ暑熱順化できていない時期や急激に高温な日は汗をかくことで体温を下げる機能が追い付かない可能性があるため、水分補給だけでなく運動中に水を浴びるなどして強制的に体温を下げる工夫も必要です(暑熱順化できていない場合は多くの水分補給をしても汗をなかなかかけないために体温を下げられません。低ナトリウム血症になるリスクも高くなります。)

 

さらに気温が下がり涼しい夏の日は注意が必要です。

選手は涼しい為に少々のどが渇いても飲水を行わない・指導者も涼しいので飲水休憩をあまり小まめに取らなくなるケースが見受けられますが、運動によって体温は上がります。外気温の低下によって汗が蒸発しにくく(蒸発による気化熱が少なくなり体温が低下しにくくなる)、汗もかきにくいので、運動前の飲水とのどが渇いた際に飲水を行う機会をしっかりと設けて下さい。

 

選手自身の心がけとしてはのどの渇きに対して意識を向けることと、疲労や夜更かしによる寝不足などによって体調不良を起こさないようにしっかりと睡眠時間を確保すること、そしてせめて運動後の尿の色・量を日々チェックし、水分補給の状態が十分かを心がけて下さい。

 

*フルマラソン・トライアスロンなどの数時間に及ぶ持久的な運動を行う場合は塩分が不足する可能性が高いため、ご説明させて頂いた内容の飲料にさらに塩分を加えることが必要です!

 

夏場、大会や試合も多くなり、練習時間・練習日も多くなりますが、ベストな状態で夏を乗り切れるようにしっかりとした水分補給の知識をつけて下さい!!

 

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今回は水分補給のポイントについての連載4回目となります

以前までの記事はこちらからご覧下さい

汗について⇒http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186345027.html

水分補給に対する考え方の歴史⇒http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186350933.html

暑熱順化について⇒http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186356525.html

 

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今回は“浸透圧”についてのご説明をさせて頂きます!

 

●浸透圧とは?

 

濃度の異なった2つの液体を隣り合わせにした場合、お互いが同じ濃度になろうとする性質があります。この同じ濃度になろうとする力を浸透圧と呼びます。その移動は濃度の高い溶液に濃度の薄い溶液が流れ込みます。浸透圧の強さはその液体中に存在する粒子の数に比例し、体内ではナトリウムなどのイオンやブドウ糖などの分子があります。人体では、溶液と溶液の間に半透膜という小さな粒子だけを通す膜があり、イオンや分子・水などが通過することができます。その半透膜は体内の細胞の外側にあり、細胞膜と呼ばれています。つまり、細胞内の液体と細胞外の液体が体内には存在し、浸透圧にて水などの出し入れをバランスを保つために行っています。

 

では、その人間の体液の浸透圧はというと…285±5mOsm/L(ミリオスモルと読みます)です。

水などの飲料は口から入ると胃を通過し、小腸で上記の浸透圧によって体内へ吸収されます。

つまり、脱水予防としていち早く水分を吸収するには「胃をできるだけ早く通過し、小腸に達して吸収される飲料」を選ぶ必要があります。

 

浸透圧による飲料の分類・・・

ハイパートニック(高張液)…血漿(体液)の浸透圧より高いもの

吸収が遅いため、運動時には適しません。糖質やミネラル補給を目的とするならば運動後に用います。

アイソトニック(等張液)…血漿(体液)の浸透圧と殆ど同じもの

糖質が多く含まれているため、運動前や運動後のエネルギー補給に適しています。

例:アクエリアス・ポカリスエットなど

ハイポトニック(低張液)…血漿(体液)の浸透圧より低いもの

糖質は少なく抑えられていて、水分の吸収スピードが速いので、運動時に適しています。

例:SUPER H2O・アミノバイタル・ポカリスエットステビアなど

 

水やお茶の浸透圧⇒050mOsm/L

とても早く吸収されそうですね。しかし、これには欠点があります。とても早く胃を通過し、小腸で吸収されるため、体液の浸透圧が低い状態になります。そうすると水分を吸収する作用を抑えようとし、尿として水分を排出して浸透圧を上げようとしてしまい、「自発的脱水」と呼ばれる状態になってしまいます。また、水分が増える事でナトリウムが不足することで低ナトリウム血症になる可能性もあります。

水分の吸収に最適なのは194 mOsm/Lと言われており、ハイポトニック飲料が適しています。

運動時にはハイポトニック飲料orアイソトニック飲料であるアクエリアスなどを2倍に薄めて一つまみの塩分を追加する

 

運動前後にはアイソトニック飲料で塩分や糖質などのエネルギーを補給するのがポイントです!

 

 

●適正な水分補給量を知るには

1時間あたりの発汗量の求め方は体重を測定することで分かります

 

式:(運動前の体重―運動後の体重+飲水料)/運動時間(h

 

もっと簡便な方法としては、運動後の尿の色と量を調べることです。色が濃く、尿量が少ない場合はもっと水分を補給する必要があります。また、運動後1時間以内に尿が出ないのも脱水状態のサインです。逆に尿の色が薄い黄色で尿量も通常通りであれば水の出納バランスは保たれているということになります。

 

これで浸透圧に対する説明は終了とさせて頂きます。

次回はこれまでの情報をまとめたものを報告させて頂く予定です!

お楽しみに!!

 

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前回までは

汗についてhttp://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186345027.html

水分補給に対する考え方の歴史についてhttp://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186350933.html

のご説明をさせて頂きました!

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今回は暑熱順化についてのお話をさせて頂きます!!

 

●暑熱順化(暑い環境に適応すること)を知っていますか?

 通常、外気温が高くなる季節になると体はその気温に順化(=適応)しようと準備を行います。順化すると低い体温でも汗が出やすくなり、多くの汗をかけるため体温の上昇をより防ぐことができるようになるのはもちろんですが、塩分などのミネラルの再吸収の働きが強くなり、余分なミネラルを失うことなくさらさらの汗をかくことができます。

この暑熱順化をするには1週間~10日程度かかると言われており、本来は梅雨の時期に徐々に暑熱順化をして『汗をたくさんかいて』夏本番に備えていました。たまに梅雨の時期や初夏の時期などに急に高温になると熱中症が増えるのはこの暑熱順化が行えていないからでしょう。しかし、現代では冷房設備が整っており、運動時以外は高温状態にさらされないことが多くなっています。スポーツ選手も同様でしょう。そのため、順化することができず、汗をかきにくい状態のまま夏本番を向かえ、猛暑日などで熱中症になりやすくなってしまうのです。

これではいくら水分補給をしようとも、体温を下げるための汗をかけないので熱中症になるリスクが高まってしまいます。なので、夏に備えてしっかりと水分補給を行って汗をかいておくことが大切なので、極力冷房の効いた部屋で生活しないことやシャワーのみでなく入浴して汗をしっかりとかくようにしましょう。

さらにより効果的に暑熱順化するポイントとしてオススメするのが運動後30分以内に牛乳のような糖質とタンパク質を豊富に含んだ食品をコップ12杯摂取すると血液量が200400L増加し、体温調節機能が2050%増加します!!

 

これで暑熱順化についてのご説明を終わりにします。

暑さに慣れることも大切なんですね。

次回は“浸透圧とスポーツドリンクについて”ご説明させて頂きます!

 

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