前回は“汗”についての話をさせて頂きました。

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今回は水分補給の仕方がどのように考えられているかの歴史をご説明させて頂きます!

実はこまめにどんどん飲めばいいというわけではないのです・・・

 

●水分補給に対する考え方の歴史

まず水分補給の歴史についてですが、1960年代まではスポーツ現場ではパフォーマンスを低下させるという考えから水を飲まない方がいいと考えられており、スポーツ活動中の飲水は禁止されていました。

しかし、1970年代から科学的検証が開始され、マラソンレースで水分補給を行わずに脱水の症状が進行すると熱中症の発症リスクが高まるということが明らかになり、スポーツ活動中の水分補給が脱水を防ぎ、パフォーマンスの向上・熱中症の予防に有効であるという考えが広まっていきました。

また、この時代にスポーツドリンクが商品化され、スポーツ現場では積極的に水分補給を行うようになりました。

アメリカスポーツ医学会は1975年から1996年まで度々スポーツ活動時には意図的に水分補給をするように勧めてきました。その量は1時間あたり6001200Lという具体的な数字でした。

 

ところがそのアメリカスポーツ医学会が2007に大きな内容の変更をしました。

それは水の飲みすぎによる弊害を再び報告したのです。

 

●アメリカ医学会による近年の報告~水の飲み過ぎによる弊害~

 水の飲み過ぎによる血液中のナトリウム濃度が低下する低ナトリウム血症(水中毒)によってめまいや頭痛などの脱水状態と似た症状を呈することもあります。

特にマラソンなどの長時間の持久的スポーツで起こりやすくなる傾向が強く、水の飲み過ぎによって細胞内の水が多くなりナトリウムの濃度が低下(正常であれば0.9%に調整されている)してしまうことで起こります。

それはマラソン・トライアスロンなどの競技のトップレベル選手であればレースにより脱水症状を起こし、レース前よりもレース後では体重が減少しているのですが、一般レベルのランナーは近年の給水ポイントでは必ず水を補給しましょうという働きかけによって飲水し、レース後には体重が増えていることが多く、低ナトリウム血症になっている報告がされています。

 ではなぜ体重が増えてしまうのか?それは一般選手(特に初心者選手)はトップ選手と比べて発汗量が少ない身体機能であるのにも関わらず、「水はできるだけ多くとりましょう」という働きかけによって多くの水分補給をしてしまい、水の飲み過ぎを招いてしまっているのです。

このため、アメリカスポーツ医学会は2007年の報告で飲水量を「体重の減少が2%以上」にならない量というように改め、水の飲みすぎによる低ナトリウム血症の予防を喚起する内容を追加しました。このため、水分補給量も個人差を考慮し選手個人による裁量に委ね、具体的な数値を提示しなくなりました。わが国においても、日本体育協会は体重減少が2%を越えない飲水を勧め、ランニング学会でものどの渇きに応じた水分補給を勧めています。ちなみにこの2%という数字ですが、一昔前の報告ではわずかな脱水においても運動のパフォーマンスが低下すると報告されていたために積極的な飲水が勧められていましたが、2%程度の脱水であればパフォーマンスは低下しないということが現在では認められています。特異的な例ですが、エリートマラソンランナーはレース終了後に8%にも及ぶ脱水状態になっているという報告もあります。

 

つまり、決まった量を全員に飲ませるのではなく、個々の体調や機能などによって飲水の量を調節することが必要です。普段から、運動後の尿の色・量をチェックしたり、細かく測定するには運動前後で体重を測定して脱水状態をチェックする事も必要でしょう。

 

これで水分補給に対する考え方の歴史の説明を終わりにします。

次回は“暑熱順化”についてのご説明をさせて頂きます!!

 

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今回は熱中症予防のための水分補給のポイントについて説明していきます!

第1回目として“汗”についての内容を説明させて頂きます!!

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●汗とは?

人間は正常体温があり36.5℃前後(直腸温で37℃)とされています。体温が42を越えたり、30℃以下に低下すると死に至ります。そのため体温の調節が必要であり、体温が上昇すると発汗によって体温を低下させる機能が発動されます。つまり、水分補給をすることで発汗によって失われる体内の水分を補わなければ体温調節ができなくなってしまうのです。

その汗の成分は99%が水です。その他の1%にはミネラルと呼ばれる微量の成分が含まれています。ミネラルの中で一番多いのは塩化ナトリウム(塩)であり、0.65%ほど含まれています。その他には尿素・乳酸・カリウム・アンモニア・カルシウム・マグネシウム・重炭酸イオンなどの電解質が含まれています。

 

ではその汗はどこから作られるのでしょうか?その元は実は血液です。体温の上昇が起こり、体温を低下させる必要性が出た場合、脳の視床下部というところから汗をかくための指令が送られます。その指令によって血液から汗腺に血漿と呼ばれる水分とミネラルが送られます。そして汗腺の中を移動している際にミネラルは体内へ再吸収され、皮膚に出てくる際にはほぼ水分のみという状態となり、これが汗です。

汗が出る元になる汗腺は実は2歳半までに過ごした環境で数が変わると言われています。暑い地域で育った人と寒い地域で育った人では、暑い地域で育った人の方が汗腺が多く、汗をかきやすい人になるのです。この2歳半以降、汗腺の数は決まってしまいますが、運動を盛んに行ったり、高温環境で生活をしたりすると、個々の汗腺の発汗機能が高まり、汗をかきやすくなります。また、暑熱順化といって暑い時期に汗をかきやすくなるのもこれと同様の内容で起こります。

 

汗をなめるとしょっぱいという経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか?それは体温が徐々に上昇していくと汗をかく量が増え、ミネラルの再吸収が追いつかなくなることで汗(水分)内に塩化ナトリウムを中心としたミネラルが体表に出て行ってしまうのです。その汗はベタベタといた汗となります。

このミネラルがとても大切です。なぜかというとこのミネラルが筋肉を収縮させたり弛緩させたりするために必要だからです。

なので運動時の熱中症予防のための水分補給は水だけでは不足してしまうのです(1時間以上運動する場合)。

 

●のどが渇いたのは脱水が始まっているサイン!

 のどが渇いたと感じるのは体内の水分が1%損失された程度で感じます。50kgの方であれば500mlとなります。たかが1%と思われる方もいるかと思いますが、人間は体内の3%の水が失われると汗が出なくなってしまいます。これは、体内の水分が体温調節のみならず①体内の様々な物質を溶かして化学反応を起こさせる溶解作用と②老廃物の排泄や栄養物質の運搬などの運搬作用に使わる作用があり、これらの使用される水分が少なくなると身体を正常に維持できなくなってしまうので体温を下げる機能を無視してしまい、汗がいったん止まってしまうのです。しかし、汗が止まれば体温調節が出来なくなり、体温は急上昇。成人であれば体内の水分が3%以上不足すると顕著な脱水症状が現れてしまい、熱中症になるリスクが高まってしまいます

 

のどが渇いたら必ず水分補給を行いましょう!

 

●1度に吸収できる量は?

1度に吸収できる量はコップ1杯程度(200250mL)であり、1度にがぶ飲みしても尿として排出されてしまいます。1時間で800ml程度しか吸収できません。

飲料の温度は515℃程度が適しています

 

 

これで汗についての説明は終わりです!

次回は水分補給の歴史についてご説明させて頂きます!!

 

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前回までは足関節捻挫の基礎知識からなりやすい人の特徴・そのセルフチェックポイント方法などをご紹介させて頂きました。

基礎知識⇒http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12182506145.html

なりやすい人の特徴⇒http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12182707435.html

セルフチェックポイント⇒http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12183039750.html

 

今回は足関節捻挫を予防するためのセルフエクササイズをご紹介させて頂きます!

 

まずは足関節周囲の筋力トレーニングについてです。

スポーツ動作時に足関節周囲の筋力低下があれば不安定な姿勢や接触時に身体を支えることができません!

 

①下腿三頭筋の筋力強化

 

 

目的:下腿三頭筋の筋力強化により、動作時の足関節の安定性を向上させることが目的です

注意点:腓骨筋の筋力が低下している方は、図上のように足首が外側に向きがちになるのが特徴であり、動作時に外側重心になりやすいため、内側(母指側)に意識をして実施しましょう

回数:20回×3セット

 

②腓骨筋・後脛骨筋の筋力強化

     腓骨筋の筋力強化 

 

       後脛骨筋の筋力強化

 

目的:腓骨筋・後脛骨筋の筋力強化により足関節の不安定性の改善を目的とします。

   後脛骨筋の筋力強化により内側縦アーチの改善を目的とします

注意点:足関節の運動を意識するため、膝関節は固定して行うと効果的です

回数:20回×3セット

 

③足趾内在筋力強化

   図の様にタオルを趾で手繰り寄せます

目的:足趾内在筋力強化による、内側縦アーチの改善

注意点:足趾のみで行う

回数:20回×3セット

 

④中殿筋の筋力強化

目的:ストップ動作時などの身体の外側方向への動揺を改善する目的があります

注意点:下肢を外側に開きますが、立脚足では身体が外側方向へと傾かないように注意しましょう

回数:20回×3セット

 

⑤サイドブリッジ(外腹斜筋の筋力強化)

目的:殿筋群とともに体幹筋力強化により外側方向への荷重を改善します

注意点:図のように下肢、骨盤、体幹、上肢を一直線に保つことがポイントです

回数:20秒×3セット 20秒キープできない場合は10秒などから行って下さい

 

⑥スクワット動作(腓骨筋を意識して)

 

目的:スクワットにて殿筋群の筋力強化と、足関節にチューブを巻き、抵抗をかけることによって腓骨筋の収縮を同時に促します。ストップ動作での外側への傾きの改善を目的にしています

   また外反捻挫において、Knee-inToe-outが問題になりますが、膝と足関節が 一直線になるように意識することで改善を促します

注意点:Knee-inToe-out しないように注意

回数:20回×3セット

 

バランスボードを使用した協調性トレーニング

目的:足関節~体幹の全体的なバランス練習。内反・外反捻挫の両方に共通するト レーニングです。筋力低下が無くとも重心のコントロールが悪ければ捻挫の危険因子となってしまいます。ここでは重心のコントロールを目的とします。最初は平らな床面で片脚立ちするところから始めて、安定したらバランスボードなどの不安定な場所でバランスをとる練習を行います

   もしバランスボードなどが無い場合は、でこぼこした床面などを見つけて行うのも方法です!   

回数:20秒×3セット

 

以上で足関節捻挫予防のためのセルフエクササイズのご紹介とさせて頂きます!

次回は【肘のOCD】についてご説明させて頂く予定ですので、楽しみにお待ち下さい。

 

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