今回はセルフチェックポイントをご紹介させて頂きます!

前回までの足関節捻挫に対する基礎知識の記事はこちらからご覧下さい

⇒①http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12182506145.html

⇒②http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12182707435.html

 

●セルフチェックポイント

 

①足関節可動域検査(背屈制限の評価)

 

 

足関節背屈制限(足首が反れない)が生じている場合、スクワットや膝屈伸時に後方重心になる原因となります。制限に関しては、下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の短縮や距腿関節(足首の関節)周辺軟部組織の線維化やそれに伴う癒着、されに関節包の拘縮(または変性)による機能低下が考えられます。

 

②中殿筋の筋力評価

 

図の様に足を持ち上げてキープできますか?キープできない・骨盤が後ろに倒れてしまう・股関節より前に足が持ち上がってしまうなどの状態は中殿筋(お尻の筋肉)の筋力低下が考えられます。

中殿筋の筋力低下により、動作時に股関節の安定性が得られないため、外側重心(小趾側に重心が移動)やKnee-inToe-out(動作時に股関節・膝関節・足関節が一列に並ばず、膝が内側・爪先が外側になってしまう)助長させる要因となります。

 

③しゃがみ込み検査

しゃがみ込み検査では、足関節背屈制限がある人では、下腿(すね)が足関節に対して前傾(前に傾くこと)せず、図右のように身体の重心が後方に残ってしまうといった特徴が見られます。

ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋の短縮(筋が縮んでいる状態)やもも裏の筋肉であるハムストリングスの短縮により、骨盤の前傾、下腿の前傾の低下によって、後方重心となり、捻挫しやすい身体になってしまいます。

 

④片脚立ち検査

足関節内反捻挫については、外側重心であることが問題となります。図右のように身体が大きく傾いてしてしまうことで、外側重心を助長させてしまいます。

この検査で身体が傾いてしまう場合は、片脚立ちをしている側の体幹の筋力低下や殿筋群の筋力低下が考えられます。また足関節では、踵が浮いてしまう人は、足関節腓骨筋などの筋力低下が考えられます。

 

以上でセルフチェックポイントの説明とさせて頂きます!

次回は予防のためのエクササイズ方法をご説明させて頂きます!!

 

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前回は足関節捻挫の基礎知識をご紹介させて頂きました。

http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12182506145.html

今回はどんな動作で受傷するのか?どんな人が捻挫しやすいのか?ご紹介させて頂きます!!

 

●どんな動作で受傷するのか

 

まず、内反捻挫の受傷機序を分析してみましょう。内反捻挫は主にストップ動作、サイドステップ、ジャンプ着地、踵部でものを踏みつける(相手の足を踏む)、段差などからの転落時などで起こっています。受傷しやすいスポーツとしては、バスケット、バレー、サッカー、テニス、柔道など様々なスポーツで起きる傷害と言っていいでしょう。

図1は内反捻挫の受傷機序です。解説すると、足関節が内反(外側に捻るような動き)方向に動き、足底の内側が浮いてしまっています。また、膝と体幹は外側へと傾いており、重心が外側方向へと移動している状態となります。この外側方向への傾きが足関節捻挫内反(外側に捻るような動き)を助長します。

次に外反捻挫の受傷機序について分析してみましょう。

図2を見てみると、Knee-in Toe-out(膝が内側に入り、足関節は外側に向いている状態)しています。外反捻挫は圧倒的に接触などの外傷性の受傷機序が多いですが、非接触型での受傷は、バスケのカットインや、サッカーでの無理な姿勢でのセンタリングやパスを行うと生じます。身体的な特徴として、股関節の大殿筋などの機能不全(

(筋肉をうまく使えていない状態) や、ハムストリングス、後脛骨筋などの筋力低下が生じていることで起きやすいです。

特に足関節の内側縦アーチの低下を生じることで、Knee-inToe-outを招いているケースが少なくありません。

図1

図2

●どんな人がなりやすい?

 

 足関節内反捻挫になりやすい人は、ストップ動作や、サイドステップなどで身体の外側、後方への動作に対し、自らの身体の重心をコントロールできていない状態です。

スポーツでは外側方向への身体重心の移動が多く、上の図1のように身体が傾くことで捻挫の発生率は上昇します。なりやすい身体的特徴としては、大殿筋や中殿筋(お尻の筋肉)の筋力の低下や機能不全(筋肉が上手く使えていない状態)により、外側方向へのストップ動作が十分でないことや、腓骨筋の筋力低下によって、足首の内反を防ぐことができない状態となっています。上の図では、足首が床面に対して浮いている状態が内反という動きですが、腓骨筋の筋力の低下によってこの状態になりやすくなります。また、内反捻挫では足関節の背屈(足首が上に向く)の可動域(動く範囲)が低下している場合に、下腿(すね)が足関節に対して前傾(前に傾くこと)せず、後方重心になりやすいという特徴があります。しゃがみ込み検査や片脚立ち検査で確認してみましょう。

 内反捻挫は、足首の筋力の低下だけでなく、股関節や体幹の筋力が低下することによって引き起こされてしまうということを知っておきましょう。

 足関節外反捻挫になりやすい人は、内反捻挫と同様に、殿筋群の筋力低下が生じていることが多いです。また、外反捻挫で特徴的なのはKnee-inToe-outです。股関節の筋力低下と、ハムストリングスなどの膝関節、足部内側縦アーチの低下が生じている場合が多く、

Knee-inToe-outの姿勢を生じさせます。

足部には外側縦アーチ、内側縦アーチ、横アーチといったアーチ構造があります。このアーチがしっかり働いていることで、身体に対する衝撃を吸収しています。外反捻挫ではこの中の内側縦アーチが低下してしまうことで、上の図2のような足関節の外反という動作を引き起こしやすくなります。後脛骨筋と呼ばれる筋肉がアーチを形成してくれています。上の図2の足首に注目すると、足のアーチが消えてしまい、床に対して「ベタっ」としています。このような足関節の姿勢になると膝関節が内側に入りやすくなり、重心が内側へと偏っていき、足の外反捻挫を発生させやすくなります。

 

次回は捻挫を起こしやすい身体状況ではないか、セルフチェックポイントをご紹介させて頂きます!

 

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●足関節捻挫について

捻挫については、「手や足などの関節に無理な負荷がかかり、関節が外れかかって靭帯や腱が損傷された状態」と定義されています。捻挫によって損傷される組織は靭帯だけではなく、腱や軟骨にまで及ぶことがあります。

 

足関節の捻挫はスポーツ傷害でよく見られる傷害の1です。研究によると、足関節はあらゆるスポーツにおいてもっとも傷害の多い部位であり、特に捻挫は足関節の傷害でよく見られるものです。傷害に伴う競技離脱の要因の25%が足関節の捻挫によるものと言われています。また内反捻挫(外側側副靱帯の捻挫)は足関節捻挫の85%を占めるのに対し、外反捻挫は5%、それらのうち10%は脛腓靭帯の捻挫を伴います。足関節内反捻挫の受傷後、およそ2040%の患者に慢性的な不安定性が認められたという報告があります。

足関節捻挫の再受傷率に関してはさまざまな研究がなされており、それらによると約47-73%の人が複数回以上の捻挫を経験しています。

 

●足関節内反捻挫について

足関節捻挫には内反捻挫と外反捻挫に分けられます。内反捻挫は外反捻挫に比べて圧倒的に発生頻度が高い傾向にあります。では、なぜ内反捻挫が多いのか説明していきます。

足関節の特徴として、外果(外くるぶし)に比べて内果(内くるぶし)の位置が高いため、足首は内側に動かす方が大きく動き(外反に比べて内反の方が10°大きく動く)、内側に比べて外側に靭帯が少ないため、制動性が低いといった特徴があるため、内反捻挫が多くなります。

 

図1 内果(内くるぶし)と外果(外くるぶし)の位置 

  図2 内反の動き

 

足関節内反捻挫では足関節外側靭帯損傷が発生し、そのうち85%が前距腓靭帯の単独損傷2040%が前距腓靭帯と踵腓靭帯の複合損傷であり、踵腓靭帯の単独損傷や後距腓靭帯の損傷は稀です。

 

●足関節外反捻挫

 足関節の外返し捻挫は、不整な路面(でこぼこ道や砂利道)での捻挫や、足関節の外反変形、あるいは外反偏平足などの足の形態的・機能的異常を有する場合に起こりやすいといえます。 またしゃがんだ姿勢での作業やローラースケート、スケートボードなど、膝を曲げて体を屈む体勢を取るスポーツでの足首の捻挫、もしくは、ラグビーやサッカーなどで、足関節の外側から他者の足や体が乗って 足の外反を強制された場合に、重度の捻挫や骨折を伴う重傷を生ずることもあります。

 

三角靭帯損傷は足関節の内くるぶしに、外観的に三角形状をした靱帯群がありこれを三角靱帯と呼んでいます。この靱帯は4本の靱帯で構成され、非常に強力な靱帯です。そのため、強い外反強制などの外力を受けた場合や特殊な条件下で足の外返しを生じた場合に起こり、脛骨 や腓骨、距骨などの骨折を合併しやすいです。

 

図3 三角靭帯

 

●足関節重傷度の分類

Ⅰ度損傷:前距腓靭帯の部分断裂

Ⅱ度損傷:前距腓靭帯の完全断裂

Ⅲ度損傷:前距腓靭帯と踵腓靭帯の断裂

※Ⅰ・Ⅱ度損傷は保存的に治療。Ⅲ度損傷では手術が必要な場合があります。

重症になるにつれて、靭帯が断裂して足関節が不安定になっていくということです。

しかし、上記に記載した分類は、ほんの一部であり様々な分類の仕方があります。広く一般的な知識としてはⅠ度は靭帯を伸ばしてしまった程度、Ⅱ度が部分断裂、Ⅲ度が完全断裂などの分類が広く知れ渡っているのではないでしょうか。

そのため、病院や整形外科などでⅠ度損傷と言われたからといって、必ずしも靭帯が部分断裂しているというわけでは無いので注意が必要です。