今回は水分補給のポイントについての連載4回目となります
以前までの記事はこちらからご覧下さい
汗について⇒http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186345027.html
水分補給に対する考え方の歴史⇒http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186350933.html
暑熱順化について⇒http://ameblo.jp/csc-lab2015/entry-12186356525.html
今回は“浸透圧”についてのご説明をさせて頂きます!
●浸透圧とは?
濃度の異なった2つの液体を隣り合わせにした場合、お互いが同じ濃度になろうとする性質があります。この同じ濃度になろうとする力を浸透圧と呼びます。その移動は濃度の高い溶液に濃度の薄い溶液が流れ込みます。浸透圧の強さはその液体中に存在する粒子の数に比例し、体内ではナトリウムなどのイオンやブドウ糖などの分子があります。人体では、溶液と溶液の間に半透膜という小さな粒子だけを通す膜があり、イオンや分子・水などが通過することができます。その半透膜は体内の細胞の外側にあり、細胞膜と呼ばれています。つまり、細胞内の液体と細胞外の液体が体内には存在し、浸透圧にて水などの出し入れをバランスを保つために行っています。
では、その人間の体液の浸透圧はというと…285±5mOsm/L(ミリオスモルと読みます)です。
水などの飲料は口から入ると胃を通過し、小腸で上記の浸透圧によって体内へ吸収されます。
つまり、脱水予防としていち早く水分を吸収するには「胃をできるだけ早く通過し、小腸に達して吸収される飲料」を選ぶ必要があります。
浸透圧による飲料の分類・・・
ハイパートニック(高張液)…血漿(体液)の浸透圧より高いもの
吸収が遅いため、運動時には適しません。糖質やミネラル補給を目的とするならば運動後に用います。
アイソトニック(等張液)…血漿(体液)の浸透圧と殆ど同じもの
糖質が多く含まれているため、運動前や運動後のエネルギー補給に適しています。
例:アクエリアス・ポカリスエットなど
ハイポトニック(低張液)…血漿(体液)の浸透圧より低いもの
糖質は少なく抑えられていて、水分の吸収スピードが速いので、運動時に適しています。
例:SUPER H2O・アミノバイタル・ポカリスエットステビアなど
水やお茶の浸透圧⇒0~50mOsm/L
とても早く吸収されそうですね。しかし、これには欠点があります。とても早く胃を通過し、小腸で吸収されるため、体液の浸透圧が低い状態になります。そうすると水分を吸収する作用を抑えようとし、尿として水分を排出して浸透圧を上げようとしてしまい、「自発的脱水」と呼ばれる状態になってしまいます。また、水分が増える事でナトリウムが不足することで低ナトリウム血症になる可能性もあります。
水分の吸収に最適なのは194 mOsm/Lと言われており、ハイポトニック飲料が適しています。
運動時にはハイポトニック飲料orアイソトニック飲料であるアクエリアスなどを2倍に薄めて一つまみの塩分を追加する
運動前後にはアイソトニック飲料で塩分や糖質などのエネルギーを補給するのがポイントです!
●適正な水分補給量を知るには
1時間あたりの発汗量の求め方は体重を測定することで分かります
式:(運動前の体重―運動後の体重+飲水料)/運動時間(h)
もっと簡便な方法としては、運動後の尿の色と量を調べることです。色が濃く、尿量が少ない場合はもっと水分を補給する必要があります。また、運動後1時間以内に尿が出ないのも脱水状態のサインです。逆に尿の色が薄い黄色で尿量も通常通りであれば水の出納バランスは保たれているということになります。
これで浸透圧に対する説明は終了とさせて頂きます。
次回はこれまでの情報をまとめたものを報告させて頂く予定です!
お楽しみに!!
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