米国株式市場は急反発したが…
先週末の(米連邦準備制度理事会)による緊急利下げ(公定歩合の0.5%引き下げ、ただしFFレートの誘導目標水準は据え置き)により、17日の米国株式市場は急反発しています。
ただし、ニューヨークダウ工業株30種平均、ナスダック総合株指数ともに、短期での下落トレンドが継続しています。20日以降、上昇が続くかどうかがポイントです。
筆者が注目しているS&P500指数のVIX(ボラティリティ・インデックス)をみると、8月17日は29.99%となりました。ピーク(一時30%台後半まで上昇)に比べれば低下していますが、まだ高水準といえます。
筆者は、2001年や2002年のピーク時のように、VIXが40%を超える可能性があるとみています。相場全体が落ち着いたとみるには、まだ時期尚早といえるでしょう。
なお、ここでCMEのS&P500の投機筋(コマーシャルズ)のポジション動向(8月14日時点)をみておきましょう。
差引きでは48,716枚の売り越しとなっています(前週に比べて11,645枚の増加)。ヘッジファンドやCTAなどの投機筋は米国株式に対して弱気のスタンスを継続しています。今回の急落でかなりの利益が出たと推測されます。
下記はナスダック100先物取引の投機筋(コマーシャルズ)のポジション動向(8月14日時点)です。
差引きで18,138枚の売り越しとなっています(前週比2,586枚の増加)。4週間連続で売り越し枚数が増加しています。
FRB(米連邦準備制度理事会)の公定歩合引き下げにより、短期金利が急低下しています。
長期金利も低下基調となっています(価格は上昇基調)。
下記はT-Note先物取引の投機筋(コマーシャルズ)のポジション動向(8月14日時点)です。
608,492枚の買い越しで、2週間連続で過去最高値を更新しました。ヘッジファンドなどの投機筋は、債券相場が上昇する(長期金利が低下する)とみています。
----------------------------------------------------------------------------------------------
*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
----------------------------------------------------------------------------------------------
- 加藤 出, 山広 恒夫
- バーナンキのFRB
8月17日時点の業種別株価動向
今週20日については、日経平均は大きく反発することは確実です。しかし、業種によりバラツキが大きいと推測できます。17日の日経500種業種別株価の騰落状況をまとめてみました。参考にしてください。

直近では、ディフェンシブ銘柄(ガス、電力など)や内需関連の一角(通信、陸運など)がしっかりしています。
先週大きく売られた金融セクターや輸出関連株などがどの程度反発するかが、当面の注目ポイントです。
----------------------------------------------------------------------------------------------
*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
----------------------------------------------------------------------------------------------
8月14日時点のCME日経平均先物ポジション動向
8月17日(金)東部時間午後3時30分(日本時間では、8月18日の早朝)に、8月14日時点でのCOTレポートが発表されました。
CMEに上場されている日経平均先物取引ついて、コマーシャルズ(実需筋)やノン・コマーシャルズ(CTAやヘッジファンドなどの投機筋)のポジション状況をみてみましょう。今回は先週14日(火)までの数値ですから、週後半の金融・証券・為替・商品市場の大波乱は反映されていませんから、注意が必要です。
コマーシャルズについては、8月14日時点では4,037枚の買い越しとなりました。前週に比べて買い越し枚数は481枚増加しています(3週間連続の増加)。
ノン・コマーシャルズについては8月14日時点では3,726枚の売り越しとなりました。前週に比べて売り越し枚数は443枚増加しています(売り越し枚数は3週間連続で増加)。
ヘッジファンドやCTAなどの投機筋は、日本株に対する弱気スタンスを継続しています。
次に、COTレポートのデータを使って、ラリー・ウィリアムズが考案したCOTインデックスと、それを応用して筆者が考案したNCOTインデックスをみてみましょう。
8月14日時点での日経平均先物取引のCOTインデックスのチャートは下記の通りです。
COTインデックスは66.16%となりました(3週間連続で上昇)。
一方で、下記はNCOTインデックス(ノン・コマーシャルズ指数)のチャートです。これは、ノン・コマーシャルズの行動をみるためにCOTインデックスと同様の計算式で、筆者が計算したものです。
8月14日時点のNCOTインデックスは29.88となりました(3週間連続で低下)。
下記は、財務省が発表している対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)のうち、非居住者による株式の取得・処分をまとめたチャートです。
直近のデータは8月10日に終わる週まで発表されています。外国人による株式取得は3,245億円の売り越しとなっています。3週間連続の売り越しです。なお、8月17日に終わる週も大幅な売り越しとなったことは確実です。
下記は非居住者による債券(中長期債および短期債券)の取得・処分をまとめたチャートです。8月10日に終わる週は1兆4,956億円の買い越しとなっています(2週間連続の大幅買い越し)。
外国人投資家はアセットアロケーション上で、株式の組み入れ比率を引き下げ、資金を債券へシフトさせています。
下記は、東京証券取引所が発表している三市場の投資部門別売買状況のデータです(8月10日に終わる週まで)。三市場の投資部門別売買金額をみると、2,078億円の売り越しとなっています。3週間連続の売り越しです。
下記は、寄り付きの外資系証券の売買状況です。7月23日から8月17日までの20営業日のうち、8月14日を除いて19営業日売り越しています(この期間の合計は2億2,070万株の売り越し)。
下記は日経平均の週ベースの一目均衡表です。終値が下値抵抗帯である雲の下限を下回っています。
下記は日ベースの一目均衡表です。短期の下落トレンドが継続しています。当面、下値模索の展開が続くと思われます。
なお、8月17日のシカゴ日経平均先物の終値は15,835円です(大証の終値は15,300円)。20日は急反発が予想されますが、どこまで反発するか注目したいところです(転換線16,268円を上回るかどうか)。
----------------------------------------------------------------------------------------------
*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
----------------------------------------------------------------------------------------------
- ラリー・ウィリアムズ, 長尾 慎太郎, 増沢 和美, 吉田 真一, 山中 和彦
- ラリー・ウィリアムズの株式必勝法~正しい時期に正しい株を買う (ウィザードブックシリーズ)