2025年11月20日の木曜日。

 

最近、九段下に引き寄せられる率が高い私なのだが、この日もそうだった。

 

 

住宅情報館、じゃなかった、昭和館。娘が見学に来て楽しかったという話をなんとなく覚えている。

 

 

九段下といえばもちろんここ。

 

 

長い歴史の中の戦いで命を落とした英霊が眠る。

 

私はウブで真面目な大酒飲みであり、ものすごく仕事のできるスーパーサラリーマンでもある。なので午後からの仕事をパパッと終わらせて、1秒でも早く今宵の晩酌に辿り着かねばならないのである。

 

はい、仕事終わり!

 

 

帰り道、屋根の上に光る黒柳徹子。僕はひとり涙を浮かべて千鳥ヶ淵、月の水面などには目もくれず、一直線に都営新宿線へと飛び乗ったに決まっている。ざまみろ。

 

そこそこ深い九段下の駅構内の1番深いところに都営新宿線のホームがある。この路線は始発駅である笹塚駅で京王線と合流するので、前に勤めていた会社の通勤などで、たまに使っていた。タイミングがいいと都営新宿線がそのまま京王線直通になる電車があり、乗り換えの手間が省けて便利なのだ。

 

しかし、この日に乗った電車は終点が笹塚駅の車両だった。残念無念、僕イケメン。だが、このことが後から面白い出来事につながることになる。

 

帰宅の通勤時間には少し早い時間だったので九段下から乗り込んだ車内は結構空いていた。座席に座るとヘッドフォンで音楽を聴きながらスマートフォンで時間を潰した。そういえば今週末は3連休だった。何をしようか?などと考えていると新宿駅のホームに到着。

 

都心はどこへ行っても外国人ばかり目につくが、この日も同じだった。色々な人種が色々な国の文化の中で育ち、色々なタイミングで日本へやって来て、今こうして新宿の駅で私と出会う。なんとも不思議なことである。日本の文化にマッチする人もいれば、頭に来るような振る舞いをするひともいる。

 

「次は終点、笹塚、笹塚」

 

録音された女性の声が車内に流れると乗客が皆ソワソワし始める。ここで乗り換えだ。タイミングが悪く我々が乗っている電車がホームに到着し、ドアが開いた瞬間に、隣のホームに停車していた乗り換える予定の電車のドアが閉まり出発した。一番残念なパターンだがまあいいか。すぐに電車は来る。私はゆっくりと数人の列がてきている一番後ろに並んだ。

 

2分ほど待ったら特急電車がやって来た。ガタンガタンと目の前でスピードを落としながらホームに入って来た電車は、さっき逃した電車と比べて明らかに混んでいた。クソーッ!

 

電車が止まり目の前がドアの位置になるのだが、なんだか様子がおかしい。プシーッと言ってドアが開く。あれ?開くはずなのだが我々が並んでいだ列のドアだけ開かないではないか。車内にはこの駅で降りるはずだったであろうお婆さんが明らかに驚き困った表情でキョロキョロし始めている。そうこうしているうち、私の前に並んでいた人たちが隣のドアに揃って移り始めた。私も自然とその流れについて行く。他のドアに並んでいた人たちはすでに乗り込んでしまい、私がその電車の一番最後に乗る乗客になった。

 

急いで体を車内に入れようとした時に女性の声が聞こえた。

 

「降りますー!」

 

鬼気迫るような声の持ち主は先ほど開かないドアの前にいたお婆さんだった。他の乗客をかき分けて、こちらのドアに移動してきたのである。私が乗ってしまうとドアが閉まるだろうと予想したので片足をホーム、片足を車内へと半身の状態にしてそのお婆さんが車外に出るのを待った。そのことに気づいていない車掌はマイクで私を急かすアナウンスを車内に流した。

 

「ありがとうございます」

 

助かった、という安堵がよく分かる声でお婆さんは私に礼を言いホームを歩き出した。

 

プシーッという音と共にドアが閉まり電車が動き始めた。車内はかなり混んでいて私は最後に乗り込んだのでドアのガラスに体をぴったり預けるような形になった。スマートフォンを出そうとしたがガラスと私の身体の間にそれを入れるすき間がないくらいに混んでいる。まあいい、我慢するか。私の右側には同年代と思しき恰幅の良いサラリーマンがこちらを向く形で背もたれに寄りかっている。左側には若い女性が私と同じ方向を向いてドアの向こうに流れる景色を見ていた。

 

「次は明大前、明大前」

 

アナウンスが流れた。幸い私が立っているドアの反対側のドアが開く駅である。態勢はそのままにガラスの外を何とはなく眺めていた。電車はホームに入り速度を落としている。それと同時に逆方向へ向かう電車がやって来た。ホームで電車を待っている人たちを眺めていた私の視界を遮り電車が目に入る。ちょうど明大前駅で同じ時間に停車して駅の構内で、すれ違うパターンだ。

 

そして電車が止まった次の瞬間、驚きの光景が目に飛び込んできた。私が立っているドアと同じ位置の反対方向へ向かう電車の中に見覚えのある背格好の男性がそそくさと降りる態勢に入っているのが見えた。独特のサファリハット、小股でスピーディーに歩を進めるその姿。間違いない。Lotusさんだ。こんなことってあるのか?一瞬写真を撮ろうかと思ったが、満員電車なのでその案はすぐに消えた。とりあえずLotusさんにこの状況を伝えよう。いち早くLINEでこの状況を共有したい。私はスマートフォンを取り出しLINEの画面を開いた。

 

満員電車でスマートフォンを出すには窮屈な姿勢だったので、比較的空白がある右側に体の向きを変えてスマートフォンを出し、大酒飲みブロガーのLotusさんと大酒飲み悪友のT川氏とのグループLINEを開いた。すると開いた画面には先日おちゃらけて送ったヒヨコが左右をキョロキョロと見ながらハートのオナラをする動くスタンプが大きく飛び出してきたではないか。こ、こんな時に、、、

 

私の右側には恰幅の良い同年代サラリーマンがこちら側を向いて立っている。老眼である私はスマートフォンを遠ざけないと良く見えないので、ちょうどスマートフォンの画面をその同年代サラリーマンに差し出すような格好になってしまっていた。そこで出てきたのがヒヨコのハートオナラである。顔から火が噴きそうな羞恥心が全身を包んだ。

 

「たのむ、見るな、見ないでくれ、見ていないよね?」

 

心の中で叫びながら、そっとそのサラリーマンの顔を見上げて見ると、立ったまま椅子の横側にもたれかかりこっくりこっくりと寝ていた。フーッ、良かった。勝った、勝ったぞ!それを確認したと同時に大至急LotusさんにLINEする。

 

「今、明大前ですよね?反対側の電車から見ていました。もの凄いタイミング!サファリハットで一発Lotusさん確定です」

 

おそらくこれから渋谷かどこかで飲むのだろう。私はそう勘ぐっていた。しばらくするとLotusさんから返信がある。

 

「えーっ?!はい、下北沢から代々木上原に向かっています!笑えますね。ははは!」

 

そう言えば電車を降りる時、結構急いでいるような感じだった。約束の時間に遅れていたのかもしれない。そう思っていたらLotusさんのブログにこの記事があがっていた。

 

 

単なる偶然なのだろうが、それにしてもすごいタイミングである。時間、場所、どちらをとっても一分一秒、車両、ドアの位置が違っていたら、私がスマートフォンの画面などを見ていたら、この驚き、この景色、この不思議な感覚には出会えなかったのである。

 

とりあえず帰ってコーフンしながら晩酌しよう。そう思いながら電車に揺られているとT川氏からも「仲良しすぎるね」というコメントが送られてきた。

 

結果として何か大きな事がが起こったわけではなく、ただ私がLotusさんを見かけて、でも声をかけることができない状況にあり、そのことを大酒飲み仲間に伝えて、Lotusさんと私がブログに書いた。その記事を我々みんなが読んだという事実が2025年の11月に起きたのことになる。

 

メシツブ、メシツブ。

 

 

翌朝、今シーズン初のボンヤリ富士山を観測した。いい事あるかな?

 

 

その日の夜の宴。地鶏が非常に旨かった。

 

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三連休の真ん中。

 

昨日は無理しすぎて体中が痛い。

 

なので今日は一日ゆっくり家の中で過ごしている。

 

しかしこれだけは忘れないぞ。

 

大酒飲みである私の最重要日課。

 

ビールをこよなく愛する皆さま

 

であるからして

 

やっぱり今宵も

 

キンキンに冷えたビールで

 

乾杯ッ!

 

なのである。

 

ムフフフフ。

 

 

カバー写真のゆうちょ銀行ATMはどうやっておろすんだ?感満載だった。

 

2025年11月16日の日曜日の話である。

 

前日は関西からわざわざ遊びに来てくれたパンツ山根さんと大酒飲みブロガーLotusさん、大酒飲み悪友T川氏と4人で飲んだくれた。

 

 

せっかく遠路はるばるやって来られた山根さんとの初対面、初飲みの日なので本当は終電を逃して朝まで飲んでもいい気分だった。しかし、駄菓子菓子(パンツ山根さんから盗用)翌日に所用が重なってしまい、私にとっては結構早い時間に帰宅することとなった。

 

翌朝、布団から起き上がると軽い二日酔いの感覚に襲われたが、これくらいならすぐに回復するだろう。案の定、顔を洗ったり着替えなどをしていると、あっという間に完全回復した。

 

この日、私には3つの重大ミッションが課せられていた。ひとつは息子が大学の入試を受けるために送迎しなくてはならないということ。これが最も重要なミッションである。膝にケガをしてしまい先日手術を受けたので長距離の移動ができない状態である。電車やバスを乗り継いで行くには少し早いだろうという医師の判断だったので私が車で送迎することにしたのだ。

 

ふたつ目のミッションは中三の娘が来年の高校受験に向けた模擬試験を受ける日だったので、これまた会場まで送迎するのだ。会場が中途半端な距離の場所にあるため車で送るのが一番良い選択になる。

 

そして最後のミッションはいつも車で通勤している妻を職場まで送り届ける事。息子の送迎で車を使うので通勤に使われては困る。なので妻も私が送ることにしたのだ。

 

そういえばガソリンがそんなに入っていなかった。息子の試験会場は文京区なので、そこそこの距離がある。ガソリンは満タンにしておきたいところだ。

 

妻は7時45分に職場へ着きたいと言った。娘は8時20分に会場に着けばよいと言う。息子の試験は9時50分に開場で10時20分から説明が開始されるそうだ。なんだかクイズのような文章になったが上手に組み立てればすべてうまくいきそうな時間だ。私はなんとなく頭の中でルートを描いておいた。

 

さあ出発の時が来た!レッツゴー4匹!昨晩はレッツゴー大酒飲み4匹だったが、今朝はレッツゴー家族で4匹、みなで協力し、絶対合格間違いなしのその向こうまで、みんな頼むぞ、吉幾三!

 

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空は気持ちが良すぎるほどに晴れ渡っている。車に家族4人が乗るのは本当に久しぶりだ。思い返してみたがいつだったかはついぞ思い出せなかった。珍しい4人乗車の車中に、なんとなくみんな気分アゲアゲで会話が弾んだ。

 

「とりあえずお母さんから送るよ」

 

私がそう言ってアクセルを踏んだ。十分に間に合う時間に出発したので余裕の到着である。息子と娘が車を降りる妻に向かって声をかけた。

 

「頑張ってね」

 

「ありがとう、みんなも頑張ってね!」

 

妻も笑顔で返した。よし、一つ目のミッションコンプリートだ。

 

娘の試験会場はここからそれほど遠くはない。受験のコツなどを子供同士で話しているようだ。なるほどと思うような息子のアドバイスを盗み聞きながらハンドルを握っていると、あっという間に娘を降ろす場所に着いた。

 

「対策通りにね。落ち着いて頑張れ!」

 

そう声をかけると、娘も笑顔で頷き、手を振りながら背を向け歩き出した。頑張れよ。さあ二つ目のミッションも順調にコンプリートしたぞ。残るは最重要ミッションである息子を受験会場までしっかり送らねば。

 

おお、と、その前にガソリンを入れなくてはいけなかった。できればいつも入れている地元のスタンドが良い。ちょうどルートからはそんなに外れない場所にあるので、そこで入れて行こう。

 

最近少しだけ価格が下がった気がするガソリンだが、まだまだ感覚的には高い。行きつけのスタンドはかろうじて150円台という程度の会員価格で満タンにした。よし、準備完了。あとは文京区まで無事に送り届ければ、まずは任務完了だ。

 

高速で行くことを考えたが、Googleマップで調べたところ一般道で行ったとしても時間にして15分程度しか変わらない。まして受験なので絶対に遅れるわけにはいかない一大事である。高速で事故などに巻き込まれたら万事休す。ここは安全に一般道で行くことにしよう。

 

日曜日の道路は都心に行くほど空いている。紅葉に包まれる甲州街道を気持ちよく走るとあっという間に着くだろう。甲州街道といえば、その昔、私が世田谷で小売業の店で配達をしていた時に毎日走っていた道だ。その時の思い出話を息子としながらドライブ気分で走る。首都高4号線の下をくぐるとすぐに新都心の背が高いビルが左手に見える。そこをすり抜けるとJR新宿駅の南口とバスタの間を走ることになる。関東に台風などがやって来ると必ずニュースで中継されるあの場所だ。

 

そこを過ぎると明治通りの手前の交差点で赤信号にひっかかった。右に見える吉野家の地下に飲食店があり、配達をやっていた時は毎日そこに車を停めて荷物を降ろしていた。今思えば信じられないほど車通りが多い場所である。そこから新宿駅近辺の飲食店を数軒回って池袋に行くのがいつものルートだった。

 

信号が青に変わると新宿御苑の下に通るトンネルをくぐり、四谷を抜けて文京区に向かう。ここから先は初めて走る道が多い。ナビの言うがままにハンドルを切って突き進むと予定時間より少し早く目的地に着いた。フーッ、3つ目の最重要ミッションも見事コンプリート。

 

「落ち着いて頑張っておいで」

 

助手席から降りる息子にそう声をかけると、中山きんに君のキメポーズをしながら、お笑い芸人のような誇張した笑顔で笑って見せた。こいつ大丈夫かな?

 

近くのコインパーキングに車を置いたら思いがけない自由時間を手に入れた。息子の試験が終わるまで、こりゃー行くしかないな。スマホを片手にGoogleマップで「史跡」というキーワードを検索する。ムムッ!あるではないか。迷わず行くとしよう。

 

 

生まれて初めて見るような路線。

 

 

可愛い電車が走って行った。

 

 

そのすぐ横に目的地はあった。えーっと、なになに?フムフム。ここは最後の将軍である徳川慶喜終焉の地と書かれている。慶喜といえば晩年は静岡で暮らしていたという記憶があるが違ったかな?などと思いながらやって来たが、あとで調べてみよう。

 

 

とりあえず坂を下ってみる。

 

 

最後の将軍が住んでいた屋敷は現在大学院になっているようだ。

 

 

なるほど、ここだったか。

 

このあたりは非常に坂が多く、そこかしこに何々坂といった名前が付けられていた。

 

 

おお、玉川上水ができる前に作られた江戸の水源、神田上水路はここを通っていたのだな。源流はなんと三鷹にある井の頭池と書かれている。かなりの距離を通したのがわかる。なるほどねー。

 

 

すべてを突破して行く。

 

 

その大きなビルのたもとに小さなお稲荷さんがあった。

 

 

橋の~下には~神田川。

 

 

もう少し歩こう。

 

 

アジアンカンフージェネレーション。

 

 

おっ!いい感じの白壁が続いているぞ。

 

 

なんだか楽しそうだな。

 

 

ちょっと見える。

 

 

ドーン!

明日ヤルんじゃないぜ!京セラ大阪ドーム、じゃなかった、東京ドーム。

 

 

さっき通って来たのは後楽園の塀沿いだったのだ。水戸藩の上屋敷として使われていたそうで、どおりでもの凄い大きさである。

 

 

江戸から昭和の街並みへと歩を進める。

 

 

今度は石塀だ。ここはさっき来た慶喜が晩年を過ごした屋敷の塀である。ここもものすごく大きい屋敷だったのが分かる。

 

 

電車が上を通っているトンネル。

 

 

こんなところに服をかけたら、どんなに干しても乾かんガーと言いたくなる謎のハンガー。

 

 

遠くに見える自転車のオジサンは大きな声で独りごとを言いながら私の横を通り過ぎて行った。できれば関わりたくないタイプの先輩だった。

 

 

聖者の坂、じゃなかった、庚申坂。

 

 

その横にポツンと忘れ物が置いてあった。この人、ちゃんと帰れたのかな?

 

あっちこっちで暇をつぶしているとちょうど良い時間になった。試験が終わる時間に合わせて息子を迎えに正門まで行くと偶然息子のクラスメイトとばったり会った。息子と同じ学校を受験したそうである。あと、もう一人来ているそうなので一緒に帰ろうではないか。

 

息子は少し遅れて、そのもう一人のクラスメイトと一緒に現れた。試験は全員「まあまあ大丈夫だろう」ということなのでとりあえず駐車場に向かう。まずはお疲れ様。帰りはゆっくり高速で帰ろう。なんだかおかしいが気にしない。

 

渋滞も全くなく、モクモク、じゃなかった、スイスイ進んで地元についた。息子の友達はそれぞれ路線の違う駅に自転車をとめているそうなので何となく帰りやすそうなそれぞれの駅まで送って行った。時計を見るとそろそろ娘の模擬試験が終わる時間だ。

 

「迎えに行こうか?」

 

息子が娘にLINEを送るとすぐに返事が来た。

 

「ありがとー!」

 

よし、決まりだ。朝、降ろした場所まで車を走らせると娘はすでにこちらを向いて手を振っていた。

 

「お疲れさまー、どうだった?」

 

私がそう質問すると娘が驚いたような声で

 

「教室に時計がなかったー!お父さんに借りててよかった!アブなかったー!」

 

娘は時計を持っておらず、朝方私がアナログの時計を貸しておいた。資格試験で大学などに行くと教室に時計がないことが結構あることを知っていた私は、とりあえず娘に持たせたのだが功を奏したようだ。

 

子どもたちは非常にお腹が空いているというのでマクドナルドに行くことに半ば無理やり決定された。ドライブスルーで好きなものをそれぞれ頼む。先に会計を済ませると、すぐに商品が手渡された。その後、間髪入れずに子供たちが揃って袋を開け、おのおのハンバーガーにかぶり付く様子がおかしかった。そろそろ妻も仕事が終わる時間だ。みんなで迎えに行こう。

 

朝来た時と同じ場所に車を停めて待っていると、妻が少し息を弾ませながら車に乗り込んできた。

 

「ありがとー!助かったー」

 

娘が「ハイッ!」といって紙袋を手渡すと妻が今度は声を弾ませて言った。

 

「マジでー?ありがとー!今日は天国みたいにシアワセな日だー」

マクドナルドで妻が喜ぶだろうメニューを子供たちが注文していたので、それを手に取りそう言ったのだった。お父さんである私の分は何も買っていないのだが、なんだか今日は本当にシアワセだなと感じる日だ。特に何もなかったのだが、それが特に良かった、そんななんでもない1日だったのである。

 

ビールをこよなく愛する皆さま

 

であるからして

 

やっぱり今宵も

 

キンキンに冷えたビールで

 

弥栄ッ!

 

なのである。

ムフフフフ。
 

 

2025年11月15日の土曜日の話である。

 

前日は息子の通院付き添い後、高校生活で現役最後のサッカー公式戦だった。なので、その足で会場に向かい到着したのは試合終了まであと10分くらいの時間だった。聞けば歴史的な大量得点で勝っているということだ。素晴らしい。これで来年は上位リーグに昇格となったのだ。ヤルね。

 

その夜は上機嫌で晩酌したので酒量も進み、朝はお決まりの二日酔いで目が覚めた。酒量が増えた原因はもうひとつある。長年お会いしたかったある方と顔を合わせる約束をしていたのだ。実はずいぶん前から計画されていたのだが、そんな時に限って私に所用がいろいろと舞い込み、本当にピンポイントでこの日しか時間が作れなかった。会いたかった方は関西にお住まいで2泊3日の旅程で上京される。もっとたくさん会える時間があったのだろうが仕方がない。今日のこの日を存分に楽しもうではないか。

 

この日、まずは大酒飲みブロガーのLotusさんと大酒飲み悪友のT川氏と3人でスタジオに入る約束をしていた。そこで課題曲を設けて演奏するお遊び3ピースバンドを結成したのである。関西から上京されるその方はたった一人の観客として立川にあるスタジオへ招く形となった。

 

すでにLotusさんの記事にアップされているのだが、その会いたかったお方とは何を隠そう世界に羽ばたく気鋭の大酒飲み文豪「パンツ山根」氏、その人なのである。

 

 

思えば私が山根さんの記事を知ったのは書くのをやめた後8年ぶりに再開したアメブロサイトでひと際目立つタイトルをを目にしたのがきっかけである。

 

「満を持してビール」というブログ説明欄に掲げられたそのひと言に惹きつけられて、さっそく記事を読んだ。



読んだところでどうだろう、雑学教授のように非常に博学で文章も面白く、そしてトンチの効いた、つまらない、あ、鋭いダジャレをふんだんにちりばめている内容に一目ぼれ。すぐにフォロワーとなってコメントも書いた気がする。

 

そんな山根さんと相互フォロワーだったLotusさんも、そのつながりでブログ友達になっていただいた。コメントのやり取りをしつつ、実は私と住まいが近いのではないか?ということでリアルミーティングしようという話になる。それは必然であり、お会いすると当たり前のように大酒飲み友達となった。そこに中学からの悪友T川氏も参戦し、3人で大酒を喰らう機会が増えた。3人で飲む際、その話題にかなりの確率で挙がってくるのが山根さんだった。Lotusさんと山根さんはブログで知り合ってからすでに9年が経っているそうではないか。

 

私はLotusさんをそそのかし、大阪出張の際に山根さんと会ってきてください、と勝手なお願いを聞いてもらった。当たり前だがLotusさんも乗り気で話はトントン拍子に進みリアルミーティングが実現した。

 

 

そこで今度は山根さんが上京してくるという話を繋いでくれたのである。そしてその日がこの日なのだ。

 

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私はソワソワしながら電車を降りてスキップでスタジオに向かった。顔は満面の笑み、ヨダレを垂らし、白眼を剥いてのハイスピードスキップであることは言うまでもない。

 

山根さんの容姿は一度写真で拝見したことがあったので何となくわかる。スタジオが見えてくるとその前の通りでキョロキョロしながら立っている見知った顔が見えた。山根さんだ、間違いない。通りを挟んだ反対側を歩いていた私は山根さんの瞳にロックオンして道路を横断しながら近づく。するとかなりのスピードを出した大型トラックがやって来てはねられた。嘘だ。

 

ニヤニヤしながら近づく私に山根さんも気づいたようだが私がCornであることに確信を持てないような、やや複雑な表情で笑みを返した。グングン近づいて頭を下げる。

 

「山根さん、ハジメマシテ!Cornです!といっても初めましてでもないかな?」

 

などと、なんとなくしっくりこない挨拶を口にする。

 

「ど、どうも、私がパンツ山根です」

 

ガハハハハ!

二人同時に笑った。会えた、ついに会えたぞ。私が大酒飲みブロガーになるきっかけになった人といっても過言ではないだろう、偉大なダジャレブロガー山根さんが目の前にいるぞ。どうだ?まいったか!

 

「さあ、中に入りましょう」

 

御年39歳という新進気鋭の雑学文豪である山根さんをスタジオに案内した。

 

中にはすでにT川氏がベンチに座って待っていた。実は昨日、Lotusさんの召集で、すでに二人は対面して酒を酌み交わしていたのだ。

 

「昨日はどうもお疲れさまでした」

 

2人が同時に話す。

 

「実は昨日、あまりの楽しさに羽目を外して飲み過ぎてしまいました。今日はペース配分に気を付けます」

 

山根さんが昨日の宴を振り返り、反省の弁を述べたが誰も信じる訳がない。

 

「いやいや、今日もとことん行きましょう!」

 

そう言ってみんなで笑いだした頃にLotusさんの顔が見えた。

 

「おお、もうすでに顔合わせ済みでしたか」

 

Lotusさんが少し息を切らせて合流した。では、さっそくスタジオに入りましょうか。

 

ここのスタジオのシステムは非常に素晴らしく、店員さんの接客が最高で、スタジオ内で飲酒もOK、しかもフロントでビールや酎ハイの販売もしているという天国のような場所なのだ。

 

 

それでは、この素敵な出会いに、乾杯ッ!

 

ブハーッ!

一人だけコーヒー缶の人がいるが中身はワインだぞ!

もちろんLotusさんだ!

 

ベース初心者のLotusさんと、ドラム初心者の私、そしてギター少々のT川氏、3人でのつたない演奏を山根さんに聞いてもらう形となった。曲が終わるたびに山根さんが椅子の上に立ち上がってスタンディングオベーションをしてくれる。嘘だがほぼ本当。楽しい時間になった。

 

 

さあ、ここからが本番?ですぞ!

 

 

山根さんにリクエストをいただいた大衆酒蔵ふじ。電話予約は受け付けておらず、わざわざ来店し大枚をはたいてからこの日の予約を取ったのだと前日の宴でT川氏がLotusさんに嘘をついた。そしたら、それを本気にして涙を流しながら感謝したという笑い話を聞いた。Lotusさんらしい、あまりに素直過ぎて詐欺にあわないか心配なレベルである。

 

 

さあ、ココへ来たらもちろんコレ。神様、生ビール大ジョッキ3杯と、さっきのワインで少し酔ってしまったLotusさんはレモンチューハイで行きましょう。写真の向こう側で大酒飲みブロガー二人が同時に撮影しているのを見てT川氏が大笑いしていた。

 

さあ、ではついにこの瞬間がやって来ました。長い時間と距離を越えて、ブログというバーチャル空間からリアルミーティングで楽しい大酒を酌み交わそうではありませんか!

 

 

乾杯ッ!

 

ングッ、ングッ

ブハーッ!

最強!

おかわり下さい!

 

山根さん、ふじ名物をどんどん食べてください!

 

 

ニラ玉。

生活習慣病を患う私にとって高コレステロールな食べ物はこれ以上にないご馳走だ。

 

 

Twoサバの塩焼きアンドTwoサムアップの図。動物性脂が心に沁みるぜ。

 

 

刺し盛り。

中トロ、シメ鯖、コチ。

大酒飲みの夢がどんどん広がる。

 

「なんでパンツ山根という名前にしたんですか?」

 

なんとなく質問してみると、その前はクズ山根だったことを思い出した。凄いネーミングセンスだ。パンツの理由はそのうちご本人が記事にするだろうからここには書かないが、やはり雑学王の名を欲しいままにしてきた山根さん、くち数は群を抜いて少ないのだが、発する会話の内容がいちいち我々の納得感を生ませる。さすが、もっと話を聞きたいのだ。

 

 

Twoアカボシ大瓶アンドTwoサムアップの図。ビールは世界を救う。

 

 

おっと!名物鶏のから揚げ。山根さん、これはぜひ食べて帰っておくんなまし。高脂血症の敵、から揚げは神様からの贈り物です。

 

 

ムムッ!

こ、これは、、、

痛風街道まっしぐら、数値正常範囲の壁を打ち破り突き進む私の宿敵、キング・オブ・ザ・プリン体の名を欲しいままにする白子ポン酢!

クーッ!最強!

 

 

You!リンチ!

アナタにならリンチされても一生ついてゆきます、どこまでも。

 

 

反対側から撮影した天ぷら盛り合わせ。

 

宴も高輪プリンスホテル。名残惜しいがお開きの時が来た。さあ、皆の衆、それぞれの旅立ちの時間だ。最後に禁断の背徳食物、ラーメンを食べて帰ろうではないか、諸君!

 

 

などという訳もなく、もちろん2軒目。グヒヒ。

 

店前にいた呼び込みの店員に誘われるがまま格安を謳う居酒屋の暖簾をくぐった。

 

飲み放題が1280円とリーズナブル店に見えたが、ひとり2オーダーシステムだそうで、それなりの値段はかかる。気をつけろ、甘い言葉とクライベイビー、泣かないで舘ひろし。

 

 

ポテト茶碗、じゃなかった、皿だ、あ、サラダ。

 

 

串焼き諸々。ここで意外と好き嫌いが多いことが判明するLotusさん。T川氏は山根さんから調味料の魔術師と言われた。本当は小食なのであまり食べない山根さんは少しづつ料理を頬張っていた。

 

 

〆のチャーハン、これを頼むことは法律で決まっている。

 

さあ、今度こそ別れの時が来た。山根さんは明日帰阪し、残りの3人はそれぞれの用事に向かって歩き出す。

 

 

ガシッ!

また必ず会いましょう!

その時まで!

 

 

あ、でも最後にラーメンで〆ますか?

あたり前だのクライベイビー泣かないで猫ひろし。勢いで入ったのは最近できた二郎リスペクト系ラーメン屋「麺でる」

T川氏はもう胃袋に二郎系が入る隙間がないということで、少し少なめのメニューを頼み、意外だったが山根さんも我々と同じ小ラーメンを頼んだ。

 

 

おお!すごい!さすが若手の新進気鋭大酒飲みブロガー山根さん。最後にもう一杯ビールですね。素晴らしい!

 

 

私は水で乾杯、なんだかスミマセン。

 

 

ドーン!

来たぜ。

 

 

なんとなく缶ビールを持つ手がサマになる山根さんの左腕。

 

 

いただきます!

太麺だがモッチリと柔らかい麺である。味は二郎系を正々堂々と受け継いだ正統派の濃厚とんこつ醤油スープ。これは旨い。今回ニンニクマシでお願いしたので帰宅後は家族に煙たがられるだろうが気にしない。おとっつあんはニンニクをマシマシしたいのだ!

 

 

チャーシューはしっかり焼いてある派である。ほろり柔らか系が好きな私には咀嚼が少しつらく感じられたが許容範囲内である。飲みの〆にガッツリ身も心も満たしてくれた一杯であった。

 

と、ここまで書いたがこの後の写真がない。それもそのはず、この時点でスマホのバッテリーが切れてしまったのである。

 

この後、再度4人でガッシリと固い握手を交わし、山根さんはハイアットリージェンシーへ、残りの3名もそれぞれLEXUS指定で呼んだハイヤーに乗り込み、明日へ向かって歩き出したのである。嘘だ。

 

メシツブ、メシツブ。

 

 

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ああ、楽しい1日だった。

 

私は翌日別の用事があったため、駅まで見送りには行けなかったが、山根さんも東京一人旅を満喫していたのではないだろうか。

 

次回、いつ会えるかは神のみぞ知る。

しかし、駄菓子菓子。

また逢う日まで、逢える時まで、また吞む日まで、吞める時まで、別れのその訳は話したく八郎。

 

今から大酒飲み雑学王との再会が楽しみなのである。

 

ビールをこよなく愛する皆さま

 

であるからして

 

やっぱり今宵も

 

キンキンに冷えたビールで

 

乾杯ッ!

 

なのである。

ムフフフフ。