小学校や中学校のパソコン導入等の臨時作業のために集められた派遣社員の年齢は私を除き、皆50歳を超えたように見えました。2人の女性は以前何処かでコンピュータに絡む仕事をしていたというだけで特にパソコンが得意というわけでもなく、派遣会社の営業マンが勧誘の時に言った「操作手順書に従って操作するだけです」と言われたというのを何度も主張していました。
男性6人は50歳代といえば普通のサラリーマンであれば未だ現役の筈ですが、何故派遣社員として仕事をしているのか理由を知りたくて、昼休み時間に話を聞きました。同時に、将来の年金問題もあり会社の正社員に応募した方がいいのではないかという、ごく当たり前の話をしたのですが、反応は「自分のしたいような仕事が無い」とか「とっくに諦めています」とかいうような回答が返って来ました。
50歳を過ぎても、意欲さえあれば一般社員として採用の可能性はあるように思えるのですが、今回集まった人たちにはそういうチャレンジするという意欲は感じられないし、派遣社員の生活に慣れてしまっているとも思えました。派遣社員の仕事は一時の人手不足の時の穴埋めの仕事しかないのではないかと思えるのですが、皆一様にこういう仕事で食いつないでいるようにも見えました。
同時に、能力的に問題と分かったのはサーバーやパソコンの設定作業をしていて、作業の発注先である請負会社のエンジニアから毎日のように仕事の不備を指摘されていたことでした。不慣れという部分はあるにせよ、基本的な操作誤りに全く気付かず、請負会社のエンジニアに指摘されて初めて気づいたというような話を、請負会社のエンジニアから注意喚起という意味で何度も聞かされました。中には口先だけがうるさい人もいましたが、口うるさいだけでこの程度の作業は新入社員でもやるような事であるというのを理解していないようでした。
今回の各学校の作業では必ず請負会社の社員が同席するのですが、同時に数校一緒に作業をする時には派遣会社の3名にだけ任さざるを得ない時もありました。その時に、途中経過を確認するために請負会社のエンジニアが来校して作業を確認すると「全て中途半端な状態で終わっています」という話や、「操作が出来ないと言われましたが、私が操作すると何の問題もありません」というような事をチームリーダーは指摘されました。
又、チームメンバーが小学校の職員室からソフトウエアのバージョンアップをするのでパソコン持ってきましたと言われて現物を見ると、何台か数量が不足しパソコンの電源ユニットが足りないという事があった時、どうするかなと思って見ていても何も行動しないので、仕方なく私が職員室に行ってたまたま部屋にいた副校長を捕まえて不足しているパソコンと電源ユニットを探してもらい何とか作業にこぎつけたという事がありました。
基本的に仕事をするうえで作業の確認が出来ず、他人との会話が出来ないというような人達だというのも分かってきました。中には「人に会いたくないので・・・」というような人もいるくらいで、普通のサラリーマンとしての基本的な動作が出来ないのではないかと想像されたのでした。
昼休みに、そういう彼らを見て「将来は大丈夫ですかね」と言うような質問をしても「何とかなるでしょう」とか「これで駄目なら、最後は生活保護を申請しますから」と先々の不安を解決するという意気込みはなく、流れに任せるという風にしか自覚していないというのには驚きました。
話を聞くと以前は普通のサラリーマンとか個人的な請負仕事とかをやっていたらしいと聞いたのですが、そういう道を一度外れてしまうと中々元の道に戻れないという現実を見たような気がしました。
私と一緒に働いていた50歳代の派遣社員を見ていて、何故正社員へのチャレンジをしないとかというのが不思議に思えたのですが、サリーマンとして基本ができていないのではないかと思った時がありました。
パソコンの操作練習を兼ねた設定作業を始めたばかりの最初の週の出来事でしたが、生憎割合強い雨が降っている朝に小学校の門の前に来た時、私は小学校との契約を受けている請負会社のエンジニアが現れるまでは入校してはいけないと思い、傘をさしたまま小学校の門の前で待っていました。しかし、その他の8人の派遣社員は正々堂々と小学校の門を入り、校舎の軒下で雨宿りをして一列に並んでしまいました。強い雨が降っているので雨宿りの為に当然のことですとも思えるようでしたが、私だけは門の外で請負会社のエンジニアが現れるまで待って、そのエンジニアと一緒に小学校の門を入ったという事がありました。
この時に思ったのは、公立の小学校で守衛もいない門なので誰にとがめられる事も無く入れたのですが、
どうしても入りたい時には門にはインターホンがあり普通であれば入っていいかどうかを確認すべきだと思いました。
自分達が請負会社の作業員であり、小学校から仕事を請け負っている請負会社の下でしか動けないという思考が出来ていないと思われて、社員教育を受けているいないという以前の常識が無いと思えたのでした。後に3人体制で小学校を訪問した時も、9時に近くなっても待ち合わせている請負会社のエンジニアが現れないのを気にする様子も見せず「入りましょう」と言うので、私が「請負会社のエンジニアに電話連絡して確認してからの方がいいのでは・・・」と言っても聞く耳を持たないという様に見受けられました。
こうして50歳代を超えた派遣社員を観察していると、本人たちの正社員へのチャレンジ意欲云々の前に、そもそも一般常識に欠けるのではないかと思えて、正社員になれない理由の一つではないかと感じました。